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5月1日のおはなし「モーニング・ティー(write like singing)」

 せっけんのレリーフに描かれてるのは太った犬だとばかり思ってたから、わたしは信じていた、せっけんの「けん」の字は「犬」って書くんだと。だからレリーフに描かれてるのが本当は牛だと知った時はがっかりしたんだ、なんだかね。犬のままで良かったのに。わたしには犬のままの方が良かったのにな。一口すするモーニング・ティー。失われた犬のせっけんを悼むモーニング・ティー。 

 そんな小さかったころの思い出がいまさらに、蘇ってきたのは他でもない夕べのあの小さなすれ違いのせい。あなたが次と言った時、わたしは今度の次と思った。こうして今週の日曜日は来週の日曜日とまざる。今度の次が次なのか、次の今度が今度なのか。何度聞いてもわからない。誰に聞いてもわからない。一口すするモーニング・ティー。失われた週末を悼むモーニング・ティー。 

 ティントン教会の鐘が鳴る。満月浴びた尖塔の先にあるはずの、十字架がなぜだか今夜はよく見えない。それは猛禽類が黒々と上に乗っているせいだよと怖い声を出し、とうさんはわたしをおどしたつもり。だけどわたしの頭に浮かぶのは、十字架をすっぽり隠す
もくもくした菌類。一緒に飲もうよモーニング・ティー。いまは失われた子どもの勘違いを悼む(懐かしむ)モーニングティー。 

 いれてちょうだいモーニング・ティー。こんな気分の朝だから。 
 一緒に飲もうよモーニング・ティー。湯気の立つよな熱いのを。 
 わたしの中に住む子どもと、あなたの中に住む子どもの 
 愚かでかわいい思い込みを慈しんで悼もうよ。 

 いれてちょうだいモーニング・ティー。こんな気分の朝だから。 
 一緒に飲もうよモーニング・ティー。湯気の立つよな熱いのを。 

(「モーニング・ティー」ordered by あとう ちえ-san/text by TAKASHINA, Tsunehiro a.k.a.hiro)


感謝の言葉と、お願い&お誘い

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 現在、連日作品を発表中です。201171日から2012630日までの366日(2012年はうるう年)に対して、毎日「11篇のSFP作品がある」という状態をめざし、全作品を無料で大公開しています。公開中の作品一覧


 SFP作品は、元作品のクレジットをきちんと表記していただければ、転載や朗読などの上演、劇団の稽古場でのテキスト、舞台化や映像化などにも自由にご活用いただけます。詳しくは「Sudden Fiction Project Guide」というガイドブックにまとめておきました。使用時には、コメント欄で結構ですので一声おかけくださいね。


 ちょっと楽屋話をすると、71日にこのプロジェクトを開始して以来、日を追うごとにつくづく思い知らされているのですが、これ、かなり大変なんです(笑)。毎日1篇、作品に手を入れてアップして、告知して、Facebookページなどに整理して……って、始める前に予想していたよりも遥かに手間がかかるんですね。みなさんからのコメント、ツイート(RT)、「いいね!」を励みにがんばっていますので、ぜひご協力お願いいたします。


 読んでくださる方が増えるというのもとても嬉しい元気の素なので、気に入った作品を人に紹介して広めていただけるのも大歓迎です。上記Facebookページも、徐々に充実させてまいりますので、興味のある方はリンク先を訪れて、ページそのものに対して「いいね!」ボタンを押してご参加ください。


 10月からは「11篇新作発表」の荒行(笑)を開始し、55作品ばかり書き上げる予定です。「急募!お題 この秋Sudden Fiction Project開催します」のコメント欄を使って、読者のみなさんからのお題を募集中です。自分の出したお題でおはなしがひとつ生まれるのって、ぼくも体験済みですが、かなり楽しいですよ! はじめての方も、どうぞ気軽に遠慮なくご注文ください(お題は頂戴しても、お代は頂戴しないシステムでやっています。ご安心を)。


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奥付



モーニング・ティー(write like singing)


http://p.booklog.jp/book/49189


著者 : hirotakashina
著者プロフィール:http://p.booklog.jp/users/hirotakashina/profile


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