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【2】

 

 岡山の求職者は、道を歩いていた。目の前に看板が見えた。「就職支援」という文字にひかれ、看板を出しているビルに入った。

 

 「なに?」  足元には、毛虫の死骸が落ちている。ビルの案内板によると、「就職支援」は7階らしい。エレベーターの前で、年配の男性が2人、エレベーターを待っていた。岡山の求職者がエレベーターの前に近づくと、ちょうどエレベーターが来た。岡山の求職者は、年配の男性2人とともにエレベーターに乗る。足の踏み場に困った。エレベーターの中には、虫の死骸がたくさん落ちている。2人の年配の男性は、この虫の死骸を気にしないのだろうか?

 

 「今日、五十歳のじいさんが来たんだけど、仕事なんかないよ」  年配の男性の一人がしゃべりだした。

 「それ、どうしたの?」もう一人も聞いた。

 「だからさ、無いって言ったよ。五十のじいさん来ても無駄なのに」

 

 岡山の求職者は、2人を見た。あんたもじいさんにみえるよ。「就職支援」の職員か? 岡山の求職者は、目的階の表示を見た。7階しか表示ボタンの明かりはついていない。やっぱりそうなのか。

 

 7階に着くと、2人は降りた。「就職支援」の看板・ドアが4種類くらいある。2人はそのうちの1つのドアを開け、その中に入った。

 

 岡山の求職者は、泣いた。そして思った。  『「相手の気持ちになって考えろ!」という人間は、他人に向かって「相手の気持ちになって考えろ!」と言うだけで、その人間自身が「相手の気持ちになって考える」能力を持っていない』

 

 岡山の求職者は、泣いた。

 


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