閉じる


<<最初から読む

51 / 62ページ

頂点の戦い

テレビの放送とは関係の無いところで、俺とカズミンの戦いが始まった。
部屋にあるテレビでは、しゃこ式とドリームの戦いが放送されていたが、もうそちらを見る事はできない。
相手は夢さん以上とも言われる実力者、カズミンさんだ。
以前今日子さんが戦って、その強さは理解している。
ドリームの強さを一言でいえば、スピード。
かたやカズミンさんは、巧いと言われている。
こういう戦いで、ハッキリどちらが強いと判断するには、それなりの力の差が必要だ。
それは、相性ってものがあるから。
だからどちらが強いとか、そういう話は、戦ってみるまでわからない。
それも俺から見た強さって事になるわけだが。
まずは様子を見て、長距離から狙い撃ってみる。
普通にそれをかわして、普通に反撃してきた。
相手がドリームだったら、力を誇示する為にまっすぐ突っ込んでくるが、カズミンさんは突進してくる事はないようだ。
今のところ強さの欠片も感じない。
でも、強いと言われている人。
油断はできない。
今度は、最初にビーム砲でけん制してから、2発目のビーム砲を当てにいく作戦だ。
思ったとおり減速し、1発目のピーム砲をかわして来た。
俺は2発目を狙い撃つ。
とその時、こっちが2発目を撃つ前に、向こうから攻撃が飛んできた。
 一生「うお!」
ビーム砲をかわすタイミングで狙い撃ってきた?
なるほど巧い。
だが、カウンターなんてものは、戦いでは常套手段。
それくらいやる人は山ほどいる。
よし、今度はそのカウンターにカウンターを返してやる。
そう思ってビーム砲を発射しようと思ったら、今度はこちらが撃つタイミングで撃ってきた。
 一生「やべ!嫌な攻撃してくるな。」
それに正確だ。
並のプレイヤなら、コレでジエンドだったかもしれない。
出し惜しみしても仕方ない、俺はフェンネルを展開した。
これあっての俺なのだ。
フェンネルの攻撃と呼応して、俺は攻撃を強めた。
しかし直後、4機のフェンネルが一瞬にして墜とされていた。
動きに規則性があるとはいえ、小さなフェンネルを落とすのは、簡単ではない。
それでも時間をかければ墜とされる事もある。
でもこんなに早く、1発のミスもなく、完全にフェンネルを墜とすとは、なんだこの人は。
チョビのように高性能の盾を持っているわけでもないのに。
みんなが巧いと言うのが、本当の意味で理解できた。
それでも、巧いだけでは俺は倒せない。
夢さんには圧力を感じたが、この人からは圧力を感じない。
俺は今度は、カズミンへの接近を試みた。
と同時に、正面からビームが飛んでくる。
俺は左にかわそうとしたが、一瞬見えたカズミンの動きに、咄嗟に上へとかわしていた。
本来移動していたであろう場所を、ビーム砲が通り過ぎた。
なんだこの人、俺の動きが分かるのか?
確かに、ビームをかわす時には、左右どちらかにかわす事がセオリーだ。
何故なら、人型は縦に長く、上下だとそれだけ大きく移動しなければならないからだ。
だから左右どちらかだと山を張って攻撃する事はある。
でも、カズミンさんの攻撃には、何故かそうは思えない何かがある。
よし、もう一度。
俺は再び突進を試みる。
同じように正面からビームが飛んできた。
今度は最初から、上にかわそうとした。
するとやはりというか、上に攻撃が飛んでくる。
おそらく来るだろうと思っていたから、なんとかギリギリのところで当たらなかったが、これはやはり読まれている。
強い敵を前に、俺はテンションが上がってきた。
この人に勝つなんて、面白すぎる。
俺はどういうわけか、負ける気がしなかった。
次はシールドフェンネルを出した。
出したのは1枚だけ。
これなら撃ち落とされる心配はない。
なんせ盾だから。
もちろん、威力の強い攻撃や、何度も攻撃を受けていれば破壊されるが、見たところ、カズミンに強力な武器は見受けられない。
俺は再び突進を試みた。
正面にビームが飛んでくる。
俺は右にかわそうとする。
すぐに右側への攻撃をするカズミン。
しかしこれはフェイント、シールドフェンネルを盾に、俺は真っすぐ突っ込んだ。
今まで落ち着いた動きをしていたカズミンが、初めて大きく移動する。
ようやく人型の戦いが始まった感じだ。
俺は尚も追いすがる。
正確な攻撃は、最小限の回避とシールドフェンネルで凌ぐ。
もうすぐ近接戦闘に持ちこめる。
そう思った時、俺が武器をビームソードに変更する直前のタイミングで、カズミンが進行方向を急に変えてこちらに向かってきた。
絶妙なタイミングだ。
これだと、ビームソードに切り替えたとしても、一拍攻撃が遅れる。
だがこれは計算済み。
カズミンさんならこれくらいはしてくると予想していた。
おれはフェンネルダガーを出した。
数は2機。
実はフェンネルダガーは、2機までなら、自分で操作する事ができる。
その場合両手の操作機能を失うが、代わりに両手のようにフェンネルダガーを動かせるというわけだ。
手ほど自由には動かないが、どこまでも伸びる手を操るような感覚になる。
だか攻撃する刃の部分が短く、決して使える武器とは言えない。
それでも、意表を突く事はできたはずだ。
さあ、この攻撃をかわす事ができるのか?
と思った瞬間、フェンネルダガーは2機とも斬り落とされていた。
お互い爆発を避けるように後方へと下がった。
 カズミン「今のはなかなか危なかったよ。でも、そういった奇策は、うちのチサトさんが得意なんだよね。日頃から戦いなれているんだよ。」
 アライヴ「なるほど。真っ向勝負でしか、カズミンさんには通用しないのかなwではそうしようか。」
俺の通信は強がりだった。
 カズミン「そうだね。一通りアライヴさんの戦い方は見たし、もう僕は倒せないと思うけどね。」
 アライヴ「倒せるのは夢さんだけ?」
 カズミン「今なら8割は僕の勝利だよ。もう手の内が分かっているからね。それでも時々負けるのは、やはりあの人が強いからなんだけど。」
 アライヴ「では、俺なら五分の戦いができるな。」
強がりだったが、楽しくて負ける気がしなかった。
 カズミン「イイネ!では、楽しませてもらおうか。」
俺達は再び、戦闘を開始した。

運命の大金星

カズミンとの戦いは、俺の防戦一方になっていた。
とにかくこちらが嫌だと思うところに、正確に攻撃してくる。
このままでは、確かにカズミンさんの言ったとおり、俺に勝ち目なんてないだろう。
でも俺の気分は、強い敵を前に良い感じだ。
考えるな。
俺は頭は悪いが、今まで戦ってきた経験は、きっと体を動かしてくれる。
このゲームの戦場経験なら、俺は誰にも負けない。
普段、バトルグリードとか、他のゲームをしているような人には絶対負けるはずが無い。
俺は無意識に反撃に出ていた。
画面の隅には、しゃこ式とドリームの戦いが見えた。
ドリームの一方的な勝負だが、しゃこ式が墜ちる様子はない。
どれだけ強い人型なんだ。
あんな戦いを見せられて、テレビの向こうの人は楽しめているのだろうか。
本当に茶番だ。
片腹痛い。
すぐそばで、このゲームでの最高レベルの戦いが繰り広げられているのに。
しゃこたんも可哀相だなぁ。
芸能人ってのはこんなものなのかな。
本人は絶対に、これがバカバカしい勝負だと思っているはずだ。
それでもテレビに映るしゃこたんは、笑顔で楽しそうにゲームしている。
プロだなと思った。
戦いは、互角以上の戦いができていると思う。
体は勝手に動き、カズミンを追い詰める。
カズミンの驚いた顔が目に浮かぶ。
と言っても、あった事も無いし、どんな人なのかも知らない。
ただ、二次元変換された、想像上のカズミンが、驚いている顔を想像した。
笑みがこぼれた。
行ける!もう少しだ。
だがここまできて、俺は少し色気を出してしまった。
最後は敵背後に回り込み、ビームソードで斬りつけて勝ちたいと。
いや、そうすれば勝てると、頭で考えてしまった。
待ってましたと言わんばかりに、背後へ回ろうとするテンダネスの後ろに、カズミンが回り込んだ。
 一生「しまった!」
部屋で声をあげてしまったがもう遅い。
此処まで追いつめておきながら、俺は負けるのか。
でも此処までやれたのだから、満足するべきか。
俺は再び無意識の領域に、無意識に入っていた。
テンダネスを素早く裏に切り替えていた。
最近あまり使っていなかった、裏テンダネス。
人型戦で強い敵と戦っていなかったから。
そして今日の戦いでも此処まで使う事はなかった。
流石に意表をつかれたか、カズミンの動きが止まっているように見えた。
俺は正面から、カズミンを斬り裂いていた。
その後も、カズミンを何度か斬りつけ、とうとう戦闘不能状態にしていた。
勝った。
カズミンに勝った。
 一生「よっしゃー!!」
俺は部屋で一人吠えていた。
その後、チサトさんやダイスケさんがやってきて、戦闘不能となったカズミンを回収していった。
こちらが回収して、人型の性能を調べたかったが、戦況はどうやらサイファ軍に不利なようだった。
俺達の戦いに誰も入ってこなかったのは、タイマンの邪魔をしてはいけないっていう、両軍メンバーの配慮だろう。
ここからはまた、通常の戦いに戻るのだなと思ったが、既に時間は22時になろうとしていた。
結局、しゃこ式vsドリームは、引き分けで終わりそうだ。
テレビでは、司会の人が必死に状況をまとめていた。
サイファ軍が勝つと聞かされていたようで、ドリームを褒めるコメントばかりだった。
しゃこたん可哀相に。
そんな事を思いながら、俺はサイファさんの補給できないじゃまいか!に帰還した。

この戦いの直後、ジーク軍がサイファ軍へ大攻勢をかけようとしている事は、この時だれも思いもしなかった。

それぞれの戦い

テレビ放送が終わった後、俺は紫苑さんの支持で、少し紫苑軍領域方向に戻ったところで、宇宙の真ん中で紫陽花さんの迎えを待っていた。
俺がカズミンに勝った事を知り、ダイユウサク軍に勝負を挑むのは、今しかないって事だった。
戦力も、サイファ軍との戦いでかなり削られている。
まさかジークよりも先に、ダイユウサク軍と戦う事になるとは。
あんな茶番の後に攻めるのもなんだか罪悪感があったが、皆納得して受けた話しだ。
多くの査定ポイントも貰ったのだから、文句を言えるものでもない。
誤算は、俺がカズミンを倒した事であり、ドリームがずっと、しゃこ式と戦わざるを得なかった事。
しゃこ式は結局、何度攻撃をくらっても墜ちなかった。
要するに、大人の事情で無敵化されていたわけだ。
同情もするが、紫苑さんが攻めるというのだから、俺は喜んで従う。
後にジークに聞いた話だが、実はこのしゃこたんのテレビの企画は、ジークが持ち込んだ話で、この戦いの後、サイファ軍を攻める為の戦略だったらしい。
やはりジークの戦略は、常軌を逸していると思ったわけだが、この時はまだ、そんな事を知る由も無かった。

紫陽花さんのパープルフラワーに回収され、紫苑さんのパープルアイズ、スピードスター、他多くの艦船と共に、俺達はダイユウサク領域へと入っていった。
ダイユウサク軍はどうやら、最前線の移動要塞ぽてちで、迎え撃ってくるようだ。
移動要塞は、マップ内を自由に移動できる要塞で、宇宙全体でもそれほど数は多くない。
だから今までそれほど多く相手にしたわけではないが、正直厄介な要塞だ。
逃げ回る事もできれば、追いかける事もできる。
数値を見た限りでは、要塞戦艦ほど強くはないが、守りは要塞戦艦よりも堅い。
移動要塞のあるマップでは、撤退するにも一苦労で、紫苑さんが勝負をかけている事がわかる。
まもなく土曜日が終わる時間で、これから24時間の戦いだ。
以前、美菜斗軍との戦いで学習した俺は、土曜日は昼寝が日課になっていた。
だから今日は大丈夫。
相手は手負いのダイユウサク軍ではあるが、これでようやく互角の勝負ができるくらいだ。
遠慮はいらない。
全力で戦う。
 アライヴ「では行くよw」
 紫陽花「よろしくね!」
 チョビ「ママが200万円ってうるさいw」
 ハルヒ「とにかくドリームを落とすまでは、頑張って堪えますので、早く倒してくださいね。」
俺達の作戦は単純だ。
俺がドリームを倒す。
その間、他はとにかく堪える。
カズミンはすぐには出てこられないだろう。
愛機の修理は今日中には終わらないだろうし、スペア機も、こんな前線においてあるとは思えない。
ドリームさえ倒せば、後は俺が順に落として行くだけだ。
そして今、俺は発進した。
時計は丁度0時を指していた。

戦闘が開始されて間もなく、サイファ軍から通信が入った。
ジーク軍が要塞戦艦を率いて、サイファ軍領域に入ってきているとの事だった。
要塞戦艦は現在、ジーク軍が2隻、後の1隻を所持しているのが、ランキングが10位前後のまさくん軍だ。
どうやらそのうち1隻を、今回の戦いに投入してきたらしい。
かなり本気なのが分かる。
本来なら同盟関係にある我が軍は、助けに行くのが当然かもしれないが、つい今しがた、こちらも戦闘状態に入ったばかりだ。
お互い、健闘を誓いあって、通信を切った。
ダイユウサク軍の戦いは、かなり有利に運んでいた。
ドリームが出てこなかったからだ。
考えれば分かる事だが、22時までテレビに出て戦っていたのだ。
すぐに出てこれるわけがない。
今、ダイユウサク軍は、エース二人を欠いた状態で戦っていた。
それでも俺は手を抜くことはしない。
ダイユウサク軍が、二人いないだけで、弱い軍になるわけではないのだから。
俺の思ったとおり、程なくしてダイユウサク軍の逆襲が始まった。

移動要塞

ダイユウサク軍との戦いは、最初から紫苑軍有利で進んでいた。
一部の紫苑軍メンバーから、楽勝だの、次はジークだの、楽観的な言葉が聞こえてきていたが、俺はそう簡単にはいかないと確信していた。
案の定、ダイユウサク軍の反撃が始まった。
移動要塞を、戦場のど真ん中へと移動して、尚且つ紫苑軍の艦船群へ突撃させてきた。
常識はずれの作戦だが、効果は大きかった。
バカでかい要塞、回避するのは大変だ。
となると、早いうちに回避行動を取らなければならず、艦船群の戦力が無きにひとしくなる。
更に、回避行動中の艦船を、敵チサトさんのダストが狙い撃つ。
 サラ「どうやらチサトちゃんの作戦みたいね。」
いきなりサラさんからの通信が入った。
 アライヴ「あれ?どうして?」
モニターに、小麗さんの月天が映し出された。
 紫苑「今日は勝負だ。呼び寄せたw(^0^)」
 紫陽花「それにサラさん達は、ダイユウサク軍とやる為に、うちの軍にきたんだしねw」
なるほど、これは心強い。
 おとめ「おーいるいる!ダイスケ勝負だぁ~」
 サウス「じゃあ俺はトイキをやるぜ!」
3人がそれぞれに出撃した。
 小麗「移動要塞面白いv私が止める♪」
小麗さんは、月天の人型全ての出撃を終えると、単機で移動要塞へと向かって行った。
俺は心配もあったが、面白そうなので、小麗さんについて行く事にした。
小麗さんの操舵は華麗だ。
スピードならスピードスターの方が上だし、火力なら紫陽花さんの艦船にはかなわない。
パープルアイズは、今では丸みを帯びた艦船に改良されていて、小回りの利く対応力が売りだ。
それらと比べたら、小麗さんの月天は普通の艦船よりも少し縦長な感じなだけで、特に売りは無さそうだ。
その艦船を、どういったら良いか難しいが、そう「ぶんまわす」ように操る。
前作で、艦隊戦をやっていた時は、旋回する行為は、あまり良いとは言えなかった。
今回ももちろん、後ろから攻撃されているからって、旋回なんてしようものなら、無能者扱いされるだろう。
でも月天さんの動きは、ただ旋回しているわけではない。
かわしながら旋回しているようだった。
小麗さんは、巧く移動要塞の突撃をかわしながら、要塞を攻撃していた。
しかし、このままでは埒が明かないし、要塞の兵器を無力化しても、突撃は止められない。
俺は要塞内に突入し、要塞を奪取する事を思い立った。
これさえ抑えれば、俺達の勝利は確実だ。
ドリームもいない、カズミンもいない、ビューティフルベルさんって指揮官もどうやらいないようだ。
チャンスは逃さない。
俺はただ一人で、要塞の入口へと向かって行った。

要塞内へは、意外と簡単に入る事ができた。
流石にもう守りを固める余裕は無いということか。
俺が要塞を攻略する間に、ドリームやカズミンが助けに来てくれればいいってことなのか。
ダイユウサク軍が、此処にいない人を当てにするような戦い方をするとは思えないが、何かあるなら、進んでいけば分かるだろう。
俺は、要塞内の防衛システムによる攻撃をかわし、破壊しつつ、中を進んでいった。
気がつけば、既に拠点エリアへと到達していた。
此処から先は、迷路である。
後は司令室までたどり着き、特定の操作をするだけだ。
ダイユウサク軍は、本当に打つ手が無かったのだろうか。
拠点エリアにわざわざ人型を置く利点なんて無いし、そう考えるしかない。
俺は一応通信を入れた。
 アライヴ「拠点エリアに突入。未だ敵影無し。要塞奪取はもう少しまってねw」
するとサラさんから、気になる通信が入った。
 サラ「おかしいわねぇ。今日子の姿がないわね。地球側にもいなかったし、どうしたのかしら?」
今日子って言うとアレだ。
うちの暗黒天国さんと同系の人型だけど、それよりも火力重視の、歩く核兵器とも言える人型乗りだ。
あの人がいたら、すぐにわかる。
飛び交うミサイルが一気に倍になるから。
そんな人が戦場にいない?
俺は、地球での戦いをふと思い出した。
あの、グリードさんがやられた拠点サハラ。
今は我が軍のアブサルートさんの人型、拠点の虎。
モニタを見た。
似ている。
あの拠点の内部構造に。
ゲームってのは、多くのデータを扱うので、結構色々なところで使い回しされる。
もし此処の拠点エリアと、地球のサハラの拠点エリアが同一のデータを使い回しているとすれば・・・
俺は咄嗟に進行をストップした。
すると横の通路から、大量のミサイルが壁に当たり、目の前で大きな爆発が起こった。
危機一髪だった。
やはりそういう事か。
司令室の直前で、今日子の人型トゥデイが待ち構えていた。

強敵トゥデイ

今日子の人型トゥデイとの戦闘は困難を極めた。
というか、敵人型を目視する事もできず、ただ足踏み状態を余儀なくされているだけとも言える。
今からチョビを呼ぶにしても時間がかかるし、アブサルートさんの拠点の虎よりも火力のあるトゥデイだ。
チョビの盾も何処まで通用するか。
ダイユウサク軍が、ドリームとカズミンだけでは無い事は理解していたが、正直今度ばかりは鬱陶しい。
強いのではなく、酷いって感じだからだ。
普通に戦って負けるなら納得できるが、こんなのには負けたくない。
俺は自分の人型の装備を確認した。
シールドフェンネルが2機と、フェンネルダガーが2機まだ残っている。
フェンネルも6機残っていた。
よし、一か八か、このフェンネルダガーにかけてみよう。
俺は早速、それぞれの設定の変更作業に入った。
フェンネルは、基本的に自らが操作する事は不可能だ。
だが、フェンネルダガーだけは、両腕の操作をフェンネルダガーに移す事で、操作する事ができる。
それでも、基本はやはりオートマティックなところが多い。
その自動で動く部分を、設定で色々決める事ができる。
今回の設定は、とにかく真っすぐ敵へ突き進むように、フェンネルはとにかくビームを撃ちまくるように、それぞれの座標も調整した。
さて、まずは敵を目視し、敵対象としてロックオンしなければならない。
それは、大量の攻撃が飛んでくる場所へ出るって事だ。
俺は意を決して、通路の真ん中へと飛び出した。
正面にトゥデイが見えた。
ロックオン、と同時に、敵が攻撃を放ってくる。
こちらも瞬時に、タイミングよくシールドフェンネル、フェンネルダガー、フェンネルと発射。
シールドフェンネルの後ろにフェンネルダガー、それを取り囲むようにフェンネルを並べ、フェンネルのビームは撃ち続ける。
そのまま直進だ。
その間俺は、敵の攻撃をかわし続ける。
シールで多少のビームを止め、フェンネルで多くのミサイルを撃ち落とし、此処まで飛んでくるのは約半数と言ったところ。
トゥデイは連続して攻撃してくる。
ギリギリまで腕のコントロールはこちらに残し、ミサイルは撃ち落とす。
なんとか行けそうだ。
そう思ったのもつかの間、思わぬ出来事が起こった。
 一生「処理オチかよ!」
あまりのミサイルやビームの多さに、コンピュータが処理しきれなくて、動きがスローになる。
しかし実際では、動かないのは画面だけで、命中処理などは行われいてる。
もちろん、コントローラーからの操作もだ。
俺は画面からのわずかな状況から、全ての動きを予想して、コントローラーを操作した。
俺のPCは、最新の高性能PCなのに、これで処理オチしているって事は、相手もおそらく処理オチしているはずだ。
この状況さえ凌げれば、勝てる。
俺はまた、無意識の領域へと入っていた。
フェンネルは次々と落とされ、シールドフェンネルも破壊された時、俺は腕のコントロールをフェンネルダガーに移す。
途端に両腕も破壊された。
肉を切らせて骨を断つ、というには、あまりにもダメージは大きかったが、フェンネルダガーはトゥデイへと届いていた。
後は何度も何度も斬りつけて、トゥデイを破壊した。
何とか、トゥデイを倒す事ができた。
が、移動要塞を手に入れる代償に、俺は此処からの戦闘に参加不可能なダメージをくらった。
まさか両腕を失う事になるとは。
よく考えたら、この先ダイユウサク軍を攻め続けて行けば、何処かでドリームが出てくるだろう。
俺がやられたら駄目じゃないか。
そう思ったが、全ては後の祭りだった。
この後、ダイユウサク軍はすぐに、撤退を開始した。

読者登録

秋華さんの更新情報・新作情報をメールで受取りますか?(読者登録について