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エスペラントに興味をもったあなたへ

エスペラントの出自

 エスペラントEsperantoという言語は、1887年にポーランドの医師ザメンホフZamenhofによって発表された計画言語です。最初から国際的な使用を目的に作られ、発表までに著者自身の膨大な翻訳作業を通して、流暢な使用に耐える言語に練り上げられました。

「人工」語について

 自然語も、完全に自然のままのものはありません。歴史的にどこかの段階で、小言語群が合体され共通語化されるなかで必ず人為が加わっています。日本語も明治期の膨大な作業があって今日のものになっています。エスペラントが人工語だからと、生きていないかのように喧伝されることありますが、こういった事実を知らない人がいうことです。

ある国際交流の場面で

 イギリスの詩人オールドW.Auldは著書の中で次のような光景を描いています。国際的な若者の集団が交流をする場面で、その中にアメリカ人は一人だけでしたが、共通言語は英語でした。最初はにぎやかに話が乱れ飛び、笑い声がはずんだのてすが、やがて話が尽きて静かになり、遠くを見つめ、二三人と連れだってそっといなくなって行ったそうです。

うまくいかなかった原因

 この様子をオールドはこう分析しました。
①そのアメリカ人は、みんなから浴びせられる「似たような」「初歩的な」質問にひらすら答え続けねばならず、嫌気がさしてしまった。
②彼が何か答えると、そのことばがみんなに理解されず、易しいことばへのいいかえを繰り返さねばならなかった。
③しばらくするとかれらの持っていた「初歩的な」単語が出尽くしてしまい、会話が続けられなくなった。
④さらに、彼の発音は、同じ英語話者であるオールドにも聞きづらかった、と。

3時間も語りこんだ経験

 わたしの体験を話しましょう。もう20年も前のことです。韓国ソウルで開催されたエスペラント世界大会のおり、同じ宿にオランダから来た人がいました。同宿のよしみで、ロビーで話し始めたところ、なんと話は3時間にも及んだのでした。オランダの言語政策や日本の方言問題について話したことを覚えています。深夜に及んで電気が消され、話は終わりました。そんな話はそれまで日本語ででもしたことがなく、ましてエスペラントでしたこともありませんでした。大学卒業後はエスペラントを使うチャンスなどなかったのです。エスペラントなら、こんな会話・議論ができるのだと、その実用性をはじめて実感しました。

同じ言語をかたる「仲間」意識

 近年、韓国の人や中国の人と話す機会が多くなったのですが、エスペラントで話していると、相手が外国人だという緊張感もなく、またどこの国の人なのか忘れてしまいそうになります。同じことばを語る仲間なのですね。エスペラントで語り合いながら食事をしたり、焼酎を飲みあったりしました。おそらく他の言語ではこんな密接な仲間意識を感じることはないのではないでしょうか。

ユダヤ人収容所でも

 むかし三宅史平氏の書いた「エスペラントの話」を思い出します。そこに、ユダヤ人収容所に押し込められた、囚人だった人の話が載っていました。胸に緑の星(エスペラントのシンボルマール)をつけたその囚人をドイツ人看守が目にとめ、「エスペランティストか」と尋ねました。なんと、その看守もエスペランティストであったのです。彼は自分の命をかえりみず、その囚人を逃がしてくれました。助けられた彼は、戦後になってその看守を手を尽くして探しましたが、名前なども当然わからず、とうとう見つからなかった、と書いてありました。おそらくは戦争の犠牲になったのでしょう。かれらを結びつけたもの、それは「緑の星」。たったそれだけの縁だったのです。

世界の文学が流れこむ

 エスペラントは世界のいたるところに広まり、現地のエスペランティストたちは、自分たちが誇る文学をエスペラントに翻訳してまいりました。その数は膨大なものにのぼります。
 日本語に訳されたものの多くは英米に偏っています。その他の国などの文学を読もうと思っても、たいへん難しい状況です。
 しかしエスペラントでは、たとえば、ハンガリー文学、スイス文学、スロバキア文学、フィンランド文学、ベトナム文学、中国文学、そして日本文学など豊富な訳があり、聖書やコーラン、仏典などの聖典も翻訳されています。別の言語を経由した二重翻訳ではなく、原語からの翻訳です。世界が持つ情感豊かな世界がエスペラントのなかに広がっているのです。

インターネットが開いた新しい文化

 インターネットが普及するまで、エスペラントでの交流といえば、実際地域のロンド(集会)に行くこと、思い切って国際会議などに出ること、個人で文通をすることなどで、また、雑音まじりのエスペラント・ラジオ放送を聞くこと、地道に本を読んでいたこと、だったと思います。
 インターネットが普及し、状況は一変しました。Skypeなどでいつでもどこの人とでも顔を見ながら会話できるようになり、インターネットでラジオを聞き、YouTubeなどで動画を見ることができ、また携帯電話などでもPodcast放送を聞き、電子書籍を読むことができるようになっています。

エスペラントを基本にする

 このことを通して、大言語の陰でいままで「細々と」営まれてきたエスペラント活動が、一気に活発化することになりました。Googleもエスペラント翻訳をサポートしはじめ、LinuxやあるOfficeなどは、基本言語としてエスペラントを選択できるようになっています。エスペラント大辞典のネット公開も始まりました。

エスペラントで「公平」な世界を

 他の民族語と違って、エスペラントはどこの国の国語でもないため、「全員」が等しく学んで習得するものです。ですから本当の意味でだれにとっても「公平」な言語になります。たまたまある国語の国民として生まれた人が絶対有利だ、ということがありません。
 自国では民族語を使い、国際交流の場面では共通語として公平なエスペラントを使おう、というのがエスペラント運動なのです。

 いままでいろんな言語を「習わされて」きたみなさん。エスペラントはみなさんを新しい世界へみちびき、新しい視野を与えてくれるでしょう。さあ、学び始めましょう。世界の仲間が待っています。

おまけ 若者の集団での問題点を解決するには

 ★単語数不足 → エスペラントでは少ない語から、造語法により、爆発的に単語を増やせます。3倍~10倍程度になるといわれます。文法的に正しければどんな表現も認められます。ですから日本語の語順の通り語ってもOKなのです。ネイティブが「そうは言わない」と言ったらシュンとなることもありません。

 ★発音が聞き取り困難 → エスペラントの母音は5つです。日本語と同じくaiueoのみです。ただ口をあけてはっきり発音するほうがよいでしょう。外国の人にくらべ、日本人のエスペラントは大変わかりやすいです。ただ、日本語にないf/v, r/lなどは注意が必要です。でも実際の会話を聞いているとrとlを間違っても、会話は中断することなく続いていますね。


【ご注意】本書は講習用テキスト + 訳


【本書は講習用テキストです】

 本書は、独学用テキストではなく、講習用テキストです。説明や解説などは付いていません。
 それでは不便でしょうから、日本語訳のみ巻末に添えました。詳しい説明や解説などは指導者からお聞きくださるよう、お願いいたしします。

 なお、独習用に完備したテキストも準備中ですので、こちらで学ぶことも可能になります。

 本書の内容は、1973年執筆当時のものをほとんど使っており、くりかえし練習の多いものになっています。そのままではおもしろさに欠ける面があるので、はしばしに修正を入れ、特に11課には現代風の会話を加筆しました。


文法の簡単な説明

 この本で扱う文法を簡単に説明をしておきます。いずれの規則にも例外はありません。詳しくは先生に習ってください。

1 アクセント アクセントは常に終わりから2番目の母音にある。
2 文字 アルファベットは28文字ある。それぞれが1つの発音しか持たない。

3 語尾 語尾の母音が文法的役割を持っている。
-o 名詞にする。
-a 形容詞にする。
-j 複数にする。名詞だけでなく、形容詞にもつける。
-n 対格・目的格にする。名詞だけでなく、形容詞にもつける。
-e 副詞にする
-as 動詞現在形にする。人称・数・性による変化はない。
-u 命令形にする。
-i 不定形・原形にする。

4 接辞
mal- 正反対にする
-an- その一員にする
-eg- 大きくする
-ej- 場所を示す
-il- 道具を示す
-in- 女性にする
-ist- それをする人を表す

前置詞 それ以外の働きは前置詞を使ってあらわす。
6 定冠詞 定冠詞は 1a のみで、変化しない。不定冠詞はない。



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