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しゃこたん追撃

紫苑さんからの通信によると、紫苑軍領域に入っていた美菜斗軍も、撤退を開始したようだ。
こちらが追撃をかけている事を伝えると、紫苑さん達も追撃するとの事。
図らずも再び、絆連合が結成されたと言う事か。
と言っても、同盟関係はサイファ軍だけだし、ジーク軍とダイユウサク軍は、最大の敵であるわけだが。
さて、現在敵を追撃中のキャンサーだが、俺はこの人の事を正しく評価せず、まだまだ軽んじていたようだ。
いや、素晴らしいプレイヤなのは先ほども言ったとおりだが、そんなに簡単に言い表せるような素晴らしさではない。
この追撃戦の中で、既に敵艦船を4隻も落としていた。
しゃこたんの実力は、紫苑さんや紫陽花さん以上かもしれない。
小麗さんと戦っても良い勝負をしそうだ。
艦船同士で戦って、どんな勝負になるのかわからないが、そんな事を思った。

いくらか時間が流れた。
俺は既に飽きていた。
逃げる敵を追撃しているわけで、俺は戦況を見ているだけ。
特にチャットで世間話をする事もないし・・・
いや、言いなおそう。
特にしゃこたんとチャットできるわけでもないし、なんてもったいない時間を過ごしているのだろうか。
まあ、前のグリード軍の方々のように騒ぐのもどうかと思うけれど、ちょっとくらいはねぇ。
そんな事を考えていたら、俺はふと思った。
俺って何気に、女の子に囲まれてゲームしてないか?
パープルフラワーには、紫陽花さん(人妻)チョビ(女子中学生)みゆきちゃん(女子大生?)と、主力は全て女性。
その前はじぇにぃ(女子中学生)とコンビを組んでいたし、サイファ軍と一緒に戦う時は、いつも今日子さん(女子大生)と一緒だ。
ダイユウサク軍と関わる時は、いつも夢さん(若奥さん)だし、意外と良い環境なのではないだろうか。
前作では、群青さんの元、むさくるしい男どもの中で戦っていたけれど、運が向いてきたのかな。
でもよく感がたら、こんなゲームに熱中できる時間があるのは、女性の方が多いかもしれない。
大人の男性って、なかなかディープに参加するのは辛いだろう。
紫苑さんがどんな仕事をしているのかは知らないが、定時に帰ってこれるから、これだけ参加できるのだし。
俺もそうだが、サイファ軍の主力はみんなニートだし。
ま、そのおかげで、20億円争奪戦ができているわけだから、ニートから賞金稼ぎにジョブチェンジできるかも。
「ニートはネットゲームで賞金稼ぎしなさい!」なんて親に怒られる時代がきたりして。
でも、人に凄いと思わせうる事は、必ず金になるはずだ。
歴史がそれを証明している。
将棋や囲碁は、もともと単なる遊びだったはずだ。
その遊びで強い人が現れて、みんなから尊敬されるようになる。
そこでその戦いを見たい人が増えてきて、収拾がつかなくなってきて、見たい人から金を取って調整しているうちに、プロというものができたに違いない。
スポーツ選手もそうだ。
人を引き付ける魅力以外に生産性は何もないが、その人を引き付ける魅力が、プロスポーツ選手という職業になり得る。
広告塔だ。
そう考えるなら、近い将来、ゲームで強い人が人々の尊敬を集め、その戦いを見たい人が増えれば、プロゲーマーもきっと認められるのだろう。
既に、ドリームダストはそれだけでも生きていけると言われているし、ゴッドブレスの人達は、賞金で生活していると言っていた。
もしプロができたら、俺はプロゲーマーになりたいのだろうか。
そしてなれるだろうか。
きっとなれる。
なんせ、ドリームダストや、ゴッドブレスと、同じステージで戦っているのだから。
長きにわたり、頭の中で色々と考察をめぐらせていたら、いつの間にか、決戦の地へと到達していた。
此処まで俺の出番が無かったって事は、いくつかの要塞はスルーしてきたのだろう。
今更ただの要塞を攻略したところで、戦略的意味は少なくなっている。
基本的に、必要なのは生産性のある場所だけだ。
ただの要塞は、艦船の駐留場所として後方に必要なだけあれば良い。
このゲームは既に、成熟期に入っているのだ。
さて戦場は、おそらくは敵の最前線基地、コロニーふにょにょにょだ。
コロニーふにょにょにょと聞いて、全く誰がこんな名前をつけるのだろうかと思うが、ネット上では色々な人が集まってきてるので、この程度ならまだまだマシな方。
それよりも今回の戦いでは、コロニーってところがポイントだろう。
前線基地は、できれば有人要塞が最善だ。
でもこの辺りは意外と小さな軍が多い空域で、有人要塞を手に入れる事が出来なかったとみえる。
美菜斗さんは、カリスマであるが故に、小さな軍をむやみに攻めたりはしない。
誰が見ても明らかに、戦略上必要な場合は攻めるが、基本は話し合い重視だ。
だから今美菜斗軍が攻める可能性のあるのは、優勝争いに残っている、今戦っている軍だけだけと言える。
カリスマは維持するに値するスキルではあるが、それが今回あだとなるかもしれない。
コロニーの守りは、要塞のように防衛システムがほとんど無いし、地の利も全く無い。
同じ戦力なら、通常は守りの方が有利ではあるが、コロニーだけはそのイニシアチブはほぼゼロに等しかった。
長々と話したが、要するに俺達に有利な戦場って事だ。
 今日子「やるよ!みんな出撃!」
 アライヴ「了解~」
 キャンサー「頑張れよ!w」
しゃこたんに頑張れよと言われたら、頑張るしかあるまい。
なんでもないただのコロニー戦だけど、俺にとっては少し気分が盛り上がる戦いとなった。
そんなコロニー戦が、この宇宙の絆Ⅱの戦いを大きく動かす事になろうとは、この時はまだ、知る由も無かった。

謎のコロニー

なんでもないコロニー戦を開始してから間もなく、紫苑さんから通信が入った。
どうやらジーク軍とダイユウサク軍は、快進撃を続けているようだ。
そして紫苑軍も、もう間もなく美菜斗軍領域へ入るとの事。
紫苑軍が作戦行動中に、別の軍で助っ人をしているのは、なんだか変な感じだが、今日だけはそれも良いだろう。
なんせアイドルと一緒なのだから。
俺は注意力が散漫としていたが、戦闘の調子は良い。
俺って、考えて戦わない方が良いかもしれないなんて思った。
それにしても、さっきからなんだかおかしい。
倒しても倒しても、一向に敵が減らない気がする。
援軍でもきているのだろうか。
この程度のコロニー、最悪捨てても、美菜斗軍にはなんの問題も無いように思う。
だから援軍なぞあり得ない気もするが、まあ良い。
それだけしゃこたんと一緒に戦っていられるわけだから。
直後、サイファさんと真でれらさんも、コロニーふにょにょにょにやってきた。
 アライヴ「サイファさん、この程度の戦い、任せてくれても良かったのにw」
俺はしゃこたんを独り占めしたかったのか、自分でも理解できないくらい調子にのっていた。
 サイファ「俺も久しぶりに、カニさんと一緒にやりたかったんだよ。」
 真でれら「俺もいれてくれよw前作では俺とカニさん二人で、サイファ軍の双璧と言われてたんだからなw」
二人とも、ゲームの戦略としてではなく、個人的欲求を満たす為にやってきたようだ。
聞き流すところだったが、真でれらさんと双璧って事は、しゃこたんって、守りの方が得意なのかな?
さっきの戦いを見ていれば、完全に攻撃タイプだと思っていたけれど、もし守りの方が得意だというなら、恐ろしい人だな。
そんな事を考えている時、俺は我に返った。
あれ?俺、戦いながらでもチャットしている。
俺は二人に返事を返そうと思ったが、タイピングする隙が見つからない。
もしかして、コレが無意識の領域だろうか。
手元を考えずにやってるとできるのに、いざ考えるとできない。
そう言えば、以前友達と話した事がある。
ブラインドタッチは、無意識ならできるが、考えて打とうとすると遅くなると。
タイピングゲームなんかすると、日本語だと早く打てるが、アルファベット一文字だと、意外に打てなかったりする。
結局、体が覚えているんだよって事で結論付けたが、あながち間違いでもないと思った。
サイファさんと真でれらさんが駆け付け、すぐに決着がつくだろうと思っていたが、意外に手こずっていた。
どうも、倒しても倒しても、敵が減らない気がするのは、気のせいではないらしい。
俺は無意識に通信していた。
 アライヴ「敵が全然減らない気がする。」
するとサイファさんが、何をいまさらって感じで返事を返してきた。
 サイファ「援軍がドンドン集まってきてるじゃん?あれ?気がついてなかった?」
 アライヴ「ええ。戦闘に集中していたみたいです。」
戦闘に集中ってよりは、なんだか楽しい気分を味わって戦っていただけなんだけれどね。
 サイファ「ごめんごめん。どういうわけか、敵の援軍がドンドン来てるんだよ。きっとこのコロニー落とされるとかなりまずいんじゃないかな?」
言われて理解した。
今更美菜斗軍にとって、1つのコロニーなんて、被害を出してまで守るものでもない。
そこを防衛してきた事で、此処が重要である事がわかるじゃないか。
普通に考えると、サイファ軍を攻める最前線基地である事から、資源が多く置いてある事が考えられる。
今回の美菜斗軍の動きをみれば、次のターゲットはサイファ軍であったと予想できるからだ。
ジーク軍とダイユウサク軍の争いを見て、紫苑軍にけん制攻撃を入れて、サイファ軍に攻めていったのが何よりの証拠。
 アライヴ「資源が美味そうですねw」
 サイファ「落としてくれるか?w」
 アライヴ「任せてください!」
 今日子「頼もしいねwでも落とすのは私よ!」
実際は、ドンドン敵が増える中、勝てる可能性は徐々に減っているはずだった。
でも、何故か今の俺達に、勝てないなんて考えは、頭の中に無かった。
それもこれも、アイドルの「頑張ってね!」の一言が力となっている事は、疑いようがない。
アイドルって恐ろしいと思った。
その恐ろしいパワーに引っ張られ、徐々に形勢を逆転していた。
援軍が大量にやってきた事で、明らかに戦況は不利だったのに。
「頑張ってね!」パワーは凄いな。
そしてそれだけではない。
しゃこたん自身の快進撃も、俺達を勢いづけた。
 アライヴ「カニさん凄いねw実は攻撃の方が得意だった?」
 キャンサー「前の時は、守り重視でやってたもんねw」
 真でれら「なるほど。艦船のチューニング次第で、どちらも強かったのねw凄すぎるw」
「しゃこんたん、末恐ろしい子」なんて言うと意味が違うが、感覚としてはそう言いたい気分だった。
23時を回った頃、この領域の空域は、全て支配していた。
宇宙空間に、これだけの人型が戦闘不能で漂っているのも初めてみる。
後1時間しかないが、コロニーなら軽く落とせるだろう。
 アライヴ「では、コロニー攻略行きますねwあ、最後はもちろん任せます!」
普段なら「今日子さん後は任せました!」なんて言うところだ。
サイファ軍の突撃隊長LOVEキラさんもいるから援護も必要無いし、俺がコロニーを落としてしまうと、紫苑軍の所有コロニーになってしまうから。
でも今日は、なんだかまだまだゲームをしたい気分だし、もしかしたら、拠点エリアにも敵がいるかもしれない。
そしたらまだ戦える。
 サイファ「じゃあよろしく!」
 キャンサー「頑張れよ、おいw」
 今日子「一人でも大丈夫なのにw」
 LOVEキラ「じゃあ俺は此処でカニさんとチャットしてようw」
 真でれら「w」
 アライヴ「ガーン!w」
こうして俺と今日子さんは、コロニーの拠点エリアへと入って行った。

疾風のように

拠点エリアに入ると、敵が多数潜んでいた。
こんなところで戦闘すると、コロニーの生産性は落ちるし、防御力も大幅に下がる。
それでも大量の人型を潜ませていたって事は、それでも守らなければならない理由があるっていう事だ。
 今日子「拠点の中に敵多数!」
 アライヴ「これは資源ウハウハですよw」
 LOVEキラ「俺も行く!やられんなよ!」
俺と今日子さんだけで、多数を相手にする不利な状況だが、俺はワクワクしていた。
今日の俺は調子が良い。
負ける気なんて、微塵もおきなかった。
実際、俺達は二人で、敵の人型を打ち破って行った。
将官クラスの強い人も中にはいたようだが、夢さんやカズミンさんと比べれば、赤子も同然だ。
それにしても、将官クラスの人が身を挺してまで守ろうとするコロニー、ますます落とした時が楽しみだ。
と同時に疑問もわいてきた。
たとえば軍所持の資源の半分があるコロニーだったとして、俺はそこを命がけで守るだろうか?
いや、全ての資源を置いていたとしても、生産性があれば再戦にかけた方が賢い。
なら何故、あの美菜斗さんが、そんなコロニーを守らせているのか。
もしかしたらと思った時、視界の隅に、美菜斗さんの人型、マサムネをとらえた。
まさか、大将がこんなところにいたのか。
俺はフリーズしかけたが、すぐに通信を送った。
 アライヴ「美菜斗の人型、マサムネを発見!うはw」
 今日子「マジで!」
 サイファ「このチャンスは逃せない!全員突撃!!ww」
 LOVEキラ「うっひょー!!」
サイファ軍は、一気にテンションが上がり、祭りのようだった。
 キャンサー「じゃあ私は、戦闘不能の人型回収してるねw」
しゃこたんだけは冷静だった。

この直後、サイファ軍の人型が集まる前に、俺はあっさりと美菜斗さんを倒していた。
時計は、23時52分だった。
美菜斗さんは、後継ぎとして下杉影虎を選んでいた。
下杉影虎さんは美菜斗さんの腹心で、他のゲームでも共に戦っている有名人だ。
名前はこんなだけど、女性という話もある彼女もまた、楽しくゲームをする人気プレイヤで、多くの人から支持されている。
でも、やはり美菜斗さん程の求心力はなく、サイファさんからの話になるが、本日捕らえた捕虜たちの半数は、下杉影虎軍へと戻る事はなかった。
そして、捕虜から聞いた話によると、このコロニーでは、明日完成予定の新兵器が開発中で、それをもって、サイファ軍を攻める予定だったらしい。
その1日前にチャンスが訪れ、結果はこのとおりだ。
もし、ダイユウサク軍の地球降下作戦が、1日遅れていたら。
ジークがダイユウサク軍を攻めなければ。
俺が紫陽花さんに、おいてけぼりにされなければ。
しゃこたんが偶々ゲームに顔を出したのも、全てが良い方向に重なって、不敗だった美菜斗さんは敗れる事となった。
負ける時はこんなにもあっさりとしているものなのか。
それでも、1週間もすれば復活する事が可能だ。
俺達はこのチャンスをものにする為に、ジーク軍、サイファ軍、ダイユウサク軍と、阿吽の呼吸か、それぞれの意思と判断で、1週間の間に下杉影虎軍に大きなダメージを与えた。
それが原因か、それとも最初から戻る気は無かったのか、美菜斗さんは、ゲームの離脱を宣言した。
すると、攻めていた俺達以外の軍も、下杉影虎軍に攻撃を開始し、美菜斗さんの敗戦から約2週間で、最大勢力だった美菜斗軍は、完全に消滅した。
あっけなかった。
この時俺は少し、気が抜けてしまっていたかもしれない。
それでも、これでいよいよ、次はジークか、それとも夢さんのいるダイユウサク軍との対戦だと思うと、俺は再びエナジーが沸き立った。
どちらも強敵だ。
でもどちらが相手でも負けない。
そう意気込んだが、直接対決は、まだもう少し先の話。
まだまだ予期せぬ事が、俺達を待ちうけていた。

仕組まれた企画

サイファ軍のキャンサーが、女優でアイドルの中山西子である事は、ファンの間では周知の事実であった。
深夜の番組や雑誌では、時々とりあげられ、一般ユーザーでも知っている人は知っている。
これだけ人が集まっていて、隠し通せるものでもなし、本人も特に隠す気はない。
それでも今までは、騒ぎが起きる事は無かったし、知っていても他と変わらない対応をとる事が普通だった。
でも、そんな日々も、今日で終わるのかもしれない。

美菜斗さんを倒したあの日、倒したのは俺だったが、テレビではしゃこたんの活躍が取り上げられていた。
確かに、しゃこたんがいなければ、美菜斗さんがやられる事は絶対に無かっただろう。
だから認めてはいるが、少し悔しかった。
で、話しはそれだけでは終わらなかった。
下杉影虎軍が消滅した後、テレビのゲーム情報番組の企画として、銀河バリューネットも協力して、しゃこたんvs夢さんが実現していた。
放送は、土曜日の夜21時から22時まで。
その為、戦闘開始時間は22時からとされ、それまではサイファ軍vsダイユウサク軍のみに規制された。
お互いの大将にも許可を得て行われるこの戦争は、ガチンコ対決ではあるが、力の差を埋める為に、キャンサーには特殊な人型が与えられていた。
しゃこたんは、艦船での戦闘は強いが、人型での対戦は得意ではない。
かといって艦船で戦っても、地味すぎて一般の人は面白くもなんともないだろう。
そんなわけで、しゃこたんに強力な人型「しゃこ式」を与えて、夢さんと互角に戦えるようにし、対戦してもらおうってわけだ。
対決の場は、地球に近い只の要塞。
守るのはダイユウサク軍で、攻めるのがサイファ軍。
戦略上全く意味の無い戦いだけど、一般人が見てもそんな事はわからない。
そんな戦いが、もう間もなく開始されようとしていた。
 アライヴ「以上説明したとおりなのだが、何故俺がこの戦いに参加する事になってるんだ?」
 今日子「ん?誰に説明してるの?」
というわけなのだ。
そのサイファ軍vsダイユウサク軍に、何故か俺も参加する。
何故そうなったのか簡単に説明すると、美菜斗軍を倒した時に俺がいて、尚且つ倒したのが俺だった事。
そして戦力バランスを整える為に、助っ人を余儀なくされた。
単純な戦力では、サイファ軍の方が圧倒的に大きいわけだが、なんせあれだけのメンバーが集まったダイユウサク軍だ。
まともにぶつかったら完全に負けるだろう。
後はしゃこ式がどれくらい強いか、そこにかけるしかない。
でもテレビ局の人達は、サイファ軍の楽勝だと思っているみたいだ。
そうなる事を期待するよ。
 アライヴ「まっ、でもしゃこたんと一緒に戦えるんだから、楽しみましょうか!」
 サイファ「でもさ、ドリームとの一騎打ちには手出し無用って言われてるからね。結局俺達は何の為にいるんだろうか。」
 真でれら「テレビ局につれて行かれなかっただけマシだな。」
そうなのだ。
最初は、主力はみんなテレビ局でやってくれとか言われたもんな。
なんとか断って、テレビ局でやるのは、しゃこたんと夢さんだけになったけれど、ホント危なかったよ。
 アライヴ「でも、ゲームが注目されるのは嬉しいねw」
 真でれら「だな!」
 サイファ「そろそろ時間だ。通信も放送されるらしいから、下手な事言わないようにw」
下手な事を言わないようにと言われても、何が下手な事なのか。
とにかく、なるべく喋らないようにしよう。
そして間もなく21時なった。

サイファ軍vsダイユウサク軍の、茶番とも言える戦闘が始まった。
最初から楽しめるように、要塞のすぐそばからゲームはスタート。
索敵も作戦も何もない。
俺と今日子さんとLOVEキラさんは、すぐに出撃した。
グリードさんや薔薇の貴公子さんの姿も見える。
今日は全員集合のようだ。
ま、全員集合させないと、ダイユウサク軍には対抗できない。
かたやダイユウサク軍は、参加したい人だけが参加しているようだ。
ダイユウサクさんはもちろん、スターさんもビューティフルベルさんもいない。
 キャンサー「しゃこたん行きまーっす!(笑)」
テレビの視聴者サービスか、いつもは言わないような事を通信で言っていた。
しゃこたんも出撃し、向こうからはドリームとカズミンも近づいてくる。
いよいよ戦闘だ。
とは言っても、さりげなくしゃこ式vsドリームを演出しなければならない。
俺はなんとなくカズミンに攻撃する。
すると向こうもぎこちなく、俺に攻撃してきた。
お互い本気で戦ってはいけない気分なのだろう。
そんな中俺達は、ジワリジワリと、しゃこ式とドリームから離れた。
さて仕方なくそうなったとはいえ、俺はカズミンと1対1の状況になった。
こんな面白そうな状況はそうそうない。
俺は素直に、全力で戦いたくなってきた。
全力で戦っては駄目だなんて言われていない。
言われていないが、気合がはいらなかったのもまた事実。
それが今、絶好の舞台に、気分が高揚していた。
軍の通信は全てテレビで放送されているので、俺は個人通信でカズミンさんと話をした。
 アライヴ「本気でやりませんか?」
相手もノリきれていないのは明らかだったので、俺は真剣勝負を申し込んだ。
 カズミン「いいですねぇ!一度対戦してみたかったんです。」
カズミンさんもどうやら同じ気持ちだったようだ。
 アライヴ「では、本気で行きます!」
 カズミン「オッケー!」
こうして俺達は、しゃこ式とドリームの戦いが繰り広げられる隅で、本当の真剣勝負をする事になった。

頂点の戦い

テレビの放送とは関係の無いところで、俺とカズミンの戦いが始まった。
部屋にあるテレビでは、しゃこ式とドリームの戦いが放送されていたが、もうそちらを見る事はできない。
相手は夢さん以上とも言われる実力者、カズミンさんだ。
以前今日子さんが戦って、その強さは理解している。
ドリームの強さを一言でいえば、スピード。
かたやカズミンさんは、巧いと言われている。
こういう戦いで、ハッキリどちらが強いと判断するには、それなりの力の差が必要だ。
それは、相性ってものがあるから。
だからどちらが強いとか、そういう話は、戦ってみるまでわからない。
それも俺から見た強さって事になるわけだが。
まずは様子を見て、長距離から狙い撃ってみる。
普通にそれをかわして、普通に反撃してきた。
相手がドリームだったら、力を誇示する為にまっすぐ突っ込んでくるが、カズミンさんは突進してくる事はないようだ。
今のところ強さの欠片も感じない。
でも、強いと言われている人。
油断はできない。
今度は、最初にビーム砲でけん制してから、2発目のビーム砲を当てにいく作戦だ。
思ったとおり減速し、1発目のピーム砲をかわして来た。
俺は2発目を狙い撃つ。
とその時、こっちが2発目を撃つ前に、向こうから攻撃が飛んできた。
 一生「うお!」
ビーム砲をかわすタイミングで狙い撃ってきた?
なるほど巧い。
だが、カウンターなんてものは、戦いでは常套手段。
それくらいやる人は山ほどいる。
よし、今度はそのカウンターにカウンターを返してやる。
そう思ってビーム砲を発射しようと思ったら、今度はこちらが撃つタイミングで撃ってきた。
 一生「やべ!嫌な攻撃してくるな。」
それに正確だ。
並のプレイヤなら、コレでジエンドだったかもしれない。
出し惜しみしても仕方ない、俺はフェンネルを展開した。
これあっての俺なのだ。
フェンネルの攻撃と呼応して、俺は攻撃を強めた。
しかし直後、4機のフェンネルが一瞬にして墜とされていた。
動きに規則性があるとはいえ、小さなフェンネルを落とすのは、簡単ではない。
それでも時間をかければ墜とされる事もある。
でもこんなに早く、1発のミスもなく、完全にフェンネルを墜とすとは、なんだこの人は。
チョビのように高性能の盾を持っているわけでもないのに。
みんなが巧いと言うのが、本当の意味で理解できた。
それでも、巧いだけでは俺は倒せない。
夢さんには圧力を感じたが、この人からは圧力を感じない。
俺は今度は、カズミンへの接近を試みた。
と同時に、正面からビームが飛んでくる。
俺は左にかわそうとしたが、一瞬見えたカズミンの動きに、咄嗟に上へとかわしていた。
本来移動していたであろう場所を、ビーム砲が通り過ぎた。
なんだこの人、俺の動きが分かるのか?
確かに、ビームをかわす時には、左右どちらかにかわす事がセオリーだ。
何故なら、人型は縦に長く、上下だとそれだけ大きく移動しなければならないからだ。
だから左右どちらかだと山を張って攻撃する事はある。
でも、カズミンさんの攻撃には、何故かそうは思えない何かがある。
よし、もう一度。
俺は再び突進を試みる。
同じように正面からビームが飛んできた。
今度は最初から、上にかわそうとした。
するとやはりというか、上に攻撃が飛んでくる。
おそらく来るだろうと思っていたから、なんとかギリギリのところで当たらなかったが、これはやはり読まれている。
強い敵を前に、俺はテンションが上がってきた。
この人に勝つなんて、面白すぎる。
俺はどういうわけか、負ける気がしなかった。
次はシールドフェンネルを出した。
出したのは1枚だけ。
これなら撃ち落とされる心配はない。
なんせ盾だから。
もちろん、威力の強い攻撃や、何度も攻撃を受けていれば破壊されるが、見たところ、カズミンに強力な武器は見受けられない。
俺は再び突進を試みた。
正面にビームが飛んでくる。
俺は右にかわそうとする。
すぐに右側への攻撃をするカズミン。
しかしこれはフェイント、シールドフェンネルを盾に、俺は真っすぐ突っ込んだ。
今まで落ち着いた動きをしていたカズミンが、初めて大きく移動する。
ようやく人型の戦いが始まった感じだ。
俺は尚も追いすがる。
正確な攻撃は、最小限の回避とシールドフェンネルで凌ぐ。
もうすぐ近接戦闘に持ちこめる。
そう思った時、俺が武器をビームソードに変更する直前のタイミングで、カズミンが進行方向を急に変えてこちらに向かってきた。
絶妙なタイミングだ。
これだと、ビームソードに切り替えたとしても、一拍攻撃が遅れる。
だがこれは計算済み。
カズミンさんならこれくらいはしてくると予想していた。
おれはフェンネルダガーを出した。
数は2機。
実はフェンネルダガーは、2機までなら、自分で操作する事ができる。
その場合両手の操作機能を失うが、代わりに両手のようにフェンネルダガーを動かせるというわけだ。
手ほど自由には動かないが、どこまでも伸びる手を操るような感覚になる。
だか攻撃する刃の部分が短く、決して使える武器とは言えない。
それでも、意表を突く事はできたはずだ。
さあ、この攻撃をかわす事ができるのか?
と思った瞬間、フェンネルダガーは2機とも斬り落とされていた。
お互い爆発を避けるように後方へと下がった。
 カズミン「今のはなかなか危なかったよ。でも、そういった奇策は、うちのチサトさんが得意なんだよね。日頃から戦いなれているんだよ。」
 アライヴ「なるほど。真っ向勝負でしか、カズミンさんには通用しないのかなwではそうしようか。」
俺の通信は強がりだった。
 カズミン「そうだね。一通りアライヴさんの戦い方は見たし、もう僕は倒せないと思うけどね。」
 アライヴ「倒せるのは夢さんだけ?」
 カズミン「今なら8割は僕の勝利だよ。もう手の内が分かっているからね。それでも時々負けるのは、やはりあの人が強いからなんだけど。」
 アライヴ「では、俺なら五分の戦いができるな。」
強がりだったが、楽しくて負ける気がしなかった。
 カズミン「イイネ!では、楽しませてもらおうか。」
俺達は再び、戦闘を開始した。

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