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11-1


"楓"からの帰り道、翼と羽月はそれ以降互いにあまり口をきかなかった。
特に羽月の口からとっさに出てきた"アサカワカンパニー"の一言に、翼は驚きながらも動揺を出すまいと必死に努めた。

「……」

「……」

寒い夜空の下を無言で歩く二人の間には、体を襲う寒さなど気になってすらいなかった。
しかし、その長いようで短い沈黙を破ったのは羽月の方だった。


「あ……翼くんゴメン」
「えっ?」
「さっきあの店で飲んでるときに、俺が変なこと言ってもうて」
「あ、いや……」
すると羽月はプッと笑い出した。

「どうしたんだよ、急に笑って?」
「だって翼くん、"あ、いや……"が口癖なんやもん」
「うるさいな……」
沈黙が破れてからは、会話を切らすことなく二人は帰路を歩いた。

「じゃあ、ここで」
「うん、翼くん今日はおおきに、ありがとう!」
「お疲れ」
翼は一足先にタクシーに乗り込み、羽月に別れを告げる。

「じゃあ、また明日」
「うん!また明日っ!」
ドアがバタン閉まり、翼を乗せたタクシーは次の乗車を待つ羽月のもとから走り去っていった。
「翼くん……ホンマに今日はありがとう」
羽月は翼が乗ったタクシーを見つめながら、優しい声でポツリと呟いていた。



タクシーで帰路を辿る最中、翼は先程"楓"にて羽月が言い放ったことを、ずっと考え続けていた。
「アサカワ……カンパニー……」
翼はふとそう呟いた。



『親父の会社が……あいつの家族と一体何があったんだ?』
翼は今日の仕事でのことをすっかり忘れたかのように、それをずっと頭の中に抱えながら、夜の帰路に消えていった。


 

数十分後-

一方、自宅アパートに着いた羽月は、スーツ姿のままベッドに横倒れになっていた。
しばらくそのまま動かない羽月。
しかし、気が付くと彼は一枚の写真を手にしていた。
写真に写るのは、あどけない笑顔を見せる二人の幼い少女と少年の姿。
羽月はその二人の姿をただじっと見つめる。


「……」
写真を見つめ続ける羽月の瞳には、いつしか一粒の涙が零れていた。
「お姉ちゃん、どこやねん……どこにおんねん……」
羽月はいつも元気なその顔を次々と流れ出る涙でぐしゃぐしゃにしながら泣きじゃくっていた。

「お姉ちゃん、お姉ちゃん……!」
羽月はそう漏らしながら、力無くしがみついた枕を濡らしていった。
そんな彼がふと眠りについたのは、3時間も経過してのことだった。



翌日-

夕刻が近づき、【Club Pegasus】のホスト達は出勤の時間が近づいていた。
もちろんコート姿の翼も、今日一日の仕事に入るために店舗のあるビルへと向かっていた。

「あっ」
翼は、反対方向からやってくる背が一際高い羽月の存在に気がついた。
羽月も翼の存在に気が付いたのか、小走りで彼のもとに近づいていった。
「おはよう翼くん!」
「おはよう」
「昨日は、遅くまでおおきに!翼くん付き合ってくれたおかげでいいハタチの誕生日迎えられたわぁ!」
「そっか」
「今日も一日、がんばろな!」
そう言って、翼と羽月はエレベーターに乗って店のあるフロアへと上がっていった。



1時間後-

いつもながらの掃除やミーティングを経て、【Club Pegasus】の 営業は通常どおり開始された。

「いらっしゃいませ!!」
17時の開店から間もなく、一人……また一人と女性客が来店の為に足を運んでくる。
学生・会社員・サービス系など、職業や年齢も様々な女性が次々と来店した。

「今日もすごそうやな」
羽月は気を引き締めるように言った。
そんないつもと変わらない彼を、翼は不思議そうに見ていた。
昨夜、"アサカワカンパニー"の名をあれほど憎しみを込めて口にした彼は、今はもういなかった。



『酔ってたのかな……あいつ』



考えてもキリがないと思った翼は、どこか気になりながらも無理に考えないことにした。
しかし、目の前にいる羽月が父親の会社と以前関係していると考えると、気になって仕方がなかった。


「おい、翼ァ!」
考え込んでいる翼に、光星が突っ掛かるように話しかけた。

「光星さん。何です?」
「何ですじゃねぇよ、今日はママは来ねぇのか?」
「ママ?」
翼が首を傾げると、光星は口元をニヤリとさせながら再びその口を開いた。

「お前が引っ掛けたあの女のことに決まってんだろうがよ。今日は来ねぇのか、オイ?」
「さぁ、どうなんでしょうね」
「……まぁ、どんだけ太かろうがお前にとっちゃたった一人の客だもんな。いくら昨日ラッソンしようが、あの女が来ない限りお前は今日一日ヘルプや雑用だ!」
光星はまるで汚物を吐き捨てるかのように、翼に言い放った。
周りにいる何人かのホスト達は、迷惑そうながらも見てみぬ振りをするようにしている。
しかし、当の翼はそれを全く気にかけることがないかのように彼に何も返さなかった。

「フン、何も言えないからシカトかよ。いっちょ前に着飾りやがって。ペーペーはペーペーらしく、調子に乗らずに-」


その時だった。

「いらっしゃいませぇ!」
店内のホスト達からの元気な声が、エントランスからやってきた一人の女性を迎えた。
「あの……」
一人で入ってきたその彼女は、ピンクのカットソーにファーのコート、白いブーツにデニムのミニスカートと言った、派手な恰好をしながらも、どこかおとなしげな20歳過ぎくらいの女性だった。
顔を見られたくないのか、レンズの大きいサングラスをしている。
すかさず、内勤の佐伯が彼女に話し掛ける。

「いらっしゃいませお客様、当店は初めてでいらっしゃいますか?」
「あ、いえ……この間一度初回で来たんですけど」
「以前にご来店いただいてるんですね、ありがとうございます。本日、ホストの御指名などはありますでしょうか?特に希望のホストがいませんでしたら、フリーで何人かのホストをつけさせていただきますが」
佐伯が質問すると、彼女は数秒ほど考え込むように黙ってから口を開いた。

「あの……翼さんて方をお願いします。今日お店にいますか?」
「!」
佐伯は面食らったように僅かな驚きを見せる。
「あ、翼でございますね?今参りますので」
すると、ざわめきに感づいてか、翼はすぐにその場にやってきた。

「翼、新規の御指名だ。卓まで案内しなさい」
佐伯にそう言われると翼はすぐに頷き、サングラスをかけたその女性客に目をやった。

「いらっしゃいませ!御指名ありがとうございます、翼です。ご案内しますので、こちらにどうぞ」
翼に言われるまま、女性客は彼の後を無言でついていった。
「暗いので、足元気をつけて下さいね」
翼はそう声をかけながら、彼女を店内の一つのテーブルへと誘導していった。

「な……」
光星を初めとする店内にいる従業員達が、再び翼に対して驚きの視線を向けていた。
「あの翼ってやつ、昨日愛菜さんの指名とって、今日はあんなギャルっぽいのを……!」
「こないだまで全然指名無しで仕事もあんまりできなかったのによ…」
「二日連続で新規指名なんて、あいつに何があったんだ!?」
ホスト達は、またもやさらなる変化を見せる翼に対して、感嘆を漏らす。
無論、そのことは先程まで翼に突っ掛かっていた光星の目にも留まっていた。
「あのヤロウ……何で……!」
光星は右手に持っていた缶コーヒーを握り潰しながら不思議なまでの不満をつぶやいた。
その後ろから、天馬がふと声をかける。

「おい、光星」
「社長?」
「今翼を指名したあの子、お前覚えていないのか?」
「え??」
「よく見てみろ、お前も前に一度会っているお客だ」
天馬は光星にそれだけ言い残すと、奥の事務所へと去っていった。
「……?あの女、どこかで会ったか?」
光星は天馬の言葉に首を傾げながらも、テーブルへとついた翼達を陰から覗くことにした。


「どうぞ」
ソファーに腰をおろした少女に、翼はおしぼりを差し出す。
「どうも」
「となり、失礼します」
翼はスッと彼女のとなりに腰をおろした。

「改めて初めまして、翼です。ご指名ありがとうございます」
「いえ……」
翼が話し掛けると、彼女は大人しげに返事をする。

「あの、翼さん」
「はい?」
「私のこと、わかりませんか?」
「えっ?」
突然の彼女の言葉に、翼は目をパチクリさせる。
彼女は続けた。
「私達、一度このお店で会ってるんです」
「一度会ってる?」
「はい。あ……すいません、サングラスしてるしわかりませんよね」
そう言って、"彼女"はその小さな顔には大きすぎるようなサングラスをスッとはずした。

「あっ……!君はたしか」
翼は思わず声を上げた。
「はい、こないだ光星さんとの席で一緒になった……」

サングラスをかけヘアスタイルが変わっていたものの、ミニスカートなどがベースの体を露出したギャルファッションに身を包んだ細い声の少女は、梨麻だった。
バッチリ決めた妖艶なメイクが、彼女の瞳を大きく際だたせている。
翼は意外そうな目で彼女を見つめる。

「梨麻さん、ですよね」
「ハイ、覚えてくれてたんですね」
梨麻は少しだが笑顔を見せる。
「えぇ。髪の毛もストレートだったこの間と違って巻いてるし……色も少し明るくなりましたよね?」
「うん」
「サングラスだったのもあるけど、最初わかりませんでしたよ」
「えへっ」
梨麻は少しずつだが、最初持っていた緊張感がほぐれてきたようだった。
 

「梨麻さん何飲みますか?」
「あ、じゃあビールを下さい。乾杯しましょっ!」
「ビールですね?わかりました」
翼はホールで通り掛かったホストにビール二本のオーダーを伝えた。

「でもびっくりしましたよ、まさかあの時一緒になった梨麻さんが今日指名で来てくれるなんて」
「驚きました?」
「うん」
翼に見られたからか、梨麻はどこか照れ隠しをするように、彼から顔をそらした。
するとすぐに、表情を曇らせながら俯く。

「梨麻さん?」
「翼さん、この間はごめんなさい」
「えっ?」
翼はキョトンとした。
「梨麻さん、ごめんって?」
「あの時、光星さんと果穂ちゃんの行動を止められなくて……。翼さん、あれから大変だったんでしょ?」
「いや、そんな」
二人がそう話しているうちに、テーブルにビール二本とビアグラス二つが届いていた。

「梨麻さん、とにかく乾杯しましょう」
翼は、二つのビアグラスにビールをトクトクと注いでいく。
満たんにビールが注がれたグラスを持った二人は、手に持ったそれを交わす。
「カンパイっ!」
グラスの華奢な音が、二人の間に独特の雰囲気を醸し出す。

「はぁ~おいっしい!」
梨麻はビールを口にすると、何かから解放されたように声を漏らした。
「梨麻さん、今日は美味しそうに飲んでますね?」
「あはっ☆」
翼と梨麻は、一旦グラスをテーブル上にあるコースターに置いた。
すると梨麻は、どこか改まったように自らの体の正面を翼の方に向けた。

11-2

 
「梨麻さん?」
「翼さん、あらためてこないだはホントにごめんなさいっ」
梨麻は、翼にそう言いながら突然頭を下げる。

「梨麻さん、そんな」
翼は一瞬戸惑ったが、すぐに彼女の口が開くのを察してか、そのまま黙って続きに耳を傾けることにした。

「こないだ、果穂ちゃんと光星さんのこと止められたはずなのに……私、あの時ホストクラブ初めてってのもあって、果穂ちゃんに頼んで、しかもおごりで連れて来てもらってたから何も言えなくて……」
「梨麻さん……」
「うぅん。……まぁ、結局私最後にキレちゃってお金置いて出てったんだけど……。自業自得だけど、あれから果穂ちゃんとも気まずくなっちゃってさ」
「そうだったんですか……。何かすいません、俺のせいで二人が気まずくなっちゃって」
翼がそう言うと、梨麻は首を横に振って続けた。

「いいの、元々お店の中だけでの上っ面の付き合いだったんだし。ホストクラブ連れて来てくれたのは感謝してるけど、ウマが合ってたわけじゃなかったし」
「お店?」
「うん、言ってなかったっけ?私と果穂ちゃん同じヘルス店で働いてるの」



『ヘルス……確か風俗か』



翼は梨麻の素性の一旦を聞いて、彼女の派手で露出の多い外見に自然と納得した。

「まぁこないだのお詫びってのもあるんだけどさ」
梨麻はグラスの中のビールを勢いよく飲み干すと、すぐに続けた。
「初めてこないだ会ったときから気にはなっていたんだよ、翼さんのこと」
そう言うと、梨麻は顔を少し赤らめながら視線を翼からそらした。
「梨麻さん」
「だから……あぁもうはずかしいなぁ!」
「ありがとうございます、来てくれて」
翼とはずかしそうな梨麻は、一旦視線を合わせると噴き出すように笑った。

「梨麻さん、飲みましょう!」
「うん飲もう!」
翼は梨麻が飲み干した空のグラスに、ビールを満たんになるまで注いだ。
それに返すように梨麻も翼のグラスにビールを注ぐ。
二人は、何かを祝い合うように笑顔で再びグラスを交わした。


「って言うか、びっくりしたぁ!翼さん、こないだ会った時とは別人みたいに変わってるからさぁ」
「あぁ、これね」
「何かあったの?太いお客さんでもついた?」
「あ、いや……。・あのナリはさすがにないだろうって思ってね、ちょっと社長からアドバイスもらって」
「ふーん、そうなんだ~。でも翼さん、似合ってるよ!」
「ありがとう」
翼と梨麻は、友達同士のような…時にはまるで恋人同士のような楽しそうな雰囲気をその場に醸し出していた。
そこには、あの時大失態をした記憶など消し飛んでしまうほど微塵も感じられない。
しかし、その光景を遠くから見ていた光星をはじめとする何名かのホストにとっては決して面白いものではなかった。

「翼のヤロウ……!」
光星は楽しげに梨麻に接客をしている翼を凄まじく恐ろしい目付きで見ていた。
「あのヤロウ、俺の客になるはずだった女を横取りしやがってよぉ!」
「光星」
一人翼を睨む彼に、翔悟が話し掛けた。

「翔悟さん」
「何をそんなに翼ごときを意識してるんだ。たかが風俗嬢一人が客としてついたくらいだろう」
「でも、あの女は……!」
「お前の客の連れだったんだろう?そのまま自分の新しい指名客にしようとしたのが、あいつに妨害された……ってとこか」
「そうっすよ。爆弾まがいのことまでをして指名をつかんだなんて、俺は認めねぇ!」
光星は、翼への視線をそらすことがないまま翔悟に言葉を返した。
すると、翔悟は再び諭すように彼に口を開いた。

「なら放っとけ。愛菜のこともそうだが、たまたまラッキーが重なっただけだ。あれ以上翼に客は増えない。俺達がわざわざ気にすることでもないだろう」
「……そうですかね」
「そうだ、客はお前の方が数多くいるんだ。お前、少し翼を意識しすぎだ」
翔悟に諭され、光星は少しずつだが冷静さを取り戻していったようだった。

「そうっすよね翔悟さん、あんな奴にそこまで-」


しかしその時だった。

「いらっしゃいませぇ!!」
また新たな女性客を迎える掛け声が店内に響く。それが気になったのか、翔悟と光星もそれに目を向ける。

「見たことないな、新規かフリーの客か?」
「いや、曖昧な記憶っすけど、昨日も店に来てたような気が……」
翔悟と光星の視線の先には、二十代半ばほどのOL風の二人組の女性客がエントランスにて待ち遠しそうに立っていた。
すかさず彼女らに佐伯が話し掛けると、二人はそのまま彼にテーブルへと案内されていった。

「佐伯さんがあの卓に連れてった二人、誰か指名っぽいっすね、翔悟さん」
「そうだな」
翔悟と光星は、その二人の女性客のことが気になりながらも、自分の指名客のいるテーブルへと戻ることにした。



一方-
梨麻の相手をしている翼のところに、佐伯が歩み寄ってきた。
そして、翼の肩をポンと叩く。
「?」
「翼、別の御指名だ」
佐伯は何かを理解しかねている翼に耳打ちする。
「!?」
翼はパチクリと大きく目を開ける。
「お客様すみません。翼の方少しお借りしてもよろしいでしょうか?」
佐伯は、翼の隣でほんのり頬を赤らめている梨麻に申し訳なさげに言った。

「あっ、翼くん別のお客さん?」
「うん。ゴメン、すぐに戻ってくるね」
「いいよぉ、ヘルプの子も来るだろうし気にしないで!でも、なるべく早く帰ってきてね」
翼はすまなそうに梨麻にウインクすると、テーブルを離れ佐伯の後についていった。

「翼、あの二名のところな」
「わかりました」
翼は佐伯に指示された通りのテーブルへとすぐに向かった。


「いらっしゃいませ!御指名ありがとうございます、翼です」
翼はそう言いながら、二人のOL風の女性客へとペコリと頭を下げる。
「あ~翼くんだぁ!座って座って!」
女性客の一人が、翼を自分達の間へと誘う。
「失礼します」
翼はスッと二人の間へと入った。
すると、女性客は二人ともニコニコしながら互いの間にいる翼を見つめる。

「あの、どうかしましたか?」
翼は妙なまでにニコニコと笑う二人に対し、不思議な感覚を覚える。
すると、もう一人の女性客が答えた。

「あなたでしょ、彗星のごとく現れて昨日のラスト歌った新人って!」
「す、彗星のごとく?」
「実は私達昨日もお店に来てたんだけど、いつも歌う人って決まってるから、もうビックリしちゃった!翼って誰!?みたいな」
「そう!それでその謎の人物翼くんに一目会いたくて、私達二人でまた来ちゃったの!」
二人は半ば興奮したように言った。

「そうだったんですか。でも、ありがとうございます」
翼は改まるように、二人に頭を下げた。

「へぇ、けっこう礼儀正しいんだね!それにけっこうカッコイイし」
「ねー!何か気に入ったよ!翼くん、三人で何か飲もう!」
「はいっ!じゃあ、今夜は楽しみましょうね!」
翼は出したこともないようなテンション高い声を上げた。


「……」
遠くからそれを見ていた他のスタッフは皆驚いていた。
羽月も、光星も、由宇も、そして翔悟も……昨日の愛菜の指名を含め二日間で突然四人の指名を手に入れた翼の躍進は、誰もが受け入れざるを得ない現実として彼らの脳裏に焼き付いていた。

あの時まで仕事もできず失態ばかりだった翼が、ここまでの新規指名を取るなど誰も予想できずにいたことだった。
唯一、天馬を除いては。

「社長、翼のやつ徐々に売れ初めてますね……」
佐伯は脱帽したように呟いた。
「だろう?あいつは目立たない原石から磨かれつつある宝石になりつつあるんだ」
天馬はニヤリとしながら佐伯に返した。

「ホント、ビックリですね」
「由宇」
天馬の後ろから由宇が話しかけた。
「社長はわかっていたんでしょ?彼に……翼くんに他のホストには無い何かがあるのを」
「由宇、お前はどう思ってる?あいつのこと」
「今のところは何とも。でも、彼ならやり方次第で化けちゃうかもしれないですね」
「そうか」
笑いながら接客をする翼を、それぞれが様々な思いを抱きながら見つめた。
そして羽月も。



『翼くんがんばっとるなぁ…俺もがんばらんと!姉ちゃんに会うためにも…!』



様々な思いが交錯する中、その日は噂を聞き付けた女性客がさらに一名、翼の指名客となった。



"彗星のごとく現れたホスト・翼"の名前は、口コミ効果で少しずつ自然と一人歩きを始め、【Club Pegasus】はさらなる盛況を見せ始めていた。



そして、二ヶ月の時が流れた。





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lost wing~傷ついた愛の羽根~(Ⅱ)

つづき⇒⇒http://p.booklog.jp/book/51983

 


奥付



lost wing~傷ついた愛の羽根~(Ⅰ)

 
続き(Ⅱ)はコチラ⇒⇒http://p.booklog.jp/book/51983
 

著者 : Kai
著者プロフィール:http://p.booklog.jp/users/kaiweblg/profile


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