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疾風のように

拠点エリアに入ると、敵が多数潜んでいた。
こんなところで戦闘すると、コロニーの生産性は落ちるし、防御力も大幅に下がる。
それでも大量の人型を潜ませていたって事は、それでも守らなければならない理由があるっていう事だ。
 今日子「拠点の中に敵多数!」
 アライヴ「これは資源ウハウハですよw」
 LOVEキラ「俺も行く!やられんなよ!」
俺と今日子さんだけで、多数を相手にする不利な状況だが、俺はワクワクしていた。
今日の俺は調子が良い。
負ける気なんて、微塵もおきなかった。
実際、俺達は二人で、敵の人型を打ち破って行った。
将官クラスの強い人も中にはいたようだが、夢さんやカズミンさんと比べれば、赤子も同然だ。
それにしても、将官クラスの人が身を挺してまで守ろうとするコロニー、ますます落とした時が楽しみだ。
と同時に疑問もわいてきた。
たとえば軍所持の資源の半分があるコロニーだったとして、俺はそこを命がけで守るだろうか?
いや、全ての資源を置いていたとしても、生産性があれば再戦にかけた方が賢い。
なら何故、あの美菜斗さんが、そんなコロニーを守らせているのか。
もしかしたらと思った時、視界の隅に、美菜斗さんの人型、マサムネをとらえた。
まさか、大将がこんなところにいたのか。
俺はフリーズしかけたが、すぐに通信を送った。
 アライヴ「美菜斗の人型、マサムネを発見!うはw」
 今日子「マジで!」
 サイファ「このチャンスは逃せない!全員突撃!!ww」
 LOVEキラ「うっひょー!!」
サイファ軍は、一気にテンションが上がり、祭りのようだった。
 キャンサー「じゃあ私は、戦闘不能の人型回収してるねw」
しゃこたんだけは冷静だった。

この直後、サイファ軍の人型が集まる前に、俺はあっさりと美菜斗さんを倒していた。
時計は、23時52分だった。
美菜斗さんは、後継ぎとして下杉影虎を選んでいた。
下杉影虎さんは美菜斗さんの腹心で、他のゲームでも共に戦っている有名人だ。
名前はこんなだけど、女性という話もある彼女もまた、楽しくゲームをする人気プレイヤで、多くの人から支持されている。
でも、やはり美菜斗さん程の求心力はなく、サイファさんからの話になるが、本日捕らえた捕虜たちの半数は、下杉影虎軍へと戻る事はなかった。
そして、捕虜から聞いた話によると、このコロニーでは、明日完成予定の新兵器が開発中で、それをもって、サイファ軍を攻める予定だったらしい。
その1日前にチャンスが訪れ、結果はこのとおりだ。
もし、ダイユウサク軍の地球降下作戦が、1日遅れていたら。
ジークがダイユウサク軍を攻めなければ。
俺が紫陽花さんに、おいてけぼりにされなければ。
しゃこたんが偶々ゲームに顔を出したのも、全てが良い方向に重なって、不敗だった美菜斗さんは敗れる事となった。
負ける時はこんなにもあっさりとしているものなのか。
それでも、1週間もすれば復活する事が可能だ。
俺達はこのチャンスをものにする為に、ジーク軍、サイファ軍、ダイユウサク軍と、阿吽の呼吸か、それぞれの意思と判断で、1週間の間に下杉影虎軍に大きなダメージを与えた。
それが原因か、それとも最初から戻る気は無かったのか、美菜斗さんは、ゲームの離脱を宣言した。
すると、攻めていた俺達以外の軍も、下杉影虎軍に攻撃を開始し、美菜斗さんの敗戦から約2週間で、最大勢力だった美菜斗軍は、完全に消滅した。
あっけなかった。
この時俺は少し、気が抜けてしまっていたかもしれない。
それでも、これでいよいよ、次はジークか、それとも夢さんのいるダイユウサク軍との対戦だと思うと、俺は再びエナジーが沸き立った。
どちらも強敵だ。
でもどちらが相手でも負けない。
そう意気込んだが、直接対決は、まだもう少し先の話。
まだまだ予期せぬ事が、俺達を待ちうけていた。

仕組まれた企画

サイファ軍のキャンサーが、女優でアイドルの中山西子である事は、ファンの間では周知の事実であった。
深夜の番組や雑誌では、時々とりあげられ、一般ユーザーでも知っている人は知っている。
これだけ人が集まっていて、隠し通せるものでもなし、本人も特に隠す気はない。
それでも今までは、騒ぎが起きる事は無かったし、知っていても他と変わらない対応をとる事が普通だった。
でも、そんな日々も、今日で終わるのかもしれない。

美菜斗さんを倒したあの日、倒したのは俺だったが、テレビではしゃこたんの活躍が取り上げられていた。
確かに、しゃこたんがいなければ、美菜斗さんがやられる事は絶対に無かっただろう。
だから認めてはいるが、少し悔しかった。
で、話しはそれだけでは終わらなかった。
下杉影虎軍が消滅した後、テレビのゲーム情報番組の企画として、銀河バリューネットも協力して、しゃこたんvs夢さんが実現していた。
放送は、土曜日の夜21時から22時まで。
その為、戦闘開始時間は22時からとされ、それまではサイファ軍vsダイユウサク軍のみに規制された。
お互いの大将にも許可を得て行われるこの戦争は、ガチンコ対決ではあるが、力の差を埋める為に、キャンサーには特殊な人型が与えられていた。
しゃこたんは、艦船での戦闘は強いが、人型での対戦は得意ではない。
かといって艦船で戦っても、地味すぎて一般の人は面白くもなんともないだろう。
そんなわけで、しゃこたんに強力な人型「しゃこ式」を与えて、夢さんと互角に戦えるようにし、対戦してもらおうってわけだ。
対決の場は、地球に近い只の要塞。
守るのはダイユウサク軍で、攻めるのがサイファ軍。
戦略上全く意味の無い戦いだけど、一般人が見てもそんな事はわからない。
そんな戦いが、もう間もなく開始されようとしていた。
 アライヴ「以上説明したとおりなのだが、何故俺がこの戦いに参加する事になってるんだ?」
 今日子「ん?誰に説明してるの?」
というわけなのだ。
そのサイファ軍vsダイユウサク軍に、何故か俺も参加する。
何故そうなったのか簡単に説明すると、美菜斗軍を倒した時に俺がいて、尚且つ倒したのが俺だった事。
そして戦力バランスを整える為に、助っ人を余儀なくされた。
単純な戦力では、サイファ軍の方が圧倒的に大きいわけだが、なんせあれだけのメンバーが集まったダイユウサク軍だ。
まともにぶつかったら完全に負けるだろう。
後はしゃこ式がどれくらい強いか、そこにかけるしかない。
でもテレビ局の人達は、サイファ軍の楽勝だと思っているみたいだ。
そうなる事を期待するよ。
 アライヴ「まっ、でもしゃこたんと一緒に戦えるんだから、楽しみましょうか!」
 サイファ「でもさ、ドリームとの一騎打ちには手出し無用って言われてるからね。結局俺達は何の為にいるんだろうか。」
 真でれら「テレビ局につれて行かれなかっただけマシだな。」
そうなのだ。
最初は、主力はみんなテレビ局でやってくれとか言われたもんな。
なんとか断って、テレビ局でやるのは、しゃこたんと夢さんだけになったけれど、ホント危なかったよ。
 アライヴ「でも、ゲームが注目されるのは嬉しいねw」
 真でれら「だな!」
 サイファ「そろそろ時間だ。通信も放送されるらしいから、下手な事言わないようにw」
下手な事を言わないようにと言われても、何が下手な事なのか。
とにかく、なるべく喋らないようにしよう。
そして間もなく21時なった。

サイファ軍vsダイユウサク軍の、茶番とも言える戦闘が始まった。
最初から楽しめるように、要塞のすぐそばからゲームはスタート。
索敵も作戦も何もない。
俺と今日子さんとLOVEキラさんは、すぐに出撃した。
グリードさんや薔薇の貴公子さんの姿も見える。
今日は全員集合のようだ。
ま、全員集合させないと、ダイユウサク軍には対抗できない。
かたやダイユウサク軍は、参加したい人だけが参加しているようだ。
ダイユウサクさんはもちろん、スターさんもビューティフルベルさんもいない。
 キャンサー「しゃこたん行きまーっす!(笑)」
テレビの視聴者サービスか、いつもは言わないような事を通信で言っていた。
しゃこたんも出撃し、向こうからはドリームとカズミンも近づいてくる。
いよいよ戦闘だ。
とは言っても、さりげなくしゃこ式vsドリームを演出しなければならない。
俺はなんとなくカズミンに攻撃する。
すると向こうもぎこちなく、俺に攻撃してきた。
お互い本気で戦ってはいけない気分なのだろう。
そんな中俺達は、ジワリジワリと、しゃこ式とドリームから離れた。
さて仕方なくそうなったとはいえ、俺はカズミンと1対1の状況になった。
こんな面白そうな状況はそうそうない。
俺は素直に、全力で戦いたくなってきた。
全力で戦っては駄目だなんて言われていない。
言われていないが、気合がはいらなかったのもまた事実。
それが今、絶好の舞台に、気分が高揚していた。
軍の通信は全てテレビで放送されているので、俺は個人通信でカズミンさんと話をした。
 アライヴ「本気でやりませんか?」
相手もノリきれていないのは明らかだったので、俺は真剣勝負を申し込んだ。
 カズミン「いいですねぇ!一度対戦してみたかったんです。」
カズミンさんもどうやら同じ気持ちだったようだ。
 アライヴ「では、本気で行きます!」
 カズミン「オッケー!」
こうして俺達は、しゃこ式とドリームの戦いが繰り広げられる隅で、本当の真剣勝負をする事になった。

頂点の戦い

テレビの放送とは関係の無いところで、俺とカズミンの戦いが始まった。
部屋にあるテレビでは、しゃこ式とドリームの戦いが放送されていたが、もうそちらを見る事はできない。
相手は夢さん以上とも言われる実力者、カズミンさんだ。
以前今日子さんが戦って、その強さは理解している。
ドリームの強さを一言でいえば、スピード。
かたやカズミンさんは、巧いと言われている。
こういう戦いで、ハッキリどちらが強いと判断するには、それなりの力の差が必要だ。
それは、相性ってものがあるから。
だからどちらが強いとか、そういう話は、戦ってみるまでわからない。
それも俺から見た強さって事になるわけだが。
まずは様子を見て、長距離から狙い撃ってみる。
普通にそれをかわして、普通に反撃してきた。
相手がドリームだったら、力を誇示する為にまっすぐ突っ込んでくるが、カズミンさんは突進してくる事はないようだ。
今のところ強さの欠片も感じない。
でも、強いと言われている人。
油断はできない。
今度は、最初にビーム砲でけん制してから、2発目のビーム砲を当てにいく作戦だ。
思ったとおり減速し、1発目のピーム砲をかわして来た。
俺は2発目を狙い撃つ。
とその時、こっちが2発目を撃つ前に、向こうから攻撃が飛んできた。
 一生「うお!」
ビーム砲をかわすタイミングで狙い撃ってきた?
なるほど巧い。
だが、カウンターなんてものは、戦いでは常套手段。
それくらいやる人は山ほどいる。
よし、今度はそのカウンターにカウンターを返してやる。
そう思ってビーム砲を発射しようと思ったら、今度はこちらが撃つタイミングで撃ってきた。
 一生「やべ!嫌な攻撃してくるな。」
それに正確だ。
並のプレイヤなら、コレでジエンドだったかもしれない。
出し惜しみしても仕方ない、俺はフェンネルを展開した。
これあっての俺なのだ。
フェンネルの攻撃と呼応して、俺は攻撃を強めた。
しかし直後、4機のフェンネルが一瞬にして墜とされていた。
動きに規則性があるとはいえ、小さなフェンネルを落とすのは、簡単ではない。
それでも時間をかければ墜とされる事もある。
でもこんなに早く、1発のミスもなく、完全にフェンネルを墜とすとは、なんだこの人は。
チョビのように高性能の盾を持っているわけでもないのに。
みんなが巧いと言うのが、本当の意味で理解できた。
それでも、巧いだけでは俺は倒せない。
夢さんには圧力を感じたが、この人からは圧力を感じない。
俺は今度は、カズミンへの接近を試みた。
と同時に、正面からビームが飛んでくる。
俺は左にかわそうとしたが、一瞬見えたカズミンの動きに、咄嗟に上へとかわしていた。
本来移動していたであろう場所を、ビーム砲が通り過ぎた。
なんだこの人、俺の動きが分かるのか?
確かに、ビームをかわす時には、左右どちらかにかわす事がセオリーだ。
何故なら、人型は縦に長く、上下だとそれだけ大きく移動しなければならないからだ。
だから左右どちらかだと山を張って攻撃する事はある。
でも、カズミンさんの攻撃には、何故かそうは思えない何かがある。
よし、もう一度。
俺は再び突進を試みる。
同じように正面からビームが飛んできた。
今度は最初から、上にかわそうとした。
するとやはりというか、上に攻撃が飛んでくる。
おそらく来るだろうと思っていたから、なんとかギリギリのところで当たらなかったが、これはやはり読まれている。
強い敵を前に、俺はテンションが上がってきた。
この人に勝つなんて、面白すぎる。
俺はどういうわけか、負ける気がしなかった。
次はシールドフェンネルを出した。
出したのは1枚だけ。
これなら撃ち落とされる心配はない。
なんせ盾だから。
もちろん、威力の強い攻撃や、何度も攻撃を受けていれば破壊されるが、見たところ、カズミンに強力な武器は見受けられない。
俺は再び突進を試みた。
正面にビームが飛んでくる。
俺は右にかわそうとする。
すぐに右側への攻撃をするカズミン。
しかしこれはフェイント、シールドフェンネルを盾に、俺は真っすぐ突っ込んだ。
今まで落ち着いた動きをしていたカズミンが、初めて大きく移動する。
ようやく人型の戦いが始まった感じだ。
俺は尚も追いすがる。
正確な攻撃は、最小限の回避とシールドフェンネルで凌ぐ。
もうすぐ近接戦闘に持ちこめる。
そう思った時、俺が武器をビームソードに変更する直前のタイミングで、カズミンが進行方向を急に変えてこちらに向かってきた。
絶妙なタイミングだ。
これだと、ビームソードに切り替えたとしても、一拍攻撃が遅れる。
だがこれは計算済み。
カズミンさんならこれくらいはしてくると予想していた。
おれはフェンネルダガーを出した。
数は2機。
実はフェンネルダガーは、2機までなら、自分で操作する事ができる。
その場合両手の操作機能を失うが、代わりに両手のようにフェンネルダガーを動かせるというわけだ。
手ほど自由には動かないが、どこまでも伸びる手を操るような感覚になる。
だか攻撃する刃の部分が短く、決して使える武器とは言えない。
それでも、意表を突く事はできたはずだ。
さあ、この攻撃をかわす事ができるのか?
と思った瞬間、フェンネルダガーは2機とも斬り落とされていた。
お互い爆発を避けるように後方へと下がった。
 カズミン「今のはなかなか危なかったよ。でも、そういった奇策は、うちのチサトさんが得意なんだよね。日頃から戦いなれているんだよ。」
 アライヴ「なるほど。真っ向勝負でしか、カズミンさんには通用しないのかなwではそうしようか。」
俺の通信は強がりだった。
 カズミン「そうだね。一通りアライヴさんの戦い方は見たし、もう僕は倒せないと思うけどね。」
 アライヴ「倒せるのは夢さんだけ?」
 カズミン「今なら8割は僕の勝利だよ。もう手の内が分かっているからね。それでも時々負けるのは、やはりあの人が強いからなんだけど。」
 アライヴ「では、俺なら五分の戦いができるな。」
強がりだったが、楽しくて負ける気がしなかった。
 カズミン「イイネ!では、楽しませてもらおうか。」
俺達は再び、戦闘を開始した。

運命の大金星

カズミンとの戦いは、俺の防戦一方になっていた。
とにかくこちらが嫌だと思うところに、正確に攻撃してくる。
このままでは、確かにカズミンさんの言ったとおり、俺に勝ち目なんてないだろう。
でも俺の気分は、強い敵を前に良い感じだ。
考えるな。
俺は頭は悪いが、今まで戦ってきた経験は、きっと体を動かしてくれる。
このゲームの戦場経験なら、俺は誰にも負けない。
普段、バトルグリードとか、他のゲームをしているような人には絶対負けるはずが無い。
俺は無意識に反撃に出ていた。
画面の隅には、しゃこ式とドリームの戦いが見えた。
ドリームの一方的な勝負だが、しゃこ式が墜ちる様子はない。
どれだけ強い人型なんだ。
あんな戦いを見せられて、テレビの向こうの人は楽しめているのだろうか。
本当に茶番だ。
片腹痛い。
すぐそばで、このゲームでの最高レベルの戦いが繰り広げられているのに。
しゃこたんも可哀相だなぁ。
芸能人ってのはこんなものなのかな。
本人は絶対に、これがバカバカしい勝負だと思っているはずだ。
それでもテレビに映るしゃこたんは、笑顔で楽しそうにゲームしている。
プロだなと思った。
戦いは、互角以上の戦いができていると思う。
体は勝手に動き、カズミンを追い詰める。
カズミンの驚いた顔が目に浮かぶ。
と言っても、あった事も無いし、どんな人なのかも知らない。
ただ、二次元変換された、想像上のカズミンが、驚いている顔を想像した。
笑みがこぼれた。
行ける!もう少しだ。
だがここまできて、俺は少し色気を出してしまった。
最後は敵背後に回り込み、ビームソードで斬りつけて勝ちたいと。
いや、そうすれば勝てると、頭で考えてしまった。
待ってましたと言わんばかりに、背後へ回ろうとするテンダネスの後ろに、カズミンが回り込んだ。
 一生「しまった!」
部屋で声をあげてしまったがもう遅い。
此処まで追いつめておきながら、俺は負けるのか。
でも此処までやれたのだから、満足するべきか。
俺は再び無意識の領域に、無意識に入っていた。
テンダネスを素早く裏に切り替えていた。
最近あまり使っていなかった、裏テンダネス。
人型戦で強い敵と戦っていなかったから。
そして今日の戦いでも此処まで使う事はなかった。
流石に意表をつかれたか、カズミンの動きが止まっているように見えた。
俺は正面から、カズミンを斬り裂いていた。
その後も、カズミンを何度か斬りつけ、とうとう戦闘不能状態にしていた。
勝った。
カズミンに勝った。
 一生「よっしゃー!!」
俺は部屋で一人吠えていた。
その後、チサトさんやダイスケさんがやってきて、戦闘不能となったカズミンを回収していった。
こちらが回収して、人型の性能を調べたかったが、戦況はどうやらサイファ軍に不利なようだった。
俺達の戦いに誰も入ってこなかったのは、タイマンの邪魔をしてはいけないっていう、両軍メンバーの配慮だろう。
ここからはまた、通常の戦いに戻るのだなと思ったが、既に時間は22時になろうとしていた。
結局、しゃこ式vsドリームは、引き分けで終わりそうだ。
テレビでは、司会の人が必死に状況をまとめていた。
サイファ軍が勝つと聞かされていたようで、ドリームを褒めるコメントばかりだった。
しゃこたん可哀相に。
そんな事を思いながら、俺はサイファさんの補給できないじゃまいか!に帰還した。

この戦いの直後、ジーク軍がサイファ軍へ大攻勢をかけようとしている事は、この時だれも思いもしなかった。

それぞれの戦い

テレビ放送が終わった後、俺は紫苑さんの支持で、少し紫苑軍領域方向に戻ったところで、宇宙の真ん中で紫陽花さんの迎えを待っていた。
俺がカズミンに勝った事を知り、ダイユウサク軍に勝負を挑むのは、今しかないって事だった。
戦力も、サイファ軍との戦いでかなり削られている。
まさかジークよりも先に、ダイユウサク軍と戦う事になるとは。
あんな茶番の後に攻めるのもなんだか罪悪感があったが、皆納得して受けた話しだ。
多くの査定ポイントも貰ったのだから、文句を言えるものでもない。
誤算は、俺がカズミンを倒した事であり、ドリームがずっと、しゃこ式と戦わざるを得なかった事。
しゃこ式は結局、何度攻撃をくらっても墜ちなかった。
要するに、大人の事情で無敵化されていたわけだ。
同情もするが、紫苑さんが攻めるというのだから、俺は喜んで従う。
後にジークに聞いた話だが、実はこのしゃこたんのテレビの企画は、ジークが持ち込んだ話で、この戦いの後、サイファ軍を攻める為の戦略だったらしい。
やはりジークの戦略は、常軌を逸していると思ったわけだが、この時はまだ、そんな事を知る由も無かった。

紫陽花さんのパープルフラワーに回収され、紫苑さんのパープルアイズ、スピードスター、他多くの艦船と共に、俺達はダイユウサク領域へと入っていった。
ダイユウサク軍はどうやら、最前線の移動要塞ぽてちで、迎え撃ってくるようだ。
移動要塞は、マップ内を自由に移動できる要塞で、宇宙全体でもそれほど数は多くない。
だから今までそれほど多く相手にしたわけではないが、正直厄介な要塞だ。
逃げ回る事もできれば、追いかける事もできる。
数値を見た限りでは、要塞戦艦ほど強くはないが、守りは要塞戦艦よりも堅い。
移動要塞のあるマップでは、撤退するにも一苦労で、紫苑さんが勝負をかけている事がわかる。
まもなく土曜日が終わる時間で、これから24時間の戦いだ。
以前、美菜斗軍との戦いで学習した俺は、土曜日は昼寝が日課になっていた。
だから今日は大丈夫。
相手は手負いのダイユウサク軍ではあるが、これでようやく互角の勝負ができるくらいだ。
遠慮はいらない。
全力で戦う。
 アライヴ「では行くよw」
 紫陽花「よろしくね!」
 チョビ「ママが200万円ってうるさいw」
 ハルヒ「とにかくドリームを落とすまでは、頑張って堪えますので、早く倒してくださいね。」
俺達の作戦は単純だ。
俺がドリームを倒す。
その間、他はとにかく堪える。
カズミンはすぐには出てこられないだろう。
愛機の修理は今日中には終わらないだろうし、スペア機も、こんな前線においてあるとは思えない。
ドリームさえ倒せば、後は俺が順に落として行くだけだ。
そして今、俺は発進した。
時計は丁度0時を指していた。

戦闘が開始されて間もなく、サイファ軍から通信が入った。
ジーク軍が要塞戦艦を率いて、サイファ軍領域に入ってきているとの事だった。
要塞戦艦は現在、ジーク軍が2隻、後の1隻を所持しているのが、ランキングが10位前後のまさくん軍だ。
どうやらそのうち1隻を、今回の戦いに投入してきたらしい。
かなり本気なのが分かる。
本来なら同盟関係にある我が軍は、助けに行くのが当然かもしれないが、つい今しがた、こちらも戦闘状態に入ったばかりだ。
お互い、健闘を誓いあって、通信を切った。
ダイユウサク軍の戦いは、かなり有利に運んでいた。
ドリームが出てこなかったからだ。
考えれば分かる事だが、22時までテレビに出て戦っていたのだ。
すぐに出てこれるわけがない。
今、ダイユウサク軍は、エース二人を欠いた状態で戦っていた。
それでも俺は手を抜くことはしない。
ダイユウサク軍が、二人いないだけで、弱い軍になるわけではないのだから。
俺の思ったとおり、程なくしてダイユウサク軍の逆襲が始まった。

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