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ライバル登場

このところ、ジーク軍が少しずつ勢力を拡大していた。
俺自身さほど強いと思わないのだけれど、紫苑さんやサイファさんに言わせれば、勝つために手段を選ばない、最強の戦略家らしい。
いつの間にかかつての四天王も、ジーク軍下に在籍しているとか。
群青さんとは、ファーストバトルが終わった時に少し話した。
 群青「悪かったな。でも目の前に1000万だぜ?結局負けたけど、金は貰ったからな。」
 アライヴ「仕方ないですよ。俺だって1000万出されたら、寝返るかもだし。(笑)」
 群青「そっか。俺はもう引退するけど、おまえは続けるんだってな。まあがんばれよ。」
 アライヴ「まあ、このままだと悔しいし。」
 群青「俺やおまえの得意な、アクション系のゲームがあったら、戻ってくるかもな。」
 アライヴ「そうですか。その時は、たぶん敵かもしれませんが、良い戦いをしましょう。」
 群青「ああそうだな。じゃあな。」
 アライヴ「ではまた・・・」
・・・
あの群青さんが戻ってきた。
他の四天王もいるとなると、かなりジーク軍は強いだろうな。
紅蓮さんも麒麟さんも、ゲーム全般が得意だって言っていたからおそらく強いだろうし、疾風さんは元々アクション系が得意な人だ。
ダイユウサク軍のエース級にも、バトルグリードで対戦して勝った事が有るらしい。
正直、宇宙の絆Ⅱのバトルシステムは、バトルグリードに近いところが多いらしいから、そのままこのゲームでの強さとも考えられるかもしれない。
俺は、バトルグリードはプレイした事がないけれど。
何となくビジュアルが好きではなかったしね。
さて、本日もサイファさんと協力して、要塞を落とす事になっている。
今回は紫苑軍主体だから、サイファさん達にはサポートしてもらう形だ。
星さんことスピードスターさんも、今日は出撃するらしい。
我が軍は、プレイヤが少ないし、階級の高い人でも出撃は珍しくない。
まあ俺も准将なのに出撃しない事がないからな。
星さんは階級は少将で、俺よりも上だ。
紫陽花さんが中将で、紫苑さんが大将。
他のプレイヤは全て、大佐よりも低い階級になっている。
とはいっても、あまり活動していない人がほとんどだけれど。
今日は珍しく、美夏中佐が共に出撃する。
俺がフェンネルを使っても、共闘できる数少ない仲間だ。
 スピードスター「一応指揮とるけど、まあ適当に♪」
 アライヴ「了解~(笑)」
 美夏「俺は戦力にならんかもしれんぞ!」
ああ、ちなみに美夏さんは、男だ。
 アライヴ「美夏さんなら大丈夫ですよ。」
 スピードスター「♪」
 美夏「だといいけど~」
さて、要塞がレーダー内に入ってきたので、俺達は出撃する。
サイファさん達の艦船は、後方支援をするわけだけど、パープルアイズは最前線へ行く。
戦力としても強いし、俺達3人がいればまず大丈夫。
それに今日はサイファ軍の今日子さんもいるしな。
 今日子「私は今日は守りにてっするから、がんばってねぇ~」
 スピードスター「♪」
 アライヴ「たすかるよ~」
 美夏「さあ、あばれっか!敵がお出ましだ。」
俺達は旗艦の守りは今日子さん達サイファ軍に任せて、敵の真ん中へと向かった。
同盟軍に守りを任せるなんてと思わなくもないが、サイファ軍との信頼関係はあつい。
一応リアルでも面識があるらしいから。
俺はまず、普通に敵の力量をはかりながら戦う。
どの機体が強いか?どれくらいプレイヤがいるのか?戦力的に優位か不利か?
敵艦船は3隻、こっちは4隻、人型の数では圧倒的に敵優位だけど、人型を操っているプレイヤは二人か三人。
普通の弱小軍なら、この程度だろう。
俺達だって、助っ人が無ければ三人だったのだから。
しかも星さんは、艦船の艦長をNPCに任せている。
リスクを犯して出撃しているわけだ。
それでも、サイファさんと、それに真でれらさんが守っているから大丈夫だろう。
この二人、特に真でれらさんは、艦船の守りには定評があるからね。
どうも手応えがない。
敵は弱いし、プレイヤも三流だ。
美夏さんだけでもなんとかなるんじゃないか?
少なくとも、一対一で負ける相手ではない。
15分ほど戦っただろうか。
すでに敵の人型は全て壊滅。
そして敵艦船への攻撃を開始していた。
勝ち目が無いと判断したのだろうか。
艦船は撤退行動をすぐに始める。
プレイヤの回収もせずに、逃げるようだ。
要塞の抵抗ももう無い。
 アライヴ「楽勝だったな。要塞の占拠は、美夏さんにまかせていいですか?」
 美夏「ああ、楽勝でしょ。」
美夏の愛機バナナは、まぶしいくらいの黄色い機体で、単機要塞へ向かうのがはっきり見えた。
ちなみに人型の色は、宇宙の色と合わせたりして、見えにくくする事が多い。
理由は、ゲリラ戦をする軍人が、迷彩服を着ている事を考えればすぐに分かるだろう。
でも単機で戦う時はいいけど、共闘する場合は見えないと、味方からの攻撃を受ける事もあるから、見えやすくする場合もある。
俺達は単機での戦いより、共闘を重視しているから、基本見えやすい色にしている。
ちなみに俺の愛機キュベレイは白だ。
本家にできる限り似せているからね。
星さんの機体は金色。
ちなみに今日子さんの機体はサファイア色で少し暗めだ。
パープルアイズが、人型を回収しているのが見えた。
プレイヤ3人、味方にできるだろうか?
おそらくは無理だろうな。
今回のゲームでは、裏切りや軍を変えるのには、前回以上にリスクがある。
そんな行動をした人は、たとえ所属軍が優勝しても、配分はほとんど得られないと公表されているからだ。
ポイントで査定しているなら、きっと大量のポイントがマイナスになる行為になるのだろう。
配分に影響しないように軍を変えるには、一度軍の大将に正式に許可を得て退役するか、在野軍、すなわち拠点を持たない軍を辞めてから、「3ヶ月間をおいて入隊する」事が必要となる。
もしくは軍の壊滅や解散、又は自分のキャラが死んだ場合に他の軍に入っても、査定がマイナスにはならないようだ。
ただ、壊滅や解散、死に関しては、それ自体にリスクがあるけどね。
死後は1週間軍に属せないルールも有るし。
まあとにかく、前回ほど裏切りを注意しなければならないって事はなくなった。
それでも裏切りはきっとあるのだろうけどね。
それにしてもこのシステム、全ての拠点に所有者ができてから公表されたから、実はかなりの反感をかった。
適当に軍を作って、拠点に名前をつけてやろうという奴らが、簡単に軍を解散できずに嘆いていた。
本来ならみんな、きっと強い人の軍に入りたかったはずだ。
中でもジーク軍やダイユウサク軍は人気だ。
本当は適当に遊んだ後に、それらの軍に入るつもりだったのだろうけれど、リスクが大きくて今となってはできない。
これはおそらくクライアントの作戦だったんだろう。
最初から戦力が集結していたら、ゲームの決着が早くなるし、面白みにも欠けるからね。
今ではそれぞれに軍を強くしようと必死だ。
俺はこれで良かったと思っている。
やはりゲームは長く楽しみたいからね。
さて、もう大丈夫そうだし、パープルアイズに戻るか。
俺は紫苑さんへ通信を入れようと、チャット通信画面に文字を書き込んでいた。
そしたらその時、友軍ではない何かが、こちらに近づいてくる警告音が鳴った。
 一生「敵?」
 アライヴ「残っていたか?」
俺は紫苑さんへのメッセージを一度消してから、それだけ送信した。
 スピードスター「ありゃやべぇの来た♪」
 今日子「あれ、ドリームとカズミンだよ!」
なんと!ドリームとカズミンが?
俺はレーダーにとらえた敵の方に機体を向けた。
モニタに敵機の情報を表示する。
黒い機体は、確かにドリームと表示していた。
名前:ドリーム、機体:ドリーム。
もう一機もほぼ黒に近い紺色の機体。
名前:カズミン、機体:カズミン。
俺はどきどきしてきた。
人型だけで、こんなところまで?
ダイユウサク軍の領域からだとかなり離れているから、相当燃費重視でないと、こんな領域まで来る事はできない。
おそらく能力的には、俺のSSと似たような感じの機体だろう。
 今日子「面白い!やるよ!」
 スピードスター「♪」
今日子さんはやる気だ。
スピードスターさんは、いまいちわからないけれど、やるならやるって感じかな?
俺も戦う意志を伝えようとした時、ドリームからの通信が入ってきた。
俺は特に通信を断る理由も無かったので、そのまま回線を開く。
 ドリーム「こんにちは。アライヴさんって強いんだってね。一度タイマン勝負したいんだけど、うけてくれない?」
なんと、あのドリームが俺と?
するとカズミンと今日子さんが、2機だけで少し離れていった。
すぐに今日子さんから通信が入る。
 今日子「私とタイマンでやりたいらしいから、ちょっとやってくる。手出し無用ね。」
なるほど、カズミンは今日子さんと、そしてドリームは俺とやるってわけか。
俺はドリームに了解のメッセージを送る。
 アライヴ「おっけ~!」
そしてすぐ友軍へ向けて、「俺もドリームとタイマンするから、手出し無用で!」
すぐに皆から、「了解!」とメッセージが入った。
でも紫苑さんだけは、「やばそうなら、手出しする。君はうちでは重要だから。」そう言ってきた。
俺の事を買ってくれているのだから、悪い気はしないが、手出しされるのもいやなので、絶対勝つ。
気合を入れた。
 ドリーム「此処までくるのに燃料かなり使ってるから、戦闘時間はおそらく5分が限界だと思うから。」
 アライヴ「了解!」
これは、5分で倒すぞと言う意味か、それとも5分では勝負はつかないかもしれないと思っているのか。
まあどちらにしても、やるだけだ。
ドリームがビームソードを抜いた。
 一生「二刀流?」
両手にビームソード。
そしてあの機体だと、おそらく接近戦オンリー。
俺の機体はどちらかと言うと中長距離メインだが、接近戦でも別にかまわない。
 ドリーム「では行くよ!」
 アライヴ「うい!」
俺が返事を返すと同時に、ドリームがまっすぐつっこんできた。
俺はすぐにビーム砲で狙う。
しかし簡単にかわしながら、なおもキュベレイに近づいてきた。
 一生「はえぇ!!」
一気に距離を詰められた。
「もらった!」、ドリームからそんな声が聞こえてきた気がした。
でも俺はそんなにぬるくないよ。
全体的なスピードは負けているが、瞬発力はこっちが上だよ。
俺は最初の一太刀を左へかわす。
しかしすぐに俺へ向けてソードが襲いかかってくる。
 一生「ツバメ返しかよ。」
俺はすでに抜いていたビームソードでそれを受けた。
ビームソードなのに、何故ビームソードで受ける事ができるのかは不思議だけれど。
俺は逆の手のビーム砲で、ドリームを狙う。
と同時に、ドリームは俺から距離を素早くとった。
ビーム砲は当たらない。
俺は撃つのをやめた。
 ドリーム「流石ね。噂は本当だったw最近強いのいなくて退屈だったんだよね。」
あのドリームに流石と言われれば少しうれしいが、俺とてドリームにもカズミンにも負けるつもりはない。
 アライヴ「ドリームさんも強いね。これだけ俺とやれる人なんて、見たことないよ。」
 ドリーム「今日子さんも?」
 アライヴ「敵でね。あの人もきっと強いよ。」
 ドリーム「でしょうね。カズくんでも手こずってるし。」
見ると、なかなか壮絶な戦いをしているようだ。
でも、今日子さんが押されているように見えるのは、気のせいだろうか?
 ドリーム「では、第二ラウンドいくよ!」
おっと、見とれてる場合じゃ無かった。
 アライヴ「うい!」
又も返事と同時に、ドリームがつっこんできた。
この無造作につっこんでくるところに、ドリームの強さを感じる。
これがガンダムでいうところの、「プレッシャー」なのだろうか。
しかしこの程度なら、まだまだだ。
今度は早いうちに右に跳ぶと、中距離を保ちながらビーム砲で狙う。
ドリームはそれをかわしながら近づこうとするが、かわしている分距離は縮まらない。
さて、このままだと、ドリームがミスをしない限り、延々このままかもしれない。
別に此処で俺のフェンネルを見せる必要はないけれど、なんとなく使ってみたくなった。
俺は少しずつ、距離をわざと詰める。
この距離でフェンネルを展開しても、ドリームには通用しないだろう。
回避不能な位置まで近づかせて、蜂の巣にしてくれる。
フェンネルの設定をパターン1にする。
前回練習時に、パターン2に変更していたからだ。
さて、うまく近づいてこい。
後少し。
ドリームに警戒している様子はない。
よし、此処だ。
俺は一気にフェンネルを展開した。
一瞬ドリームの動きに迷いが出る。
俺は機体を反転させて、全速前進。
フェンネルの中に逃げる形だ。
追いかけてくるかこないかは、もうどうでも良い。
すでにドリームは、フェンネルに完全に包囲されている。
しかもかなりの近距離で。
一気にフェンネルのビームがドリームをおそった。
やった!
あれ?爆発音が無い?
手応えが全くなかった。
中心ではドリームがノーダメージで存在していた。
次の瞬間すぐに、ドリームは俺から離れる方向で、距離を取った。
なんだ?
あのフェンネルの攻撃を全てかわした?
冗談じゃない。
あれをかわされたら、フェンネルであのドリームは落とせないではないか。
 ドリーム「あぶなー(笑)フェンネル使いだって聞いてたの忘れてたよ。この機体じゃ勝ち目ないから、今日はこの辺で撤退するよ。」
・・・
ちょっとフリーズしてしまった。
 アライヴ「ああ、今日は楽しかったよ。」
嘘だ。
あの機体と武装で、フェンネルまで使ったのに落とせないどころか、ノーダメージのドリームの強さに、かなりショックを受けていた。
ドリームのところに、カズミンがやってきた。
そうだ、今日子さんはどうなった?
とりあえず大丈夫そうだけど、機体に傷が見えた。
カズミンは無傷だ。
こんな機体で、何者なんだこの人達。
流石にゲームで食っていけると言われている人達だけど、これほどなのか。
 ドリーム「じゃあ、次回はマジ勝負で。」
 アライヴ「うん。」
悔しさで、余裕もなく、ただそれだけ返事をした。
ドリームとカズミンの二機は、猛スピードでこの空域を離脱していった。
しばらくして、今日子さんから通信が入った。
 今日子「くやしいーーーーー=!!!!!!!!!!」
この適当な通信が、今日子さんの悔しさを如実に伝えてきた。
 アライヴ「カズミンってどうだった?」
 今日子「強すぎ。ってか巧すぎ。途中から、絶対に落とせる気がしなかった。」
 アライヴ「そっか。ドリームもそんな感じ。巧いってよりは早いって感じ。反応が人間じゃないよ。」
 美夏「ドリームとカズミンとやったのか?」
要塞を占拠したのか、美夏さんが戻ってきた。
そう言えば美夏さんって、バトルグリードも経験者だったような。
 今日子「やったけど巧すぎ。」
 アライヴ「確かに、勝てる気がしなかったよ。」
 美夏「ははは、テレビで彼女達の戦い見たことあるけど、コントロールが人間業じゃないからね。つーかおまえ達が健在なのが凄いよ。バトルグリードで太刀打ちできるのは、ほとんど身内だけな奴らだぜ?そいつらとまともにやれたんだから、もしかしたら俺って良い仲間に恵まれたかもな。」
ほめてもらっているんだけど、悔しさがそれを完全にうち消していた。
次戦う時まで、もっともっと強くなる、そう誓った。

頼もしい仲間

今日、昼間っから練習していたら、夕方、プレイヤがひとりパイロットに志願してきた。
一応俺は准将だからそのまま受け入れる事もできるが、大将の紫苑さんに許可は得た方がいいだろう。
それに、俺の艦船に配属しても、意味が無いし。
それでも一応、面接と言うか、どんな人なのか聞いておくか。
 アライヴ「どうして我が紫苑軍に入ろうと思ったんですか?」
 じぇにぃ「えっとぉ、ダィユゥサクぐんにぃ、はぃろぅとぉもったんだけどぉ。ぁそこって、みぅちだけでやってるんだって。そしたら、ここがつよぃから、紫苑ぐんがぃぃよぉ~って。」
・・・
なるほど。
強い軍に入ろうとダイユウサク軍に志願したけど、身内だけでやってるから断られ、紫苑軍を推薦されたから此処にきたと。
悪い気はしないけど、最初にダイユウサク軍にってのが引っかかるなぁ~
でもそうか。
あそこは身内だけでやっているのか。
それなら、俺がドリームとカズミンを倒せるようになれば、ダイユウサク軍に勝てるようになるな。
 じぇにぃ「ちなみにぃ、ぁたしつよぃから~ドリームさんのぉすみつきだよぉ。ばとぐりでわぁ、かったことぉぁるしぃ。」
なにぃ!!
バトルグリードで、ドリームに勝ったって、相当強いんじゃん?
あのドリームを倒したんでしょ?
俺は負けないまでも、勝つ事は現状不可能なあの人に。
ゲームは違えど、これはもしかしてかなりの使い手かも・・・
しゃべり方は中学生か小学生っぽいけど。
 紫苑「どした?(^-^)?」
紫苑さんから通信が入ってきた。
俺がメッセージを紫苑さんに送っておいたからだ。
もちろん用件は、このじぇにぃって子の処遇をどうするか。
 アライヴ「じぇにぃさん、今大将きたから、ちょっとまってて」
俺はそれだけじぇにぃさんに言うと、今度は紫苑さんと通信する。
 アライヴ「今我が軍に志願してきた人が。なかなか強そうなパイロットですが、子供っぽいです。(笑)」
 紫苑「入れて大丈夫そう?」
 アライヴ「俺は欲しいですね。」
 紫苑「じゃあ俺の艦に乗せるか。」
おお?いきなり旗艦に?
でもまあ、話が本当ならそれくらいのパイロットではあるな。
 アライヴ「じゃあとりあえず乗せますね~」
 紫苑「了解~」
俺は紫苑さんの了解を得て、今度はじぇにぃさんに通信を入れる。
 アライヴ「喜んで入隊を許可します。よろしく。配属は旗艦専属のパイロットだ。俺と同じね。」
 じぇにぃ「ぁりがとござぃますぅ。きっとちからになりますよぉ。」
 アライヴ「うん。よろしく。では旗艦は今有人要塞カテーナにあるから、人型を移動させておいてね。今日も要塞攻略に出陣するから。」
 じぇにぃ「さっそくですかぁ。がんばりますぅ。」
本当にこんな子が強いのだろうか?
でもまあ、俺が宇宙の絆を始めたのが中学生だったし、きっと大丈夫だろう。
それにこんなしゃべり方はネットだけかもしれないからな。
リアルだと案外大人だったりする事もあるし。
・・・
 アライヴ「ひとつ聞いてもいい?高校生?」
 じぇにぃ「ちゅぅぃちですぅ。」
・・・
大丈夫だよね?
 アライヴ「そっか。戦闘は夜遅くまでになるけど、大丈夫?」
 じぇにぃ「ははは、ぃまどきぃ12じにねるこぉ~ぃなぃよぉ~」
・・・
 アライヴ「だよね。」
とにかくこんな感じで、俺達は要塞攻略に出陣するのであった。

今日攻略するのは、今後の最前線にしたいと考えている、コロニーの「コロコロコロニー」だ。
って、誰だよ、こんな名前つけたの。
めちゃ弱そうなんだけど。
でも此処って、諜報活動で調べた範囲では、コロニーでは3番目に生産性の高い、なかなか使えるコロニーなのだ。
でもやっぱ、コロコロコロニーはないよな。
まあ紫苑さんは喜んでいるけど。
 紫苑「今日一日でとか思ってないから。ゆっくり削っていこう。(^0^)/」
 アライヴ「はい~」
 スピードスター「♪」
 じぇにぃ「ぅはぁ~」
・・・
今日は、サイファさん達とは別行動だし、今日子さんはもちろんいない。
美夏さんも残業で今日はこれない。
紫苑さんも星さんも人型で出て、艦船の守りをするとか。
紫苑さんは「なまっているから、今日は適当にやる」って事だけど。
実質、俺とじぇにぃと二人でやるのか。
もちろん、NPC乗りの人型は10機ほどいるけれど、敵はおそらく最低でもその数倍いるんだろうな。
なんて思っていたら、数倍どころではない数が、レーダーに写った。
 一生「おいおい、多すぎるでしょ。」
 アライヴ「多いな。旗艦大丈夫ですか?」
 紫苑「旗艦はなんとかするけど、アライヴひとりでその数無理か?」
正直俺が10人分強いと言っても、50機いっぺんに相手になんてきつすぎる。
 じぇにぃ「ぁたしもぃるよぉ~きっとかてるぅ。きっとたのしぃ~」
・・・
いまいち信用できる言葉に聞こえてこないが、まあやばけりゃ逃げればいいか。
 アライヴ「やばければ速攻撤退しましょう。それまでできるだけやってみます。」
 紫苑「うん。」
 じぇにぃ「ぁたしとくんでるんだからぁ、じょぶじょぶ。」
 アライヴ「うん、わかった。じぇにぃちゃん信用するよ。全部やろう。」
 じぇにぃ「ぇへへぇ~」
いまいち信用度に乏しいが、どっちにしても信用してやるしかないのだ。
とにかくせめて、足をひっぱられなければそれでいい。
俺達は敵の真ん中へと突き進んだ。
じぇにぃの機体は、見た目極々ノーマルな機体だ。
武装を見る限り、スピード型ではなさそう。
なんせ武器がスナイパー用の長距離ビームライフルで、カスタマイズで威力を上げているようだ。
その分動きが遅くなるが、当たれば、当たり所によっては一撃で戦闘不能にできそうな武器。
まあ俺が相手だったらまず当たらないけどね。
さて、戦闘開始だ。
 アライヴ「数が多いから、助けてもらえると思わないでね。」
 じぇにぃ「ぁぃぁぃさぁ~でもこっちはたすけてぁげるからねぇ~」
言う言う。
頼もしいじゃないか。
 アライヴ「こっちはフェンネル使うから、離れて戦った方がいいか?」
一応確認だ。
もともと離れて戦うつもりなんだけどね。
 じぇにぃ「ぉすきにぃ~なんでもどんとこぃだよぉ~」
・・・
またなんだか不安になってきた。
って、もうそうも言っていられなくなってきた。
俺はフェンネルを全部展開した。
設定はパターン2に変更。
攻撃の手数は多い方がいいから。
戦闘が始まった。
数が多いから、いっさい気を抜けない。
よそ見でもしようもんなら、敵に攻撃されるだけでなく、自らのフェンネルにも攻撃されてしまう。
 じぇにぃ「ぁはは~すごぃかずのフェンネルだねぇ。」
おいおい、余裕じゃないかこの子。
俺は通信してる暇ねぇぞ。
 じぇにぃ「そんなにフェンネルとばしたらぁ、つぅしんしてるよゆーなぃねぇ。」
そのとおりだよ。
なんだこの子?
戦ってるのか?
俺はよそ見ができる状態ではないけれど、気になってじぇにぃの機体、「ぷりちぃ」を視界に入れた。
うまい・・・
この子もフェンネルを使うのか。
フェンネルはひとつだけだが、それを巧く使って、敵の動きをコントロールし、それをライフルで一撃・・・
って、よそ見している間に、敵の攻撃をくらってしまった。
 一生「うわぁ、俺のキュベレイちゃんがぁ!!」
 じぇにぃ「だぃじょぶ?」
 アライヴ「かすっただけだよ。」
ふぅ~あぶねぇ。
危うく落とされるところだったよ。
じぇにぃは大丈夫そうだ。
俺は俺だけ考えて、がんがん落としてやるぜ。
負けらんない。
俺は改めて集中力を高めた。
その後のじぇにぃの戦い方は見る事はできなかったが、気がついたら俺とじぇにぃで50機いた敵を全て倒していた。
まあ相手は全てNPCの動かす人型だったから、俺達なら終わってみれば当然の結果か。
それにじぇにぃの戦い方は、直接は見れなかったけれど、時々俺に向かっている人型を横からねらい撃ちしてしとめていたから、もしかしたら単独戦闘以上に共闘が得意な子なのかもしれない。
単機で戦うのが得意なドリームを、バトルグリードで倒した事があるとなると、もし共闘の方が得意となれば、この子の強さは・・・
頼もしい仲間を得た、そう思った。

勝利への誓い

俺は、夕方からゲーム参加してきたじぇにぃと、一緒にテストバトルをしていた。
共闘が得意なじぇにぃと、息を合わせる事ができれば、もっと強くなれるだろう。
 アライヴ「じぇにぃちゃんって、接近戦はどうなの?」
 じぇにぃ「ライフルのさきでぇきるよぉ。」
なるほど。
確かに先には刃がついているけれど、これだと接近戦はあまり得意ではないとみるべきだろう。
それにスピード型ではないから、接近戦が得意なスピード型が相手だと、少しつらいかもな。
 アライヴ「ちょっと俺機体を代えるから、テストバトルしよう。」
 じぇにぃ「まけないぞぉ。」
味方同士なら、テストバトルは対戦形式で行う事ができる。
 アライヴ「本気できてね。」
 じぇにぃ「ぁぃぁぃさぁ~」
さて、お手並み拝見だ。
俺が今乗っているのはSSだ。
これはドリームと同型機と言っていい、近接格闘機のスピード型だ。
俺はとにかくスピードを生かして接近を試みる。
するとフェンネルの攻撃がおそってくる。
 一生「当たるわけないし。」
フェンネル使いの俺が、フェンネルの攻撃をかわせない訳がない。
 一生「って、危ない!」
俺はぎりぎりのところでかわした。
なんだ?
フェンネルの攻撃タイミングに合わせて、巧くかわしたと思ったけど。
そうこう考えている間に、今度はライフルの攻撃。
これはわかっていなければ、やばかった。
流石にドリームに勝ったと言っているだけはある。
てかなんだ?
フェンネルの攻撃を、かわすので精一杯だ。
しかもかわしたところでライフルの攻撃。
普通の奴なら完全にやられている。
フェンネル使いの俺でも追いつめられているのだから。
ん?フェンネルじゃない?
いや、フェンネルだけど・・・
そうか、このフェンネルの設定。
最初から射線をずらしてやがる。
かわしやすい方向に・・・
そして発射タイミングは、完全にプレイヤだ。
なるほどねぇ。
かわしやすいタイミングで発射して、楽勝でかわせると思ったところにビームが向かってくる。
此処で当てられる、または驚いて動きが止まったところを、ライフルで狙い撃ちか。
うまく考えられた作戦だ。
しかしわかってしまえば、俺には通用しない。
ほとんどのプレイヤには通用するだろうけど。
俺はフェンネルの攻撃の射線をしっかりと把握した後、今度はかわさない。
じぇにぃの攻撃は、はっきり言って完璧な精度の攻撃だ。
だから逆に見切られると、簡単にかわせるんだよね。
 じぇにぃ「ぇぇーー!!」
ははは、驚いてるな。
楽勝でかわして、ライフルを使うタイミングを与えない。
こうなれば一気に接近だ。
 一生「って、なんだぁ!!」
フェンネルの設定を変えてきやがった。
当然か。
当たらない攻撃が当たらないなら、当たる攻撃で当てるってね。
でも、これならいつもと同じ。
さあ、接近したぞ、どうするじぇにぃちゃん。
って蹴りぃ?!
そしてライフルの先の槍か。
俺は後ろに跳んでかわす。
やべ、ライフル撃てるじゃん。
直後爆発音が鳴り響いた。
 じぇにぃ「やったぁ!」
 一生「残念でした。」
俺は後ろから軽くビームソードでぷりちぃを斬りつけた。
 アライヴ「俺の勝ちだ。」
 じぇにぃ「あれぇ?ひとがたみぃにぃ!!」
 アライヴ「そゆこと。」
さきほどの爆発は、ブロンディ、つまり人型ミニにあたって爆発したものだ。
さっきの瞬間、俺はとっさにブロンディを起動。
その場に残して、軽くなった機体で、高速でぷりちぃの後ろに回り込んだわけ。
爆発したから視界にもとらえられなかったし、とっさの作戦としてはなかなかのものだろう。
実戦だったらブロンディを無駄に無くすところだけれど、まあテストバトルだし、大丈夫だ。
 じぇにぃ「うっそぉーーー!!はつたぃせんではじめてまけたぁーー!!やーーん!!」
・・・
聞いたところによると、ドリームに勝ったのは、初対戦の時だけだったそうだ。
そして他とも、初対戦者には負けたことが無かったらしい。
でも2戦目以降は、戦術がばれると強い相手には勝てなくなるそうだ。
まあ俺だって、先日一緒に戦って、戦い方を見ていなければ、負けていただろう。
だから強い事にかわりはないんだけど・・・
やはり共闘が向いているし、もう少しバリエーションが有れば、きっともっと強くなる。
 アライヴ「じぇにぃちゃん、君はステキだ。ドリームとカズミン、俺達なら勝てるかもしれないよ。」
 じぇにぃ「ふぇ?ぇーと、プロポーズ?」
 アライヴ「なんでやねん!!」
 じぇにぃ「だってぁのふたり、ふぅふだしぃ~」
 アライヴ「そなんだ。」
まあそんな感じで、俺達は打倒ドリーム、打倒カズミンを誓いあうのだった。
どんな感じやねんw

セオリー無視の作戦

じぇにぃとコンビで戦うようになってから、俺達紫苑軍の快進撃は続いた。
一日一要塞攻略の目標は、ほぼ確実に達成してゆく。
しかしまあ、如何せん戦力が少ないわけで、勢力を拡大しても空き巣を狙われればいっかんの終わりでして。
結局は重要拠点を守るのが精一杯だ。
コロニーシオンとカテーナ、そしてコロコロコロニー。
この三カ所を結ぶラインだけが、はっきりと我が領域と言える場所。
 紫苑「…」
 スピードスター「♪」
 紫陽花「はぁ~」
 アライヴ「やっぱりプレイヤの味方がほしいな。」
 じぇにぃ「ぅちらさぃきょぅなのにぃ~まもれるひとがぃなぃもんねぇ…」
この悩みは俺達だけではない。
ダイユウサク軍だって、身内だけでやっているから、そこそこまで勢力を広げたけれど、そこで行き詰まっているし、ジーク軍も今はおとなしい。
サイファさんところは、何故か友好関係が多いから、少しずつ巧く広げているけれど、それでもそろそろ手詰まり感がある。
いくら国力があっても、今回はプレイヤの数が圧倒的に必要なシステムなんだ。
人が増えない事には、勝負がつかない。
誰かを誘う?
って、これがこの会社の作戦だったのかもしれない。
人がいないと攻略できないゲーム。
参加していない人を誘うと、ユーザが増えるって寸法だ。
そんな事がわかったところで、どうにもならんのだけれど。
 紫苑「ネットで集めるか。」
 スピードスター「うむ~♪」
この考えは、実は前々からあったが、結局やめた方法だ。
理由は、いくら裏切りが少なくなったとは言え、やはりジークのように現金で寝返りを求められれば、おそらく寝返る可能性もあるし、なによりまじめにやるかどうかが疑問だ。
やりたい奴はおそらくすでにやっているだろう。
13192有る拠点と3つの要塞戦艦。
その全てにプレイヤを配置するだけで、プレイヤ13195人が必要だ。
それもアクティブな人が。
でないと何処かしら守りができない場所がでてくる。
現在このゲームの戦闘時間の、戦闘に参加しているユーザー数を見ると、ほとんど拠点の数とイコールだ。
それは、攻めるもひとり、守るもひとりで成り立つ計算で、そもそもこの人数でゲームのクリアが可能なのだろうか?
それでも統一となると、単純に一陣営にこれだけの人数が必要になる。
これは戦って戦って、勝って勝って、他よりも圧倒的に高いレベルと、戦力を得るしかないな。
 アライヴ「先は長いな。」
 紫苑「まあ、20億だからな。」
 紫陽花「この会社の年間の純利益を考えると、5年以上は続けて貰いたいところね。」
 スピードスター「なるほど♪」
 じぇにぃ「はなしがぁむずかしぃからわかんなぃよぉ。」
 アライヴ「とにかく俺とじぇにぃで勝ちまくるしかないって事よ。」
 じぇにぃ「なるほどぉ。」
 紫苑「なるほどそれだ。」
俺とじぇにぃの会話を聞いて?いた紫苑さんが、何か思いついたようだ。
 紫苑「サイファと相談してくる。」
紫苑さんはそう言うと、しばらく通信を切った。
通信を切る必要が有るのかどうかは知らないが、何かしらの交渉に集中したいのだろうか。
それよりも・・・
 アライヴ「紫苑さんどうするつもりだろう。」
 スピードスター「任せておけば大丈夫♪」
 紫陽花「私が伝えるね。」
そっか、紫陽花さんは紫苑さんの奥さんで、紫苑さんとならんでゲームしてるって言ってたもんな。
 アライヴ「どうですか?」
はっきり言って気になる。
ファーストの時、四天王が裏切らなかったらおそらく優勝していた紫苑さんと、もっとも優勝に近かったサイファさん。
このふたりで相談。
どんな作戦なんだろうか?
 紫陽花「言えない。(笑)」
なんですとぉ?!
しばらくしてから、紫苑さんが通信回線を開いた。
 紫苑「作戦決定。」
 アライヴ「言えない作戦ってなんです?」
 紫苑「(-_-メ)」
 紫陽花「汗」
 スピードスター「♪」
なんだ?
味方にも内緒の作戦なのか?
 紫陽花「話しても良いよね?」
 紫苑「わかった。話すよ。」
 スピードスター「♪」
どうやら話してくれるようだけど、これは結構やばい作戦なのかもな。
 紫苑「まず、サイファ軍との同盟関係を解きます。これは次回期限の更新をしない事でやります。1週間後。」
なんと、サイファさんと話して、同盟を解消するのか。
これは・・・
 紫苑「もちろん、裏では友好関係は維持するので、決して戦闘は行わないように。」
やはり。
 紫苑「そして同盟解消後、俺と紫陽花は、親のIDでサイファ軍に入り、直接勢力拡大に協力します。」
なんと、そんな事すると、この軍の大将と中将が共にいなくなるって事じゃん。
 アライヴ「IPアドレスが同じになるから、自宅からだとできないんじゃ?」
 紫苑「もちろん。その間、紫苑および紫陽花は一切行動できません。」
それで、紫苑軍はどうするんだ?
実質俺とじぇにぃ、そして星さんだけになるって事だ。
これは厳しいんじゃね?
 アライヴ「しかし何故そんな事をする必要が?」
 紫苑「理由は、サイファ軍を、ジーク軍とダイユウサク軍に匹敵する勢力にする為。できれば星、おまえも別IDでサイファ軍にきてくれ。」
ええ!!
それでどうやってやっていくのだろう。
 スピードスター「♪」
 紫苑「了解と受け取った。(^0^)/」
おいおい、了解しているよ。
 アライヴ「何故匹敵する勢力に?」
 紫苑「もしアライヴが死んだとして、何処の軍に入る?」
 アライヴ「そりゃ、紫苑さんのところに戻りますよ?」
 紫苑「でももう滅亡していていたり、優勝の望みが全くなければ?」
 アライヴ「う~ん。やっぱ強いところかな。ダイユウサク軍は無理だし、ジーク軍はあまり好きじゃないから・・・そっか!」
 紫苑「そゆこと。サイファ軍を第三勢力にすれば、死んだ人の多くはサイファ軍に流れる。」
 アライヴ「後はジーク軍と、他に強いと認めた人のところに行くわけだ。」
 紫苑「だから、俺達がいない間に、アライヴとじぇにぃで、がんがん攻めまくって、殺しまくってくれ。それも強さを見せて。」
ははは、殺すって事をすっかり忘れていた。
人型が手に入らないし、経験値が大きく無くなるわけでもないから、殺す事にデメリットはあっても、メリットは無いと思っていた。
どの攻略サイトにも、どの掲示板にも、プレイヤを死亡させる事、完全破壊をする事は愚考として言われている。
 紫苑「この作戦は、君たちの強さにかかっている。」
これは、完全に紫苑さんが、俺とじぇにぃを信頼しているからこそできる作戦だ。
この信頼に応えないで、何がエースパイロットだ。
 アライヴ「俺はやるよ。じぇにぃも良いか?」
 じぇにぃ「ふふははぁ~やるにけってぃ~!!」
こうして俺達の作戦は始まった。
って・・・
 アライヴ「で、何処が言えないような作戦なの?」
 紫陽花「この人ね、もし紫苑軍がそれで駄目そうだったら、そのままそっちに入れてくれって言ってたのよ。」
 紫苑「君たちが強ければ問題ない。」
・・・
まあ、俺達が強さを見せれば、やられた奴らの一部は紫苑軍に志願してくるだろうし、問題ないから良いって言えば良いんだけど・・・なんかしっくりこないな。
これが紫苑さんの強さでもあるから、驚きも反感もないけどね。

作戦は順調

 アライヴ「よし、プレイヤは全部始末したな?」
 じぇにぃ「ぁぃぁぃさぁ~」
 アライヴ「次いくぞ!」
俺達はとにかく攻めて攻めて攻めまくって、無茶苦茶な戦いを続けていた。
何処が無茶苦茶かと言えば、今回のゲームでは完全に攻め手不利なゲームなのに、攻めるだけの戦闘を繰り返し、尚かつ少数だ。
本来ならこんな戦いはできないはずだけど、俺達の強さと、そして敵戦力の分散が生む弱さによって、可能となっている。
更には、一度取った要塞はすぐ取りかえされるわけだけど、取ったり取られたりを繰り返す事によって、守りも弱くなるし、生産性も下がる。
最初こそこの作戦はきつかったが、今ではだいぶ楽になっていた。
俺達のコンビもかなり精錬されていて、全く負ける気がしない。
ちなみに母艦は、紫苑さんのリアル友達のひとり、「てけとー」大佐の艦である。
てけとーさんは、作戦期間中だけ頑張ってくれと紫苑さんに頼まれて、いやいや引き受けたらしいけど、今では結構ノリノリだ。
 てけとー「ははは、次だ次!!」
別に弱い人ではないけど、調子乗りすぎだって。
母艦落とされないように、注意しないとな。
ちなみに拠点の守りをしっかりやっているのは、コロニーシオンだけだ。
もし攻められたら、紫苑さんのリアル友達の「壁」中佐さんに電話を入れて、オンラインさせる手はずになっている。
この人は漫画家らしく、いつも忙しいからゲームどころではないが、いつも家にいるので、都合良く使わせてもらっているとか。
まあ実際攻められるような状況は、今のところはなさそうだけど。
取られたら速攻取り返す状況だし、前線が崩れるのは一瞬だからね。
結局今日も、拠点の数がトータルで減る事はなかった。
最初こそ減る方が多かったが、最近はこの方法ですら少しずつ拠点を増やせている。
それに合わせるように、志願してくるプレイヤも増えてきていた。
それ以上にサイファ陣営には人が集まっているらしいけれど。
今回の作戦で、今のところ一番恩恵にあずかっているのが、サイファ軍で、次がジーク軍、そして紫苑軍だ。
それでも今だけを見るなら、我が紫苑軍が一番いい感じだ。
なんせ紫苑領の周りは、ほとんどが空白化していると言っていい。
プレイヤを倒す為には、少しずつ遠征しなければならなくなっているから。
作戦では一応、紫苑軍とサイファ軍で、最前線を固めながら侵攻できる100人以上のアクティブプレイヤを確保できるまで。
地球攻略を考えると、150人くらいは欲しいところだけど、今の戦い方を続けていけば、100人でも十分やっていけそうだ。
だけど、現状良い感じでも、潜在的には紫苑軍はかなりきつい状況にもなっている。
他へ志願したプレイヤのほとんどが、紫苑軍に強い敵対意識を持つことになったのだから。
多くと友好関係を持つサイファさんですら、入ってきたプレイヤに事情を説明してわかってもらうのはかなり難しいだろうと言っていた。
みんな紫苑軍とやりたがっているらしいから。
それを、いろいろと理由をつけてうまくごまかしているらしいけど、本当の事を言ってどれだけわかってくれるか。
それに、もう本当の事は言えないだろうと思う。
言ってしまえば、サイファ軍もこの作戦に加担していた事がばれるのだから。
もしジーク軍と隣接していたら、きっとすでに全面戦争だったかもしれない。
実は我が領域は、ジーク軍とはもっとも離れた位置にある。
だから決戦はおそらく終盤になるだろう。
もしくは地球あたりから直接対決が始まるのだろうけど、今のところまだまだだ。
 アライヴ「そろそろ12時だな。」
 てけとー「だな。今日はこのへんにするか。」
 じぇにぃ「は~ぃ」
 アライヴ「では、コロコロに帰投する~」
現在俺達が主に使っている拠点は、コロコロコロニーだ。
最初はシオンを使う予定だったのだけど、攻撃しまくっていれば、思ったよりも攻められないものだ。
紫苑さんが言っていたけど、攻めて殺しまくるゲームの攻略法は、他のシミュレーションゲームなら、常套手段であり、つまらないものだと言っていた。
これをすると簡単に攻略できるのだけど、それを嫌うゲーム会社は、殺す事に重いリスクを持たせる事も多いらしい。
今回はそんな事しなくても、大きなリスクを背負っているわけだけどね。
でも流石にお金がかかっているから、感情だけで行動する人は多くはないようだ。
俺達が勝ち続けていれば、敵ではなく味方にもなるのだ。
 紫苑「ごくろう。」
丁度コロコロコロニーに入ったところで、紫苑さんからの通信が入った。
12時を回って、戦闘時間はすでに終わっているから、家に戻ってきたのだろう。
てか、実家とかなり近いところに住んでるんだろうな。
もしくは普通に、IDだけ借りているのか。
 アライヴ「紫苑さんおひさ~」
 じぇにぃ「こんばんわぁ」
 てけとー「おい紫苑、いつまでこれ続けるんだ?まあ楽しいけど。」
久しぶりの紫苑さんの登場に、皆少しうれしそうだ。
そう思うのは、俺がなんとなくうれしいからなのか、完璧に任務をこなしている達成感からくる自信が、会うことに喜びを感じているようだ。
そんな喜びをよそに、紫苑さんは軍全体に通信を送る。
 紫苑「我が軍に入ってくれた皆様、感謝します。一部、我々にやられても尚、入ってくれた方々もおられると聞きます。我々があなた方を殺してまで味方に引き入れたのは、早いうちに優勝争いのできる軍に入り、このゲームの本当の楽しさを味わっていただきたかった、と同時に、早くから我が軍でプレイしている方が、報酬が多くなる事は必至だと考えたからです。みなさんの為に行った行為である事をわかっていただきたい。」
適当な事を言っている。
少し苦笑いだ。
しかし、これが適当な事を言っているとわかっていても、結果的にはそうなるだろうから、それなりにゲームを理解している人は、今後結束できるだろう。
新しく入った仲間が、何人か紫苑さんへと返事を入れていた。
概ね理解しているようだし、我が軍に入ってきた人だから、そんな事はすでにわかっているようだ。
問題は他の軍だけど、サイファさんのところでも、紫苑さんは適当な事を言って、皆の敵対意識を薄めているのだろうと思った。
紫苑軍に敵対意識を持ってる人に「早めに強いところに移動できてラッキーじゃん?逆に紫苑軍に感謝するべきだよ。」なんてね。
 紫苑「みんなありがとう。後少し、もう少し味方プレイヤが増えたら、本格的な侵攻を再開する。それ以降よりそれ以前に我が軍に入っていた方が、ゲームが終わった時の報酬は多くなるだろう。だからもし迷っている友達プレイヤがいるなら、今のうちに入る事を勧めてあげてほしい。後、勝っても負けても、充実したゲームライフを約束する。では、私は失礼する。」
紫苑さんはそう言った後、軍の全体通信を終了し、我々一部だけの通信へと切り替えた。
通信には、軍通信、グループ通信、個人通信などがあり、今はグループ通信で、主要メンバーだけの通信だ。
 紫苑「順調(^0^)/」
 アライヴ「ですねぇ。」
 てけとー「敵もえらい増えてるけどな。」
 じぇにぃ「わたしわぁたのしぃからぃぃ」
 アライヴ「紫苑さん、もう少しって言ってたけど、まだまだ人数的には足りませんよ?」
そうなのだ。
先ほどの演説のような通信で、後少しで本格的に侵攻するって言っていたけれど、まだまだ予定の3割にも満たない人数だ。
少し増員が加速してはいるけど、このまま増えても後3ヶ月は頑張らないと無理だろう。
 紫苑「大丈夫。きっとすぐだよ。」
えらい自信だな。
さっき言っていた、友達を誘うって事なのだろうか?
まあ、紫苑さんが言うのだから間違いないだろう。
俺は信じる事にした。
というか、もともと信じているけどね。
後は少し雑談をして、今日のプレイを終えた。
明日はバイトだ。
なんか面倒くせぇ。
そんな事を考えながらベッドに入った。

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