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楽しき逆境

ほぼ全てのプレイヤのテストバトルが終わった。
俺がテストした中で一押しはもちろん、チョビ。
次がまあレイズナーさんって事になるんだけど、それよりは今後に期待って事で、ハルヒ君の方が俺は好きだ。
もちろんハルヒに君をつけているから、男なのだけど、最近ハルヒって名前の「男」が多いのは何故だろうか?
 アライヴ「そんな感じですね。他はどうですか?」
 じぇにぃ「こっちはぁ、ひとりつぉぃひとぃたよぉ。わたしぃよりもよわぃけどぉ~」
人型パイロットで強い人は、俺も一応対戦させてもらった。
確かにじぇにぃがテストした、暗黒天国さんは強いんだけど、機体に金かけすぎっていうか、とにかく機体の性能でかなり強さを作っている感じだ。
まあひとりくらいあれくらいの機体を動かす人がいても、そんなに負担にはならないけれど、やられたら悲惨だよなぁ。
 紫苑「こっちはひとり使える人いた。別の意味でもうひとりいるけど。(^-^)」
 アライヴ「へぇ、どんな人なんですか?」
気になる。
別の意味ってなんだろうか。
 紫苑「名前がジーク。(笑)」
・・・
確かに。
紫苑さんなら、名前も利用して戦略を考えそうだ。
 紫苑「では、階級と所属変更を発表します。」
ほう、所属も変更があるのか。
そらそうだろうな。
 紫苑「まず、レイズナーは大佐にして、重要拠点以外全ての場所をまかせます。」
なんと!
あんな人にまかせるなんて、やばくね?
 紫苑「任せるのは、先ほど名前が出た人以外全て。勝手にさせます。ああ見えて彼は慎重な人だ。勝算の無い戦いはしかけないし、負けてもいい場所しかまかせない。ようは俺が全部管理するのが面倒だから、最前線と重要拠点以外の面倒事を引き受けてもらう。」
確かに、今後領域が増えたら、一人で管理するにはしんどいだろうな。
そのあたりを任せて、戦闘に集中するって事か。
 紫苑「一応、光合成中尉を補佐につける。最悪、光合成さんがなんとかしてくれるでしょう。」
光合成さんは、テスト初日にじぇにぃがテストした、そこそこ戦える人型乗りだ。
現状なら、ハルヒ君よりも強いんじゃないかな?
俺とじぇにぃのレベル感覚が同じなら。
 紫苑「壁には今までどおり、呼び出しに応じられるように単機でコロコロコロニーに常駐してもらう。」
ほう、シオンまではもう敵はこられないという判断か。
今後本拠地はコロコロね。
 紫苑「てきとーは、後で誰か欲しい人がいたら言ってくれ。階級の低い奴で育てたい奴ね。そしててきとーに動いてもらう。」
 てきとー「はいよ。」
ほんと、てきとーさんって、適当なんだな。
 紫苑「美夏は、いる時は今後旗艦に同乗してもらう。俺が出撃する事もでるだろうから。」
おお!
紫苑さんが、人型で?
まあたまに出ていたけれど、本気で戦った事を見た事がない。
でもおそらくは強いんだろうな。
 紫苑「で、旗艦には後、じぇにぃとハルヒが乗る。」
なんと!俺がはずされた?
今までじぇにぃとコンビを組んで来たのに、何故だ。
 じぇにぃ「ぁれ?ァラィヴさんと、べつ?」
 紫苑「ああ、今後はハルヒとコンビを組んで、ハルヒを鍛えてくれ。もしくは俺と組んでもらう。」
ハルヒを鍛える為に、じぇにぃと組むのはわかるけど、紫苑さんと?
まあいままで戦い方を見てきて、紫苑さんが判断したんだから、おそらくはそれでいけるのだろう。
 紫苑「ジークは、面白いから、今後いろいろ考えて使う。旗艦の名前はバルバロッサにしてもらって、ビジュアルも真似する。」
まあ当然だろうな。
 紫苑「星には、暗黒天国を預ける。使えるだろ?(笑)」
 スピードスター「♪」
なんだかわからんけど、星さんが巧く使えるようだ。
って、まだ俺の配属がわからんけど、残ってるのって。
 紫苑「で、紫陽花のパープルフラワーに、アライヴとチョビだ。」
って、ええ!!
俺の天敵チョビと?
フェンネルを使うと、チョビの拡散ビームが邪魔になるから、共闘はきついような。
 紫苑「チョビは単機戦闘が得意そうだから共闘を覚えて欲しいし、アライヴは天敵を克服してほしい。(笑)」
なるほどねぇ。
戦闘の本番、真の敵であるジークやダイユウサク軍との対戦は先になるだろう。
それまでに、もっと強くなれと、そういう事か。
望むところだ。
確かに最近じぇにぃとの共闘で、ぬるい戦いをしてきたから、いまいち成長してないんだよな。
こうして、実戦での俺の特訓は始まった。
つーか、また子供のお守りですかぁ?

チョビとの共闘。
 一生「くっ!」
どうしてもフェンネルを使ったら、あの盾が邪魔になる。
盾の設定を熱感知にしなければさほど邪魔にはならないけれど、それだと敵を落とす事もできないし意味がない。
かといって、フェンネルを使わないなんて、俺の戦闘スタイルから反する。
どっちにしてもどちらかが戦い方を変えない限り、共闘は無理だ。
チョビに、何故拡散ビーム砲付きの盾を使っているのかと聞いたら、デフォルト機にこの盾しか持っていないからだそうだ。
それにこの盾は、親が誕生日プレゼントで買ってくれた商品についてきたアイテムらしい。
だからどうしても使いたいのだそうだ。
そういった愛着や愛情が、強さを作る事を俺は知っている。
俺のフェンネルもそうなのだから。
使う人が少ないフェンネルを、完全に使いこなせているのは、ひとえにフェンネルへの愛。
まあそんなわけだから、盾を自在に操れるように、左腕の強化や、盾を使っても有る程度動けるパワーアップを、軍の予算でやったわけだけど。
此処は俺がおれるしかないかもな。
そうするとして、この子と共闘するなら、どんな戦闘が一番合うのだろう。
この盾をもっている限り、敵はフェンネルは使えないし、下手に近寄ってくる事も不可能だ。
接近が有るとするなら、拡散ビームを撃った直後のタイミングで近づいてくるだろう。
もしくは圧倒的スピードで後ろを取るかだけど、パワーアップしたチョビのガードナーの後ろはなかなかとれないはずだ。
でも背後がとれないような相手だったら、チョビには勝てないだろうし、俺はそれ以上に強い相手の事、つまり背後をとってくるような相手をフォローできれば良いのではないだろうか。
盾の攻撃範囲は、前方ほぼ180度であるわけだから、後方180度なら、俺のフェンネルも使えるじゃないか。
同じ敵を狙う、又は同じ敵を向いているから、今のフェンネルの設定では使えないんだ。
今は自分と敵の位置から、フェンネルをドーム型に配置している。
これを別の対象や形で配置すれば、うまくいくのでは?
チョビと共闘する時は、ガードナーを対象に後ろに配置したいところだけど、それはできないから、俺の機体の向きで配置するか。
俺のメインモニタの隅を囲う形で、フェンネルを円状に配置する。
距離は俺の得意な間合いを少しずつ調整するとして、もし同じ敵を相手にする時は、モニタは後方カメラを使う事になるから、後方カメラの性能を少し上げる必要があるな。
いっそ前後全く同じカメラをつけて、切り替えられるようにするのはどうだろうか?
共闘は並んで、もしくは背中合わせで戦う事になる。
フェンネルの設定を後方にして、共闘ってのもあるな。
この場合、長距離攻撃の強化が必要になる。
この際だ。
キュベレイはあきらめて、SSかもしくは前に使えそうでキープしていた機体を、チョビとの共闘用に改造してみるか。
戦いながら、色々試しつつ、頭の中で新しい人型像を創造していった。
なんとなくイメージはできあがった。
 一生「よし!次回までにコレ作ってみるか。」
戦いながらメモした紙を見ながら、俺は久しぶりに強敵に立ち向かう時のわくわく感を味わっていた。

子供はみんな寝ている丑三つ時、俺は予算とキープしていた部品を駆使して、第三の人型作成に燃えていた。
ベースは前に拾って取っておいた、肩に羽根のようなものがついたタイプだ。
キュベレイ好きな俺にはやはりこの形があっている。
スピードもかなり出るし、瞬発力が半端じゃないから。
一瞬の動きが勝負を決めるのは、上級者では当然だ。
ほんの一瞬が勝敗を分ける戦いは、これまで何度かやってきた。
その全てで負けなかったのは、瞬発力のおかげ。
まあそれも、瞬発力をおりこんだ戦い方をしているから、そういう結果になるとも言えるけど。
ドリームは、機体が瞬発力重視でなくても、自身の反射神経とコントローラーさばきで、この俺の瞬発力機を超えている。
瞬発力がなくても、先を読み正確な操作でそれを補うカズミン。
この二人に、俺は現状勝っているとは言えない。
ドリームに関しては、今日明日で能力で超える事はできないだろう。
だったら何で勝つか?
バトルグリードでドリームに勝った人を調べてみたら、カズミン以外では、だいたいが初戦、そして同僚のダストだけが、戦いの中で多く勝っていた。
調べたら、ダストは奇策戦術に優れたプレイヤである事がわかった。
一言で言えばアイデアだ。
ドリームより強くなるには、今はアイデアしかないだろう。
 一生「できた。」
作成していた新型の人型ができあがった。
といってもプロトタイプだ。
まだ足の一部と、両腕の部品が足りない。
代わりに普通の両手両足だ。
実は新型機を作る為に、新パーツの開発を始めていた。
普通に考えて、さほど難しい開発ではない。
少しコストがかかるのと、どれだけパフォーマンスを下げないかってのが難しいだけ。
だからパフォーマンス無視のと、パフォーマンスを落とさないものの開発をしていた。
パフォーマンス無視のは、すぐにできあがるだろう。
俺は画面の機体を見て、少しわくわくした。
 一生「よし!」
此処までやって、俺はパソコンの電源を落とした。

慢心

今日の戦闘に、開発は間に合わなかった。
だけど、試作機で試したところ、この方法ならそこそこやれる事がわかった。
チョビとの共闘は、お互いの背中をお互い守るのが基本だが、俺はどちらかと言うとサポート。
フェンネルで狙うのは、背後にいるチョビと戦闘をおこなっている敵。
そして俺は後ろにいる敵に攻撃をするわけだ。
即ちチョビと戦闘している敵となるのだけど。
チョビの背後、即ち俺の前方に敵が現れた時だけ、俺はサポートを中断して目の前の敵に集中する。
後ろへの攻撃は、普通ならやりにくいが、前後同じカメラをつけ、切り替えて使う。
だから背後への攻撃も、実質前に攻撃するのと変わらない。
ただ、腕や足の規格から、攻撃の範囲が限定され、融通がきかない部分があり、それを補う為の新パーツ開発だ。
今のところそれができていないから、まだ本当の検証はできていない。
それでもこれだけやれるのだから、良い戦術と言わざるをえないだろう。
フェンネルを使って、チョビと共闘できているだけでも凄いのに、正直チョビに近づける敵はいない。
フェンネルで牽制して、チョビがしとめる。
チョビのライフルは、じぇにぃのライフルほど威力もないし、射程も短いけど、正確さは負けていない。
接近されそうになった場合の対応も早い分、ギリギリまでライフルで戦える。
そして最後には盾だ。
チョビだけでも接近できる敵は限られるのに、俺が完全に押さえれば、単機で俺達に勝てる敵はまずいないだろう。
ドリームでもカズミンでもやれる。
まあ2対1で粋がっても淋しいものがあるけれど、勝てる算段があるだけでも良い。
後は戦略戦術でそういった場面を作れれば良いのだ。
じぇにぃもいるし、紫苑さんだってかなりやるはず。
サイファさんのところと組めれば、今日子さんにどちらか押さえて貰う事も可能。
どうやって勝てば良いのかわからなかったドリームやカズミンに、勝てる可能性が見えてきただけで、俺は俄然やる気がでてきた。
これはチョビのおかげだな。
チョビのおかげで俺の戦闘パターンも増えたし、きっと強くなる。
もしかしたらこうなる事を、紫苑さんは見越していたのだろうか。
そうなら流石紫苑さんだな。
改めて紫苑軍である事に喜びを感じだ。
 チョビ「そろそろわたし寝ないとお母さんが…」
 アライヴ「ああ、おけおけ。後は俺だけでもなんとかなるし。パープルフラワーに戻りな~」
 チョビ「はーい!おやすみなさいー」
 アライヴ「おやすみ~」
さて、チョビの欠点はこれなんだよな。
良い戦いをしていても、23時前にはネットから落ちなければならない。
今日この程度の敵だったらなんとかなるけど、相手が強敵だったら致命傷になりかねないからな。
 紫苑「そっちにじぇにぃ行かせようか?」
 アライヴ「ああ、大丈夫です。楽勝でしょ。」
 紫苑「大将そっちに行ってるけど。」
・・・って。
 一生「ええーーーー!!」
なんと、今日攻めている砦は、結構重要拠点だとは言え、大将自ら人型で出て守る所か?
まあ、俺の常識に当てはめても仕方がない。
目の前には大将自ら出陣してきているのだ。
此処は俺と、敵大将の一騎打ちだ。
大将の名前は、「サクラ」か。
この名前は使っている人が多いから、特定するにはIDを見ないとね。
見ると昔から知っている、しょぼくれプレイヤの「サクラ」だった。
なんだ、楽勝じゃん。
そう思ったのもつかの間、凄いスピードで後ろに回り込まれる。
 一生「はやい!」
俺は全速前進、そして左に旋回。
 紫苑「サクラは前のゲームでは糞プレイヤだったけど、アクション系はかなりの使い手だぞ~」
って、今更言われてもわかってしまってるんですけど~
そして今更助けてとも言えねぇ~
 アライヴ「大丈夫です~」
俺はこれだけ送り返すので手一杯だった。
機体の能力だけなら、スピードはあちらに分がある。
俺はフェンネルの設定を変更した。
コレでそう簡単には近寄ってこれまい。
共闘用そのままでも、並の敵なら楽勝なんだけど、この敵はそう簡単ではなさそうだ。
気を抜くと簡単に背後を取られそうになる。
そんなに背後が取りたければ、取らせてあげようじゃないか!
俺はいつもの、逃げると見せかけてフェンネルで蜂の巣にする戦術を使う事にした。
敵を取り囲むフェンネルが、サクラを攻撃する。
 一生「いまだ!」
その瞬間反転して全速前進。
これで後方のフェンネルも敵を攻撃する。
これだけの一斉攻撃、かわせまい。
まあ、これよりもひどい状況で、ドリームはかわしてきたけどね。
そんな事を思っていたら、サクラ機もこれだけの一斉攻撃をかわし、更にビームライフルで攻撃してきた。
 一生「おい~」
マジかよ。
あれをかわすか?
でも、何かかわしかたが引っかかるな。
考えている間に、爆発音が響く。
 一生「しまった!」
考え事をしていたら、足にビームを当てられてしまった。
足で良かった。
宇宙では大して影響は無い。
バランスが少し崩れるかもしれない程度だ。
  一生「くそっ!もういっちょだ!」
かわし方が何か引っかかったので、俺はもう一度フェンネルでの攻撃を試みる。
不自然に思われないように、上手くフェンネルの射程の中に誘い込む。
そして素早く反転して、フェンネルの後ろへと逃げる。
今度はカメラを後ろのカメラに切り替えた。
しっかりと敵のかわし方を見る為に。
フェンネルの動きがすぐに止まり、一斉射撃。
 一生「って、もしかして、フェンネルが通用しない?」
フェンネルの攻撃は、上手いタイミングでかわされ、更に攻撃もされる。
今度はカメラが切り替えられていたので、敵の攻撃は簡単にかわせた。
しかし、なんだろうか。
フェンネルが、もしかしてフェンネルの攻撃タイミングが読まれている?
それにフェンネルの攻撃する瞬間、一瞬敵機の動きが止まったように見えた。
 一生「キュベレイならフェンネル無しでもやれるのに!」
今俺が操縦しているのは、第3の機体、今開発途上の機体だ。
名前はまだ無い機体だが、機体の性能が落ちたら、俺はこれほどまで使えないのか?
否!
何かフェンネルを上手くかわす方法を、敵は持っているのだ。
それが分かれば、それを逆手にとれば、きっとやれるはず。
俺はもう一度、同じ作戦を使う事にする。
片足を失った機体が、少し悲鳴を上げている。
これだったら、もう片一方の足も必要ないな。
俺は、もう一方の足と、破壊されてほとんど残っていない足を、付け根から切り外した。
多少軽くなったが、足から出る推進力も失われるから、スピードは変わらない。
が、安定感は出た。
上手くフェンネルの射程内に誘い込み、反転前進。
フェンネルは一瞬俺の動きについて行こうとするが、すぐに動きを止めて、敵を一斉砲撃した。
今度も同じように、敵機は一瞬動きを止めたかと思うと、上手くフェンネルの射線を外して、そのままこちらに攻撃してきた。
 一生「あっ!なるほどw」
俺は気がついた。
フェンネルは、攻撃する時、必ず一瞬動きを止める。
動きながら撃っても、狙いが安定しないからだ。
前にドリームが、全てのフェンネルの攻撃をかわせたのは、おそらく止まったフェンネルの射線を見極めてかわしていたのだろう。
そんな芸当は、普通の人間にはそうそうできるものではない。
俺でもおそらくは数機のフェンネルからの攻撃でできれば良い方だ。
それをこの大量のフェンネルでできる人が、何人もいるとは思えない。
さすれば答えは簡単だ。
チョビがいなくなってから出てきた事、大将ではなく、俺に戦いを挑んできた事、それはフェンネルに対して対策があったからだ。
おそらくフェンネルの止まった瞬間、射線を計算して、自動でその射線を外すようなシステムを開発でもしたのだろう。
ならば、それを逆手にとれば良い。
俺はそう断定すると、もう一度同じ事をやるように見せて、フェンネルの射程に敵を誘い込んだ。
敵は、何度やっても同じだよと言いたげに見える。
しかし、今回は少し違うぞ。
私は今までと同じように、反転して全速前進。
さて私の考えが正しければ・・・
私はカメラを後ろに切り替え、チョビと共闘する時のように、後ろへの攻撃をする。
タイミングは、フェンネルの攻撃タイミングと同じ。
私の予想が正しければ、フェンネルの射線を外す事はするけど、その間、操作に自由はきかないはずだ。
フェンネルの射線上以外の攻撃は、避けないはず。
予想どおり、見事にサクラ機に俺の攻撃が命中した。
一度的中してから後は楽だった。
混乱した敵は、敵ではなかった。
私はサクラ機を戦闘不能までにして、そして更に完全破壊した。
大将だけは、それが許されいるし、それをする事が目的だから。
サクラ軍は、次に大将になるであろう人が、それを受け入れなかったので、壊滅する事となった。
しかし、今回の戦いは、思いの他苦戦した。
それは、今までの戦い方に慢心して、油断していたのが原因だろう。
俺は反省の意味も込めて、この機体に、テンダネスと名付けた。
それにしても、フェンネルだけをターゲットにする、こんなシステムを開発する人もいるんだねぇ。
フェンネル使う人なんて、かなり少ないし、これだけ多く使う人に限れば、何十人もいないだろうに。

強敵出現

クライアントとは、依頼人や顧客の事なのだけど、何故ネットゲームやなんかでは、我々ではなくゲーム会社の方をクライアントと呼ぶのだろうか。
正確には、どうやらゲーム自体、アプリケーション自体をそう呼ぶところから、そのゲームやアプリケーションを提供している会社も、ひっくるめて呼んでいるからのようだ。
でも、ゲームをしている我々にとって、会社がどこかなんて問題ではなく、ゲームの中で生きる者にとって大切なのは、その世界の中での出来事なのだ。
だからどうでもいいのだけれど、ゲーム内では、パーツ開発の依頼をしてる俺こそがクライアントだよね、なんて思う今日この頃。

今日、先日開発を開始していたパーツに関して、クライアントから返事がきていた。
性能を落とさないようにと思って開発した物と、とにかく動くものと、2種開発していたわけだけど、どうやら先の方は失敗だったようだ。
クライアントからのメッセージには、「アイデアが無い」旨が書かれていた。
簡単にいえば、高い性能を求めるパーツ開発には、それなりのアイデアをって事だ。
アイデアが無いからまかしていたんだけど、どうやら甘い考えだったらしい。
そして、メッセージはもうひとつあった。
このパーツの意図が分かっているようで、それに関してだ。
俺の依頼したパーツは、関節である。
普通ひじは、まっすぐになってから、逆には曲がらない。
それを曲がるようにしたものだ。
そのパーツでやりたい事は、後ろも前も、同じように動ける人型を作る事。
それができれば、背後を取られるデメリットは完全に無くなるわけだ。
それは蔵のほうも分かっていて、それでこのメッセージだ。
 蔵「前後を逆にして戦う場合、体にうけるGも逆になるが、ゲームではそれを考慮できず、経験値による制限をかける事にする。」
そういった内容だった。
ちなみにこのメッセージは、どうやらゲームシステム全てに関する事なので、全てのユーザーに伝えられているようだ。
もちろん、後ろ向きに戦う場合、コックピットも後ろ向きにできる方法があるなら、その制限はうけない。
で、元々人型には、倒した機体の数や、戦闘時間から、経験値とレベルがついている。
レベルが3以上になれば、それほど強さには関係がなくなるのだけど、レベル1の機体に乗る場合は、多少の制限がある。
初めて他人の自動車に乗ったら、なんだか乗りづらい、まあそう言う事だ。
そして、人型にメインカメラを複数つけた場合、カメラごとに経験値などが分散するシステムへと変わった。
ひとこで分かりやすく言うと、ひとりで持てる人型の数は、5機と決まっているが、今後は、メインカメラの数で管理するって事になるのかな。
メインカメラの無い機体が存在したら、それはそれで1機とカウントされるわけだけど。
もっと分かりやすく言うと、俺のテンダネスは、同じ機体でありながら、経験値とレベルの観点から見れば、テンダネス表とテンダネス裏の2機もっている事になるってわけだ。
それにしても、俺が依頼したパーツで、俺のアイデアで、これだけ蔵を動かしてしまったのが、ちょっと申し訳なかった。
なんにしても、一応関節パーツのひとつは完成していたのだから、とりあえず試してみる事にした。
パーツの付け替えは、ゲーム内のメカニックに依頼して、数時間を要した。
その間、俺は飯を食べて、風呂に入って、テレビを見ていた。
完成のメッセージが届くと、早速シミュレーション能力値を表示してみる。
 一生「思ったよりきつー!」
パワーダウンどころか、パワーは半減しており、当然だけど、重い装備はできそうにない。
ビームライフルでも命中率が若干下がる。
 一生「持ちかえはできないけれど、内蔵するしかないかぁ~」
ビームライフルだと、燃料分撃ち切っても、取り替えができて便利だ。
しかし腕に内蔵したタイプだと、取り替えもできないし、機体本体の燃料の消費も早くなるのが欠点だ。
利点はもちろん、軽量化できて、装備の持ちかえが必要無く、イニシアチブをとりやすい。
 一生「今度はライフル持とうかと思ったけど、俺の宿命かな、」
そう、キュベレイは、ビームライフルが腕に内蔵されている機体だ。
だから使い慣れていると言えば、使い慣れているし、コレで良いかと諦めた。
後の問題は、近接格闘系がかなり弱くなる事。
蹴りを入れてもダメージは少ないだろうし、攻撃を受けとめようとしたら、関節は壊れそうだし、そのままやられそうだ。
ひとつの利点が、多数の欠点を生む形か・・・
それでも、せっかくだから、俺はこのテンダネスを完成させようと燃えていた。

それ以降の戦闘は、極力テンダネスで出撃した。
しかも、後ろのメインカメラを使った、後ろ向きでの戦いだ。
といっても、チョビの後ろに隠れて、敵をコッソリ狙うんだけど。
 一生「まだ射線がずれてやがるよ。」
こんな戦いを繰り返し、既に1週間。
レベルはようやく5まで上がったが、マイナス修正はまだまだ体感できるほど大きい。
 チョビ「どうですかー?調子は?」
チョビが突然話かけてきた。
 アライヴ「まずまずだな。もう少しなんだけど、後数日でなんとかなると思う。」
 チョビ「そうですかー!ココまで強い人いなかったから良かったけど、そろそろ強い人きそうですよー」
 アライヴ「そら、戦ってたら強い奴もいるだろうからな。」
何故チョビがいきなりこんな事を言い出したのか、分からなかったから適当に返事を返した。
そしたらまた、チョビから通信が入る。
 チョビ「ほら。星さんが苦戦してますよ。」
 アライヴ「マジか!」
どうやらチョビは、戦闘を行いつつも、他の状況も把握しているようだった。
俺は広角カメラでマップを広げ、星さんの戦闘空域を映し出す。
見ると確かに、星さんは苦戦しているようだった。
というか、逃げ回っていた。
それを見た瞬間、紫苑さんから通信が入る。
 紫苑「悪い。星の救援頼む。」
 アライヴ「了解です。」
かなり状況は悪いようで、紫苑さんにも余裕は感じられず、それ以降紫苑さんからの返事は無かった。
 チョビ「早く行きましょう。」
通信は、チョビにも送られていたようだ。
 アライヴ「おけw」
俺たちはそれだけ通信をかわすと、星さんのいる空域へと向かおうとした。
しかしそれはすぐに阻止される。
目の前に、1機の人型が立ちふさがっていた。

最大の敗戦

宇宙の絆Ⅱは、少しずつ勢力が整理されつつあった。
宇宙では、拠点が1つしか無いような勢力は、少しずつ淘汰され、もう後数勢力しか残されていなかった。
そのうちのひとつが、今回の攻略ポイント、有人要塞イゼルローンだった。
まだ残っている勢力なので、そこそこの強さは予想していたが、拠点が1つであり、人型の数も限られているので、簡単に攻略できるものと思っていた。
油断していた。
ココまで残っている事に疑問を持つべきだった。
星さんは完全に押されているようだ。
紫苑さんのところも、じぇにぃと互角に戦う機体があらわれたらしい。
いや、むしろ押されていて、紫苑さん自身が、援護しているようだ。
そして俺の目の前にあらわれた機体は、何か迫力があった。
名前はサラで、階級が曹長。
人型名は、レッドストーン。
正直聞いた事はない。
しかし俺が軽く攻撃して抜けようとしても、全く隙は無かった。
突然通信が入った。
サラからだ。
受信しない事もできるが、俺は回線を開いた。
 サラ「こんにちは。あなたね、夢ちゃんが言っていたのは。」
一瞬意味がわからなかった。
 サラ「あ、夢ちゃんって、ドリームの事ね。」
 一生「ええええ!!」
なんだ?
このサラって人、ドリームとリアル友達か何かなのか?
 アライヴ「えっと、ドリームが何か言っていたのかな?」
 サラ「ああ、ごめんごめん。あなたの事、なかなか強いって言っていたから、覚えていたのよね。」
 アライヴ「ありがとう。」
よくわからないが、あのドリームが俺の事を強いと言っていたらしいから、少し嬉しかった。
 サラ「でも、機体はキュベレイって聞いていたんだけど、今日は違うのね?」
いったいこの人は何が言いたいのか?
正直話してる場合でもないのだけど。
そんな空気を察したのか、チョビが星さんの救援に向かおうとする。
しかしサラのレッドストーンが、すぐにその行動を阻止する。
サラはなにやらチョビに通信を送ると、またこちらに通信してきた。
 サラ「それがあなたのメインの機体なの?」
どうやら話さないとダメみたいなので、俺は話す事にする。
 アライヴ「これはメインではないけど、今後メインにする予定だよ。」
 サラ「あら、そう。なら、それなりの戦いはできるわね。おふたりお相手お願いするわ!」
なんだかわからないけど、とにかく戦闘再開らしい。
勝手だと思いつつも、俺とチョビは構えた。
 サラ「では、いくわよw」
その通信を最後に、サラはこちらに攻撃を開始した。
 一生「早!」
動きはやたら早かった。
どうやら標準スピードタイプの機体のようだ。
しかし、俺たちは二人だし、コンビであればドリームだって倒せる算段もあった。
早く倒して星さんを助けないと。
チョビとの共闘で、初めてのマジ勝負だった。

その頃、星さんは追い詰められていた。
スピードは星さんが圧倒的有利なのだけど、敵の攻撃は強力で、少しでもかすると、そこそこのダメージを受ける。
おそらく星さんがココまで苦戦する戦いは初めてだろう。
なんせいつもならスピードで、最悪逃げるわけだけど、それすらも許さない攻撃の嵐が星さんを襲っていた。
少しずつダメージが蓄積される。
全てを把握している紫苑さんが、ハルヒ君を救援に向かわせていたが、じぇにぃと戦っている敵が、簡単には許さない。
この2機は強い。
なんとかハルヒ君が到着した時には、星さんの流星は、戦闘不能状態になっていた。
 ハルヒ「紫苑さんダメです。星さんは既に戦闘不能です。」
 紫苑「なんとか回収できない?」
そんな通信をしていると、流星を墜とした機体、サウスドラゴンは、今度はハルヒ君の機体、ウイングガンマに襲いかかった。
通信など、できる状況ではなくなった。
紫苑さんは、最後の手段か、自ら出撃した。
旗艦パープルアイズは、先日のテストで、唯一艦長として見出された、小麗に任せて。
流石に2対1になったら、敵のマイヒメは押され始めた。
そこに、ハルヒ君をあっさり倒してやってきた、サウスドラゴンがやってきた。
再び2対2で、戦況はこう着した。

こちらは2対1なのに苦戦だ。
ドリームでも倒せるはずだったが、それはあくまで俺が完全体であったならの話。
最近は温い戦いばかりしていたし、この機体はレベルを上げる為の出撃なので、手抜きチューンナップバリバリだ。
それでも勝たなければならない。
紫苑さんの方も苦戦しているし、このままでは全滅もあり得る。
もし俺たちが負ければ、このサラのレッドストーンはあちらに向かうだろう。
さすればおそらく撤退だ。
うまく撤退できれば良いが、失敗したら全滅。
今までで最大のピンチだ。
それにしてもこのサラ、強い。
チョビの戦い方を瞬時に見抜いたのか、正面からは接近してこない。
まああれだけのでかい盾、何かあるとは思うわな。
そして攻撃が正確だ。
こちらの攻撃タイミングに合わせて、うまく隙をついて攻撃してくるから、不用意に動けない。
1対1なら、チョビよりも上の敵。
それをサポートしたいのだけど、フェンネルの威力が発揮できる射程には入ってこないし、完全に俺は置き去りだ。
このままではこう着状態、一か八か、勝負をするしかない。
 アライヴ「一か八か、勝負にでるから集中してくれ。返事はできないだろうから良い。」
俺はそれだけチョビに通信を送った。
こんなギリギリの戦闘中に通信ができる俺って、ホント役に立ってないな・・・
そんな事を思う中、俺は勝負に出た。
フェンネルの設定を、背後から背後ではなく、敵の向こうからこちらへの攻撃に切り替えた。
これだけの距離があれば、拡散ビームでフェンネルが墜とされる事もないだろう。
途端に、今までの位置から、フェンネルが高速で移動を開始した。
すぐに敵の背後へと到達する。
それをいち早く察知した敵は、好機と思ったか、それとも危ないと思ったか、フェンネルの攻撃を回避する為、こちらへと高速で向かってきた。
これで、ある意味いつもの俺の戦術だけど、こちらの機体のメインはチョビ。
敵と共にフェンネルが近づいてくれば、フェンネルの攻撃を自分に受ける危険性もあるし、拡散ビームでフェンネルを撃ち墜とす危険性もある。
そんな中、敵はこちらに向かってくる。
普通ならピンチだけど、こちらには拡散ビーム砲を持った盾がある。
それに敵は、フェンネルよりも早く、こちらに近づいてきてくれていた。
 一生「今だ!」
俺はゲームの中へは聞こえない声を上げていた。
盾から拡散ビームが発射される。
これはそう簡単にはかわせないはず。
しかし、よく考えたら読まれていた戦術。
ギリギリのところでかわして、俺たちの背後へとまわってきた。
これが、1対1の戦いなら、完全に負けていた。
俺の機体が、ただのしょっぱい機体でも負けていた。
しかしおれの機体は、背後にメインカメラのついている、特殊な機体。
そして今までの戦い全てが、背後への攻撃。
俺は今日初めて、メインカメラを前方へと切り替えた。
今まで制限されていた枷も、全て外れた。
全く予想しない事がおこったからビックリしたのか、それとも俺の目にそう映っただけなのか、レッドストーンが一瞬止まって見えた。
ロックオンは早かった。
ピームを発射すると、すばやくビームソードを持って、斬りつけた。
この一撃が勝負を決めた。
チョビがレッドストーンをライフルで仕留めて戦闘不能にした後、俺たちは紫苑さん達の救援に向かった。
紫苑さんは、マイヒメ相手にやや優勢に戦っているようだったが、じぇにぃがかなりやられていた。
もう10秒ももたないかもしれない状況。
俺たちはギリギリだった。
 アライヴ「じぇにぃ、戻っていいぞ!」
俺はそれだけ言うと、今度はサウスドラゴンを相手にしようとした。
しかし結局戦闘にはならなかった。
 紫苑「撤退する!」
紫苑さんの撤退命令だった。
確かにこのままやると、俺たちは全滅の危険もある。
だけど、星さんとかハルヒ君とか、どうするのか。
 小麗「回収完了しました~w」
 紫苑「御苦労(^-^)」
どうやらあの状況で、小麗さんが回収していたようだ。
なかなか凄い。
戦況が不利な中、艦船だけで敵の中を突っ切ったのか。
 紫苑「皆先に行って。俺とパープルアイズなら、大丈夫だから。」
少し心配だが、紫苑さんなら大丈夫だろう。
それにパープルアイズは、超高速艦だ。
撤退は、スムーズにいった。
どうやら敵も、そろそろきつい状況だったようで、追撃はなかった。
皆無事戻っては来れたが、今までで最大の敗戦だった。

明けない夜はない

イゼルローン攻略が失敗に終わり、皆で反省会をしていた。
というか、ただの雑談だけれど。
 じぇにぃ「ぁぃつつよぃよぉ~wこっちがこぅげきしても、かぃひせずにむかってくるしぃ~むちゃくちゃだよぉ~」
じぇにぃの戦いは、フェンネルでけん制して、回避するところを狙い撃つ形だ。
それなのに、あのサウスドラゴンは、回避せずに突っ込んできたので、じぇにぃは完全に意表をつかれたようだ。
 アライヴ「なるほどな。じぇにぃとは相性が悪い敵だったか。」
 ハルヒ「それだけじゃないですよ。星さんも、僕も墜とされてますし。」
ハルヒ君の言うとおり、じぇにぃが墜とされそうだったのは相性だとしても、実際に敵の3機は強かった。
 スピードスター「でもさ、敵の3機、名前どっかで見た事あるんだよね♪」
 一生「え?」
星さんの言葉に、皆興味をもったようだ。
 紫苑「マジ?」
 ハルヒ「僕はしらない。」
 小麗「私も知りません。」
 アライヴ「チョビは?」
 紫陽花「チョビちゃんはもう落ちちゃったよ。」
そう言えば、チョビは撤退早々、11時を過ぎていたから落ちたんだった。
紫苑さんの撤退指示は、絶妙のタイミングだっという事か。
 暗黒天国「折れもそういった名前は、聞いた事ない。」
しばらく沈黙が続いた。
が、突然じぇにぃが声を上げた。
といっても、チャットの文字だけどw
 じぇにぃ「ゎかった!!!ゴッドブレスのメンバーだ!!」
 アライヴ「ゴッドブレス?」
俺には分からなかった。
しかし他の面子は、分かったようだ。
 紫苑「なるほど。」
 スピードスター「だな♪」
 紫陽花「それは強いよ。」
 ハルヒ「へぇ~あの人達が。」
皆納得といった感じだったが、そんなに強ければ、俺が知らないはず無いはずだけれど。
強い人の名前は、掲示板などで出ているはずだ。
俺が疑問に思っていると、じぇにぃが説明してくれた。
 じぇにぃ「ゴッドブレスはねぇ~バトルグリードでゆうめぃなひとたちだよぉ~。ドリームダストのらぃばるてきなかんじのぉ~」
なんと!
ドリームダストのライバル的な人達?
それならメチャメチャ強いんじゃね?
それなのに要塞1つって、このゲームではライバルな感じじゃないじゃん?
色々と疑問は湧いたが、考える間もなく会話は続く。
 紫陽花「でも変ね?ゴッドブレスはダイユウサク軍に所属してるって聞いたんだけど。」
え?何それ?って事は、そのバトルグリードで強い人達は、こぞってダイユウサク軍に?
ある意味それだと、バトルグリード連合軍対、宇宙の絆他連合軍の戦いみたいじゃないか。
 スピードスター「しかしイゼルローンの大将は、聞いた事ない名前だったぞ♪」
そうそう、だからそんなに強い敵だとは思わなかったんだ。
 紫苑「ダイユウサク軍の裏の軍だったのかもな。」
 じぇにぃ「ぇぇ~!ぁそこはフェアプレーのぐんだとおもってぃたのにぃ~」
確かに、ダイユウサク軍が、勝つために他に軍を持って、工作するような軍には思えない。
その後も、工作軍だとか、実はライバルだから別の軍だとか、色々話してはみたけど、結論が出るわけもなかった。
話も落ち着いて、そろそろ寝ようかと思った時だった。
突然の報告だった。
イルマ軍解散。
先ほどまで、俺たちが戦っていた軍の、解散報告だった。

イルマ軍の解散報告があって直後、紫苑さん、紫陽花さん、星さんの上官3人は、仕事の為だとかでネットから落ちた。
でも、イルマ軍の解散が気になった俺や、じぇにぃ、ハルヒ君、小麗さん、暗黒天国さんは、しばらくチャットをしていた。
 ハルヒ「解散って事は、どこかに負けたわけでもないし、どうしてだろう。」
 暗黒天国「なんにしても、明日はイゼルローン争奪戦が起こるな。」
 じぇにぃ「まぁ~たたかぇるなら、ゎたしはなんでもぃぃけどぉ~」
なるほど、皆が落とせずにいた有人要塞が空き家になったのだから、領土が接触している軍はもちろん、離れたところから、強行する軍もいるかもしれない。
しかし私はそんな事よりも、もっと気になる事があった。
それは、あれだけ強いパイロットが、軍を解散して何処に行くのだろうかって事だ。
やはりダイユウサク軍の人なのだったら、ダイユウサク軍に戻るだけなのだろうけど、どうも腑に落ちない。
みんなはチャットを続けていたが、俺はボーっと考えていた。
奇策で勝利したとはいえ、チョビの背後をあっさりとってきたレッドストーン。
星さんとハルヒ君を倒して、更にじぇにぃを追い詰めたサウスドラゴン。
やっぱり強かった紫苑さんには勝てなかったけど、おさえていたマイヒメ。
あの3機がダイユウサク軍に入ったら、今の俺たちには全く勝ち目が無さそうだ。
サイファ軍とおそらく共闘してあたる事になると思うが、それでも全然足りない。
ジーク軍と手を組む事も、検討しなければならないのか。
マクロ的な戦略戦術は俺は得意ではないし、紫苑さんにまかせるしかないけど、少し前までモチベーションが上昇していただけに、少しショックだ。
まだ、あの3機がダイユウサク軍に入るとは限らないし、ゴッドブレスは5人いると聞いている。
今回解散したイルマ大将は、どうやらそのメンバーでは無いらしいけど、そしたら後2人は何処に。
考えれば考えるほど眠れそうにないので、みんなが落ちた後も、俺はオンラインのまま、ディスプレイを眺めていた。
午前4時を過ぎた頃、俺はPCからの呼び出し音で目が覚めた。
どうやら寝オチしていたらしい。
チャット中だった画面は、みんなの「おやすみ」の文字が並んでいた。
そんなPCのディスプレイのスピーカーから、通信呼び出し音が鳴っていた。
どうやら誰かが、俺にアクセスを求めているようだ。
 一生「いったい誰だよ・・・」
俺は半分寝ぼけていたのか、通信相手を確認する事もせず、通信回線を開いた。
すると相手は、予想していなかった相手からだった。
 サラ「こんばんは。先ほど戦闘した、元イルマ軍のサラです。」
なんと、あのゴッドプレスのメンバー、サラさんからだった。
 アライヴ「こんばんは。えっと・・・どうかしましたか?」
俺は眠い頭を必死に覚醒させつつ、文字をタイプする。
 サラ「ちょっとお願いがあるんですが、大将さんに通信したんだけど繋がらなくて、それで紫苑軍の一番の高官のアライヴさんにって事なんですが。」
ああ、そうか。
だいたい知らない人が、俺に通信っておかしいもんな。
大将に用があったのか。
でも、大将に用ってなんだろうか。
 アライヴ「えっと、で、どういった要件ですか?」
一応言葉は柔らかく喋っているが、先ほどまで我が軍は、この人達にコテンパンにやられたのだ。
気持ちとしては、ちょっとムッとしてしまっていた。
 サラ「単刀直入に言います。私と、後2人、昨日戦っていた2人ね、紫苑軍に入れてもらえないかな?」
 一生「えええええ!!!」
俺は驚きで、深夜ってか早朝にも関わらず、部屋で大声を出してしまっていた。
その後しばらく話をして、通信を切る頃には、負けた悔しさもはれ、真っ暗だった窓の外の景色も、少し明るくなり始めていた。

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