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 岡山の求職者が、大雲寺前のバス停にいた。さっきまで、面接を受けていた。岡山の求職者は、介護職員の募集に応募して、面接を受けた。バス停には、岡山の求職者しかいなかった。

 

 そのとき、魚のにおいがした。つづいて、バス停に2人目の人間が現れた。黄緑のスーツを着た30代くらいの男だ。岡山の求職者は、この男に見覚えがあった。きのう、大供(だいく)の交差点ですしを食べていた人だ。

 

 前日、岡山の求職者は、市役所に行った。そのとき岡山の求職者は、大供の交差点をわたろうとしていた。黄緑のスーツの男は、岡山の求職者の少し前を歩いていた。そして、いきなり立ち止まった。地面に座り、鞄からすしのパック詰めを取り出して食べ始めた。岡山の求職者は、すこしその男を見た。

 

 うん、あのときの人だ。岡山の求職者は、しばらくその男と一緒にバスを待った。岡山の求職者は、魚のくさったにおいがすると思った。

 

 ジー… 鞄を開ける音がする。黄緑色のスーツの男が鞄を開けると、急ににおいが強くなった。ここからにおっていたんだ。男はビニール袋を取り出した。ビニール袋に魚の切り身が入っている。男はビニール袋から赤い魚の切り身を取り出し、岡山の求職者の靴の上に乗せようとした。

 


 岡山の求職者が、家の近くまで帰ってきた。今日は、出先から歩いて帰ってきた。とても疲れた。本当はバスで帰りたかった。しかし、今日はバスで帰るのをあきらめた。

 

 岡山の求職者は、自販機の前で迷った。サイダーを買うか、コーヒーを買うか迷った。しかし、よく見ると、岡山の求職者の飲みたいコーヒーは、品切れを表すランプが点いている。岡山の求職者は、サイダーを買うことにした。岡山の求職者は、すこし目がかすんだ。サイダーのボタンを押すつもりが、ボタンでないところを押してしまった。

 

 「あちい」

 人指ゆびの先が痛くなった。今日は気温が高かったからだろう。熱せられていた部分をさわってしまったらしい。

 「もう帰ろう」

 岡山の求職者は帰った。

 


この本の内容は以上です。


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