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雪て言うてるやん!01

「お~い、なおやん、これ、これやがな、これ、
その、あれな、持ってきて、ほんで~
ほれ、これやがな・・・これ、あの・・・。」

すでに、今から25年程前まだ私が、
可愛い黄色の小さな帽子を被り、
身体に見合わないランドセルを背負っていた
あの頃から始っていた・・・

「あのこのその症候群」



うちのヨシオさんは、とっても耳が遠い、
そして、ダイナミックな表現をよくする。

どんなエスパーでも解読は不能だと
思われる返答や奇跡の聞き間違いが
すばらしく面白く、あまりに面白くて
破壊力がある程。


雪が静かに降り始めた、
なんとも言えない静寂な朝のこと・・・




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雪て言うてるやん!02


少し寒さが増したことと、
雪が降っている事を伝えたかった私は、
そのたった二言を彼に伝えるだけで、
三十分以上も時間を食ってしまった。

「今日は雪やな、おじぃちゃん。」と言った私の言葉を
ヨシオさんは、何をどう間違えたか、

「うん?今日は犬?イヌでっか?」と。

雪のように犬が降ったら、もう
世の終わりではないか、ヨシオさんよ。

まさにこれは・・・
あの「200X年」ではないか?!



私は、のほほんとした表情で言えませんよ。
そんなはちゃめちゃな天候。


聞き間違えるのは毎度の事で、
私もめげずに繰り返す。

「ちゃう!!雪!ゆ~~き やな!雪。」と
少し顔を歪ませ大きく口を開け、
パクパクしながらゆっくり言うと、







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雪て言うてるやん!03


「え??トメ?トメですか?!」

一体、何や。
トメって・・・。

明らかにおじいの同期の女子であろう名前。

「今日、トメ。」

なぜか、卑猥な言葉に聞こえてしまうのは
私が関西の下ネタお笑い王国で育ったからなのか。

私の脳裏にうちのヨシオさんを誘う
セクシーなトメさんがよぎる。

「今日、一緒に湿布貼りあいっこしなぁ~い?」


な、訳ない。

なぜ、孫の私が
「今日はトメさんだね、おじぃちゃん!」なんて
笑顔で言えようか。

嫁(おばあ)に怒られるわ!
確実に処刑されます。そんなことした日には。


結局、私はなぜか童謡である
「雪やこんこん」を大きな身振り付で
歌う事で何とか、雪が降っていることを
伝えることができた・・・



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雪て言うてるやん!04

しかし、これは、
きっと耳が遠いのではない、
それだけが原因とは思えない。

会話の流れで分かるやんか!
分かってくれよ、ヨシオさんよ。


何が嬉しくて三十路にもなろう私が
居間で雪やこんこんを朝から熱唱せねばならぬ。


だから未だに独身で
彼氏すらいないんじゃないのか!

バカヤロー!!!
負け犬と呼んでくれたっていいんだ!

それが現実です。



神様はきっと、
お腹を抱えて笑っておられるのであろう。


うちのヨシオさんは、
様々な伝説を作り続けるのである。


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そしてテクノロじじいへ01

さてさて、毎度のごとく、
小ボケなうちのヨシオさん。

私が未だ機能をフル活用できていない
i Phoneをぽちぽちと触っていると

ヨシオさんは、
キラキラした眼差しで

「うのぁ~!?
何ですか~それは~!!!」

間髪入れずに、絡み倒してきます。
まして耳も遠いから、大音量で
私の作業を阻止してきます。


あまりに邪魔をしてくるので、
何がみたいの?と聞くと

ヨシオさんの興味は2点。

「YouTube 北島さぶちゃんの動画」と
「GoogleMAP ナイアガラの滝」

であることが判明。

お安い御用である。
さっさと案件を終わらせようと、
ささっとグーグル先生で検索をし、
イヤホンをつけ、動画を再生し
ヨシオさんに手渡した。

>続く

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