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休息

諜報活動も終盤にきていた。
宇宙は全て終わり、今は地球にきている。
民間機で、1つずつ移動して調べていくわけだけど、地球上は生産性が高いから、勢力が混在していて、民間機で入国できる街は少なかった。
 アライヴ「次は、アクアか。」
 みゆき「ココは海底都市だね。」
みゆきちゃんに言われて、こんな街もあるのかと、初めて知った。
どうやら基地も街も海底にあるらしい。
これは行くのが楽しみだ。
しかし、それはすぐにできないと分かる。
 みゆき「アクア行きの便がないね。」
どうやら、入国規制が行われているようだ。
この街は特殊だから、どうしても行ってみたかったが、規制されていては、入るのは難しい。
入国したければ、多少の危険を覚悟して潜入する事も可能だが、ココは海底、多少ではすまされず、むしろ俺のレベルでさえ、成功確率0%だった。
 アライヴ「残念。どんな場所か見てみたかったけど。」
 みゆき「うん。」
それにしても、アクアを落とすにはどうすれば良いのだろうか。
当然の疑問がわいた。
 アライヴ「それにしてもココって、どうやって落とすんだろうね。」
みゆきちゃんが知ってるとは思えないけれど、なんとなく聞いてみた。
 みゆき「ココは水中戦オンリーだって聞いた事あるよ。他にも8割水中だとかって都市も、あるらしいし。」
なんと!水中戦かぁ~
 アライヴ「って事は、水中用人型とか、あるのかな?」
 みゆき「あるらしいよ。パーツは地球でしか売っていないみたいよ。」
なるほど。
どおりで知らなかったわけだ。
俺は宇宙でしか買い物をしていないし、そもそも地球に来たのは初めてだ。
コレは早めに地球への侵攻も考えた方が良いかもしれない。
地球を1つの勢力が占めたら、地球への侵攻がかなり厳しくなる事もあり得る、そう思った。
さて、仕方が無いので、次の街へと行くことにする。
マップは実在する世界地図に似ているが、名前はユーザーが決めているので、それがなんだか面白い。
日本はそれ自体で1つのマップで、拠点の名前が「大阪」。
おそらく大阪人が、最初にココをゲットしたと思われる。
地球マップでNo1の生産性を誇る拠点に、大阪ってどうかと思うけど、まあ仕方なし。
とりあえず俺たちは、大阪行きの便に搭乗した。
リアル時間で、10分ほどで目的地についた。
なんとなくだけど、地球に侵攻する時は、最初にココが欲しいなぁ~なんて思った。
俺たちは街を歩いた。
情報屋探しだ。
流石に生産性No1の街だ。
マップも広くて人も多い。
水中戦用アイテムを買って帰りたいとも思ったが、アイテムは中立の拠点と、自軍の拠点以外では買えない。
なんせ持って帰れないからね。
ただ、ゲームに関係ない装飾品、キャラの服だとか、アクセだとか、そう言ったものは、街によって発売されている物が違ったりするし、持って帰れる。
せっかくだし、そちらでも買ってかえろうか。
そう思って、みゆきちゃんに声をかけた。
 アライヴ「せっかくこんなでかい街にきたんだから、何か買って帰ろうか。ホントはパーツとか、水中戦闘に役立つ物が欲しいけど、無理だからアクセとか服とか。」
 みゆき「そうだねぇ~地球産の服、みんなに見せて自慢するかぁ~」
 アライヴ「よし!ではあのオレンジの看板の店から行こう。」
 みゆき「おけw」
そんな会話を交わしてから、俺たちは店に歩いて行った。
そんな時、友軍の美夏さんが、突然会話に入ってきた。
 美夏「やっほー!水中戦用パーツが欲しいのか?」
街での会話には、数種類の設定が可能だ。
1対1、グループ、友軍、一般だ。
1対1は、文字通り、1対1で会話して、そこに他の人が入ってくる余地はない。
グループは、あらかじめ決めた人だけで会話する設定。
友軍は、同じ軍なら同じ街にいれば会話できる。
一般は、街の中で見えている人全てとの会話である。
だから今も、一般で話している人の会話は、こちらに入ってきていて、みゆきちゃんとは、友軍で話をしていた。
そこに偶々友軍の美夏さんがいたから、会話に入ってきたってわけだ。
 アライヴ「こんにちは。どうしてこんなところに、って、パーツ欲しいのですが。」
驚きと、疑問と、希望を全部、打ち込んだ。
 美夏「みゆきちゃんもちわ!」
 みゆき「こんにちは。」
 美夏「ちょっと暇だったから、地球旅行に来ていただけだよ。って、お前らはどうしてココに?」
美夏さんは最近忙しかったのか、あまりゲームしていなかったようで、話を聞いていなかったようだ。
 アライヴ「今、俺とみゆきちゃんで、情報集めしてるんですよ。で、今はココにきてるわけです。」
 美夏「なるほど。で、さっきパーツが欲しいとか言ってたよね。」
 アライヴ「ええ。地球専用のアイテムがあるとか聞いたから、今から試しておきたくて。それに地球を攻める時に、有った方が良いだろうし。」
美夏さんが、なんとなく手に入れる方法を知ってそうだったので、俺は期待した。
 美夏「既存のアイテムと、ジャンク屋経由だと、地球専用パーツは地球で、宇宙専用パーツは、宇宙でしか手に入れられないよな。」
 アライヴ「ええ。」
 美夏「宇宙には中立要塞が8か所あって、宇宙用パーツは誰でも手に入れられるけど、地球用のパーツは、地球に軍を持っている人しか手に入れられない。」
 アライヴ「ですね。」
 美夏「だけど、軍を解散した時などに、一時的に中立になったりした場所では皆買えるし、元々地球にいた軍に所属していた奴なら、パーツを持っているわけだ。」
ココまで聞いて、なるほどと思った。
地球にある軍に所属している人が、宇宙にある軍所属の人にパーツを売る事は少ないだろう。
何故ならそれは敵に塩を送る行為だから。
しかし既に軍に所属していない人なら、売る事もあり得るし、一時的に中立なった時に買い占めて、売って儲けようって考える人がいるって事か。
 美夏「更に、パーツを売る事を目的に、軍を持っている奴らもいるんだ。」
 アライヴ「そんな人もいるんだぁ!」
少し驚きだ。
ゲームとは関係なく、金儲けを目的として参加している人がいる事は知っているけど、まさかそこまでやっているとはねぇ~
 美夏「受け渡しは、宇宙の中立拠点のどこかだな。」
なるほどねぇ~
ココまで艦船で来る事はできない。
何故なら非戦闘タイムとは言え、ココは敵の拠点だから。
今俺たちは、民間機で一般人として移動している。
でも、自分の拠点以外で、自分の艦船を移動、入港させる事ができる場所がある。
それが中立要塞8つだ。
それは地球の周りにあり、非戦闘タイムなら、敵空域も自由に航行できる。
もちろん、敵要塞には入れはしないけれど。
とにかく、地球には、地球戦用パーツを持っている人が多くいて、その人達から購入できるよう直接中立要塞で取引するって事だ。
 美夏「地球用パーツを売ってる軍から買うと、リアルマネーでかなりぼられるから、なるべくもういらないって人から買うのがベストだな。」
 アライヴ「リアルマネーってどれくらい?」
リアルマネーでも、俺もそこそこ稼がせて貰っているから、多少なら出しても良い。
 美夏「そうだな。安くて人型1機で10万円くらいだな。」
・・・
 アライヴ「それは高すぎ。笑」
まあそういうわけで、俺は諦める事にした。
水中戦かぁ~
キュベレイでもなんとかなると信じよう。
その後俺たちは、3人で買い物をして、ついでに情報収集もした。
違った。
ついでは買い物ね。

戦闘の日々へ

さて、今日で諜報活動は最後となった。
最後に来たのは、地球のマップ、1-1にある、氷島。
金でパーツを売る軍、トルネコ軍の本拠地だ。
ここでの情報収集は既に行っている。
流石に金持ち軍、人も多く、装備などのクオリティも高い。
ここしか拠点は持っていないが、そう簡単に落とせるような戦力ではなかった。
噂だが、ジークがかなり出資しているとか、アイテムを買いあさっているとか、そんな話も先ほど聞いた。
それでなくても、他にも買いに来る人はいるのだろう。
俺も、もう少し安ければ、買っていたかもしれない。
しかし、そこまでリアルマネーをつぎ込んで勝っても、あまり嬉しくない、そう言い聞かせて諦めていた。
 アライヴ「さて、そろそろ帰るか。」
 みゆき「やっと終わったねぇ~長かったねぇ~」
確かに長かった。
諜報活動は、俺とみゆきちゃんの都合があう、全ての時間行ってきた。
それで約3カ月もかかってしまったのだ。
だから俺自身、戦闘はあまり行っていない。
テンダネスの裏バージョンで、違和感なく動かせるレベルになった事以外は、特に何もなかった。
ただ、紫苑軍としては、イゼルローンを手にして、その後も順調に勢力をのばしていた。
ちなみに、イゼルローンは、最初攻め込まなかった。
予想通り、いくつかの勢力が侵攻して、つぶしあっていたから。
そして全てが疲弊したところを、軽く奪ったようだ。
内情をよく知るサラさんにも協力してもらって、すぐに鉄壁の要塞への設定をした。
今ではこのイゼルローンが、最前線基地だ。
俺とみゆきちゃんは、スペースポートへと向かって歩き出した。
コレがリアルなら、ちょっとしたデートをした3カ月だったのだろう。
ゲーム内とはいえ、結構長く一緒にいたせいか、みゆきちゃんなら実際リアル世界で会っても、話とか普通にできそうだ。
歳は確か18歳だったと記憶している。
いつか会えたらいいなぁ~なんて、心の中で考えていた。
そんな事を考えながら歩いていたら、突然、一般チャットで話しかけてきた人がいた。
「あっ!アライヴさん。お久しぶり~」、
街中にいる人と、誰とでも話せるシステム。
俺を名指しはしていたが、誰もがその喋りを受信している。
相手は、ドリームダストのドリームさんと一目でわかった。
なんせ取り巻きがぞろぞろいて、「夢さん誰ですか?」「夢さんのお友達ですか?」なんて言葉が、俺のチャットログを一気に増やしたから。
 ドリーム「みんなごめん。ちょっと彼と話したいから…」
ドリームさんが取り巻きにそう言うと、皆快く席をはずしていた。
ドリームファンの人たちは、きっと本当にドリームの夢さんのファンなのだろう。
そう思った。
取り巻きがいなくなると、すぐにドリームから、グループチャット登録の要求がきた。
これに応じれば、グループチャットを了承し、グループチャットができるようになる。
俺は迷う事なく、応じた。
 ドリーム「そちらのみゆきさんも、お仲間さんだよね?」
 アライヴ「あっ、うん。そうですよ。」
俺が返事をするやいなや、みゆきちゃんもグループチャットのグループに登録されていた。
相変わらず操作が早いな、そう思った。
 アライヴ「こちらは、同じシオン軍所属の、癒し系担当のみゆきちゃんですw」
俺はすぐに、ドリームさんに対して、みゆきちゃんを紹介した。
まあ、みゆきちゃんは、ドリームの名前くらいは知っているので、紹介はいらないだろう。
なんせ相手は有名人だからね。
 みゆき「はじめまして。みゆきです。よろしくです。」
問題はなさそうだ。
 ドリーム「ダイユウサク軍のドリームです。みゆきさんは、アライヴさんの彼女ですか?仲良さそうに歩いてたから、デートかとw」
ドリームからの返事は早く、普通に喋る速度と全くかわらない。
って、そうじゃなくて、今なんかドリームさん、とんでもな事を言ったような。
じっくりチャットの文字をもう一度読んでいると、みゆきちゃんが返事を返していた。
 みゆき「ええ、そうなんです♪(笑)」
えええ!!!
俺は普通に驚いたが、まあ最後の(笑)が、冗談だと表現していたので、ココはスルーする事にした。
 アライヴ「ところでドリームさんは、こんなところでどうしたんですか?」
 ドリーム「あ、夢で良いよ。それに、前はもっと普通に話してたのに、今日は敬語になってるよ。」
あっ!ホントだ。
人型に乗ってる時は、俺も結構強気だから、タメ口で喋っていたように思うけど、実際会うと、なんか気後れするっていうか、オーラがあるって言うか。
いや、実際年上だろうし、実際に会ってるわけでもないんだけど。
 アライヴ「ホントだwじゃあ夢さんで。」
 ドリーム「みゆきさんも、夢ちゃんって呼んでねw」
 みゆき「あっ!はい。」
夢さんは、結構気さくな人のようだ。
 ドリーム「で、この街にいる理由なんて、きっとアライヴさん達と同じだと思うよ。」
なるほど。
ダイユウサク軍も、しっかりと諜報活動してるって事か。
 アライヴ「諜報活動かぁ。」
 ドリーム「えっ?違うよ?あれ?あってるのかな?地球用パーツの情報収集だけど?」
 アライヴ「え?パーツの情報?俺たちは普通に諜報活動だけど。」
パーツの情報収拾?
パーツは買う事もできないし、買えないからその情報も収集はできない。
だから実際にどんなパーツがあるのか、俺は全く知らない。
どうやって・・・
 みゆき「地球用パーツって、見る事できないよね。どうやってみるんだろう。」
俺の疑問をみゆきちゃんが代弁してくれた。
 ドリーム「そっか。まあ見る方法ってわけじゃないけど、ココはパーツ屋やってるトルネコ軍の拠点だから、それで来てるのかと。」
もしかして、夢さんは、パーツを買いに来た?
でもパーツの受け渡しは、宇宙に上がって、そこでの取引になるから・・・
 アライヴ「パーツを買いに来たと言って、アイテムの情報だけ画像データで見せてもらっていた?」
 ドリーム「当たり~」
このゲームを行うにあたり、あらゆる場面、あらゆる状態を、画像データで保存することができる。
規定により、このサイト外でそれをアップする事は禁止されているが、ゲーム内で見せてはいけない規定はない。
まあアイテムを売ろうとしてるのに、カタログの役割を果たす物をもっているのも当然か。
しかしだ。
パーツデータを見せてもらったところで、多少何かしらの対応ができる事はあるかもしれないが、手に入れられないのでは、あまり意味が無いように思えた。
 アライヴ「でもやっぱり、情報だけだとあまりメリットはなさそうだけど。」
この夢さんが、そんな理由だけで情報を集めているとは思えなかったので、少し疑問を言ってみた。
 ドリーム「情報があれば、それと同じ物を研究で生産できるようにする事は簡単だって事だよ。」
ああ、なるほど。
研究は、基本アイデアを出して、色々試行錯誤してひとつのパーツを作り上げる。
しかしもし、最初から既存のパーツの情報を得ていれば、それをそのままコピーするだけで済むって事か。
設計図を手に入れて、後はそのとおり組み立てるだけ、感覚としてはそんな感じだ。
流石というか、こうして色々な人と話をしたりしていると、みんな俺の知らない事を知っていて、勉強になるな。
たかがゲームだけど、大きな賞金の動くマネーゲームだ。
もっと勉強する必要があるなと思った。
それでも、軍に関しては、紫苑さんに任せておけば、おそらく大丈夫だろうけど。
それからもしばらく話していたが、みゆきちゃんに促され、俺たちは別れた。
さて、諜報活動も終わった。
今晩からは、また戦闘一筋だ。
俺のモチベーションは上昇しまくりだった。

地球戦に向けて

諜報活動が終わった日の夕方6時、紫苑さんが仕事から戻ってオンラインしてきたので、最後の報告を行っていた。
偶然だけど、今日は主要メンバーがほぼ勢ぞろいだった。
 アライヴ「ってわけで、地球への侵攻は早いうちが良いと思うし、アイテムを手に入れる事も考えた方が良いかと。」
 紫苑「それは俺も考えてた。」
やはり、紫苑さんは既に考えていたようだ。
でももしかしたら、どうやって地球用パーツを手に入れるか、解決策が無かったのかもしれない。
 アライヴ「それでですね。地球の氷島で、ダイユウサク軍のドリームに会ったんだけど、良い方法を教えてもらいました。」
 紫苑「ほうほう、それで。」
 アライヴ「トルネコ軍にアイテム購入を持ちかけて、画像データでアイテムの情報を得て、研究して生産すると自分で作れるようになるって。」
 紫苑「おお~」
 サラ「流石に、夢ちゃん、考えてるわねぇ~って、まあ考えたのは、別の人だろうけど。」
どうやらこれは、皆思いつかなったようで、関心していた。
 アライヴ「じゃあもう一度、氷島に行って、情報をゲットしてきますか?」
せっかく戻ってきたのに、又行くのはあまり乗り気ではなかったけれど、そうするならもう一度行くのもやぶさかではない。
 サラ「でも、私たちに売ろうと思ってくれる保証もないし、方法はそれだけじゃないわね。」
 アライヴ「えっ?」
なんと。
他にもまだ、地球用パーツを手に入れる方法があると?
買うとか言うんじゃないだろうな。
 サラ「売ってもらう方が早いわね。」
やはり。
でも高すぎるんだよね。
 アライヴ「でも、相場聞いたけど、リアルマネーでバカ高いよ。」
 サラ「まあ、商売してる人から普通に買ったら高いけど、方法はあるわよ。」
なんとまあ。
流石にゴッドブレスの人だ。
この人もダイユウサク軍のメンバー同様、普通ではないって事か。
 サラ「ゲームに参加していない人に頼めば、少しの利益でも応じてくれるだろうし。」
ほうほう。
これは大阪で美夏さんと話した時にでた方法で、具体的にどうすればいいのか分からない方法だ。
 紫苑「ただそれだと、先に現金を渡す必要があるから危険ですな。」
 サラ「そうね。もしくは別アカウントで、地球に拠点を持つ軍に所属して買う方法もあるよね。」
 紫苑「・・・」
 紫陽花「・・・」
 スピードスター「・・・」
3人そろって・・・だ。
古くからの仲間は知っている。
この3人の別アカウントは、サイファ軍に所属したままだと。
それにそもそも、別アカウントは取れない事になっている。
同じPCでは、複数の人が登録できないようにもなっているし。
紫苑さんたちは、親の名前やPCを使っているのだ。
流石にこれ以上は無理だし、他に誰かできる人が声をあげれば、その手を使う事になるのだが。
しかし誰も声を上げなかった。
 サラ「後は・・・」
 紫苑「ゲームに参加していない、リアル友達に頼むか・・・」
流石紫苑さん。
それが一番安心できるな。
しかしよく考えたら、俺には友達いないし、紫苑さんのリアル友達は、同じ軍に結構所属している。
他に、ゲームに参加していない友達がいるだろうか。
みんなが少し沈黙した後、再び声をあげたのは、紫苑さんだった。
 紫苑「まあ、こざかしい事はやめて、真っ向からゲームした方がいいかな。」
おお、紫苑さんは、今のままの人型や艦船で、地球を攻略しようというのか。
それもまた、俺は望むところだ。
 美夏「真っ向勝負で勝てるのか?」
一応、皆が疑問に思う事を、美夏さんが代弁した。
 紫苑「誰も真っ向勝負とは言ってない。ゲームとして正当な方法でゲットしようって事だよ。」
どういう事だろうか。
 サラ「そっか。同盟ね。」
ああ、一番簡単に手に入れられる方法が、これじゃないか。
中立と自軍領だけじゃなかった。
艦船が入港できるのは。
まあそれで購入できるなんて、そんな事は試してみないとわからないし、俺が思いつくはずもないのだけど。
 紫苑「よし、どこかと同盟し、地球用パーツを手に入れる事が、次の作戦だ。」
あらあら、せっかく戦えると思っていたのに、又地味な作業か、俺は少しがっくりした。
しかしその気持ちは、すぐに再び上昇する。
 紫陽花「同盟するとなると、相手に美味しい話しもないと難しいよね。」
 美夏「そうだな。地球にいる奴らは、地球にいる有利さを知っているし、そのメリットをやすやすと手放すとも思えない。」
確かに。
俺が地球に拠点を持っていたら、宇宙からの敵はさほど怖くはないだろう。
地球用パーツが、リアルマネーで高値で取引されるのも、それだけ価値のあるものだからだ。
 サラ「しばらく、同盟軍の為に戦ってあげたりして、領土拡大に協力してあげるとかすれば?」
 紫苑「まあおそらく、リアルマネーで釣る以外は、それくらいだろう。」
 サラ「早速、諜報活動で得た情報が役にたつわね。」
 紫苑「うむwアライヴ、データから、助っ人の欲しそうな所、もしくはこれから大攻勢に出ようとしているところを探してくれ。」
 アライヴ「おけw」
こうして俺たち紫苑軍は、地球所属軍と同盟し、地球での戦闘へと突入していくのだった。
つか、データを見ただけで、俺がそんな事分かるわけがないよ。

初めての地上戦

同盟相手探しは難航した。
地球の軍としては、宇宙の有力勢力との同盟はやぶさかではない。
しかし、自軍領に入れて、地球用パーツを買いあさられるのは、後にデメリットとなる可能性もある。
相当信用できないと、なかなか同盟なぞできない。
同盟には、期間や条件で設定できるが、たとえば3カ月同盟して、その間にアイテムを買いあさられ、その後敵になるとも限らない。
だから、条件が絶対有利でないとなかなか同盟できないわけだ。
メリットを考えた時、有力勢力との同盟は魅力だけど、デメリットも同じなのだ。
だから同盟は、地球に領土を持つ軍は、同じく地球に領土を持つ軍とするか、或いは、地球用パーツを手に入れる術を、既にもっている軍とする事が暗黙の了解になっていた。
そんな中、あっさり地球に領土を持つ軍と同盟できたのは、やはりこの人の力だった。
 サイファ「では、我々でこのゲーム勝ちましょう。」
 グリード「これだけの面子が集まれば、今度こそはやれそうだな。」
 紫苑「ですな。(^0^)/」
サイファさんとグリードさんは、前作から強い信頼関係を持ち、共に戦ってきた間柄だ。
最後には、グリードさんは負けて、その後サイファ軍に所属し、ある意味上官と部下の関係であった事もある。
リアル年齢的には、グリードさんの方がかなり年上らしいが。
それでもこのゲームの最初、グリードさんはサイファ軍に所属する事を望んでいたようだ。
しかしサイファさんが断って、別の軍の方が今回の場合良いかもしれないと、地球でのプレイを提言していたようだ。
結果、それが今正しかった事を証明されたわけだ。
ちなみに、紫苑さんも、グリードさんとは面識がある。
前作の打ち上げで、少しだけ言葉を交わした程度だけれど。
前作では、グリード軍との同盟を断っていたのに、今回了承してもらえたのは、面識があった事が大きい。
そして、今回協力関係を一番安易にしたのが、今回のゲームの賞金が、勝った軍だけに配布されるわけではないって事だ。
この3軍が最後まで残っていたら、おそらくその後負けても、それなりのお金が貰える事が予想できたから。
 サイファ「同盟期間はとりあえず3カ月、その後も最後まで敵対しない事。そして3カ月はグリード軍が地球で勢力を伸ばす手伝いをする事。って事で良いですね。」
 紫苑「(^0^)/」
 グリード「現在拠点が3だから、目標としては、10はよろしく。」
拠点数10となると、現在の3倍以上だ。
しかし、この面子なら、10なんておそらく1週間で可能だろう。
俺としては、目標100だ。
100でも地球の拠点の総数からすれば、1/30だ。
全くもって足りないくらいだ。
宇宙は、その更に3倍以上あるんだけどね。

さて、同盟した瞬間から、俺たちは忙しかった。
まずはしばらく主力が本拠地を開ける事になる。
レイズナー大佐だけでは、かなり不安だ。
光合成さんと一緒に、今までも近隣の弱小勢力と小競り合いを繰り返し、とりあえず勝ってきてはいるが、これからは最前線もカバーしてもらわなければならない。
誰かを残せばとも思ったが、紫苑さんはこの3カ月を、勝負の分かれ目になるかもしれない3カ月、なんて言っていた。
だからまあ、壁さんとてけとーさんふたりに、スクランブルを要請したようだ。
そして、もうひとり・・・あの人も・・・。
まあそんなわけで、主力は皆、グリードさんの拠点、「ジャングル」に来ていた。
戦闘時間までに、戦闘準備を整えなければならない。
そして時間になれば、ココから他の拠点に攻め込む事になる。
あえてココからと言ったのは、宇宙から降下して拠点攻略するわけではないって事。
グリードさんの話しによると、宇宙から降下して拠点を攻めるのは、かなり難しいらしい事が分かった。
降下中、しばらくはただの的になりえるし、人型での大気圏突入は更に危険だって事。
大気圏用機も、地球では存在するし、それを手に入れていけばその場はしのげるだろうが、降下してからは能力の持ち腐れだ。
これがまあ、地球に拠点を持つ有利な部分で、その有利さは半端ではない事を改めて理解した。
時間になると、俺たち紫苑軍はもちろん、グリード軍、そしてサイファ軍が隣国に行軍を始めた。
 グリード「みんなありがとう。これだけの面子がそろって負ける事はまずありえないから、危ない場合は無理せずいこう!」
グリードさんは、もちろんこの3カ月は総大将だ。
実力からすれば、紫苑さんやサイファさんの方が上だろうが、地球に関しては一日の長がある。
俺だって、地球用の人型で、陸戦するのは初めてだ。
今日から始まる地上戦。
ウィングをつけて戦えば、宇宙とあまり変わらない感覚で戦えるらしいが、飛行と宇宙空間では、大きく違う部分がある。
それは、推進力が必要だから、飛び続けなければならない事。
宇宙空間なら、突然の方向転換も比較的簡単だけど、飛行だとそうはいかない。
ウィングをつけずに、強力な火力で飛行する場合は、尚宇宙空間と変わらず戦闘できるが、燃料が多く必要で、戦闘時間が短くなったり、やはり上下関係や重力を意識しなければならず、同じようには戦えない。
ただ、やはり似ている部分もあるし、せっかくだから、この3カ月は地球特有の戦い方をマスターしようと思っていた。
俺は、テンダネスを地球戦闘用にカスタマイズした機体で出る。
武器はフェンネルと、ビームライフル、ビームソード、ビームバルカンと、全てビーム系。
フェンネルには小さな羽がついて、地球用に改良されている。
停止しての維持、攻撃が不可能で、これは今後研究改良が必要だと思った。
 紫苑「まず、星が中央突破、撹乱してくれ。」
 スピードスター「♪」
 紫苑「そこを紫陽花と小麗で攻撃、俺とじぇにぃとハルヒでサポートする。」
 紫陽花「了解w」
少し疑問に思った。
何故か紫苑さんが指揮して、俺たちだけで攻撃するのか。
 アライヴ「あれ?サイファさんとこ、今日子さんも出ないの?」
 紫苑「まずは俺たちだけでやらせてもらう。この3カ月は、損失を出してでも、得なければならないものがあるからね。」
まあそういう事だよね。
地球での戦闘になれる事と、地球用パーツを得る事。
この2つの為に、あえて貧乏くじを引く事は必要なのだろう。
 アライヴ「なるほど。では行きますか。」
 紫苑「(^0^)/go!」
俺たちは最前線で戦闘を開始した。
まずは星さんが、艦船スピードスターに暗黒天国の人型ボスを乗っけて、高速移動しつつ、大火力の攻撃をあびせながら敵を突っ切る。
星さんの艦船は、地球仕様にしてもやはり高速移動型だ。
武器に火力はなく、重視するのは移動だけ。
そこにもってこいなのが、暗黒天国のボスってわけだ。
これで超高速移動できて、破壊力のある戦艦の出来上がりだ。
この作戦は、我々紫苑軍の定番の戦い方になっていた。
敵は回避するので手いっぱいだ。
ただ、宇宙と違って上下が有るし、障害物も多く、宇宙戦ほどの効果は得られなかった。
 サラ「では行くわよ~」
 おとめ「重力あっても、バトルグリードでなれてるし、私たちはむしろこっちの方が得意よ♪」
 サウス「俺はもう宇宙の方が地形効果得られるけどな。」
小麗の艦船、月天から、それぞれレッドストーン、マイヒメ、サウスドラゴンが出撃した。
 アライヴ「ではこっちもいくぞ!」
 チョビ「わかった~」
 みゆき「は~いv」
紫陽花さんの艦船、パープルフラワーから、俺たち3機も出撃した。
出撃した途端、機体は重力をうけて、落下を始める。
ブーストしながら、敵の砲撃を回避しつつ、良さそうな着地点を探った。
チョビは盾で攻撃を回避しつつ、拡散ビーム砲で敵を退ける。
みゆきちゃんは、チョビに守られながら、安全に着地できそうだ。
俺はなんとか攻撃を受ける事なく、地面へと到達した。
これがもし宇宙からの大気圏突入だったら、もっと長い時間敵の攻撃にさらされ、更には動きも自由がきかないかと思うと、かなりきつい事は十二分に理解できた。
ともかく3機とも安全に着地ができた。
ちなみにNPCキャラは、艦船上で守備についている。
俺たちが陸戦を求めても、空で艦船を狙う機体はやはりいるのだから。
まあ艦船は紫陽花さんと小麗さんだし、なんとかなるとは思うけど。
紫苑さんたちもサポートしてるわけだし。
 紫苑「敵はどうやら、これだけの侵攻を予想できていなかったみたいだ。NPCがほとんどで、プレイヤは3人確認。」
紫苑さんは既に索敵を完了したようで、情報が皆に伝えられる。
 紫苑「プレイヤは拠点に2機、1機は突っ込んでくるぞ。」
 紫陽花「ではそれぞれ1機担当ねw」
 サラ「楽勝できそうね。」
確かに数では楽勝だったはずだった。
しかし・・・
サラさん達は言葉どおりの楽勝で、敵本拠地を制圧しようと侵攻している。
しかし他は、初の地上戦に苦戦していた。
紫苑さんのところのじぇにぃは、バトルグリードでも好成績を残しているプレイヤだから、本気でやれば楽勝だったかもしれないが、どうやら紫苑さんの指示でハルヒくんの援護に回っている。
美夏さんは、今日はこっそりスピードスターに搭乗しており、今頃は拠点の向こう側で息をひそめているはずだ。
敵が全てこちらに来た場合、背後をつくか、抜け殻の拠点を軽くいただく寸法だ。
そして俺たちは・・・皆地上戦は素人。
俺もようやく宇宙で乗りこなせるようになったテンダネスだし、みゆきちゃんは戦闘自体が最近は少ない。
後はチョビだけど、宇宙でも地球でも変わらない戦い方だけど、どちらかと言うと、攻めには向いていない。
プレイヤひとりと、10機ほどのNPCとこう着状態だった。
出し惜しみできる状態ではないので、俺はフェンネルを使った。
拡散ビーム砲の餌食にならないように、かなりチョビから離れてから使った。
チョビの背中は、今はみゆきちゃんに任せてある。
おそらく背後をとられる事はないだろうけど、油断は禁物だ。
フェンネルは、宇宙よりも自由がきかず、発射タイミングがかぎられている。
移動ルートも特定されるようで、数機がすぐに落とされた。
 一生「地上でフェンネルつかえねぇ~」
空中での静止と、移動方向に自在性が無い状態では、フェンネルはきつい事が改めて感じられた。
 一生「しかし!」
しかし、一応けん制にはなるので、こちらの攻撃も、今までよりも当たるようになってきた。
まあ基本は同じだって事だ。
フェンネルを警戒しているなら、フェンネル攻撃の回避に合わせて攻撃するし、逆なら自分がけん制を入れてフェンネルで当てる。
ただ、チョビと協力して戦う事は、フェンネルありきじゃ無理そうだった。
敵プレイヤとの戦いは、最初から最後まで、結局ずっと苦戦してしまった。
フェンネルも全て落とされ、逃げ回った先にチョビがいて、チョビの拡散ビームに助けられ、かろうじてみゆきちゃんがとどめをさした。
時計の針も23時になろうとしていて、チョビの参加できる時間も終わろうとしていた。
拠点はあっさりと美夏さんが落として、初めての地上戦が終わった。

アイドル中山西子

地上戦を始めてから、既に1週間が経っていた。
紫苑軍の、地上戦素人の面々も、だいぶ戦い方をつかみ始めていた。
そんなある戦闘1時間前、グリード軍本拠地のジャングルには、オンしているメンバーが集まっていた。
別に集まる事はそれほど珍しくはないが、今日は珍しい仲間がオンしており、それがきっかけで集まっていた。
 サイファ「カニさん、仕事忙しそうですね。」
 キャンサー「うん、でもせっかく盛り上がってるし、ちょっとでも参加したくてぇ~w」
 真でれら「それにしても、喋り方変わりすぎ~」
キャンサーさん。
通称カニさん。
カニさんは前作で、サイファ軍所属の主要メンバーのひとりだ。
打ち上げにも参加していて、その時に分かったらしいのだけれど、結構有名な女優だったのだ。
名前を「中山西子なかやまにしこ」通称「しゃこたん」と呼ばれている。
前作の頃は今ほどは売れてはいなかったので、ゲームにも結構参加していたようだけど、今では超売れっ子で、アイドル業、歌手、タレントと、忙しくてゲーム参加どころでは無くなっていた。
しゃこたんが宇宙の絆をやっていた事は、ファンの間では有名だけど、それがどのキャラクターなのか、知る人は少ない。
ゲーム終盤までプレイしていた事は、しゃこたんブログに書いており、ジーク軍、紫苑軍、サイファ軍、ダイユウサク軍、グリード軍あたりに所属していた事は予想されている。
そして俺も今日まで、しゃこたんがサイファ軍にいた事は知らなかった。
 キャンサー「うむ。俺おかしいか?(笑)」
 LOVEキラ「ははは、カニさんだ。」
カニさんは、どうやらばれないように、前回では男喋りしていたらしい。
ネカマもいれば、その逆もあるって事ですな。
 アライヴ「それにしてもあのしゃこたんがサイファ軍にいたなんて。そして話せるなんて嬉しいです。」
俺はちょっと浮かれてしまっていた。
 紫苑「ハンドルハンドル」
 アライヴ「あっ!すみません。」
ゲーム内では、個人を特定できるような事は言わないのがマナーだ。
俺は浮かれてつい、しゃこたんと言ってしまった。
 キャンサー「大丈夫だよw特に隠してるわけでもないから。」
 サイファ「えっ?マジっすか。でも騒ぎになるかも…」
そのとおりだ。
あの、今や超アイドルのしゃこたん、それがココにいるなんて知ったら、みんなが集まってきかねない。
と、思った直後、チャットに大量の反応があった。
グリード軍のメンバーが、一気にキャット通信に入ってきた。
俺の一言でチャット画面は一気に流れ、俺が話に参加する余地が無くなってしまった。
カニさんへの確認や質問が大量だ。
同盟軍入り乱れてのチャットだったので、友軍チャットで行っていたから、ほとんど全員集合だ。
結局戦闘開始10分前まで、カニさんはたくさんの人達といっぺんにチャットしていた。
涼しい顔で。
って、見えないけれど。
流石、オタクアイドルとも言われているのは、伊達では無いって事か。

さて、戦闘が始まったが、そこからも更に大変だった。
カニさんも今日は戦うとかで、人型で出撃。
それをとりまくように、たくさんの人型が、人型キャンサーの周りを固めていた。
キャンサーさんには、1発たりとも攻撃を当てさせるなってのが合言葉のようで、身を挺して守っているようだった。
正に親衛隊のようだ。
敵からすればその行動に疑問を持つのは当然で、逆に敵を集めていた。
今日の戦いは、なんだか満員電車の中で戦うような、そんな感じだった。
敵のほとんどは、カニさんと親衛隊に任せて、俺たちは軽々と本拠地を落とした。
こんなに簡単で良いのか?なんて思っていたけど、親衛隊の多くが所属しているグリード軍の損害は、過去最高だった。
それでも親衛隊の人達は、皆満足そうだった。
損害も多かったが、楽しく勝利できたのだから、それで良いのだと思った。
23時過ぎ、カニさんは戦場から消えていった。
なんだか嵐が過ぎ去った後のような状況が残された。


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