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頼もしい仲間

今日、昼間っから練習していたら、夕方、プレイヤがひとりパイロットに志願してきた。
一応俺は准将だからそのまま受け入れる事もできるが、大将の紫苑さんに許可は得た方がいいだろう。
それに、俺の艦船に配属しても、意味が無いし。
それでも一応、面接と言うか、どんな人なのか聞いておくか。
 アライヴ「どうして我が紫苑軍に入ろうと思ったんですか?」
 じぇにぃ「えっとぉ、ダィユゥサクぐんにぃ、はぃろぅとぉもったんだけどぉ。ぁそこって、みぅちだけでやってるんだって。そしたら、ここがつよぃから、紫苑ぐんがぃぃよぉ~って。」
・・・
なるほど。
強い軍に入ろうとダイユウサク軍に志願したけど、身内だけでやってるから断られ、紫苑軍を推薦されたから此処にきたと。
悪い気はしないけど、最初にダイユウサク軍にってのが引っかかるなぁ~
でもそうか。
あそこは身内だけでやっているのか。
それなら、俺がドリームとカズミンを倒せるようになれば、ダイユウサク軍に勝てるようになるな。
 じぇにぃ「ちなみにぃ、ぁたしつよぃから~ドリームさんのぉすみつきだよぉ。ばとぐりでわぁ、かったことぉぁるしぃ。」
なにぃ!!
バトルグリードで、ドリームに勝ったって、相当強いんじゃん?
あのドリームを倒したんでしょ?
俺は負けないまでも、勝つ事は現状不可能なあの人に。
ゲームは違えど、これはもしかしてかなりの使い手かも・・・
しゃべり方は中学生か小学生っぽいけど。
 紫苑「どした?(^-^)?」
紫苑さんから通信が入ってきた。
俺がメッセージを紫苑さんに送っておいたからだ。
もちろん用件は、このじぇにぃって子の処遇をどうするか。
 アライヴ「じぇにぃさん、今大将きたから、ちょっとまってて」
俺はそれだけじぇにぃさんに言うと、今度は紫苑さんと通信する。
 アライヴ「今我が軍に志願してきた人が。なかなか強そうなパイロットですが、子供っぽいです。(笑)」
 紫苑「入れて大丈夫そう?」
 アライヴ「俺は欲しいですね。」
 紫苑「じゃあ俺の艦に乗せるか。」
おお?いきなり旗艦に?
でもまあ、話が本当ならそれくらいのパイロットではあるな。
 アライヴ「じゃあとりあえず乗せますね~」
 紫苑「了解~」
俺は紫苑さんの了解を得て、今度はじぇにぃさんに通信を入れる。
 アライヴ「喜んで入隊を許可します。よろしく。配属は旗艦専属のパイロットだ。俺と同じね。」
 じぇにぃ「ぁりがとござぃますぅ。きっとちからになりますよぉ。」
 アライヴ「うん。よろしく。では旗艦は今有人要塞カテーナにあるから、人型を移動させておいてね。今日も要塞攻略に出陣するから。」
 じぇにぃ「さっそくですかぁ。がんばりますぅ。」
本当にこんな子が強いのだろうか?
でもまあ、俺が宇宙の絆を始めたのが中学生だったし、きっと大丈夫だろう。
それにこんなしゃべり方はネットだけかもしれないからな。
リアルだと案外大人だったりする事もあるし。
・・・
 アライヴ「ひとつ聞いてもいい?高校生?」
 じぇにぃ「ちゅぅぃちですぅ。」
・・・
大丈夫だよね?
 アライヴ「そっか。戦闘は夜遅くまでになるけど、大丈夫?」
 じぇにぃ「ははは、ぃまどきぃ12じにねるこぉ~ぃなぃよぉ~」
・・・
 アライヴ「だよね。」
とにかくこんな感じで、俺達は要塞攻略に出陣するのであった。

今日攻略するのは、今後の最前線にしたいと考えている、コロニーの「コロコロコロニー」だ。
って、誰だよ、こんな名前つけたの。
めちゃ弱そうなんだけど。
でも此処って、諜報活動で調べた範囲では、コロニーでは3番目に生産性の高い、なかなか使えるコロニーなのだ。
でもやっぱ、コロコロコロニーはないよな。
まあ紫苑さんは喜んでいるけど。
 紫苑「今日一日でとか思ってないから。ゆっくり削っていこう。(^0^)/」
 アライヴ「はい~」
 スピードスター「♪」
 じぇにぃ「ぅはぁ~」
・・・
今日は、サイファさん達とは別行動だし、今日子さんはもちろんいない。
美夏さんも残業で今日はこれない。
紫苑さんも星さんも人型で出て、艦船の守りをするとか。
紫苑さんは「なまっているから、今日は適当にやる」って事だけど。
実質、俺とじぇにぃと二人でやるのか。
もちろん、NPC乗りの人型は10機ほどいるけれど、敵はおそらく最低でもその数倍いるんだろうな。
なんて思っていたら、数倍どころではない数が、レーダーに写った。
 一生「おいおい、多すぎるでしょ。」
 アライヴ「多いな。旗艦大丈夫ですか?」
 紫苑「旗艦はなんとかするけど、アライヴひとりでその数無理か?」
正直俺が10人分強いと言っても、50機いっぺんに相手になんてきつすぎる。
 じぇにぃ「ぁたしもぃるよぉ~きっとかてるぅ。きっとたのしぃ~」
・・・
いまいち信用できる言葉に聞こえてこないが、まあやばけりゃ逃げればいいか。
 アライヴ「やばければ速攻撤退しましょう。それまでできるだけやってみます。」
 紫苑「うん。」
 じぇにぃ「ぁたしとくんでるんだからぁ、じょぶじょぶ。」
 アライヴ「うん、わかった。じぇにぃちゃん信用するよ。全部やろう。」
 じぇにぃ「ぇへへぇ~」
いまいち信用度に乏しいが、どっちにしても信用してやるしかないのだ。
とにかくせめて、足をひっぱられなければそれでいい。
俺達は敵の真ん中へと突き進んだ。
じぇにぃの機体は、見た目極々ノーマルな機体だ。
武装を見る限り、スピード型ではなさそう。
なんせ武器がスナイパー用の長距離ビームライフルで、カスタマイズで威力を上げているようだ。
その分動きが遅くなるが、当たれば、当たり所によっては一撃で戦闘不能にできそうな武器。
まあ俺が相手だったらまず当たらないけどね。
さて、戦闘開始だ。
 アライヴ「数が多いから、助けてもらえると思わないでね。」
 じぇにぃ「ぁぃぁぃさぁ~でもこっちはたすけてぁげるからねぇ~」
言う言う。
頼もしいじゃないか。
 アライヴ「こっちはフェンネル使うから、離れて戦った方がいいか?」
一応確認だ。
もともと離れて戦うつもりなんだけどね。
 じぇにぃ「ぉすきにぃ~なんでもどんとこぃだよぉ~」
・・・
またなんだか不安になってきた。
って、もうそうも言っていられなくなってきた。
俺はフェンネルを全部展開した。
設定はパターン2に変更。
攻撃の手数は多い方がいいから。
戦闘が始まった。
数が多いから、いっさい気を抜けない。
よそ見でもしようもんなら、敵に攻撃されるだけでなく、自らのフェンネルにも攻撃されてしまう。
 じぇにぃ「ぁはは~すごぃかずのフェンネルだねぇ。」
おいおい、余裕じゃないかこの子。
俺は通信してる暇ねぇぞ。
 じぇにぃ「そんなにフェンネルとばしたらぁ、つぅしんしてるよゆーなぃねぇ。」
そのとおりだよ。
なんだこの子?
戦ってるのか?
俺はよそ見ができる状態ではないけれど、気になってじぇにぃの機体、「ぷりちぃ」を視界に入れた。
うまい・・・
この子もフェンネルを使うのか。
フェンネルはひとつだけだが、それを巧く使って、敵の動きをコントロールし、それをライフルで一撃・・・
って、よそ見している間に、敵の攻撃をくらってしまった。
 一生「うわぁ、俺のキュベレイちゃんがぁ!!」
 じぇにぃ「だぃじょぶ?」
 アライヴ「かすっただけだよ。」
ふぅ~あぶねぇ。
危うく落とされるところだったよ。
じぇにぃは大丈夫そうだ。
俺は俺だけ考えて、がんがん落としてやるぜ。
負けらんない。
俺は改めて集中力を高めた。
その後のじぇにぃの戦い方は見る事はできなかったが、気がついたら俺とじぇにぃで50機いた敵を全て倒していた。
まあ相手は全てNPCの動かす人型だったから、俺達なら終わってみれば当然の結果か。
それにじぇにぃの戦い方は、直接は見れなかったけれど、時々俺に向かっている人型を横からねらい撃ちしてしとめていたから、もしかしたら単独戦闘以上に共闘が得意な子なのかもしれない。
単機で戦うのが得意なドリームを、バトルグリードで倒した事があるとなると、もし共闘の方が得意となれば、この子の強さは・・・
頼もしい仲間を得た、そう思った。

勝利への誓い

俺は、夕方からゲーム参加してきたじぇにぃと、一緒にテストバトルをしていた。
共闘が得意なじぇにぃと、息を合わせる事ができれば、もっと強くなれるだろう。
 アライヴ「じぇにぃちゃんって、接近戦はどうなの?」
 じぇにぃ「ライフルのさきでぇきるよぉ。」
なるほど。
確かに先には刃がついているけれど、これだと接近戦はあまり得意ではないとみるべきだろう。
それにスピード型ではないから、接近戦が得意なスピード型が相手だと、少しつらいかもな。
 アライヴ「ちょっと俺機体を代えるから、テストバトルしよう。」
 じぇにぃ「まけないぞぉ。」
味方同士なら、テストバトルは対戦形式で行う事ができる。
 アライヴ「本気できてね。」
 じぇにぃ「ぁぃぁぃさぁ~」
さて、お手並み拝見だ。
俺が今乗っているのはSSだ。
これはドリームと同型機と言っていい、近接格闘機のスピード型だ。
俺はとにかくスピードを生かして接近を試みる。
するとフェンネルの攻撃がおそってくる。
 一生「当たるわけないし。」
フェンネル使いの俺が、フェンネルの攻撃をかわせない訳がない。
 一生「って、危ない!」
俺はぎりぎりのところでかわした。
なんだ?
フェンネルの攻撃タイミングに合わせて、巧くかわしたと思ったけど。
そうこう考えている間に、今度はライフルの攻撃。
これはわかっていなければ、やばかった。
流石にドリームに勝ったと言っているだけはある。
てかなんだ?
フェンネルの攻撃を、かわすので精一杯だ。
しかもかわしたところでライフルの攻撃。
普通の奴なら完全にやられている。
フェンネル使いの俺でも追いつめられているのだから。
ん?フェンネルじゃない?
いや、フェンネルだけど・・・
そうか、このフェンネルの設定。
最初から射線をずらしてやがる。
かわしやすい方向に・・・
そして発射タイミングは、完全にプレイヤだ。
なるほどねぇ。
かわしやすいタイミングで発射して、楽勝でかわせると思ったところにビームが向かってくる。
此処で当てられる、または驚いて動きが止まったところを、ライフルで狙い撃ちか。
うまく考えられた作戦だ。
しかしわかってしまえば、俺には通用しない。
ほとんどのプレイヤには通用するだろうけど。
俺はフェンネルの攻撃の射線をしっかりと把握した後、今度はかわさない。
じぇにぃの攻撃は、はっきり言って完璧な精度の攻撃だ。
だから逆に見切られると、簡単にかわせるんだよね。
 じぇにぃ「ぇぇーー!!」
ははは、驚いてるな。
楽勝でかわして、ライフルを使うタイミングを与えない。
こうなれば一気に接近だ。
 一生「って、なんだぁ!!」
フェンネルの設定を変えてきやがった。
当然か。
当たらない攻撃が当たらないなら、当たる攻撃で当てるってね。
でも、これならいつもと同じ。
さあ、接近したぞ、どうするじぇにぃちゃん。
って蹴りぃ?!
そしてライフルの先の槍か。
俺は後ろに跳んでかわす。
やべ、ライフル撃てるじゃん。
直後爆発音が鳴り響いた。
 じぇにぃ「やったぁ!」
 一生「残念でした。」
俺は後ろから軽くビームソードでぷりちぃを斬りつけた。
 アライヴ「俺の勝ちだ。」
 じぇにぃ「あれぇ?ひとがたみぃにぃ!!」
 アライヴ「そゆこと。」
さきほどの爆発は、ブロンディ、つまり人型ミニにあたって爆発したものだ。
さっきの瞬間、俺はとっさにブロンディを起動。
その場に残して、軽くなった機体で、高速でぷりちぃの後ろに回り込んだわけ。
爆発したから視界にもとらえられなかったし、とっさの作戦としてはなかなかのものだろう。
実戦だったらブロンディを無駄に無くすところだけれど、まあテストバトルだし、大丈夫だ。
 じぇにぃ「うっそぉーーー!!はつたぃせんではじめてまけたぁーー!!やーーん!!」
・・・
聞いたところによると、ドリームに勝ったのは、初対戦の時だけだったそうだ。
そして他とも、初対戦者には負けたことが無かったらしい。
でも2戦目以降は、戦術がばれると強い相手には勝てなくなるそうだ。
まあ俺だって、先日一緒に戦って、戦い方を見ていなければ、負けていただろう。
だから強い事にかわりはないんだけど・・・
やはり共闘が向いているし、もう少しバリエーションが有れば、きっともっと強くなる。
 アライヴ「じぇにぃちゃん、君はステキだ。ドリームとカズミン、俺達なら勝てるかもしれないよ。」
 じぇにぃ「ふぇ?ぇーと、プロポーズ?」
 アライヴ「なんでやねん!!」
 じぇにぃ「だってぁのふたり、ふぅふだしぃ~」
 アライヴ「そなんだ。」
まあそんな感じで、俺達は打倒ドリーム、打倒カズミンを誓いあうのだった。
どんな感じやねんw

セオリー無視の作戦

じぇにぃとコンビで戦うようになってから、俺達紫苑軍の快進撃は続いた。
一日一要塞攻略の目標は、ほぼ確実に達成してゆく。
しかしまあ、如何せん戦力が少ないわけで、勢力を拡大しても空き巣を狙われればいっかんの終わりでして。
結局は重要拠点を守るのが精一杯だ。
コロニーシオンとカテーナ、そしてコロコロコロニー。
この三カ所を結ぶラインだけが、はっきりと我が領域と言える場所。
 紫苑「…」
 スピードスター「♪」
 紫陽花「はぁ~」
 アライヴ「やっぱりプレイヤの味方がほしいな。」
 じぇにぃ「ぅちらさぃきょぅなのにぃ~まもれるひとがぃなぃもんねぇ…」
この悩みは俺達だけではない。
ダイユウサク軍だって、身内だけでやっているから、そこそこまで勢力を広げたけれど、そこで行き詰まっているし、ジーク軍も今はおとなしい。
サイファさんところは、何故か友好関係が多いから、少しずつ巧く広げているけれど、それでもそろそろ手詰まり感がある。
いくら国力があっても、今回はプレイヤの数が圧倒的に必要なシステムなんだ。
人が増えない事には、勝負がつかない。
誰かを誘う?
って、これがこの会社の作戦だったのかもしれない。
人がいないと攻略できないゲーム。
参加していない人を誘うと、ユーザが増えるって寸法だ。
そんな事がわかったところで、どうにもならんのだけれど。
 紫苑「ネットで集めるか。」
 スピードスター「うむ~♪」
この考えは、実は前々からあったが、結局やめた方法だ。
理由は、いくら裏切りが少なくなったとは言え、やはりジークのように現金で寝返りを求められれば、おそらく寝返る可能性もあるし、なによりまじめにやるかどうかが疑問だ。
やりたい奴はおそらくすでにやっているだろう。
13192有る拠点と3つの要塞戦艦。
その全てにプレイヤを配置するだけで、プレイヤ13195人が必要だ。
それもアクティブな人が。
でないと何処かしら守りができない場所がでてくる。
現在このゲームの戦闘時間の、戦闘に参加しているユーザー数を見ると、ほとんど拠点の数とイコールだ。
それは、攻めるもひとり、守るもひとりで成り立つ計算で、そもそもこの人数でゲームのクリアが可能なのだろうか?
それでも統一となると、単純に一陣営にこれだけの人数が必要になる。
これは戦って戦って、勝って勝って、他よりも圧倒的に高いレベルと、戦力を得るしかないな。
 アライヴ「先は長いな。」
 紫苑「まあ、20億だからな。」
 紫陽花「この会社の年間の純利益を考えると、5年以上は続けて貰いたいところね。」
 スピードスター「なるほど♪」
 じぇにぃ「はなしがぁむずかしぃからわかんなぃよぉ。」
 アライヴ「とにかく俺とじぇにぃで勝ちまくるしかないって事よ。」
 じぇにぃ「なるほどぉ。」
 紫苑「なるほどそれだ。」
俺とじぇにぃの会話を聞いて?いた紫苑さんが、何か思いついたようだ。
 紫苑「サイファと相談してくる。」
紫苑さんはそう言うと、しばらく通信を切った。
通信を切る必要が有るのかどうかは知らないが、何かしらの交渉に集中したいのだろうか。
それよりも・・・
 アライヴ「紫苑さんどうするつもりだろう。」
 スピードスター「任せておけば大丈夫♪」
 紫陽花「私が伝えるね。」
そっか、紫陽花さんは紫苑さんの奥さんで、紫苑さんとならんでゲームしてるって言ってたもんな。
 アライヴ「どうですか?」
はっきり言って気になる。
ファーストの時、四天王が裏切らなかったらおそらく優勝していた紫苑さんと、もっとも優勝に近かったサイファさん。
このふたりで相談。
どんな作戦なんだろうか?
 紫陽花「言えない。(笑)」
なんですとぉ?!
しばらくしてから、紫苑さんが通信回線を開いた。
 紫苑「作戦決定。」
 アライヴ「言えない作戦ってなんです?」
 紫苑「(-_-メ)」
 紫陽花「汗」
 スピードスター「♪」
なんだ?
味方にも内緒の作戦なのか?
 紫陽花「話しても良いよね?」
 紫苑「わかった。話すよ。」
 スピードスター「♪」
どうやら話してくれるようだけど、これは結構やばい作戦なのかもな。
 紫苑「まず、サイファ軍との同盟関係を解きます。これは次回期限の更新をしない事でやります。1週間後。」
なんと、サイファさんと話して、同盟を解消するのか。
これは・・・
 紫苑「もちろん、裏では友好関係は維持するので、決して戦闘は行わないように。」
やはり。
 紫苑「そして同盟解消後、俺と紫陽花は、親のIDでサイファ軍に入り、直接勢力拡大に協力します。」
なんと、そんな事すると、この軍の大将と中将が共にいなくなるって事じゃん。
 アライヴ「IPアドレスが同じになるから、自宅からだとできないんじゃ?」
 紫苑「もちろん。その間、紫苑および紫陽花は一切行動できません。」
それで、紫苑軍はどうするんだ?
実質俺とじぇにぃ、そして星さんだけになるって事だ。
これは厳しいんじゃね?
 アライヴ「しかし何故そんな事をする必要が?」
 紫苑「理由は、サイファ軍を、ジーク軍とダイユウサク軍に匹敵する勢力にする為。できれば星、おまえも別IDでサイファ軍にきてくれ。」
ええ!!
それでどうやってやっていくのだろう。
 スピードスター「♪」
 紫苑「了解と受け取った。(^0^)/」
おいおい、了解しているよ。
 アライヴ「何故匹敵する勢力に?」
 紫苑「もしアライヴが死んだとして、何処の軍に入る?」
 アライヴ「そりゃ、紫苑さんのところに戻りますよ?」
 紫苑「でももう滅亡していていたり、優勝の望みが全くなければ?」
 アライヴ「う~ん。やっぱ強いところかな。ダイユウサク軍は無理だし、ジーク軍はあまり好きじゃないから・・・そっか!」
 紫苑「そゆこと。サイファ軍を第三勢力にすれば、死んだ人の多くはサイファ軍に流れる。」
 アライヴ「後はジーク軍と、他に強いと認めた人のところに行くわけだ。」
 紫苑「だから、俺達がいない間に、アライヴとじぇにぃで、がんがん攻めまくって、殺しまくってくれ。それも強さを見せて。」
ははは、殺すって事をすっかり忘れていた。
人型が手に入らないし、経験値が大きく無くなるわけでもないから、殺す事にデメリットはあっても、メリットは無いと思っていた。
どの攻略サイトにも、どの掲示板にも、プレイヤを死亡させる事、完全破壊をする事は愚考として言われている。
 紫苑「この作戦は、君たちの強さにかかっている。」
これは、完全に紫苑さんが、俺とじぇにぃを信頼しているからこそできる作戦だ。
この信頼に応えないで、何がエースパイロットだ。
 アライヴ「俺はやるよ。じぇにぃも良いか?」
 じぇにぃ「ふふははぁ~やるにけってぃ~!!」
こうして俺達の作戦は始まった。
って・・・
 アライヴ「で、何処が言えないような作戦なの?」
 紫陽花「この人ね、もし紫苑軍がそれで駄目そうだったら、そのままそっちに入れてくれって言ってたのよ。」
 紫苑「君たちが強ければ問題ない。」
・・・
まあ、俺達が強さを見せれば、やられた奴らの一部は紫苑軍に志願してくるだろうし、問題ないから良いって言えば良いんだけど・・・なんかしっくりこないな。
これが紫苑さんの強さでもあるから、驚きも反感もないけどね。

作戦は順調

 アライヴ「よし、プレイヤは全部始末したな?」
 じぇにぃ「ぁぃぁぃさぁ~」
 アライヴ「次いくぞ!」
俺達はとにかく攻めて攻めて攻めまくって、無茶苦茶な戦いを続けていた。
何処が無茶苦茶かと言えば、今回のゲームでは完全に攻め手不利なゲームなのに、攻めるだけの戦闘を繰り返し、尚かつ少数だ。
本来ならこんな戦いはできないはずだけど、俺達の強さと、そして敵戦力の分散が生む弱さによって、可能となっている。
更には、一度取った要塞はすぐ取りかえされるわけだけど、取ったり取られたりを繰り返す事によって、守りも弱くなるし、生産性も下がる。
最初こそこの作戦はきつかったが、今ではだいぶ楽になっていた。
俺達のコンビもかなり精錬されていて、全く負ける気がしない。
ちなみに母艦は、紫苑さんのリアル友達のひとり、「てけとー」大佐の艦である。
てけとーさんは、作戦期間中だけ頑張ってくれと紫苑さんに頼まれて、いやいや引き受けたらしいけど、今では結構ノリノリだ。
 てけとー「ははは、次だ次!!」
別に弱い人ではないけど、調子乗りすぎだって。
母艦落とされないように、注意しないとな。
ちなみに拠点の守りをしっかりやっているのは、コロニーシオンだけだ。
もし攻められたら、紫苑さんのリアル友達の「壁」中佐さんに電話を入れて、オンラインさせる手はずになっている。
この人は漫画家らしく、いつも忙しいからゲームどころではないが、いつも家にいるので、都合良く使わせてもらっているとか。
まあ実際攻められるような状況は、今のところはなさそうだけど。
取られたら速攻取り返す状況だし、前線が崩れるのは一瞬だからね。
結局今日も、拠点の数がトータルで減る事はなかった。
最初こそ減る方が多かったが、最近はこの方法ですら少しずつ拠点を増やせている。
それに合わせるように、志願してくるプレイヤも増えてきていた。
それ以上にサイファ陣営には人が集まっているらしいけれど。
今回の作戦で、今のところ一番恩恵にあずかっているのが、サイファ軍で、次がジーク軍、そして紫苑軍だ。
それでも今だけを見るなら、我が紫苑軍が一番いい感じだ。
なんせ紫苑領の周りは、ほとんどが空白化していると言っていい。
プレイヤを倒す為には、少しずつ遠征しなければならなくなっているから。
作戦では一応、紫苑軍とサイファ軍で、最前線を固めながら侵攻できる100人以上のアクティブプレイヤを確保できるまで。
地球攻略を考えると、150人くらいは欲しいところだけど、今の戦い方を続けていけば、100人でも十分やっていけそうだ。
だけど、現状良い感じでも、潜在的には紫苑軍はかなりきつい状況にもなっている。
他へ志願したプレイヤのほとんどが、紫苑軍に強い敵対意識を持つことになったのだから。
多くと友好関係を持つサイファさんですら、入ってきたプレイヤに事情を説明してわかってもらうのはかなり難しいだろうと言っていた。
みんな紫苑軍とやりたがっているらしいから。
それを、いろいろと理由をつけてうまくごまかしているらしいけど、本当の事を言ってどれだけわかってくれるか。
それに、もう本当の事は言えないだろうと思う。
言ってしまえば、サイファ軍もこの作戦に加担していた事がばれるのだから。
もしジーク軍と隣接していたら、きっとすでに全面戦争だったかもしれない。
実は我が領域は、ジーク軍とはもっとも離れた位置にある。
だから決戦はおそらく終盤になるだろう。
もしくは地球あたりから直接対決が始まるのだろうけど、今のところまだまだだ。
 アライヴ「そろそろ12時だな。」
 てけとー「だな。今日はこのへんにするか。」
 じぇにぃ「は~ぃ」
 アライヴ「では、コロコロに帰投する~」
現在俺達が主に使っている拠点は、コロコロコロニーだ。
最初はシオンを使う予定だったのだけど、攻撃しまくっていれば、思ったよりも攻められないものだ。
紫苑さんが言っていたけど、攻めて殺しまくるゲームの攻略法は、他のシミュレーションゲームなら、常套手段であり、つまらないものだと言っていた。
これをすると簡単に攻略できるのだけど、それを嫌うゲーム会社は、殺す事に重いリスクを持たせる事も多いらしい。
今回はそんな事しなくても、大きなリスクを背負っているわけだけどね。
でも流石にお金がかかっているから、感情だけで行動する人は多くはないようだ。
俺達が勝ち続けていれば、敵ではなく味方にもなるのだ。
 紫苑「ごくろう。」
丁度コロコロコロニーに入ったところで、紫苑さんからの通信が入った。
12時を回って、戦闘時間はすでに終わっているから、家に戻ってきたのだろう。
てか、実家とかなり近いところに住んでるんだろうな。
もしくは普通に、IDだけ借りているのか。
 アライヴ「紫苑さんおひさ~」
 じぇにぃ「こんばんわぁ」
 てけとー「おい紫苑、いつまでこれ続けるんだ?まあ楽しいけど。」
久しぶりの紫苑さんの登場に、皆少しうれしそうだ。
そう思うのは、俺がなんとなくうれしいからなのか、完璧に任務をこなしている達成感からくる自信が、会うことに喜びを感じているようだ。
そんな喜びをよそに、紫苑さんは軍全体に通信を送る。
 紫苑「我が軍に入ってくれた皆様、感謝します。一部、我々にやられても尚、入ってくれた方々もおられると聞きます。我々があなた方を殺してまで味方に引き入れたのは、早いうちに優勝争いのできる軍に入り、このゲームの本当の楽しさを味わっていただきたかった、と同時に、早くから我が軍でプレイしている方が、報酬が多くなる事は必至だと考えたからです。みなさんの為に行った行為である事をわかっていただきたい。」
適当な事を言っている。
少し苦笑いだ。
しかし、これが適当な事を言っているとわかっていても、結果的にはそうなるだろうから、それなりにゲームを理解している人は、今後結束できるだろう。
新しく入った仲間が、何人か紫苑さんへと返事を入れていた。
概ね理解しているようだし、我が軍に入ってきた人だから、そんな事はすでにわかっているようだ。
問題は他の軍だけど、サイファさんのところでも、紫苑さんは適当な事を言って、皆の敵対意識を薄めているのだろうと思った。
紫苑軍に敵対意識を持ってる人に「早めに強いところに移動できてラッキーじゃん?逆に紫苑軍に感謝するべきだよ。」なんてね。
 紫苑「みんなありがとう。後少し、もう少し味方プレイヤが増えたら、本格的な侵攻を再開する。それ以降よりそれ以前に我が軍に入っていた方が、ゲームが終わった時の報酬は多くなるだろう。だからもし迷っている友達プレイヤがいるなら、今のうちに入る事を勧めてあげてほしい。後、勝っても負けても、充実したゲームライフを約束する。では、私は失礼する。」
紫苑さんはそう言った後、軍の全体通信を終了し、我々一部だけの通信へと切り替えた。
通信には、軍通信、グループ通信、個人通信などがあり、今はグループ通信で、主要メンバーだけの通信だ。
 紫苑「順調(^0^)/」
 アライヴ「ですねぇ。」
 てけとー「敵もえらい増えてるけどな。」
 じぇにぃ「わたしわぁたのしぃからぃぃ」
 アライヴ「紫苑さん、もう少しって言ってたけど、まだまだ人数的には足りませんよ?」
そうなのだ。
先ほどの演説のような通信で、後少しで本格的に侵攻するって言っていたけれど、まだまだ予定の3割にも満たない人数だ。
少し増員が加速してはいるけど、このまま増えても後3ヶ月は頑張らないと無理だろう。
 紫苑「大丈夫。きっとすぐだよ。」
えらい自信だな。
さっき言っていた、友達を誘うって事なのだろうか?
まあ、紫苑さんが言うのだから間違いないだろう。
俺は信じる事にした。
というか、もともと信じているけどね。
後は少し雑談をして、今日のプレイを終えた。
明日はバイトだ。
なんか面倒くせぇ。
そんな事を考えながらベッドに入った。

不完全の盾使い

紫苑さんの言うとおり、目標の人数はすぐに集まった。
友達を集めるのもそうだけど、それ以上に多かったのが、他の軍に殺されて、此処にくる人だ。
我が軍の戦い方を見て、人型にとどめをさす軍が格段に増えていた。
ジーク軍も四天王をフル活用して、周りの勢力をどんどんうち負かしていった。
宇宙の絆2は、大戦国時代だ。
波が波を呼び、早いうちに自ら移動する者も多くなっていた。
 紫苑「今日から本格的に私も復活する。プレイヤキルは今まで仕方なくしてきたが、やはりいくない。今後中止する。皆やらないように。」
紫苑さんがサイファ軍にいた事を知っているのは、主要メンバーと、サイファ軍の主要メンバーだけだ。
ちなみに紫苑軍への反感は、サイファ軍の中にはもうあまり無いらしい。
プレイヤキルは、今では当たり前に行われているし、サイファさんと紫苑さんの努力もあるだろう。
そして再び、サイファ軍との同盟を結んだ。
サイファ軍では、「紫苑軍が同盟を求めてきた。だから、プレイヤキルをやめる事を条件に同盟してあげた。」と、皆には話したらしい。
サイファ軍の好感度はますます上がり、反省しているように見える紫苑軍も、だんだんと好感を持たれるようになっていた。
今回の作戦で一番得をしたのはサイファ軍だが、紫苑軍としても上々の結果だ。
そしてその効果が出るのは、まだまだこれからだ。
今、プレイヤキルが流行りだしているのだから・・・
しかし、我々の思惑は、1日でうち砕かれる事になる。
クライアントの修正によって。
 アライヴ「なんだよこれ・・・」
 紫苑「最悪・・・(-_-メ)」
クライアントの重要告知に書いてあったのは、次のとおりだ。
「プレイヤズキルに対してのペナルティ及び、壊滅解散リスクの変更について。艦船撃沈以外で、敵大将以外のプレイヤズキルを行った場合のペナルティ新設。全国力マイナス5%。計算方法は、本来あるはずの国力を対象とする為、20回行えば、自動的に軍の壊滅を意味する。回復には5%1ヶ月を要する。軍の壊滅、及び解散を行った場合、その軍の少尉以上の階級の者は、兵国力が30万人規模以上で上位ベスト10の軍への入隊を3ヶ月禁止する。開始は本日より。バリューネットブラウザのバージョンアップを行わないと、ゲームに参加できませんので、早急にお願いします。」
みんながプレイヤキルを行って、我が軍に人が流れてくるもくろみは、あっさりとたたれた。
それにしてもギリギリのタイミングだった。
後1日この告知が早ければ、サイファ軍との円満な同盟は難しかったかもしれない。
それでもなんとか間に合ったのだから、不幸中の幸いだ。
我々は最低限の勝利をつかんだのだ。
 美夏「まあ、いんじゃね?それにやっぱりプレイヤズキルは、ドロドロになりかねないから、無くて正解だよ。」
 てけとー「まあな。だけど今回の変更は、ダイユウサク軍の連中が、クライアントに進言したって話だぜ?あいつらゲーム業界に影響力大きいからな。あくまで噂だけど。」
まあそれが本当だとしても、今回の作戦で全く利益を得ていないダイユウサク軍だ。
それくらいは良いだろう。
実際これはただの噂だとは思うが。
 紫陽花「それよりも、最低限の目的は達成できたわけだし、今後どうするかよね。」
 アライヴ「確かに。一度軍をきちんと整えて、いよいよ侵攻開始ってね。」
 じぇにぃ「わたしわぁせんとぉーできればぃぃー」
 紫苑「その前に、俺に人材把握させて。(;_;)」
そういやそうだ。
俺は実際に倒してきた奴も多いから、どんなメンツが集まったか少しはわかるけど、紫苑さんにしてみれば知らない人ばかりだ。
それに俺だって、3割程度も把握していない。
話した感じで強そうな奴は何人かいたけど、どうしたものか。
 紫苑「そこで、階級決めテストと称して、アライヴとじぇにぃには、テストバトルをみんなとしてもらいたい。」
 アライヴ「みんなと?できない人も多いかも?」
 紫苑「階級は、最後の評価に大きく影響するから、多少は無理しても集まるはず。だからよろ。」
 アライヴ「わかった。」
 じぇにぃ「ぅん。つよぃひとぉぃればぃぃなぁ」
 てけとー「艦長候補はどうする?」
 紫苑「俺と、紫陽花でテストするよ。」
 スピードスター「♪」
こうして、俺達の階級決めテストと称した模擬バトルが、開始された。

昨日は15人ほどテストバトルの相手をしたが、我々基準で少尉以上になれる人はいなかった。
じぇにぃの方に、そこそこ使える人がいたらしいけど、それでも中尉クラスらしい。
ちなみに人数が増え、国力もかなり増えてきたので、俺の階級は今は少将、じぇにぃが准将だ。
てけとーさん、美夏さん、壁さんも准将に昇格で、初期からのメンバーと主要メンバーだけで将官クラスをやっている。
グループ通信メンバーもそうである。
できれば後何人か、このメンバーに入れたいのだけど、強くて話せる人はなかなかいないものだ。
まだまだ1/3をテストしただけだから、今後に期待。
 アライヴ「今あいてる人で、テストバトルしてない人いましたら、返事ください。」
回線につないでいるかそうでないかは、軍の通信回線を開けばわかるのだけど、回線をつないだままではない人も多いから、こうして呼びかける必要がある。
 レイズナー「あ、よろしく!」
 アライヴ「はい、こちらこそ。」
レイズナーさんは、知っている。
と言っても、個人的にではなく、ファーストの頃は中将までいった人だから知っているだけだ。
でも、階級ほど強いと言える人ではなかった。
しかしそれはシミュレーション主体だった頃の話。
今はパイロットとして来ているから、もしかすると・・・
・・・
悪くはなかった。
なかったけど、期待はずれだった。
中将だったから、もっとやるかと思っていたけれど、我が軍ではせいぜい少佐だな。
それでもこの人は貴重な戦力になるだろう。
ちょっと偉そうだけど。
 レイズナー「君強いね。俺の軍にいてくれたら、中将にしてやったのに。(笑)」
いや、あんたの軍なんか絶対入らないし。
 アライヴ「ありがとうございます。で、おそらく我が軍の、とりあえずは大尉あたりになると思いますが、いいですか?」
 レイズナー「そんなに低いの?俺前中将だったんだよ?」
訂正。
すっげぇ偉そう。
 アライヴ「すみません。できるだけあげるよう大将には言いますけど、上の方は詰まってるので、今後の活躍次第になると思います。」
 レイズナー「そうだな。活躍すればいいんだからな。君と同じ隊にしてくれよ。」
 アライヴ「私は旗艦直属の人型乗りなので、それは無理かと。すみません。」
 レイズナー「しかたねぇなぁ。自力で活躍するか。」
最初からそうしてくれ。
あなたにはなかなか難しいだろうけど。
 アライヴ「それでは、今後ともよろしくです。」
 レイズナー「はいはい~」
 一生「ふぅ~。全くこういう勘違い野郎は駄目だな。完全に名前負けしてるし。」
レイズナーって言えば、なかなか評価の高いアニメだ。
俺でも知ってるし。
そんな名前つけるなよな。
レイズナーがかわいそうだよ。
さて、気をとりなおして、次いくか。
俺は軍全体に通信を入れる。
 アライヴ「まだテストバトルしていない人いましたら、声かけてください。」
しばらく通信が無い。
夕方とは言え、働いている人がなかなかゲームできる時間ではない。
いるのは多くが学校帰りの学生か、俺みたいなプーだ。
しばらくボーっと画面を眺める。
この時間はもういないかなぁ~。
そんな事を思って一旦落ちようかと思った時、通信が入った。
 チョビ「はいrはいあrlじゃ」
・・・
 チョビ「はい!お願いします!」
どうやら慌てていたようだ。
なんだかこれだけで、弱いってわかるんですけど。
まあでも一応テストしないとね。
 アライヴ「はい。チョビさんですね。ではやりましょう。」
 チョビ「よろしくお願いしますーー!!」
ドジっ子属性で、こんな時間からプレイしてるって事は、きっと中学生か、良くて高校生かな。
 アライヴ「では、そちらは本気できてください。終了の時は、発光弾を飛ばすか、通信で伝えます。」
 チョビ「はいです!!」
さて、軽くもんでやるか。
テストバトルがスタートした。
チョビさんの機体は、ごくスタンダードな機体だ。
っていうか、全くカスタマイズしてないんじゃないのってくらい、最初に与えられるデフォルト機のようだ。
これだけで、相手の強さはだいたいわかる。
きっとヘボだ。
そう思って不用意に操作していたら、いきなり正確なビームライフルの攻撃がとんできた。
 一生「おっと!」
俺は一発目をうまくかわしたが、すぐに二発目がとんできて、それを左腕に少しかすらせてしまった。
 一生「なんだぁ?」
弱いと予想していたのだけれど、案外やるんじゃないか?
俺は真剣に動きを見た。
落ち着きの無い動きだけど、その分動きが読めないし、狙いをしぼれない。
 一生「ちょこまかと!だからチョビか!」
俺はそれでも狙いをつけて、絶妙なタイミングでビーム砲で攻撃した。
あの機体でこのタイミング、そうそうかわせるもんじゃない。
 一生「なんと!盾か。」
チョビさんは盾でビーム砲を受けた。
盾なんて重くなるだけだし、それに反応できるならかわす方が賢い。
なぜなら盾はある意味消耗品だから。
傷つけば、本体と同様に修理が必要だから。
しかし、なんだろうこの子・・・いや、歳も性別もわからんから一応この人と言っておこう。
今戦ってわかったけど、あの機体は完全に初期状態だ。
少し違うのが盾だけど、デフォルトよりも大きな盾だから、動きは更に遅くなっているだろう。
人型のコントロールもその分難しくなっているはずだ。
なのにこのうまさ。
そうだ、うまいんだ。
フェンネルは使ってないけど、俺はそれなりに本気で攻撃している。
なのに攻撃を当てる事もできない。
一方チョビさんは、一発とはいえ俺にビームライフルの攻撃をかすらせた。
もしこれがポイント制の戦いなら、有効をとられている状態だ。
なんとまあ、巧い人ってのは密かにいるものだ。
このテストバトルをしていなければ、もしかしたらこの子、いやこの人を完全にただの下っ端として使っていたかもしれない。
しかし、それにしてももったいない。
もっと良い機体に乗っていれば、今頃すでにどこかの軍で、エースパイロットだったかもしれない。
でもだから、こうして今此処にいるわけで、凄くラッキーだったのでは?
とにかく、もう少し戦ってみよう。
少なくとも負けてる状況で終わるのはあれだし。
俺は本気を出すことにした。
フェンネル展開。
さーて、これに対して、どういう戦いを見せる?
なんて思った瞬間、チョビの盾から無数のビームが発射された。
 一生「なんですとぉ!!拡散ビーム?しかも熱感知型だよ。」
俺の展開したフェンネルが、一瞬のうちに落とされた。
この子、いやこの人、俺の天敵じゃないか!
普通こんな盾を持つプレイヤなぞ存在しない。
冗談でやっているやつくらいだ。
でもこの子、いやこの人はマジでこの盾を使っている。
そして巧い。
フェンネル無しでこの子に勝つ?
もうこの子でいいや。
きっと高校生だ。
女の子だ。
人型の性能はこっちが上だ。
勝って当然のはずだけど・・・
俺は集中力を高めた。
結局テストバトルの制限時間10分、全てを使っても決着はつかなかった。
そしてこちらの攻撃で命中させたのが、ビーム砲1発と、意表をついた予備搭載のフェンネルの攻撃だけ。
こっちは何発当たっても不思議ではないくらいだったが、運良く最初にかすって以来、攻撃はくらわなかった。
でも少し何かが、他に気がいくような実戦だったら、俺は負けていたかもしれない。
この後チョビに、じぇにぃともテストバトルさせてみたら、あっさりじぇにぃに負けていた。
まあ初戦だったから、じぇにぃが強いのはわかるけど、相性ってのもあるのかもな。
あの盾も、じぇにぃの強力なライフルには、腕が盾を支えきれずにいたしね。
だからこそ、今後チョビには良い機体に乗ってもらおう。
きっともっと強くなる、そう確信した。
ちなみにチョビは小学生で、夜11時までしかプレイできないらしい。
そして日曜の昼間も、親に注意されてできないらしい。
全くもったいない。
この子が完全体だったら、我が軍の優勝確率が倍増だったのになぁ。

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