目次
はじめに
はじめに
マインドマップの活用
マインドマップを授業で活用すべき5つの利点
マインドマップを導入するときに留意したい5つのこと
授業でのマインドマップ活用 4つの段階
マインドマップ活用授業で絶対にやってはいけないこと
型の力
私がカラフルなマインドマップをすすめる最大の理由
オリジナルキャラクターのススメ
マインドマップ 授業活用の実際
板書マインドマップ
ワークシートマインドマップ
国語科 物語文の学習でのマインドマップ活用
国語科 語句の意味調べマインドマップ
国語科 作文指導でのマインドマップ
社会科 6年歴史の学習の流れ 予習マインドマップ
社会科 6年歴史の学習の流れ 授業でのマインドマップ活用
社会科 6年歴史の学習の流れ まとめのグループワーク
社会科 6年歴史学習の流れ テストの準備
理科 実験のマインドマップ
音楽科 鑑賞でのマインドマップ活用
体育科 保健体育の学習のマインドマップ
図画工作科 鑑賞指導でのマインドマップ
算数科 割合や円の学習
家庭科 調理実習の手順マインドマップ
マインドマップ 授業以外での活用
教育課程届出書作成のためのマインドマップ
講義録マインドマップのコツ
奥付
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はじめに

 教師は『思考ツール』と呼ばれるものを、どんどん授業に取り入れるべきです。
 なぜなら、思考ツールを効果的に授業で使うと子どもたちは意欲的に学習に取り組むようになるからです。。
 もちろん思考ツールを使わずに素晴らしい授業を展開している教師は日本中にたくさん存在します。
 しかし、残念ながら全ての教師がそうであるとは言えません。授業力不足と言われる教師や、努力してもそれが空回りしている教師もいます。

 多くの子どもたちにとって教師を選ぶことはできません。これは非常に不公平なことです
 偶然、天才的なカリスマ教師や日々の研鑽を怠らず受領力向上に努めるストイックな教師に出会えた子どもたちはとても幸せです。ところが、多くの教師は私のように平凡な教師です。しかし、そうでない教師が担任になった場合、子どもたちはとても不運です。成長できないところか、下手をしたら人生の選択肢を減らされることにもなりかねません。

 我々教師は子どもたちに素晴らしい授業を提供する義務があります。
 ほとんどの教師はそれを理解しているのですが、理想と現実は違います。分かっていても、そうなれないのです。ゴルフの教本を見て、理想的なスウィングがどうあるべきかは理解していても、なかなかその通りに実行できないのと同じです。
 努力を重ねても自分の才能を大きく超えた実践を行うことは難しいし、滅私奉公で自分のプライベートな時間を犠牲にして常に学校のことだけを考え続けるのも難しいです。少なくとも私にはできませんでした。

 繰り返しになりますが我々教師には良い授業を子どもたちに提供する義務があります。しかしその力は一朝一夕では身につくものではありません。
 ではどうしたら良いのでしょう。あなたが授業力を身につけるまで、子どもたちは待ってくれません。

 我々人間はより良い生活を送るために色々なツールをつかいます。
 より早く正確に計算をするために電卓やパソコンを使います。簡単に美しく写真を楽しむためにデジタルカメラを使います。同じように授業でも何か良いツールは無いものでしょうか。
 私はそのツールとしてビジネス界で使われている思考ツールを選びました。
 ビジネスと教育は違うと言う人はまだまだ多いです。しかし、思考ツール使うことで子どもたちは確実に変わります。学ぶことに対して積極的になり、内発的な動機で自ら学び続けようとします。
 思考ツールを使うと若手も中堅並に子供たちの心をつかむ授業を行うことができます。中堅教員やベテラン教員が使うとさらにハイレベルな授業展開することができます。
 思考ツールを授業で使うのに特別な設備投資は必要ありません。今までの授業方法を大幅に変える必要もありません。自分がこれまでやってきたことに少しだけプラスするだけで授業は大きく変わり、子どもたちも大きく変わります。そして、自分自身が変わります。

 この小冊子はそんなツールをどのように教育に活かすかのヒントを集めたものです。まずは自分で使って試してみてください。きっと子どもたちにも使ってみたくなります。

マインドマップを授業で活用すべき5つの利点

 初めてマインドマップを授業で活用したときの児童の様子を思い出すと、今でも『なんなんだ!これは』と驚いたあの感覚がよみがえってきます。
これまでの実践から、マインドマップを授業で活用すると、間違いなく得られる利点を5つ紹介します。
 
1 意欲向上
 マインドマップを導入した授業では児童がフロー状態(超集中状態)になります。この状態を体験させるだけでもマインドマップを導入する価値があります。
 なぜ児童がマインドマップをつかうと、これほどまでに意欲が向上するのかは、私自身まだ完全に理解しているわけではありません。
 あくまでも仮説ではありますが、脳を自然な形で使っているから多くの児童がフロー状態になるのではないかと考えています。
 これまで学校では、いわゆる左脳的な学習(国語、社会、理科、 算数)と右脳的な学習(音楽、図工、体育等)を分けて学習してきました。
 右手だけ、左手だけで演奏したピアノと、両手をつかって演奏したピアノ、どちらが良い演奏ができそうですか?
 2つあるものなら、片方ずつ分けて使うより、両方一気に使った方がよりよい使い方ができるのです。

2 ノート力向上
 従来のノートの取り方(直線的ノート)では、基本的に板書の書き写しや発問に対する答えの記述から抜け出すことが難しく、オリジナリティのあるノートにはな りにくいです。マインドマップでノートをとった場合、比較的容易にオリジナリティあふれるノートになります。
 マインドマップをつかってノートをとるときは 収束的使い方(ノートテイキング)と発散的使い方(ノートメイキング)があります。
 ノートテイキングは調べたことや教科書の内容をまとめるときに使います。ノートメイキングは運動会のテーマなど何かを創り出すときに使います。
 実際はこれらが絡み合っているので意識して使い分ける必要はありません。という か、できません。どちらかに重きを置くことはできますが、完全に分けたマインドマップをかくことは不可能ではないかと考えています。発散しながら収束し、 収束しながら発散するというイメージです。
 どうしても黒板に書いた内容については児童・生徒にも記録させたいときは、ノートテイキングを重視した指導を行えば良いのです。

3 効率アップ
 マインドマップは単語でかいていくので直線的ノートよりも速くかくことができます。ノートをとるのが苦手な児童にとって、とても有効です。そのような児童は、文字を書くこと自体が苦痛でしょうがないのです。学習する内容に興味があっても、文字を書くのが嫌で授業に集中できないという児童は多いのです。私自身、小学生の頃はそうでした。
 また集中して取り組むことができ、児童が自律的に行える作業なので担任不在時の補欠課題としてとても有効です。
 共同で作業するときの効率もアップします。グループで壁新聞や発表資料を作るときは、なかなか作業を同時進行することができず作業に参加できない児童が遊 んだり騒いだりしてしまうことがあります。それを注意する事によって場の雰囲気が乱れ、児童の思考がストップしてしまいます。
 マインドマップで作業を行うと、ある程度大きな紙にかかせることで、複数の児童が同時に作業を行うことができます。文字を書くのが得意な児童は文字を書けばよいし、絵を描くのが得意な児童は絵を描けばよく、どちら も苦手な児童はブランチを伸ばしたり色を塗ればよいのです。

4 見える化
 板書をマインドマップで模造紙にかくと、それがそのまま掲示物となります。
 児童が欠席した場合、算数の学習内容を補充することははよくやられていますが他の教科の補充 はあまり行われていません。家庭科や保健体育の授業で補充を行う先生は希有です。
 模造紙マインドマップを欠席した児童にかき写させることで補充が簡単に行えます。時間がないときはそれを見ながら説明するだけでも十分です。 日常的に目に触れる場所に掲示しておくことで学級全体の復習にもなります。

5 丸写しからの脱却
 理科や社会科や総合的な学習の時間などに調べ学習を行うことは多いものです。 図書資料やWeb等で調べた物をつかって様々なまとめ活動を行うのですが、調べた資料を丸写ししている場合が多々見られます。調べる段階でマインドマップ(ミニマイ ンドマップで十分)でメモをとることによって児童は資料を熟読することになります。それをアウトプットするときに情報を再構築することになるので発表内容が借り物ではなく自分の物になり、マインドマップ導入前よりも数レベル上の発表を行うことができます。

マインドマップを導入するときに留意したい5つのこと

 自分が学級にマインドマップを導入するためにいろいろと気をつけてきたことや実践から見えてきたことをまとめてみました。

 

1 ルールも教えちゃう

 マインドマップにはいくつかのルールがあります。このルールは相手が児童であっても教えるべきです。なぜなら、このルールがあるからこそ、白紙の用紙にスムーズにかいていけるからです。

 最初の指導から完璧を求めずに、かきながら少しずつ指導していくのが良いでしょう。まずは、何となくマインドマップらしいものがかけるようになることを目指します。

 指導者がルールにそってマインドマップをかくところを児童に見せるのがもっとも簡単で効果的な指導法です。

 また、児童のマインドマップを提示して褒めながら指導していくことも効果的です。この場合、あくまでもルールに沿った書き方であることを褒めるのであって、マインドマップの出来について褒めるのではありません。

 

2 最初は時間をかけよう

 細 かいルール等については、日々の実践の中で指導していくのですが、最初の導入ではある程度まとまった時間が欲しいです。

 まずは児童全員がマインドマップっ ぽいものを書けるようにするのです。イメージとしては、紙にかかれた複雑な図形をはさみで切り取るときに、いきなり細部にはさみを入れずに、まずは大雑把 に切り抜くという感じです。

 インストラクターの中には1年生から6年生までを相手に1時間で指導される方もいますが、それは極端な例です。通常であれば最低でも2時間、欲を言えば4時間はほしいところです。

 連続で時間を確保することが難しい場合は、2日間に分けて指導してもよいと思います。ここでかける時間は将来への投資です。それも確実に回収できる投資です。

 

3 美しいマインドマップを求めない

 書籍やネットワーク上に掲載されているマインドマップはどれもこれも美しく、見ているだけで楽しくなります。なんとなく、そんなマインドマップをかかなければならないような気がしてきます。

 しかし、これは諸刃の剣です。美しいマインドマップは多くの人の興味関心を引くのに役立ちますが、マインドマップのハードルをあげてしまいます。メディアに 露出しているマインドマップのほとんどは『よそ行き』のマインドマップだと思っても間違いではありません。熟練したインストラクターやフェローであれば、普通にかいてもそれなりの美しさに仕上がりますが、マインドマップは美しくかくのではなく、結果として美しくなるのです。

 導入初期に教師自身のレベル アップや趣味のために美しさを追求することは悪いことではありません。むしろそういう時期も必要です。しかし、美しくかくことがハードルとなって マインドマップに苦手意識をもったり、マインドマップは難しいと思いこんでしまうようでは本末転倒です。

 同じように、児童のマインドマップに対しても美しさを求めるべきではありません。大切なのは、そのマインドマップでどのような成果が得られたかです。

 マインドマップは丁寧にかく必要がありますが、美しくかく必要はありません。ただし、プレゼン用のマインドマップにはある程度の見栄えと見やすさが必要であることを付け加えておきます。


4 繰り返す

 量は質に転化します。マインドマップをかくことが特別では無くなるくらい、繰り返してかく機会を設けましょう。

 私の場合は、毎日の家庭学習の課題として児童に取り組ませました。主な例は、都道府県マインドマップと漢字マインドマップです。

 都道府県マインドマップは各県の形を用紙の中央に印刷したものを配付します。それをセントラルイメージとして、県庁所在地や特産品などをブランチにのせていきます。


 漢字マインドマップは、1日つの漢字をセントラルイメージとして、漢字の意味や画数、熟語などをブランチにのせていきます。

 これらを毎日1枚課題としていました。

 自分の学級の実態に合わせて、よりベターな課題を選びましょう。

 

5 教師自身が楽しむ姿を見せつける

 実は、これが一番大切なのではないかと思っています。教師が楽しみながらマインドマップをかいている姿を見せつけることで、児童と教師に一体感が生まれてきます。

 朝の会で、前日の宿題マインドマップをシェアする時間を設定し、そとのきに私自身がかいてきたマインドマップも見せるようにしていました。 これによって、同じことに取り組んでいる共同体としての意識が芽生えてきます。見せるときは、完成品だけじゃなく、それをかくために書き殴ったミニマイン ドマップも一緒に見せます。これを繰り返しているとそのうちに、真似してやってくる児童がでてきます。それを見つけて褒めてやることで、周りにどん どん拡がっていきます。

 授業中の模造紙マインドマップは、時間短縮のためにセントラルイメージやブランチの色塗りを昼休みや放課後に行うことが 多いので、そのときに楽しそうに作業をしていると児童の方から近寄ってきます。そこでコミュニケーションをとりながら一緒に作業を手伝ってもらうことにより、 ちょっとしたマインドマップの個別指導が行えます。

 私がよく使うのが『デコって♪』という指示です。ブランチにのっている言葉に合わせてイメージやアイコンを付け加えてもらうのです。マインドマップがカラフルになるだけでなく、学習内容のインプットにもなっているのです。


授業でのマインドマップ活用 4つの段階

最近、同僚がマインドマップを授業で活用する姿を多くみかけるようになりました。

 

マインドマップを授業で活用するときに多くの教師が次の4つの段階を通っています。

 

1 マインドマップで終わっちゃう段階

 教師自身がマインドマップを習得したての頃は、マインドマップを使うと全てが上手くいくと勘違いしてしまいがちです。マインドマップをかくことが自体が楽しく、どんなことでもマインドマップにしたくなります。

 子どもたちにやらせてみても、自分と同じようにとても楽しんで取り組んでくれます。学級全体がフロー状態になることがしばしばあるので、何となく、究極の指導法を手に入れたと思い込んでしまいます。

 その結果、マインドマップで完結してしまうことが多くなります。講座等でしっかりとマインドマップを習得した人ほど、その傾向が強いです。

 マインドマップをかき上げたことで満足してしまうのです。

 もちろん、この段階で終わっても、これまでよりも効果的に頭を使っています。しかし、マインドマップは何らかの成果をだすための中間生成物であって、目的ではないのです。

 マインドマップをかいて終わりにしてしまうということは、ディズニーランドに行って、パーク内のマップをもらって満足しているのと同じようなことです。

 また、マインドマップはかいた本人以外には理解しにくいものです。授業で場を共有した仲間だったら他人のマップも理解できますが、とつぜん廊下にマインドマップを掲示しても、他の人から見ると何が何だか分からないことが多いのです。

 管理職の理解を得るためにも、この段階は早めに卒業してしまいたいところです。

 

2 中間生成物のマインドマップが目立っちゃう段階

 実践をかさねているうちに、マインドマップは中間生成物だということに気づいてきます。

 しかし、まだマインドマップが特別なものに思えているので、どうしてもマインドマップを目立たせたくなります。

 例えば、マインドマップを活用してまとめの新聞をかかせた場合、中間生成物であるマインドマップよりも、書き上がった新聞のほうに大きな価値があります。

 ところが、掲示する段階では中間生成物であるマインドマップと、最終生成物の新聞が同等の扱いになっていることがあります。具体的にはマインドマップと新聞が並べられて掲示されるのです。新聞とマインドマップを並べて掲示したら、本当に注目すべきなのは新聞なのですが、どうしてもマインドマップに目が行きます。

 マインドマップが掲示されるということは、児童もそれなりに見栄えのするものをかこうとします。そのためにはそれなりの時間がかかります。一つの活動にかけられる時間は限られていますからどうしても、本来の目的である新聞づくりの時間が少なくなることに繋がるのです。

 

 

3 さりげなくマインドマップを活用する段階

 さらに実践を重ねると、教師も児童もマインドマップを使うことが当たり前になってきます。「読み、かき、計算、マインドマップ」の状態になってしまうと、特にマインドマップを目立たせることに固執しなくなってきます。

 児童の新聞の例では、マインドマップは新聞の下に重ねて掲示し、

「見たい人はめくって御覧下さい」

という感じになります。

 マインドマップにかける時間も短くなってきます。

 ディズニーランドのパーク内を移動するのに、必要なときにマップをチラ見すれば十分であるのと同じような状態です。

 

4 マインドマップを活用してることを表に出さない段階

 最終的には、マインドマップを使っていることを意識しなくなってきます。

 マインドマップを活用すると、頭の使い方自体が変化してきます。マインドマップをつかって書いた新聞と、そうでない新聞とでは明らかにレベルが違ってきます。そうすると、マインドマップを表に出さなくても、作品をみせただけで十分になってきます。


 

 実際は、2~4の段階を、その場に合わせて使い分けています。


 はっきりしているのは、マインドマップだけで終わってしまう段階は早めに卒業すべきだということです。


マインドマップ活用授業で絶対にやってはいけないこと

 マインドマップを授業で活用しようとする教員が増えています。とても素晴らしいことです。 マインドマップを活用すると児童の力が大きく向上します。

 だからこそ気をつけなければならないことがあります。
 それは、
「マインドマップで評価してはいけない。」
ということです。

 マインドマップはあくまでもツールであり中間生成物です。それが最終目的であってはならないのです。
 そのままでは授業の評価には使えません。いや、つかってはいけません。
 それぞれの授業には目標があります。それが達成できていればマインドマップなんてどうでも良いのです。
 マインドマップを使うことによって、目標達成が加速したり、授業のクオリティが向上したり、児童の発想が豊かになったりします。児童のモチベーションが向上し、知的に楽しい学級ができてきます。
 でも、それはマインドマップだけで達成できるものではありません。マインドマップは触媒でありブースターです。単体で教育をよくする魔法のツールではないのです。

 逆に言うと、これらの事を理解していれば、どっぷりとマインドマップ漬けになっても問題ないということです。マインドマップを授業のまとめに使い、マインドマップで評価したいのであれば、それに合わせた授業づくりをすればよいのです。


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