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セオリー無視の作戦

じぇにぃとコンビで戦うようになってから、俺達紫苑軍の快進撃は続いた。
一日一要塞攻略の目標は、ほぼ確実に達成してゆく。
しかしまあ、如何せん戦力が少ないわけで、勢力を拡大しても空き巣を狙われればいっかんの終わりでして。
結局は重要拠点を守るのが精一杯だ。
コロニーシオンとカテーナ、そしてコロコロコロニー。
この三カ所を結ぶラインだけが、はっきりと我が領域と言える場所。
 紫苑「…」
 スピードスター「♪」
 紫陽花「はぁ~」
 アライヴ「やっぱりプレイヤの味方がほしいな。」
 じぇにぃ「ぅちらさぃきょぅなのにぃ~まもれるひとがぃなぃもんねぇ…」
この悩みは俺達だけではない。
ダイユウサク軍だって、身内だけでやっているから、そこそこまで勢力を広げたけれど、そこで行き詰まっているし、ジーク軍も今はおとなしい。
サイファさんところは、何故か友好関係が多いから、少しずつ巧く広げているけれど、それでもそろそろ手詰まり感がある。
いくら国力があっても、今回はプレイヤの数が圧倒的に必要なシステムなんだ。
人が増えない事には、勝負がつかない。
誰かを誘う?
って、これがこの会社の作戦だったのかもしれない。
人がいないと攻略できないゲーム。
参加していない人を誘うと、ユーザが増えるって寸法だ。
そんな事がわかったところで、どうにもならんのだけれど。
 紫苑「ネットで集めるか。」
 スピードスター「うむ~♪」
この考えは、実は前々からあったが、結局やめた方法だ。
理由は、いくら裏切りが少なくなったとは言え、やはりジークのように現金で寝返りを求められれば、おそらく寝返る可能性もあるし、なによりまじめにやるかどうかが疑問だ。
やりたい奴はおそらくすでにやっているだろう。
13192有る拠点と3つの要塞戦艦。
その全てにプレイヤを配置するだけで、プレイヤ13195人が必要だ。
それもアクティブな人が。
でないと何処かしら守りができない場所がでてくる。
現在このゲームの戦闘時間の、戦闘に参加しているユーザー数を見ると、ほとんど拠点の数とイコールだ。
それは、攻めるもひとり、守るもひとりで成り立つ計算で、そもそもこの人数でゲームのクリアが可能なのだろうか?
それでも統一となると、単純に一陣営にこれだけの人数が必要になる。
これは戦って戦って、勝って勝って、他よりも圧倒的に高いレベルと、戦力を得るしかないな。
 アライヴ「先は長いな。」
 紫苑「まあ、20億だからな。」
 紫陽花「この会社の年間の純利益を考えると、5年以上は続けて貰いたいところね。」
 スピードスター「なるほど♪」
 じぇにぃ「はなしがぁむずかしぃからわかんなぃよぉ。」
 アライヴ「とにかく俺とじぇにぃで勝ちまくるしかないって事よ。」
 じぇにぃ「なるほどぉ。」
 紫苑「なるほどそれだ。」
俺とじぇにぃの会話を聞いて?いた紫苑さんが、何か思いついたようだ。
 紫苑「サイファと相談してくる。」
紫苑さんはそう言うと、しばらく通信を切った。
通信を切る必要が有るのかどうかは知らないが、何かしらの交渉に集中したいのだろうか。
それよりも・・・
 アライヴ「紫苑さんどうするつもりだろう。」
 スピードスター「任せておけば大丈夫♪」
 紫陽花「私が伝えるね。」
そっか、紫陽花さんは紫苑さんの奥さんで、紫苑さんとならんでゲームしてるって言ってたもんな。
 アライヴ「どうですか?」
はっきり言って気になる。
ファーストの時、四天王が裏切らなかったらおそらく優勝していた紫苑さんと、もっとも優勝に近かったサイファさん。
このふたりで相談。
どんな作戦なんだろうか?
 紫陽花「言えない。(笑)」
なんですとぉ?!
しばらくしてから、紫苑さんが通信回線を開いた。
 紫苑「作戦決定。」
 アライヴ「言えない作戦ってなんです?」
 紫苑「(-_-メ)」
 紫陽花「汗」
 スピードスター「♪」
なんだ?
味方にも内緒の作戦なのか?
 紫陽花「話しても良いよね?」
 紫苑「わかった。話すよ。」
 スピードスター「♪」
どうやら話してくれるようだけど、これは結構やばい作戦なのかもな。
 紫苑「まず、サイファ軍との同盟関係を解きます。これは次回期限の更新をしない事でやります。1週間後。」
なんと、サイファさんと話して、同盟を解消するのか。
これは・・・
 紫苑「もちろん、裏では友好関係は維持するので、決して戦闘は行わないように。」
やはり。
 紫苑「そして同盟解消後、俺と紫陽花は、親のIDでサイファ軍に入り、直接勢力拡大に協力します。」
なんと、そんな事すると、この軍の大将と中将が共にいなくなるって事じゃん。
 アライヴ「IPアドレスが同じになるから、自宅からだとできないんじゃ?」
 紫苑「もちろん。その間、紫苑および紫陽花は一切行動できません。」
それで、紫苑軍はどうするんだ?
実質俺とじぇにぃ、そして星さんだけになるって事だ。
これは厳しいんじゃね?
 アライヴ「しかし何故そんな事をする必要が?」
 紫苑「理由は、サイファ軍を、ジーク軍とダイユウサク軍に匹敵する勢力にする為。できれば星、おまえも別IDでサイファ軍にきてくれ。」
ええ!!
それでどうやってやっていくのだろう。
 スピードスター「♪」
 紫苑「了解と受け取った。(^0^)/」
おいおい、了解しているよ。
 アライヴ「何故匹敵する勢力に?」
 紫苑「もしアライヴが死んだとして、何処の軍に入る?」
 アライヴ「そりゃ、紫苑さんのところに戻りますよ?」
 紫苑「でももう滅亡していていたり、優勝の望みが全くなければ?」
 アライヴ「う~ん。やっぱ強いところかな。ダイユウサク軍は無理だし、ジーク軍はあまり好きじゃないから・・・そっか!」
 紫苑「そゆこと。サイファ軍を第三勢力にすれば、死んだ人の多くはサイファ軍に流れる。」
 アライヴ「後はジーク軍と、他に強いと認めた人のところに行くわけだ。」
 紫苑「だから、俺達がいない間に、アライヴとじぇにぃで、がんがん攻めまくって、殺しまくってくれ。それも強さを見せて。」
ははは、殺すって事をすっかり忘れていた。
人型が手に入らないし、経験値が大きく無くなるわけでもないから、殺す事にデメリットはあっても、メリットは無いと思っていた。
どの攻略サイトにも、どの掲示板にも、プレイヤを死亡させる事、完全破壊をする事は愚考として言われている。
 紫苑「この作戦は、君たちの強さにかかっている。」
これは、完全に紫苑さんが、俺とじぇにぃを信頼しているからこそできる作戦だ。
この信頼に応えないで、何がエースパイロットだ。
 アライヴ「俺はやるよ。じぇにぃも良いか?」
 じぇにぃ「ふふははぁ~やるにけってぃ~!!」
こうして俺達の作戦は始まった。
って・・・
 アライヴ「で、何処が言えないような作戦なの?」
 紫陽花「この人ね、もし紫苑軍がそれで駄目そうだったら、そのままそっちに入れてくれって言ってたのよ。」
 紫苑「君たちが強ければ問題ない。」
・・・
まあ、俺達が強さを見せれば、やられた奴らの一部は紫苑軍に志願してくるだろうし、問題ないから良いって言えば良いんだけど・・・なんかしっくりこないな。
これが紫苑さんの強さでもあるから、驚きも反感もないけどね。

作戦は順調

 アライヴ「よし、プレイヤは全部始末したな?」
 じぇにぃ「ぁぃぁぃさぁ~」
 アライヴ「次いくぞ!」
俺達はとにかく攻めて攻めて攻めまくって、無茶苦茶な戦いを続けていた。
何処が無茶苦茶かと言えば、今回のゲームでは完全に攻め手不利なゲームなのに、攻めるだけの戦闘を繰り返し、尚かつ少数だ。
本来ならこんな戦いはできないはずだけど、俺達の強さと、そして敵戦力の分散が生む弱さによって、可能となっている。
更には、一度取った要塞はすぐ取りかえされるわけだけど、取ったり取られたりを繰り返す事によって、守りも弱くなるし、生産性も下がる。
最初こそこの作戦はきつかったが、今ではだいぶ楽になっていた。
俺達のコンビもかなり精錬されていて、全く負ける気がしない。
ちなみに母艦は、紫苑さんのリアル友達のひとり、「てけとー」大佐の艦である。
てけとーさんは、作戦期間中だけ頑張ってくれと紫苑さんに頼まれて、いやいや引き受けたらしいけど、今では結構ノリノリだ。
 てけとー「ははは、次だ次!!」
別に弱い人ではないけど、調子乗りすぎだって。
母艦落とされないように、注意しないとな。
ちなみに拠点の守りをしっかりやっているのは、コロニーシオンだけだ。
もし攻められたら、紫苑さんのリアル友達の「壁」中佐さんに電話を入れて、オンラインさせる手はずになっている。
この人は漫画家らしく、いつも忙しいからゲームどころではないが、いつも家にいるので、都合良く使わせてもらっているとか。
まあ実際攻められるような状況は、今のところはなさそうだけど。
取られたら速攻取り返す状況だし、前線が崩れるのは一瞬だからね。
結局今日も、拠点の数がトータルで減る事はなかった。
最初こそ減る方が多かったが、最近はこの方法ですら少しずつ拠点を増やせている。
それに合わせるように、志願してくるプレイヤも増えてきていた。
それ以上にサイファ陣営には人が集まっているらしいけれど。
今回の作戦で、今のところ一番恩恵にあずかっているのが、サイファ軍で、次がジーク軍、そして紫苑軍だ。
それでも今だけを見るなら、我が紫苑軍が一番いい感じだ。
なんせ紫苑領の周りは、ほとんどが空白化していると言っていい。
プレイヤを倒す為には、少しずつ遠征しなければならなくなっているから。
作戦では一応、紫苑軍とサイファ軍で、最前線を固めながら侵攻できる100人以上のアクティブプレイヤを確保できるまで。
地球攻略を考えると、150人くらいは欲しいところだけど、今の戦い方を続けていけば、100人でも十分やっていけそうだ。
だけど、現状良い感じでも、潜在的には紫苑軍はかなりきつい状況にもなっている。
他へ志願したプレイヤのほとんどが、紫苑軍に強い敵対意識を持つことになったのだから。
多くと友好関係を持つサイファさんですら、入ってきたプレイヤに事情を説明してわかってもらうのはかなり難しいだろうと言っていた。
みんな紫苑軍とやりたがっているらしいから。
それを、いろいろと理由をつけてうまくごまかしているらしいけど、本当の事を言ってどれだけわかってくれるか。
それに、もう本当の事は言えないだろうと思う。
言ってしまえば、サイファ軍もこの作戦に加担していた事がばれるのだから。
もしジーク軍と隣接していたら、きっとすでに全面戦争だったかもしれない。
実は我が領域は、ジーク軍とはもっとも離れた位置にある。
だから決戦はおそらく終盤になるだろう。
もしくは地球あたりから直接対決が始まるのだろうけど、今のところまだまだだ。
 アライヴ「そろそろ12時だな。」
 てけとー「だな。今日はこのへんにするか。」
 じぇにぃ「は~ぃ」
 アライヴ「では、コロコロに帰投する~」
現在俺達が主に使っている拠点は、コロコロコロニーだ。
最初はシオンを使う予定だったのだけど、攻撃しまくっていれば、思ったよりも攻められないものだ。
紫苑さんが言っていたけど、攻めて殺しまくるゲームの攻略法は、他のシミュレーションゲームなら、常套手段であり、つまらないものだと言っていた。
これをすると簡単に攻略できるのだけど、それを嫌うゲーム会社は、殺す事に重いリスクを持たせる事も多いらしい。
今回はそんな事しなくても、大きなリスクを背負っているわけだけどね。
でも流石にお金がかかっているから、感情だけで行動する人は多くはないようだ。
俺達が勝ち続けていれば、敵ではなく味方にもなるのだ。
 紫苑「ごくろう。」
丁度コロコロコロニーに入ったところで、紫苑さんからの通信が入った。
12時を回って、戦闘時間はすでに終わっているから、家に戻ってきたのだろう。
てか、実家とかなり近いところに住んでるんだろうな。
もしくは普通に、IDだけ借りているのか。
 アライヴ「紫苑さんおひさ~」
 じぇにぃ「こんばんわぁ」
 てけとー「おい紫苑、いつまでこれ続けるんだ?まあ楽しいけど。」
久しぶりの紫苑さんの登場に、皆少しうれしそうだ。
そう思うのは、俺がなんとなくうれしいからなのか、完璧に任務をこなしている達成感からくる自信が、会うことに喜びを感じているようだ。
そんな喜びをよそに、紫苑さんは軍全体に通信を送る。
 紫苑「我が軍に入ってくれた皆様、感謝します。一部、我々にやられても尚、入ってくれた方々もおられると聞きます。我々があなた方を殺してまで味方に引き入れたのは、早いうちに優勝争いのできる軍に入り、このゲームの本当の楽しさを味わっていただきたかった、と同時に、早くから我が軍でプレイしている方が、報酬が多くなる事は必至だと考えたからです。みなさんの為に行った行為である事をわかっていただきたい。」
適当な事を言っている。
少し苦笑いだ。
しかし、これが適当な事を言っているとわかっていても、結果的にはそうなるだろうから、それなりにゲームを理解している人は、今後結束できるだろう。
新しく入った仲間が、何人か紫苑さんへと返事を入れていた。
概ね理解しているようだし、我が軍に入ってきた人だから、そんな事はすでにわかっているようだ。
問題は他の軍だけど、サイファさんのところでも、紫苑さんは適当な事を言って、皆の敵対意識を薄めているのだろうと思った。
紫苑軍に敵対意識を持ってる人に「早めに強いところに移動できてラッキーじゃん?逆に紫苑軍に感謝するべきだよ。」なんてね。
 紫苑「みんなありがとう。後少し、もう少し味方プレイヤが増えたら、本格的な侵攻を再開する。それ以降よりそれ以前に我が軍に入っていた方が、ゲームが終わった時の報酬は多くなるだろう。だからもし迷っている友達プレイヤがいるなら、今のうちに入る事を勧めてあげてほしい。後、勝っても負けても、充実したゲームライフを約束する。では、私は失礼する。」
紫苑さんはそう言った後、軍の全体通信を終了し、我々一部だけの通信へと切り替えた。
通信には、軍通信、グループ通信、個人通信などがあり、今はグループ通信で、主要メンバーだけの通信だ。
 紫苑「順調(^0^)/」
 アライヴ「ですねぇ。」
 てけとー「敵もえらい増えてるけどな。」
 じぇにぃ「わたしわぁたのしぃからぃぃ」
 アライヴ「紫苑さん、もう少しって言ってたけど、まだまだ人数的には足りませんよ?」
そうなのだ。
先ほどの演説のような通信で、後少しで本格的に侵攻するって言っていたけれど、まだまだ予定の3割にも満たない人数だ。
少し増員が加速してはいるけど、このまま増えても後3ヶ月は頑張らないと無理だろう。
 紫苑「大丈夫。きっとすぐだよ。」
えらい自信だな。
さっき言っていた、友達を誘うって事なのだろうか?
まあ、紫苑さんが言うのだから間違いないだろう。
俺は信じる事にした。
というか、もともと信じているけどね。
後は少し雑談をして、今日のプレイを終えた。
明日はバイトだ。
なんか面倒くせぇ。
そんな事を考えながらベッドに入った。

不完全の盾使い

紫苑さんの言うとおり、目標の人数はすぐに集まった。
友達を集めるのもそうだけど、それ以上に多かったのが、他の軍に殺されて、此処にくる人だ。
我が軍の戦い方を見て、人型にとどめをさす軍が格段に増えていた。
ジーク軍も四天王をフル活用して、周りの勢力をどんどんうち負かしていった。
宇宙の絆2は、大戦国時代だ。
波が波を呼び、早いうちに自ら移動する者も多くなっていた。
 紫苑「今日から本格的に私も復活する。プレイヤキルは今まで仕方なくしてきたが、やはりいくない。今後中止する。皆やらないように。」
紫苑さんがサイファ軍にいた事を知っているのは、主要メンバーと、サイファ軍の主要メンバーだけだ。
ちなみに紫苑軍への反感は、サイファ軍の中にはもうあまり無いらしい。
プレイヤキルは、今では当たり前に行われているし、サイファさんと紫苑さんの努力もあるだろう。
そして再び、サイファ軍との同盟を結んだ。
サイファ軍では、「紫苑軍が同盟を求めてきた。だから、プレイヤキルをやめる事を条件に同盟してあげた。」と、皆には話したらしい。
サイファ軍の好感度はますます上がり、反省しているように見える紫苑軍も、だんだんと好感を持たれるようになっていた。
今回の作戦で一番得をしたのはサイファ軍だが、紫苑軍としても上々の結果だ。
そしてその効果が出るのは、まだまだこれからだ。
今、プレイヤキルが流行りだしているのだから・・・
しかし、我々の思惑は、1日でうち砕かれる事になる。
クライアントの修正によって。
 アライヴ「なんだよこれ・・・」
 紫苑「最悪・・・(-_-メ)」
クライアントの重要告知に書いてあったのは、次のとおりだ。
「プレイヤズキルに対してのペナルティ及び、壊滅解散リスクの変更について。艦船撃沈以外で、敵大将以外のプレイヤズキルを行った場合のペナルティ新設。全国力マイナス5%。計算方法は、本来あるはずの国力を対象とする為、20回行えば、自動的に軍の壊滅を意味する。回復には5%1ヶ月を要する。軍の壊滅、及び解散を行った場合、その軍の少尉以上の階級の者は、兵国力が30万人規模以上で上位ベスト10の軍への入隊を3ヶ月禁止する。開始は本日より。バリューネットブラウザのバージョンアップを行わないと、ゲームに参加できませんので、早急にお願いします。」
みんながプレイヤキルを行って、我が軍に人が流れてくるもくろみは、あっさりとたたれた。
それにしてもギリギリのタイミングだった。
後1日この告知が早ければ、サイファ軍との円満な同盟は難しかったかもしれない。
それでもなんとか間に合ったのだから、不幸中の幸いだ。
我々は最低限の勝利をつかんだのだ。
 美夏「まあ、いんじゃね?それにやっぱりプレイヤズキルは、ドロドロになりかねないから、無くて正解だよ。」
 てけとー「まあな。だけど今回の変更は、ダイユウサク軍の連中が、クライアントに進言したって話だぜ?あいつらゲーム業界に影響力大きいからな。あくまで噂だけど。」
まあそれが本当だとしても、今回の作戦で全く利益を得ていないダイユウサク軍だ。
それくらいは良いだろう。
実際これはただの噂だとは思うが。
 紫陽花「それよりも、最低限の目的は達成できたわけだし、今後どうするかよね。」
 アライヴ「確かに。一度軍をきちんと整えて、いよいよ侵攻開始ってね。」
 じぇにぃ「わたしわぁせんとぉーできればぃぃー」
 紫苑「その前に、俺に人材把握させて。(;_;)」
そういやそうだ。
俺は実際に倒してきた奴も多いから、どんなメンツが集まったか少しはわかるけど、紫苑さんにしてみれば知らない人ばかりだ。
それに俺だって、3割程度も把握していない。
話した感じで強そうな奴は何人かいたけど、どうしたものか。
 紫苑「そこで、階級決めテストと称して、アライヴとじぇにぃには、テストバトルをみんなとしてもらいたい。」
 アライヴ「みんなと?できない人も多いかも?」
 紫苑「階級は、最後の評価に大きく影響するから、多少は無理しても集まるはず。だからよろ。」
 アライヴ「わかった。」
 じぇにぃ「ぅん。つよぃひとぉぃればぃぃなぁ」
 てけとー「艦長候補はどうする?」
 紫苑「俺と、紫陽花でテストするよ。」
 スピードスター「♪」
こうして、俺達の階級決めテストと称した模擬バトルが、開始された。

昨日は15人ほどテストバトルの相手をしたが、我々基準で少尉以上になれる人はいなかった。
じぇにぃの方に、そこそこ使える人がいたらしいけど、それでも中尉クラスらしい。
ちなみに人数が増え、国力もかなり増えてきたので、俺の階級は今は少将、じぇにぃが准将だ。
てけとーさん、美夏さん、壁さんも准将に昇格で、初期からのメンバーと主要メンバーだけで将官クラスをやっている。
グループ通信メンバーもそうである。
できれば後何人か、このメンバーに入れたいのだけど、強くて話せる人はなかなかいないものだ。
まだまだ1/3をテストしただけだから、今後に期待。
 アライヴ「今あいてる人で、テストバトルしてない人いましたら、返事ください。」
回線につないでいるかそうでないかは、軍の通信回線を開けばわかるのだけど、回線をつないだままではない人も多いから、こうして呼びかける必要がある。
 レイズナー「あ、よろしく!」
 アライヴ「はい、こちらこそ。」
レイズナーさんは、知っている。
と言っても、個人的にではなく、ファーストの頃は中将までいった人だから知っているだけだ。
でも、階級ほど強いと言える人ではなかった。
しかしそれはシミュレーション主体だった頃の話。
今はパイロットとして来ているから、もしかすると・・・
・・・
悪くはなかった。
なかったけど、期待はずれだった。
中将だったから、もっとやるかと思っていたけれど、我が軍ではせいぜい少佐だな。
それでもこの人は貴重な戦力になるだろう。
ちょっと偉そうだけど。
 レイズナー「君強いね。俺の軍にいてくれたら、中将にしてやったのに。(笑)」
いや、あんたの軍なんか絶対入らないし。
 アライヴ「ありがとうございます。で、おそらく我が軍の、とりあえずは大尉あたりになると思いますが、いいですか?」
 レイズナー「そんなに低いの?俺前中将だったんだよ?」
訂正。
すっげぇ偉そう。
 アライヴ「すみません。できるだけあげるよう大将には言いますけど、上の方は詰まってるので、今後の活躍次第になると思います。」
 レイズナー「そうだな。活躍すればいいんだからな。君と同じ隊にしてくれよ。」
 アライヴ「私は旗艦直属の人型乗りなので、それは無理かと。すみません。」
 レイズナー「しかたねぇなぁ。自力で活躍するか。」
最初からそうしてくれ。
あなたにはなかなか難しいだろうけど。
 アライヴ「それでは、今後ともよろしくです。」
 レイズナー「はいはい~」
 一生「ふぅ~。全くこういう勘違い野郎は駄目だな。完全に名前負けしてるし。」
レイズナーって言えば、なかなか評価の高いアニメだ。
俺でも知ってるし。
そんな名前つけるなよな。
レイズナーがかわいそうだよ。
さて、気をとりなおして、次いくか。
俺は軍全体に通信を入れる。
 アライヴ「まだテストバトルしていない人いましたら、声かけてください。」
しばらく通信が無い。
夕方とは言え、働いている人がなかなかゲームできる時間ではない。
いるのは多くが学校帰りの学生か、俺みたいなプーだ。
しばらくボーっと画面を眺める。
この時間はもういないかなぁ~。
そんな事を思って一旦落ちようかと思った時、通信が入った。
 チョビ「はいrはいあrlじゃ」
・・・
 チョビ「はい!お願いします!」
どうやら慌てていたようだ。
なんだかこれだけで、弱いってわかるんですけど。
まあでも一応テストしないとね。
 アライヴ「はい。チョビさんですね。ではやりましょう。」
 チョビ「よろしくお願いしますーー!!」
ドジっ子属性で、こんな時間からプレイしてるって事は、きっと中学生か、良くて高校生かな。
 アライヴ「では、そちらは本気できてください。終了の時は、発光弾を飛ばすか、通信で伝えます。」
 チョビ「はいです!!」
さて、軽くもんでやるか。
テストバトルがスタートした。
チョビさんの機体は、ごくスタンダードな機体だ。
っていうか、全くカスタマイズしてないんじゃないのってくらい、最初に与えられるデフォルト機のようだ。
これだけで、相手の強さはだいたいわかる。
きっとヘボだ。
そう思って不用意に操作していたら、いきなり正確なビームライフルの攻撃がとんできた。
 一生「おっと!」
俺は一発目をうまくかわしたが、すぐに二発目がとんできて、それを左腕に少しかすらせてしまった。
 一生「なんだぁ?」
弱いと予想していたのだけれど、案外やるんじゃないか?
俺は真剣に動きを見た。
落ち着きの無い動きだけど、その分動きが読めないし、狙いをしぼれない。
 一生「ちょこまかと!だからチョビか!」
俺はそれでも狙いをつけて、絶妙なタイミングでビーム砲で攻撃した。
あの機体でこのタイミング、そうそうかわせるもんじゃない。
 一生「なんと!盾か。」
チョビさんは盾でビーム砲を受けた。
盾なんて重くなるだけだし、それに反応できるならかわす方が賢い。
なぜなら盾はある意味消耗品だから。
傷つけば、本体と同様に修理が必要だから。
しかし、なんだろうこの子・・・いや、歳も性別もわからんから一応この人と言っておこう。
今戦ってわかったけど、あの機体は完全に初期状態だ。
少し違うのが盾だけど、デフォルトよりも大きな盾だから、動きは更に遅くなっているだろう。
人型のコントロールもその分難しくなっているはずだ。
なのにこのうまさ。
そうだ、うまいんだ。
フェンネルは使ってないけど、俺はそれなりに本気で攻撃している。
なのに攻撃を当てる事もできない。
一方チョビさんは、一発とはいえ俺にビームライフルの攻撃をかすらせた。
もしこれがポイント制の戦いなら、有効をとられている状態だ。
なんとまあ、巧い人ってのは密かにいるものだ。
このテストバトルをしていなければ、もしかしたらこの子、いやこの人を完全にただの下っ端として使っていたかもしれない。
しかし、それにしてももったいない。
もっと良い機体に乗っていれば、今頃すでにどこかの軍で、エースパイロットだったかもしれない。
でもだから、こうして今此処にいるわけで、凄くラッキーだったのでは?
とにかく、もう少し戦ってみよう。
少なくとも負けてる状況で終わるのはあれだし。
俺は本気を出すことにした。
フェンネル展開。
さーて、これに対して、どういう戦いを見せる?
なんて思った瞬間、チョビの盾から無数のビームが発射された。
 一生「なんですとぉ!!拡散ビーム?しかも熱感知型だよ。」
俺の展開したフェンネルが、一瞬のうちに落とされた。
この子、いやこの人、俺の天敵じゃないか!
普通こんな盾を持つプレイヤなぞ存在しない。
冗談でやっているやつくらいだ。
でもこの子、いやこの人はマジでこの盾を使っている。
そして巧い。
フェンネル無しでこの子に勝つ?
もうこの子でいいや。
きっと高校生だ。
女の子だ。
人型の性能はこっちが上だ。
勝って当然のはずだけど・・・
俺は集中力を高めた。
結局テストバトルの制限時間10分、全てを使っても決着はつかなかった。
そしてこちらの攻撃で命中させたのが、ビーム砲1発と、意表をついた予備搭載のフェンネルの攻撃だけ。
こっちは何発当たっても不思議ではないくらいだったが、運良く最初にかすって以来、攻撃はくらわなかった。
でも少し何かが、他に気がいくような実戦だったら、俺は負けていたかもしれない。
この後チョビに、じぇにぃともテストバトルさせてみたら、あっさりじぇにぃに負けていた。
まあ初戦だったから、じぇにぃが強いのはわかるけど、相性ってのもあるのかもな。
あの盾も、じぇにぃの強力なライフルには、腕が盾を支えきれずにいたしね。
だからこそ、今後チョビには良い機体に乗ってもらおう。
きっともっと強くなる、そう確信した。
ちなみにチョビは小学生で、夜11時までしかプレイできないらしい。
そして日曜の昼間も、親に注意されてできないらしい。
全くもったいない。
この子が完全体だったら、我が軍の優勝確率が倍増だったのになぁ。

楽しき逆境

ほぼ全てのプレイヤのテストバトルが終わった。
俺がテストした中で一押しはもちろん、チョビ。
次がまあレイズナーさんって事になるんだけど、それよりは今後に期待って事で、ハルヒ君の方が俺は好きだ。
もちろんハルヒに君をつけているから、男なのだけど、最近ハルヒって名前の「男」が多いのは何故だろうか?
 アライヴ「そんな感じですね。他はどうですか?」
 じぇにぃ「こっちはぁ、ひとりつぉぃひとぃたよぉ。わたしぃよりもよわぃけどぉ~」
人型パイロットで強い人は、俺も一応対戦させてもらった。
確かにじぇにぃがテストした、暗黒天国さんは強いんだけど、機体に金かけすぎっていうか、とにかく機体の性能でかなり強さを作っている感じだ。
まあひとりくらいあれくらいの機体を動かす人がいても、そんなに負担にはならないけれど、やられたら悲惨だよなぁ。
 紫苑「こっちはひとり使える人いた。別の意味でもうひとりいるけど。(^-^)」
 アライヴ「へぇ、どんな人なんですか?」
気になる。
別の意味ってなんだろうか。
 紫苑「名前がジーク。(笑)」
・・・
確かに。
紫苑さんなら、名前も利用して戦略を考えそうだ。
 紫苑「では、階級と所属変更を発表します。」
ほう、所属も変更があるのか。
そらそうだろうな。
 紫苑「まず、レイズナーは大佐にして、重要拠点以外全ての場所をまかせます。」
なんと!
あんな人にまかせるなんて、やばくね?
 紫苑「任せるのは、先ほど名前が出た人以外全て。勝手にさせます。ああ見えて彼は慎重な人だ。勝算の無い戦いはしかけないし、負けてもいい場所しかまかせない。ようは俺が全部管理するのが面倒だから、最前線と重要拠点以外の面倒事を引き受けてもらう。」
確かに、今後領域が増えたら、一人で管理するにはしんどいだろうな。
そのあたりを任せて、戦闘に集中するって事か。
 紫苑「一応、光合成中尉を補佐につける。最悪、光合成さんがなんとかしてくれるでしょう。」
光合成さんは、テスト初日にじぇにぃがテストした、そこそこ戦える人型乗りだ。
現状なら、ハルヒ君よりも強いんじゃないかな?
俺とじぇにぃのレベル感覚が同じなら。
 紫苑「壁には今までどおり、呼び出しに応じられるように単機でコロコロコロニーに常駐してもらう。」
ほう、シオンまではもう敵はこられないという判断か。
今後本拠地はコロコロね。
 紫苑「てきとーは、後で誰か欲しい人がいたら言ってくれ。階級の低い奴で育てたい奴ね。そしててきとーに動いてもらう。」
 てきとー「はいよ。」
ほんと、てきとーさんって、適当なんだな。
 紫苑「美夏は、いる時は今後旗艦に同乗してもらう。俺が出撃する事もでるだろうから。」
おお!
紫苑さんが、人型で?
まあたまに出ていたけれど、本気で戦った事を見た事がない。
でもおそらくは強いんだろうな。
 紫苑「で、旗艦には後、じぇにぃとハルヒが乗る。」
なんと!俺がはずされた?
今までじぇにぃとコンビを組んで来たのに、何故だ。
 じぇにぃ「ぁれ?ァラィヴさんと、べつ?」
 紫苑「ああ、今後はハルヒとコンビを組んで、ハルヒを鍛えてくれ。もしくは俺と組んでもらう。」
ハルヒを鍛える為に、じぇにぃと組むのはわかるけど、紫苑さんと?
まあいままで戦い方を見てきて、紫苑さんが判断したんだから、おそらくはそれでいけるのだろう。
 紫苑「ジークは、面白いから、今後いろいろ考えて使う。旗艦の名前はバルバロッサにしてもらって、ビジュアルも真似する。」
まあ当然だろうな。
 紫苑「星には、暗黒天国を預ける。使えるだろ?(笑)」
 スピードスター「♪」
なんだかわからんけど、星さんが巧く使えるようだ。
って、まだ俺の配属がわからんけど、残ってるのって。
 紫苑「で、紫陽花のパープルフラワーに、アライヴとチョビだ。」
って、ええ!!
俺の天敵チョビと?
フェンネルを使うと、チョビの拡散ビームが邪魔になるから、共闘はきついような。
 紫苑「チョビは単機戦闘が得意そうだから共闘を覚えて欲しいし、アライヴは天敵を克服してほしい。(笑)」
なるほどねぇ。
戦闘の本番、真の敵であるジークやダイユウサク軍との対戦は先になるだろう。
それまでに、もっと強くなれと、そういう事か。
望むところだ。
確かに最近じぇにぃとの共闘で、ぬるい戦いをしてきたから、いまいち成長してないんだよな。
こうして、実戦での俺の特訓は始まった。
つーか、また子供のお守りですかぁ?

チョビとの共闘。
 一生「くっ!」
どうしてもフェンネルを使ったら、あの盾が邪魔になる。
盾の設定を熱感知にしなければさほど邪魔にはならないけれど、それだと敵を落とす事もできないし意味がない。
かといって、フェンネルを使わないなんて、俺の戦闘スタイルから反する。
どっちにしてもどちらかが戦い方を変えない限り、共闘は無理だ。
チョビに、何故拡散ビーム砲付きの盾を使っているのかと聞いたら、デフォルト機にこの盾しか持っていないからだそうだ。
それにこの盾は、親が誕生日プレゼントで買ってくれた商品についてきたアイテムらしい。
だからどうしても使いたいのだそうだ。
そういった愛着や愛情が、強さを作る事を俺は知っている。
俺のフェンネルもそうなのだから。
使う人が少ないフェンネルを、完全に使いこなせているのは、ひとえにフェンネルへの愛。
まあそんなわけだから、盾を自在に操れるように、左腕の強化や、盾を使っても有る程度動けるパワーアップを、軍の予算でやったわけだけど。
此処は俺がおれるしかないかもな。
そうするとして、この子と共闘するなら、どんな戦闘が一番合うのだろう。
この盾をもっている限り、敵はフェンネルは使えないし、下手に近寄ってくる事も不可能だ。
接近が有るとするなら、拡散ビームを撃った直後のタイミングで近づいてくるだろう。
もしくは圧倒的スピードで後ろを取るかだけど、パワーアップしたチョビのガードナーの後ろはなかなかとれないはずだ。
でも背後がとれないような相手だったら、チョビには勝てないだろうし、俺はそれ以上に強い相手の事、つまり背後をとってくるような相手をフォローできれば良いのではないだろうか。
盾の攻撃範囲は、前方ほぼ180度であるわけだから、後方180度なら、俺のフェンネルも使えるじゃないか。
同じ敵を狙う、又は同じ敵を向いているから、今のフェンネルの設定では使えないんだ。
今は自分と敵の位置から、フェンネルをドーム型に配置している。
これを別の対象や形で配置すれば、うまくいくのでは?
チョビと共闘する時は、ガードナーを対象に後ろに配置したいところだけど、それはできないから、俺の機体の向きで配置するか。
俺のメインモニタの隅を囲う形で、フェンネルを円状に配置する。
距離は俺の得意な間合いを少しずつ調整するとして、もし同じ敵を相手にする時は、モニタは後方カメラを使う事になるから、後方カメラの性能を少し上げる必要があるな。
いっそ前後全く同じカメラをつけて、切り替えられるようにするのはどうだろうか?
共闘は並んで、もしくは背中合わせで戦う事になる。
フェンネルの設定を後方にして、共闘ってのもあるな。
この場合、長距離攻撃の強化が必要になる。
この際だ。
キュベレイはあきらめて、SSかもしくは前に使えそうでキープしていた機体を、チョビとの共闘用に改造してみるか。
戦いながら、色々試しつつ、頭の中で新しい人型像を創造していった。
なんとなくイメージはできあがった。
 一生「よし!次回までにコレ作ってみるか。」
戦いながらメモした紙を見ながら、俺は久しぶりに強敵に立ち向かう時のわくわく感を味わっていた。

子供はみんな寝ている丑三つ時、俺は予算とキープしていた部品を駆使して、第三の人型作成に燃えていた。
ベースは前に拾って取っておいた、肩に羽根のようなものがついたタイプだ。
キュベレイ好きな俺にはやはりこの形があっている。
スピードもかなり出るし、瞬発力が半端じゃないから。
一瞬の動きが勝負を決めるのは、上級者では当然だ。
ほんの一瞬が勝敗を分ける戦いは、これまで何度かやってきた。
その全てで負けなかったのは、瞬発力のおかげ。
まあそれも、瞬発力をおりこんだ戦い方をしているから、そういう結果になるとも言えるけど。
ドリームは、機体が瞬発力重視でなくても、自身の反射神経とコントローラーさばきで、この俺の瞬発力機を超えている。
瞬発力がなくても、先を読み正確な操作でそれを補うカズミン。
この二人に、俺は現状勝っているとは言えない。
ドリームに関しては、今日明日で能力で超える事はできないだろう。
だったら何で勝つか?
バトルグリードでドリームに勝った人を調べてみたら、カズミン以外では、だいたいが初戦、そして同僚のダストだけが、戦いの中で多く勝っていた。
調べたら、ダストは奇策戦術に優れたプレイヤである事がわかった。
一言で言えばアイデアだ。
ドリームより強くなるには、今はアイデアしかないだろう。
 一生「できた。」
作成していた新型の人型ができあがった。
といってもプロトタイプだ。
まだ足の一部と、両腕の部品が足りない。
代わりに普通の両手両足だ。
実は新型機を作る為に、新パーツの開発を始めていた。
普通に考えて、さほど難しい開発ではない。
少しコストがかかるのと、どれだけパフォーマンスを下げないかってのが難しいだけ。
だからパフォーマンス無視のと、パフォーマンスを落とさないものの開発をしていた。
パフォーマンス無視のは、すぐにできあがるだろう。
俺は画面の機体を見て、少しわくわくした。
 一生「よし!」
此処までやって、俺はパソコンの電源を落とした。

慢心

今日の戦闘に、開発は間に合わなかった。
だけど、試作機で試したところ、この方法ならそこそこやれる事がわかった。
チョビとの共闘は、お互いの背中をお互い守るのが基本だが、俺はどちらかと言うとサポート。
フェンネルで狙うのは、背後にいるチョビと戦闘をおこなっている敵。
そして俺は後ろにいる敵に攻撃をするわけだ。
即ちチョビと戦闘している敵となるのだけど。
チョビの背後、即ち俺の前方に敵が現れた時だけ、俺はサポートを中断して目の前の敵に集中する。
後ろへの攻撃は、普通ならやりにくいが、前後同じカメラをつけ、切り替えて使う。
だから背後への攻撃も、実質前に攻撃するのと変わらない。
ただ、腕や足の規格から、攻撃の範囲が限定され、融通がきかない部分があり、それを補う為の新パーツ開発だ。
今のところそれができていないから、まだ本当の検証はできていない。
それでもこれだけやれるのだから、良い戦術と言わざるをえないだろう。
フェンネルを使って、チョビと共闘できているだけでも凄いのに、正直チョビに近づける敵はいない。
フェンネルで牽制して、チョビがしとめる。
チョビのライフルは、じぇにぃのライフルほど威力もないし、射程も短いけど、正確さは負けていない。
接近されそうになった場合の対応も早い分、ギリギリまでライフルで戦える。
そして最後には盾だ。
チョビだけでも接近できる敵は限られるのに、俺が完全に押さえれば、単機で俺達に勝てる敵はまずいないだろう。
ドリームでもカズミンでもやれる。
まあ2対1で粋がっても淋しいものがあるけれど、勝てる算段があるだけでも良い。
後は戦略戦術でそういった場面を作れれば良いのだ。
じぇにぃもいるし、紫苑さんだってかなりやるはず。
サイファさんのところと組めれば、今日子さんにどちらか押さえて貰う事も可能。
どうやって勝てば良いのかわからなかったドリームやカズミンに、勝てる可能性が見えてきただけで、俺は俄然やる気がでてきた。
これはチョビのおかげだな。
チョビのおかげで俺の戦闘パターンも増えたし、きっと強くなる。
もしかしたらこうなる事を、紫苑さんは見越していたのだろうか。
そうなら流石紫苑さんだな。
改めて紫苑軍である事に喜びを感じだ。
 チョビ「そろそろわたし寝ないとお母さんが…」
 アライヴ「ああ、おけおけ。後は俺だけでもなんとかなるし。パープルフラワーに戻りな~」
 チョビ「はーい!おやすみなさいー」
 アライヴ「おやすみ~」
さて、チョビの欠点はこれなんだよな。
良い戦いをしていても、23時前にはネットから落ちなければならない。
今日この程度の敵だったらなんとかなるけど、相手が強敵だったら致命傷になりかねないからな。
 紫苑「そっちにじぇにぃ行かせようか?」
 アライヴ「ああ、大丈夫です。楽勝でしょ。」
 紫苑「大将そっちに行ってるけど。」
・・・って。
 一生「ええーーーー!!」
なんと、今日攻めている砦は、結構重要拠点だとは言え、大将自ら人型で出て守る所か?
まあ、俺の常識に当てはめても仕方がない。
目の前には大将自ら出陣してきているのだ。
此処は俺と、敵大将の一騎打ちだ。
大将の名前は、「サクラ」か。
この名前は使っている人が多いから、特定するにはIDを見ないとね。
見ると昔から知っている、しょぼくれプレイヤの「サクラ」だった。
なんだ、楽勝じゃん。
そう思ったのもつかの間、凄いスピードで後ろに回り込まれる。
 一生「はやい!」
俺は全速前進、そして左に旋回。
 紫苑「サクラは前のゲームでは糞プレイヤだったけど、アクション系はかなりの使い手だぞ~」
って、今更言われてもわかってしまってるんですけど~
そして今更助けてとも言えねぇ~
 アライヴ「大丈夫です~」
俺はこれだけ送り返すので手一杯だった。
機体の能力だけなら、スピードはあちらに分がある。
俺はフェンネルの設定を変更した。
コレでそう簡単には近寄ってこれまい。
共闘用そのままでも、並の敵なら楽勝なんだけど、この敵はそう簡単ではなさそうだ。
気を抜くと簡単に背後を取られそうになる。
そんなに背後が取りたければ、取らせてあげようじゃないか!
俺はいつもの、逃げると見せかけてフェンネルで蜂の巣にする戦術を使う事にした。
敵を取り囲むフェンネルが、サクラを攻撃する。
 一生「いまだ!」
その瞬間反転して全速前進。
これで後方のフェンネルも敵を攻撃する。
これだけの一斉攻撃、かわせまい。
まあ、これよりもひどい状況で、ドリームはかわしてきたけどね。
そんな事を思っていたら、サクラ機もこれだけの一斉攻撃をかわし、更にビームライフルで攻撃してきた。
 一生「おい~」
マジかよ。
あれをかわすか?
でも、何かかわしかたが引っかかるな。
考えている間に、爆発音が響く。
 一生「しまった!」
考え事をしていたら、足にビームを当てられてしまった。
足で良かった。
宇宙では大して影響は無い。
バランスが少し崩れるかもしれない程度だ。
  一生「くそっ!もういっちょだ!」
かわし方が何か引っかかったので、俺はもう一度フェンネルでの攻撃を試みる。
不自然に思われないように、上手くフェンネルの射程の中に誘い込む。
そして素早く反転して、フェンネルの後ろへと逃げる。
今度はカメラを後ろのカメラに切り替えた。
しっかりと敵のかわし方を見る為に。
フェンネルの動きがすぐに止まり、一斉射撃。
 一生「って、もしかして、フェンネルが通用しない?」
フェンネルの攻撃は、上手いタイミングでかわされ、更に攻撃もされる。
今度はカメラが切り替えられていたので、敵の攻撃は簡単にかわせた。
しかし、なんだろうか。
フェンネルが、もしかしてフェンネルの攻撃タイミングが読まれている?
それにフェンネルの攻撃する瞬間、一瞬敵機の動きが止まったように見えた。
 一生「キュベレイならフェンネル無しでもやれるのに!」
今俺が操縦しているのは、第3の機体、今開発途上の機体だ。
名前はまだ無い機体だが、機体の性能が落ちたら、俺はこれほどまで使えないのか?
否!
何かフェンネルを上手くかわす方法を、敵は持っているのだ。
それが分かれば、それを逆手にとれば、きっとやれるはず。
俺はもう一度、同じ作戦を使う事にする。
片足を失った機体が、少し悲鳴を上げている。
これだったら、もう片一方の足も必要ないな。
俺は、もう一方の足と、破壊されてほとんど残っていない足を、付け根から切り外した。
多少軽くなったが、足から出る推進力も失われるから、スピードは変わらない。
が、安定感は出た。
上手くフェンネルの射程内に誘い込み、反転前進。
フェンネルは一瞬俺の動きについて行こうとするが、すぐに動きを止めて、敵を一斉砲撃した。
今度も同じように、敵機は一瞬動きを止めたかと思うと、上手くフェンネルの射線を外して、そのままこちらに攻撃してきた。
 一生「あっ!なるほどw」
俺は気がついた。
フェンネルは、攻撃する時、必ず一瞬動きを止める。
動きながら撃っても、狙いが安定しないからだ。
前にドリームが、全てのフェンネルの攻撃をかわせたのは、おそらく止まったフェンネルの射線を見極めてかわしていたのだろう。
そんな芸当は、普通の人間にはそうそうできるものではない。
俺でもおそらくは数機のフェンネルからの攻撃でできれば良い方だ。
それをこの大量のフェンネルでできる人が、何人もいるとは思えない。
さすれば答えは簡単だ。
チョビがいなくなってから出てきた事、大将ではなく、俺に戦いを挑んできた事、それはフェンネルに対して対策があったからだ。
おそらくフェンネルの止まった瞬間、射線を計算して、自動でその射線を外すようなシステムを開発でもしたのだろう。
ならば、それを逆手にとれば良い。
俺はそう断定すると、もう一度同じ事をやるように見せて、フェンネルの射程に敵を誘い込んだ。
敵は、何度やっても同じだよと言いたげに見える。
しかし、今回は少し違うぞ。
私は今までと同じように、反転して全速前進。
さて私の考えが正しければ・・・
私はカメラを後ろに切り替え、チョビと共闘する時のように、後ろへの攻撃をする。
タイミングは、フェンネルの攻撃タイミングと同じ。
私の予想が正しければ、フェンネルの射線を外す事はするけど、その間、操作に自由はきかないはずだ。
フェンネルの射線上以外の攻撃は、避けないはず。
予想どおり、見事にサクラ機に俺の攻撃が命中した。
一度的中してから後は楽だった。
混乱した敵は、敵ではなかった。
私はサクラ機を戦闘不能までにして、そして更に完全破壊した。
大将だけは、それが許されいるし、それをする事が目的だから。
サクラ軍は、次に大将になるであろう人が、それを受け入れなかったので、壊滅する事となった。
しかし、今回の戦いは、思いの他苦戦した。
それは、今までの戦い方に慢心して、油断していたのが原因だろう。
俺は反省の意味も込めて、この機体に、テンダネスと名付けた。
それにしても、フェンネルだけをターゲットにする、こんなシステムを開発する人もいるんだねぇ。
フェンネル使う人なんて、かなり少ないし、これだけ多く使う人に限れば、何十人もいないだろうに。

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