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わずかな道を抜けて

俺は爆発の中へと飛び込んだ。
もう、すぐ目の前に、敵が存在した。
俺はビーム砲を一発撃ってから、ビームソードを出した。
キュベレイは良い。
一瞬の瞬発力では、どんな機体にも負けないスピードだ。
行けると思った。
全てが俺の思いどおりに動いた。
しかし、ただひとつ思いどおりには動いていなかった。
俺がビーム砲を撃てば、敵はかわすだろうと予想していた。
だが、そのまま受けていたのだ。
このままではヤバイ。
俺のビーム砲の攻撃で、機体がいくらか損傷していた拠点の虎だが、その力が失われているようには見えなかった。
駄目だ、やられる。
俺は、相当なダメージを覚悟した。
もしかしたら負けるかもと頭をよぎった。
それでも俺は、そのまま突進するしかなかった。。
ビーム砲の発射の兆候である光が、拠点の虎の機体に見えた。
間に合わないか。
その時だった。
俺の後ろから、チョビのビーム砲が、拠点の虎の足を撃ち抜いていた。
バランスを崩した拠点の虎のビーム砲は、キュベレイのすぐ上に抜けていった。
直後、キュベレイのビームソードが、拠点の虎を斬り裂いていた。
決着はついた。
チョビと二人でつかんだ、ギリギリの勝利だった。

無事拠点を攻略した後、チョビはゆっくり話す間もなく、奪ったばかりの拠点に人型を格納して、ネットから落ちた。
俺は紫陽花さんに連絡を入れてから、拠点の司令室で拠点の設定をいじった。
普段あまり拠点の設定はいじらないので、俺にはよくわからず、結局紫陽花さんにほとんどをやってもらった。
俺がやったのは、拠点の防衛システムの起動と、損傷個所の復旧作業依頼だけだった。
紫陽花さんが一通り設定を済ませ、落ち着いたところで、拠点の虎の機体に乗っていたアブサルートさんと話をした。
二人がかりでようやく倒せた相手、地の利と戦略上の優位性を持っていたとはいえ、俺がこれだけ苦しめられた相手はそうはいない。
是非仲間になって欲しいと思った。
 紫陽花「アブサルートさん強いですね。うちのエースが此処まで苦しめられるなんて。」
 アブサルート「機体が良くて、此処の拠点が守りやすかっただけですよ。」
確かにそれはそうだが、普通の人ならよけたくなるビームをかわすそぶりも見せず、攻撃を選んだ選択は、やはり強さを感じる。
少なくともこういった形の拠点なら、もう少し拠点レベルが高ければ、一日二日で落とさせやしないだろう。
拠点レベルが低くて良かったと、改めて思った。
 紫陽花「で、うちの軍にきませんか?」
これが本題だ。
とらえられたプレイヤは、必ずと言っていいほど、こういった話を持ちかけられる。
味方にするか、逃がすか、選択肢は2つしかないからだ。
大将の場合は味方にするコマンドは無く、処刑か逃がすかになる。
ただ、吸収可能の軍の大将の場合は、吸収というコマンドも使えるみたいだが、ほとんどの大将は戦場で倒れる事になるので、俺はそのコマンドを見た事は無かった。
さて、今回の場合は、味方にするか、逃がすかである。
そして即時逃がしたりすると、再び戦いを挑んでくる人もいる。
味方にする事を選んで拒否された場合も、即時自軍に戻る事になるので、同じ危険がある。
だからまずは話をして、味方になる意思を確認し、味方にならないなら、戦闘時間が終了してから自動的に解放という事になるのが普通だった。
 アブサルート「サイファ軍だったらと思っていたんだけどね。どうしようかな。」
どうやら仲間になる事を少しは考えているようだ。
嫌な人は、普通だと即断る。
条件次第って事だろう。
おそらく階級を要求しているのだけれど、紫苑軍の階級の上位に余裕はない。
さて、紫陽花さんはどうするのだろうか。
 紫陽花「そうですか。残念です。では、サイファさんに、アブサルートさんのお気持ちだけお伝えしておきますね。」
紫陽花さんの発言は、予想外のものだった。
これだけ強い人だ。
なんとか説得するものだと思っていた。
それに本人も、条件次第だと言っているようなもの。
何かひと押しがあれば・・・
そう思ったが、結局なんの問題もなかった
言われてみて納得した。。
 アブサルート「いやだなぁ。仲間になりますよ。これだけでかい軍に捕らえられたチャンス逃すのも惜しいし。」
別の軍に入るには、何らかの方法でフリーになるか、裏切るか、捕らえられた時に誘いを了承するか。
この中で一番査定リスクの少ないのが、今回のような場合だ。
まず、裏切りに関しては、取り返し不可能なマイナス査定となる事は、運営も話している。
次に軍を抜ける行為も、退役、死亡、どちらをとってもマイナスは大きい。
で、今回のようにとらえられた場合だが、敗戦によるマイナスは既にあるが、他と比べると査定マイナスは少ない。
他の拠点にある自分の艦船や人型を失うというマイナスもあるが、今回の場合それは考えないくてよさそうだ。
アブサルートさんの艦船も人型も、全てこの拠点にあったから。
なるほど、そういう事か。
元々アブサルートさんは、此処が落とされるような事があったら、落とした軍に入るつもりだったんだ。
さっき拠点の設定をしている時に、紫陽花さんはアブサルートさんの艦船と人型があるのを見て、それを悟ったのだろう。
 紫陽花「あら、そうですか。ありがとうござます。よろしくお願いしますねw」
こうしてアブサルートさんは、我が軍の一員となった。

24時をまわり、戦闘時間が終わって、全てを確認したら、元々グリード軍の拠点だった場所は、32個がサイファ軍、6個が紫苑軍、2個がその他の軍に取られる形となっていた。
サイファ軍はどうしてこれだけの拠点を得る事ができたのだろうかと不思議に思ったが、後で聞いた話によると、やはり作戦だったらしい。
内容はこうだ。
全ては関係者が個別に内密に行った事。
先日、人気アイドルしゃこたんが来た時に、グリード軍内での、サイファ軍の人気は一気に高まった。
サイファ軍に行きたいと思う人が増えたが、吸収合併できる条件はクリアできないし、退役や裏切りなどは考えられない。
グリードさんは元々サイファ軍に入りたいと思っていたし、これだけ拠点を増やしても、グリード軍だけで維持するのは難しいと思われていた。
なんとかグリード軍を、サイファ軍と一緒にできないか。
考えて一番デメリットの少ないやり方が、大将がやられて、軍を消滅させる方法だった。
解散は、そう簡単に解散されて、強い軍に人が集まっては、運営側にとってよろしくないので、デメリットが大きく設定されてある。
壊滅は、戦いに負けたと言う事で、これもまたデメリットが大きい。
しかし消滅は、軍としてよりも大将が負けたという色が濃く、よって中立化した拠点の司令官は、すぐに軍を立ち上げる事ができた。
グリード軍の各司令官は、グリードが敗れるとすぐに、多数の軍を立ち上げた。
その軍は、一時的にグリード軍の残党軍のような扱いになり、友好関係なども引き継がれる。
簡単に言えば、小さなグリード軍が沢山いっぺんにできたような感じだ。
本来これは、無能な大将の被害を受けないようにとの処置で、残党軍どうしは、合併吸収もリスク無しで行う事が可能だった。
ただ、此処に抜け道があった。
残党軍は、別の軍へ吸収される事も可能だった。
ただし、条件やデメリットは、普通の吸収合併と同様だが。
簡単に今回の事を説明するならば、グリード軍も、サイファ軍も、大きな軍になりすぎて、吸収合併が不可能だった。
そこで、グリード軍を多数に分けて小さくし、サイファ軍に吸収可能な条件を整えたというわけだ。
紫苑軍は、そのおこぼれに与ったというわけ。
1週間後、サイファ軍に、グリードさんが登用された。

遷都と作戦S

思わぬ形で地上に7つの拠点を得た我々紫苑軍だったが、その防衛は容易では無かった。
地上戦になれているグリード軍と、プレイヤ数が圧倒的に多いサイファ軍と一緒だったから、今まで上手くやれていた事を思い知らされた。
パイロットの質は高い紫苑軍だが、複数個所の物量作戦を仕掛けられては、守るのが精いっぱいだった。
拠点のレベルや守りも安定しておらず、もうしばらくの我慢が必要だった。
そこで紫苑さんはある決断を下した。
 紫苑「地球の方が重要だ。宇宙は最悪捨てる覚悟で。ガンダーラに遷都する。」
思わぬ発言だった。
ガンダーラは、地球で所持している拠点の一つだった。
安定している宇宙を捨てて、混戦の中の拠点を本拠地に?
でも確かに、そうする方が良いかもしれないとも思う。
地球の拠点は何処も生産性が高いし、ガンダーラは中でも最高クラスだ。
それに、早い段階で地球に安定した基盤を築く事は必要だった。
コロコロコロニーから、宇宙専用の艦船と人型以外、全てを移動してくる。
宇宙は、全てレイズナーさんに任せた。
壁さんとてけとーさんも、地球へと降りてきてもらった。

紫苑さんの決断は正解だった。
宇宙は比較的安定しており、時々攻めてくる敵もあったが、レイズナーさんで十分守れた。
それとも光合成さんの活躍か。
とにかくなんの問題もない日々が続いた。
地球上はと言うと、壁さんに本拠地ガンダーラを固めてもらい、すぐに安定した守りになった。
地球上にある7つの拠点は、本当の意味で、紫苑軍の拠点として機能し始めた。
しかし、後数日で新たな作戦行動を起こそうかという時に、宇宙に敵が攻めてきた。
と言っても、本来我々が負けるような相手ではない。
ただし、レイズナーさんの部隊だけでは、守りきれないかもしれない戦力だった。
下手をすると、一気に拠点を飲みこまれるかもしれない。
それくらいの相手だった。
 紫苑「せめて今日だけ守れれば、明日には宇宙に何人か戻せるな。」
 スピードスター「俺、即行戻る?♪」
 紫苑「いや、今から行っても時間も無いし、敵領域をいくつも行くのは危険。元々捨てる覚悟だったし。」
俺は戦闘中で手が離せなかったので、二人のチャットをただ見ていた。
しかし、今まで守りぬいていた要塞やコロニーを取れるのもしゃくだなぁと思った。
 一生「ま、仕方なし。」
俺は目の前の戦闘に集中しようとした。
でも、チャットはまだ終わっていなかった。
 紫苑「でも、みすみす負けるつもりもないけどね。作戦S発動!(笑)」
紫苑さんの悪知恵キター!と、少し顔がにやけた。
この発言が気になって、今日は少し集中力を欠いた戦闘となった。
そして結局、1つの拠点も落とされる事なく、24時をむかえた。

後から聞いた話だが、作戦Sとは、前に我が軍に入った、「ジーク」を使った作戦だった。
巨大勢力を率いる大将ジークの情報を徹底的に集めて、色々とそっくりにしていた。
会員ナンバーはそれぞれに違うし、所属軍も階級も違う。
でも、まず戦闘時に表示されるのは、プレイヤ名と機体名である。
情報画面を開かれれば、すぐに偽物だとばれるが、自分たちもそうだけど、一瞬の戦闘時に情報画面を開く人は少なかった。
それが有名人ならなおさらだ。
情報を調べなくても知っているのだから。
我が軍のジークが、バルバロッサという名の艦船に乗ってあらわれると、戦場は一瞬止まったようになったらしい。
そこから人型が出撃し、敵を攻撃し始めると、敵は混乱したようだ。
「紫苑軍とジーク軍は繋がっていたのか?」「ジークを倒せば英雄だぞ!」「ヤバイんじゃないか?逃げた方が良いんじゃ?」
色々な事を言っていたであろう敵の姿が想像できる。
でもきっと、すぐに偽物だとばれたはずだ。
ただ、その一瞬の混乱のチャンスを、光合成さんが見逃さなかった。
背後から敵の主要機を狙い撃った。
運が良かったのか、それとも光合成さんの実力か、とにかく状況を打開するには十分だった。
後は、光合成さん、レイズナーさん、ジークさんで混乱する敵を討った。
隠していた、一度しか使えない作戦は、見事に成功した。

水中戦

次の日、我が紫陽花部隊は、宇宙へ戻る事を命じられた。
しかし俺は、地球でやり残した事があったので、これを拒否した。
地球でやり残した事。
それは、まだ水中戦を経験していなかった事だ。
先日の戦闘で手に入れていた、水陸両用の機体を、少し俺仕様に改造していて、是非試してもみたかった。
紫苑さんは俺の希望を聞くと、快く地球に残る事を了承してくれた。
代わりにサラさんが、紫陽花さんのパープルフラワーに乗って、宇宙へと飛び立った。

19時になった。
今日は俺の気持ちを酌んで、南の島にある拠点へ遠征する事を、紫苑さんは許可してくれた。
これは負けられない。
ただ、紫苑さんは「駄目ならすぐに戻ってきても良いよ。」とも言ってくれていた。
なんとなく、意地でも攻略したいと思った。
まず一つ、敵の領域を通って行く事になる。
俺の機体は、今日初めて乗る「モノトーン」だ。
名前は、白と黒のツートンカラーでペイントされた機体だから、そう名付けた。
モノトーンを乗せた小麗の艦船月天が、高速で敵領域を突っ切る。
敵は拠点の周りに集まって、守りを固めていた。
これはすんなり通らせてもらえそうだ。
それにしても驚いたのは、乗ってる艦船のスピードと操舵だ。
この領域のマップの、もっとも航行しにくい山岳地帯を、山をぬうように高速で突き進んでいた。
艦船の操作は複雑ではないが、これだけの航行には、反射神経がかなり必要だろう。
小麗さんは、レースゲームが得意なのかも、そんな事を考えていた。
敵領域を一つ抜けて、いよいよ目的の領域へと入って行った。
陸地が途中までしかなく、後は海が広がっていた。
艦船でこのまま進むと、水中から攻撃を食らうだろう。
 アライヴ「そろそろ人型行くよ。」
 おとめ「了解~w」
 サウス「蹴散らしてくれるわ!」
この面子で戦うのは初めてだ。
俺は少しワクワクした。
まずは砂浜に降下する。
一応警戒はしたが、特に攻撃はなかった。
とても静かだった。
だけど、水中に必ずいる。
何故か確信があった。
俺達は後方に小麗さんの月天を残して、3機水中へと入って行った。
NPCの乗る人型は出さなかった。
初めての水中戦だし、逃げる事も考えていたから。
水中に入ると、体が少し重く感じた。
動きも遅い。
これは、今日初めて乗る機体だからレベルが1な事も影響しているが、それだけではない。
でも、これだけ反応が鈍い動きも、テンダネスで経験していたので、すぐに対応できる自信があった。
レーダーに反応があった。
魚雷の接近だ。
既に敵には、こちらが捉えられているようだ。
俺はすぐに迎撃用ミサイルを発射した。
水中で爆発がいくつも起こった。
その向こうで、おとめさんのマイヒメが、スクリューのように、島の方へと進んでいる姿が見えた。
 一生「すげぇw」
おとめさんは、変わったフィールドの戦闘が得意だ。
だから水中戦も得意だとは聞いていたが、コレは凄い。
サウスさんも迫力がある。
俺は少しにやけながら後に続いた。
すぐに敵機を目視できた。
同じくしてレーダーにも捉えた。
敵の数は15機といったところか。
数では圧倒的に不利だが、頼もしい味方もいるし、なんとかなりそうな気がした。
だがやはりそう簡単では無かった。
相手は水中戦になれた人達だ。
こっちには、素人もいる。
おとめさんが3機、サウスさんが4機落としていたが、俺はまだ0だった。
そして、サウスさんの人型サウスドラゴンが、かなり傷んでいるように見えた。
サウスさんは、強烈な攻撃力が売りな人だ。
だけど守りが弱く、誰かが守ってあげないと、その戦闘時間が長くはない。
俺は自分の無力さを受け入れ、サウスさんを守る事に戦い方を絞った。
後ろをフォローし戦う感じは、チョビとのコンビに似ていると思った。
今までやってきた事が、色々なところで生きている事が嬉しかった。
時間はかかったが、敵の数が残り3機となったところで、俺は1機でも落とそうと、戦いを挑んだ。
この戦闘の中で、人型レベルが2に上がっていた。
少し動かしやすくなってきた。
戦いは一進一退だった。
ただ戦っていて思ったのだが、地上戦よりは、宇宙戦に似ている気がする。
上下関係なく戦えるし、重力を感じない。
浮力と重力のバランスが釣り合えば、こんな感じになるのか。
宇宙戦をスローにした感じだと思った。
俺は試しに、フェンネルを出してみた。
横に動く事はできないが、地上で使うよりも使えそうだ。
水流はあるが、静止もできる。
フェンネルが使えたこの後の戦いは、俺は正に水を得た魚のように、縦横無尽に動き回って戦闘に勝利した。
島に上がって、小麗の艦船も参戦し、拠点は意外と簡単に落ちた。
敵側としては、頼りにしていた水中戦で負けたのが、痛かったようだ。
こうして、地上8つ目の拠点「尖閣」を手に入れた。

水中戦を経験した俺は、モノトーンを改良ドックに入れて、宇宙に帰る。
水中戦の要領はつかんだ。
次に水中で戦う時は、完璧にする。
その日から、俺は暇さえあれば、尖閣での模擬戦を繰り返した。

発表

今日の軍チャットは騒がしかった。
チャットだけではない。
2chや外部チャットでも、そしてテレビのニュースでも放送されていた。
いよいよ、このゲームの賞金と、査定ポイントの細かい内訳が発表されていた。
査定ポイントに関しては、ちょくちょく個別に発表があったので驚くところはない。
勝てば増えるし、負けたり、裏切ったりしたら減る、当然の配分だ。
テレビで騒いでいるのは、もっぱら賞金総額だった。
俺達から見れば、既に噂されていた事なので驚きは無かったが、20億という事でうわさどおりだった。
では、チャットで騒がれているのは、一体なんなのか。
それは、現状のランキングが発表された事だった。
そしてそれを見て、一番驚いたのは、俺だったかもしれない。
 一生「俺が3位?」
テレビでは、このままいくと誰がいくら貰えるとか、予想までしている。
どうやら俺は3億貰えるらしい。
あり得ない。
ちょっと手が震えていた。
ちなみに1位は、多くの人が予想したとおり、ジーク、2位がサイファさんだった。
サイファさんと俺の差はほとんどなく、次いで4位が紫苑さんだったが、俺との差は結構大きかった。
ジークトップの内訳をみると、あらゆるポイントが多く、中でも買い物ポイントが多かった。
どれだけ買ってるんだとも思ったが、なんだかゲームに関係ないポイントが多いのもどうだろうか。
それがなくても1位だけどね。
サイファさんは、レベルの高さと、友好関係、共同作戦ポイントが多かった。
そして俺は、プレイヤキル、PKポイントが多かった。
プレイヤキルにデメリットが設定される前、俺は大量のプレイヤキルを続けた。
今では安易にプレイヤキルできないようになっているので、この3位は今だけのものであると理解できた。
ちなみに、一緒にプレイヤキルをしていたじぇにぃは、13位だった。
俺達二人は、いままでどおりやれば、確実にこの順位より落ちるのだろうと思った。
 一生「でも、10位くらいはキープできるんじゃね?三千万くらいは貰えるんじゃね?」
俺はちょっと浮かれていた。

今日の戦闘は、なんでもない戦闘のはずだった。
しかし、金が目の前をちらつくというのだろうか、戦闘が雑になってしまっていた。
 一生「しまった!」
俺が声を上げた時には、背後をとられていた。
テンダネスに乗っているので、冷静ならばすぐにカメラを切り替えればいいものを、何故か前方へ進んで距離をとろうとした。
すぐに距離を詰められ、背後から斬りつけられた。
 みゆき「どうしたの?今日はなんだか調子悪いね。」
 チョビ「そのぶんがんばる。」
2人から通信が入ったが、俺は返事をする余裕がなかった。
今の攻撃で、テンダネスのシステムに不具合が出て、動きが20%落ちていた。
金の事は忘れてやらないと。
やられて目が覚めた。
そこからは、チョビとのコンビネーションに集中し、上手く敵を倒していった。
致命傷でなくて良かった、強い敵がいなくて良かった。
運があるのかなと思った。

戦闘を終えて、テンダネスをパープルフラワーに帰還させた。
今回の戦闘では、久しぶりにかなりの修理が必要だ。
実際の時間で、1日では直らないように感じる。
こういう場合、リアルマネーをつぎ込めば、即時だったか早くだったか忘れたが、修理する事ができる。
一瞬リアルマネーをつぎ込みそうになったが、こんな簡単な事でつぎ込んでいてはきりがない。
三千万円くらい入ると思ったら、少し金銭感覚がくるってきたのかもしれない。
俺は自嘲し自重した。
修理は結局、次の日の戦闘には間に合わなかった。
これだけやられるのは、俺にとっては敗戦と同じだ。
この敗戦を忘れない為に、俺は切られた背中に、傷の形のペイントを入れた。
背中に稲妻を背負っているような感じになったが、格好良いとは思わなかった。
何処かの漫画に出てくる剣士が、背中の傷は恥だと言っていたが、ホントだなと思った。

静かな日々

テンダネスが修理中で使えなかった日から、俺は少し前から計画していた、水陸両用人型モノトーンの宇宙戦を実践していた。
理由は、モノトーンのレベルを上げる為。
しかし水陸両用人型を、宇宙で使うなんて普通あり得ない。
だけど、意外と環境が似ているからか、それともただのゲームだからか、不可能ではなかった。
仕様追加の改造を行ったら意外に早く完成した。
これにウイングでもつければ、どこでも戦える万能人型の完成だ。
と言っても、あのテレビアニメで有名な白い奴は何処ででも戦っていたし、ぶっちゃけあれをパクっていると思われるゲームなので、この程度はアリなのだろう。
俺は不思議な感覚で宇宙にでた。
 チョビ「なんかうけるw」
 みゆき「だねwただのバカみたいw」
 アライヴ「うるさいなwま、俺も自分で凄く変な感じだけどなwww」
水陸両用の人型は、宇宙で戦う人型と比べれば、頭が大きくまるい感じだ。
水中での移動は、水の抵抗を避ける為に、頭から進む感じになるからだ。
宇宙でそれをやると、頭突きしているように見えて面白い。
水どころか空気すら無い空間で、頭から進むメリットはなさそうだ。
 アライヴ「でも意外と戦えるなw」
 みゆき「全然戦えてないから!!!www」
ま、確かに、未だに1機も落とせてはいないけど。
でも、こちらも全くダメージをくらっていない。
瞬発力には劣るけど、トップスピードに乗った時のスピードなら、飛行タイプの人型のような戦い方ができる事がわかった。
あのアニメで表現するなら、モビルアーマーって事ねw
ただし、あのアニメに出てくるこのタイプは、火力があるから強いわけだが、これはただの人型なので、その利点はない。
不利な戦いをする事にかわりはなかった。
俺はなんとか弱っている敵の人型を1機撃破した。
 アライヴ「ふ~なんとか1機w」
パイロットはもちろんNPCだろう。
これで対人とか、まだしばらく無理そうだった。
 みゆき「私の方が今日は倒してるねw勝ったら初めてかも~」
みゆきちゃんの言うとおり、一緒に出撃して、みゆきちゃんの方が俺より多く墜とすなんて事は、おそらくなかったように思う。
そう言われると、なんとなく悔しくなった。
 アライヴ「まだ終わってないーー!!」
俺は一番弱そうな人型を探して、突進していった。
結局この日落とせた敵機は、2機だった。
みゆきちゃんに負けて、ちょっと悔しかった。

こんな戦いを続けて、1カ月が過ぎた頃、ようやくレベルが6になっていた。
これで一応、問題なく動かす事ができるレベルだと言われている。
俺クラスのパイロットだと、それでも動作ブランクを感じるが、パソコンの性能などでも、これくらいのブランクを感じる事がある。
ま、一般的には、問題無いレベルって事だ。
これだけ動けば、地球での水中戦も大丈夫だし、一応紫苑さんに報告しておこう。
紫苑さんには、ここ1カ月色々配慮してもらっていた。
紫苑さん本人はそうは言っていないが、比較的弱そうなところを、我が紫陽花部隊にまかせていた。
我が軍もいつの間にか大所帯になっていて、担当を決めて、紫苑さんと行動を共にする事は減っていた。
ちなみに我が軍の現状を説明すると・・・
紫苑さんの主力部隊、紫陽花さんの紫陽花部隊、スピードスターさんの星部隊、小麗さんの月天が中心のサラ部隊が、攻撃担当。
敵の強さに応じて、単独で攻めたり、行動を共にしたりしている。
本拠地の守りは壁さんが担当。
地上最前線基地の守りは、アブサルートさんだ。
宇宙の守りと管理は、レイズナーさんが仕切り、スクランブル担当として、てけとー部隊とジークさんがいた。
それにしてもこのところ、各軍大きな動きがなくなっていた。
こう着状態と言うか、なんとなく静かと言うか、前回の宇宙の絆の時の、ジーク対連合軍の大戦を思い出す。
俺は少し気になって、久しぶりに2chを除いてみた。
此処の掲示板では、日々情報戦が行われている。
ただの誹謗中傷も多いが、時々真実も存在する。
真実と嘘を見分ける事できたら、戦いはかなり有利に進められるだろう。
それにしても、改めて見て、嘘が多い事が分かった。
ジークと紫苑が繋がっているだとか、ダイユウサク軍がそろそろジーク軍に前面攻撃を考えているとか、紫苑がサイファに対して、次の同盟終了時に攻撃を仕掛けるだとか、冷静に考えてあり得ないだろう。
ま、強いチームを敵視させて戦わせたいのだろうけど、サイファさんとは最後まで仲良くする約束だし、裏切られるなんてこれっぽっちも思っていない。
向こうもおそらくそう思っているはずだ。
ダイユウサク軍に関しては、強い人達も多いし、ジーク軍を攻める事もあり得るとは思うが、前作の戦略や、夢さんと話をしてみて、それはあり得ないと思う。
俺は続けて、古いレスから順番に読み進めていった。
このあたりは、査定基準が発表された時か。
「3位アライヴってだれよ?ww」
なんてのもある。
そらそうだな。
なかなか大将以外の名前ってのは出てこない。
実際戦った事のある人なら分かるかもしれないが、まだまだ戦った事の無い軍は沢山ある。
きっと、強い人もいるのだろうな。
少しのワクワクと、かなりの疲れを感じた。
そろそろレスの日付が、ここ数日まできていた。
ようやく読み終えられそうだ。
「アライヴ、水中戦用人型で宇宙で戦っとるぞw落とすなら今だぞww」
もう乗らないけどね。
次は久しぶりに、テンダネスか、キュベレイで出るよ。
そんな事を考えながら、最後のレスまできた。
読み終わった。
特に気になる事は無かったな。
そう思ってブラウザのタブを閉じようとしたが、何かが引っかかった。
あれ?最後のレス。
そのまま見過ごしそうになったが、チラッと見えた文字に、俺はもう一度見直した。
「賞金見て参戦か?美菜斗よ。もう入る余地ねぇぞw」
このレスを見た瞬間、間もなくゲームが大きく動き、荒れる予感がした。

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