家族規範がスクールカーストよりも強い力をもっていた時代の学園映画「ときめきサイエンス」-1
【ストーリー】
ある夜、スポーツも遊びもイマイチの非モテ高校生、ゲリー(ホール)とワイアット(ミッチェル=スミス)は、テレビで放映されていたフランケンシュタイン映画に影響され、パソコンに理想の女の子像をインプットして遊んでいた。そこに雷が直撃! 気がつくと二人の前には現実化した絶世の美女リサ(ルブロック)が立っていた。彼女は二人を一人前の男にすべくスーパーパワーで活動を開始、二人はトンでもない目に巻き込まれる!(長谷川町蔵、山崎まどか)
■電波男理論じゃね?
M: ナードでギークで非モテな二人がフランケンシュタインの映画を観て、「死体や人形に命を吹き込めば、俺たちの理想の女の子ができるじゃないか!」と思いつき、実行する話なわけですが。
似: 素晴らしい!
i: 本田透*1理論だよね。
M: 本田透は二次元だけど、それを三次元で実現させようとしちゃったのがこいつら?
i: そこらへんが「電影少女」の元ネタなんだよ、きっと*2。
M: 「電影少女」の場合は、意図しないでビデオから勝手に出てくるんですけどね。しかしあの「ピュアな人間しか(ビデオ屋が)見れない」っていう設定はなんなんかなぁ。「ピュア」ってのは、早い話が「童貞」でしょ?童貞って、ピュアなのか?
i: そこは非モテの最後のプライドを尊重しているわけですよ。だから電波男理論(笑)
■「父性」の象徴としてのリサ
M: で、理想の女の子、リサ(ケリー・ルブロック)が誕生するわけだけど・・・・・・「萌え系」じゃないんですよね。
i: 「ハートマン軍曹*3」だよね。
M: シロクマさん*4が女の子になって、強制脱オタさせられてしまう話(笑)
似: リサは、母親的な立ち位置?
i: 理想の彼女のハズが母親が出てきてしまったという。
似: でもそれって結構微妙じゃね?非モテは彼女が欲しいのか、母親が欲しいのかっていう・・・・・・
i: ただこの作品の場合、エヴァの綾波的な、非モテが求めてる母親像とはちょっと違って、
強制的に社会適応を要求してくる教育ママ的なものなんだよね。
M: そういう意味では、「母性」というより「父性」なのかも知れない。
R: 80年代アメリカっぽい感性ですよね。社会規範が強く残っていた時代の話っぽいというか。
i: まだ確固たるものとしてあった恋愛規範*5から外れてしまった人が、規範に復帰するためのシーケンスとして、リサが出て来るっていう。だから「多様な恋愛」みたいな感覚は、この映画の中にはないですよね。
R: 00年代の今なら、リサじゃなくて2chが出て来るんじゃないかな。「電車男」みたいに。
M: 既にリサの出る幕なし!みたいな(笑)
i: 確かに現代的ではないかも。マーケティングでデータベース化な現代では女の子も細分化されてるから、アドバイスするにしてもターゲットをまず決めないといけないんだけど、コレにはそういのないじゃん。すごく牧歌的な恋愛風景だよね。
ある夜、スポーツも遊びもイマイチの非モテ高校生、ゲリー(ホール)とワイアット(ミッチェル=スミス)は、テレビで放映されていたフランケンシュタイン映画に影響され、パソコンに理想の女の子像をインプットして遊んでいた。そこに雷が直撃! 気がつくと二人の前には現実化した絶世の美女リサ(ルブロック)が立っていた。彼女は二人を一人前の男にすべくスーパーパワーで活動を開始、二人はトンでもない目に巻き込まれる!(長谷川町蔵、山崎まどか)
■電波男理論じゃね?
M: ナードでギークで非モテな二人がフランケンシュタインの映画を観て、「死体や人形に命を吹き込めば、俺たちの理想の女の子ができるじゃないか!」と思いつき、実行する話なわけですが。
似: 素晴らしい!
i: 本田透*1理論だよね。
M: 本田透は二次元だけど、それを三次元で実現させようとしちゃったのがこいつら?
i: そこらへんが「電影少女」の元ネタなんだよ、きっと*2。
M: 「電影少女」の場合は、意図しないでビデオから勝手に出てくるんですけどね。しかしあの「ピュアな人間しか(ビデオ屋が)見れない」っていう設定はなんなんかなぁ。「ピュア」ってのは、早い話が「童貞」でしょ?童貞って、ピュアなのか?
i: そこは非モテの最後のプライドを尊重しているわけですよ。だから電波男理論(笑)
■「父性」の象徴としてのリサ
M: で、理想の女の子、リサ(ケリー・ルブロック)が誕生するわけだけど・・・・・・「萌え系」じゃないんですよね。
i: 「ハートマン軍曹*3」だよね。
M: シロクマさん*4が女の子になって、強制脱オタさせられてしまう話(笑)
似: リサは、母親的な立ち位置?
i: 理想の彼女のハズが母親が出てきてしまったという。
似: でもそれって結構微妙じゃね?非モテは彼女が欲しいのか、母親が欲しいのかっていう・・・・・・
i: ただこの作品の場合、エヴァの綾波的な、非モテが求めてる母親像とはちょっと違って、
強制的に社会適応を要求してくる教育ママ的なものなんだよね。
M: そういう意味では、「母性」というより「父性」なのかも知れない。
R: 80年代アメリカっぽい感性ですよね。社会規範が強く残っていた時代の話っぽいというか。
i: まだ確固たるものとしてあった恋愛規範*5から外れてしまった人が、規範に復帰するためのシーケンスとして、リサが出て来るっていう。だから「多様な恋愛」みたいな感覚は、この映画の中にはないですよね。
R: 00年代の今なら、リサじゃなくて2chが出て来るんじゃないかな。「電車男」みたいに。
M: 既にリサの出る幕なし!みたいな(笑)
i: 確かに現代的ではないかも。マーケティングでデータベース化な現代では女の子も細分化されてるから、アドバイスするにしてもターゲットをまず決めないといけないんだけど、コレにはそういのないじゃん。すごく牧歌的な恋愛風景だよね。
家族規範がスクールカーストよりも強い力をもっていた時代の学園映画「ときめきサイエンス」-2
■成長物語としての「ときサイ」と、「非モテ取り残され問題」
R: ビルドゥングスロマン*6的なところも凄く感じるんだよね。「グーニーズ」みたいな。
i: 基本的に、普遍的な自立と成長の物語なんだよね。普通の人は家族とか友達とか周りの人を参考にして、恋愛できるようにだんだん変わっていくんだよ。でも、 非モテの人は上手く「手本」を生かせずにずるずるずるずる行っちゃう。で、気づいたら周りはみんな恋愛とかできるように成長していて、自分は取り残されて いる。でも、非モテにはなんでみんなが成長できたのか、全然わからない。そこで無理やり成長しようとして、変な方向に行ってしまうというのがあるんだと思 う。
M: あぁ、脱オタ初心者がおかしな格好に走ってしまうのなんて、まさにそれですよorz
i: そこを補完するために、リサが出て来る。だから二人が成長した後で、リサは役割を終えて帰っていく。
■「家族の抑圧 > スクールカースト」な、80年代的設定
M: 凄く気になったのが、「家族」がもの凄く抑圧的な存在として描かれてるところ。凄く時代性を感じるんだよね。一番強い抑圧として、「兄」が描かれている じゃない?「親の居ぬ間のパーティー」で、親が帰ってくるのを凄く心配してたりとか。今回観た他の映画では、ナードでギークな非モテが体育会系のジョック スに学校でいじめられるスクールカースト的シーンが中心になってるんだけど、ここではそれは、おまけみたいな扱いになっている。
i: この時代の学校はもしかして、抑圧的な家庭からの開放の空間として存在していたのかも知れない。社会状況的にも、当時レーガノミクス*7やったことって 「強い父性」の復権なんですよ。それに抑圧を感じた人達が、90年代にオルタナティブに流れていく。
M: リサはそこで乗り越えるべき「強い父性」として登場しているのかな。でもそうすると、非モテのためにわざわざリサが登場しないといけないこと自体が、当時 「父性」が衰退してきていたことを象徴しているという観方もできるよね。
i: この時期からだんだん若者にとって抑圧の対象の中心が、家庭から学校に移っていったのかも。この映画は家庭の映画だと思うんだけど、次の「待ちきれなく て・・・・・・」なんて、完全にテーマがスクールカーストに移ってるし。
*1:「電波男」「喪男の哲学史」等の著者。現代の恋愛は経済に 毒されており、愛本来の姿である「純愛」とはかけはなれた「恋愛資本主義」と化してしまったとし、二次元恋愛に純愛を求める生き方を提唱する。
*2: 町蔵、まどか両氏から受け取った別の紹介文には、「この映画は桂正和『電影少女』の元ネタです」と書かれていた。
*3:映画「フルメタルジャケッ ト」に登場する鬼軍曹。
*4:脱オタ研究で非モテ界隈周辺で有名な精神科医の方。http://www.nextftp.com /140014daiquiri/html_side/
*5:女の子に優しくしろとかメシおごれとかイケメンになれとか男らしくしろとか、我々非 モテが日々苦しめられていて本田透あたりに「恋愛資本主義」とか言われている例のアレ。
*6:「成長物語」を論壇風にカッコつけてみた言い方。
*7:80 年代アメリカで、レーガン大統領がとった一連の経済政策。
R: ビルドゥングスロマン*6的なところも凄く感じるんだよね。「グーニーズ」みたいな。
i: 基本的に、普遍的な自立と成長の物語なんだよね。普通の人は家族とか友達とか周りの人を参考にして、恋愛できるようにだんだん変わっていくんだよ。でも、 非モテの人は上手く「手本」を生かせずにずるずるずるずる行っちゃう。で、気づいたら周りはみんな恋愛とかできるように成長していて、自分は取り残されて いる。でも、非モテにはなんでみんなが成長できたのか、全然わからない。そこで無理やり成長しようとして、変な方向に行ってしまうというのがあるんだと思 う。
M: あぁ、脱オタ初心者がおかしな格好に走ってしまうのなんて、まさにそれですよorz
i: そこを補完するために、リサが出て来る。だから二人が成長した後で、リサは役割を終えて帰っていく。
■「家族の抑圧 > スクールカースト」な、80年代的設定
M: 凄く気になったのが、「家族」がもの凄く抑圧的な存在として描かれてるところ。凄く時代性を感じるんだよね。一番強い抑圧として、「兄」が描かれている じゃない?「親の居ぬ間のパーティー」で、親が帰ってくるのを凄く心配してたりとか。今回観た他の映画では、ナードでギークな非モテが体育会系のジョック スに学校でいじめられるスクールカースト的シーンが中心になってるんだけど、ここではそれは、おまけみたいな扱いになっている。
i: この時代の学校はもしかして、抑圧的な家庭からの開放の空間として存在していたのかも知れない。社会状況的にも、当時レーガノミクス*7やったことって 「強い父性」の復権なんですよ。それに抑圧を感じた人達が、90年代にオルタナティブに流れていく。
M: リサはそこで乗り越えるべき「強い父性」として登場しているのかな。でもそうすると、非モテのためにわざわざリサが登場しないといけないこと自体が、当時 「父性」が衰退してきていたことを象徴しているという観方もできるよね。
i: この時期からだんだん若者にとって抑圧の対象の中心が、家庭から学校に移っていったのかも。この映画は家庭の映画だと思うんだけど、次の「待ちきれなく て・・・・・・」なんて、完全にテーマがスクールカーストに移ってるし。
*1:「電波男」「喪男の哲学史」等の著者。現代の恋愛は経済に 毒されており、愛本来の姿である「純愛」とはかけはなれた「恋愛資本主義」と化してしまったとし、二次元恋愛に純愛を求める生き方を提唱する。
*2: 町蔵、まどか両氏から受け取った別の紹介文には、「この映画は桂正和『電影少女』の元ネタです」と書かれていた。
*3:映画「フルメタルジャケッ ト」に登場する鬼軍曹。
*4:脱オタ研究で非モテ界隈周辺で有名な精神科医の方。http://www.nextftp.com /140014daiquiri/html_side/
*5:女の子に優しくしろとかメシおごれとかイケメンになれとか男らしくしろとか、我々非 モテが日々苦しめられていて本田透あたりに「恋愛資本主義」とか言われている例のアレ。
*6:「成長物語」を論壇風にカッコつけてみた言い方。
*7:80 年代アメリカで、レーガン大統領がとった一連の経済政策。
最高のスクールカースト入門映画!「待ちきれなくて…」-1
【ストーリー】
卒業式の夜。クラスメイトの一人が自宅で開いたさよならパーティに、様々なスクールカーストに属するティーンたちがそれぞれの願いをかなえるべくやってくる。ボンクラ(エンブリー)は学園プリンセス(ラブ・ヒューイット)に愛の告白をするために。ブレイン(コスモ)はジョックス(ファシネリ)に復讐するために。そしてブラザー気取りのギーク(グリーン)は童貞を捨てるために。彼らの願いは果たして成就するのだろうか?!(長谷川町蔵、山崎まどか)
卒業式の夜。クラスメイトの一人が自宅で開いたさよならパーティに、様々なスクールカーストに属するティーンたちがそれぞれの願いをかなえるべくやってくる。ボンクラ(エンブリー)は学園プリンセス(ラブ・ヒューイット)に愛の告白をするために。ブレイン(コスモ)はジョックス(ファシネリ)に復讐するために。そしてブラザー気取りのギーク(グリーン)は童貞を捨てるために。彼らの願いは果たして成就するのだろうか?!(長谷川町蔵、山崎まどか)
■これぞスクールカースト!
i: プロムパーティ*8後の一夜を描いた話。プレストン(イーサン・エンブリー)の4年間の片想いが成就する話をメインプロットに、いくつかのサブプロットが展開する。
M: ウイリアム(チャーリー・コスモ)を中心にした、ギーク&ナード軍団3人の復讐話。もう1つは典型的なお馬鹿スラッカー、ケリー(セス・グリーン)がプロムで童貞捨てるぞって息巻く話。
R: あれはほとんど「ポーキーズ」*9の世界!
i: 最後にジョックス達が「大学行ったらもっと良い女とヤリ放題!」って言って、いまの彼女と別れる計画を練る話。でも、うちら的に話の中心になるのはやっぱりギークの復讐話でしょう!
似: えー、俺はスラッカーの童貞話のほうが気になるよ。
R: 似非にゃんは観てないからそんなこと言えるんだよ!(笑)ウィリアムが中盤くらいで調子に乗って、ガンズ・アンド・ローゼズ*10の「パラダイス・シティ」をバンドでやるんだけど、それがバカ受けして女の子とヤリまくったりする。あれが一番のハイライトだよ*11。
M: すごく面白かったのが、パーティではっちゃけて一気に人気者になったウィリアムが、いじめっ子のジョックス、マイク(ピーター・ファシネリ)と「劇場版のび太とジャイアン」的な友情で結ばれるシーン。でもそれは、スクールカーストから解放されるパーティの一夜限りの関係でしかなくて、次の日カフェで会ったときには、また元のいじめっ子といじめられっ子に戻ってしまっている。カーストの内輪性やそれゆえの強固さが、凄くよく描かれているんだよ。
i: アメリカのスクールカーストの入門編みたいな映画だよなぁ。アメリカのスクールカーストを知りたかったら、まずはこの映画を観ろ!
■スクールカーストと社会人カースト
i: アメリカって大学進学率が低いから、高校卒業のプロムパーティは、多くの若者にとってモラトリアムの終わりなんだよね。だからこの物語は、日本でいうと大学の卒業パーティーみたいな感覚で観るべきなんだと思う。
M: ここでカーストのルールが180度変わるんだよね。ハーバード大学に進学したウィリアムは、卒業後にモテモテになってモデルと付き合うし、逆にマイクは大学で落ちぶれていく。ここらへんは、日本でも社会人になると女の子が結婚を意識し出して、モテの基準が急に変わってくるのと同じだよね。
i: マイクのOBで「伝説のジョックス」みたなヤリチンが出てくるんだけど、そいつの落ちぶれっぷりも凄い。
M: 大学カーストの最下層に置かれてて、「モテるのは医学部だ」とか言っちゃう(笑)
似: それはキッツいなぁ(笑)
i: マイクはその先輩を見て、捨てようとしていた今の彼女アマンダ(ジェニファー・ラブ・ヒューイット)と寄りを戻そうとするんだけど、アマンダは頭がいいからマイクの魂胆を見抜いている。だからマイクと寄りを戻したりはしない。
M: そういう言い方すると、アマンダは凄い「悪女」みたいだよなぁ(笑)。高校でも大学でも、カースト上位のいい男連中を戦略的に常にキープ、みたいな。
i: でもアマンダは、そこらへんの醜さも分かってると思うよ。「転校してくる前は地味だったのに、マイクと付き合ったら急に人気者になっておだてられるようになった。それが気持ち良くてズルズルとマイクと付き合ってしまった」みたいなこと言ってたじゃない?俺はアレを見て、女の子は男を利用することでしかカーストを上げることができない、みたいな厳しさが描かれていると感じたよ。
最高のスクールカースト入門映画!「待ちきれなくて…」-2
■社会に出てからも、ゆるくスクールカースト的なモノが続いていく日本
R: さっき「アメリカでは大学でカーストが逆転する」って話が出たけど、日本ではアメリカほどハッキリ階層が分かれていないから、そこまで変わらない気がしな い?社会人になったとしても、どこの会社行ってもやっぱり体育会系みたいのはいるわけだし。
i: 日本では学校的な空間がずっとゆるーく続いていくから、スクールカースト的なものが社会に出てからも温存されていくというのはあるかも。
R: 「デビューの有効性」の話になってくると思うんですよ。アメリカではデビューって凄く有効だと思うんだけど、日本ではそれ程でもないんじゃないかなって。
M: でも、republicさんがそう感じるのは、営業という職種に就いてるせいじゃない?俺はIT技術者だけど、この職種にはやっぱりCランクみたいな連中 しか来ないから(笑)、スクールカースト的なものはかなりゆるくなっていると思う。
R: あー、職種にもよるのかな。
i: でも日本とアメリカの違いはやっぱりあると思う。日本ではスクールカースト強者はコミュニケーション強者なわけだから、スクールカーストの外に出ても、強 者として振舞える。アメリカのほうが日本よりも、スクールカーストのローカリティは高いんじゃないかな。
■非モテ内部格差問題
i: ウィリアムの復讐話は、非モテの成長物語として、凄くよくできているよね。
M: ここで深いのが、成長して救われるのは、実際に復讐を計画・行動したウィリアムだけってところ。尻馬に乗っただけのナード仲間二人は、プロムの最中に外で 愚痴りながらオタトークしてるだけだし*12、最後はUFOに宇宙に連れ去られていくし、なんにも救いがない。最後のシーンなんて、「どうせプロムに出て もつまらなかったよ」とか言って、思いっ切り酸っぱい葡萄やってるんだよ!
i: 真性非モテは、この映画でも救われていないわけだよね(笑)。
R: 非モテの中でも救われる非モテと救われない非モテがいるという、非モテ内部格差が描かれているわけかぁ。
i: でもその「差」って、行動したかしなかったかの自主性の差として描かれているよね。コミュニティに認められるためには、コミュニティの中に入って行って、 冒険しないといけない、という。
M: でものふたりの前にUFOが現れるのは、ある種の救いだとも思う。カーストの最下層まで行ってしまったら、もう別の世界のカーストに逃げるしかないんだっ ていう、「ブスは町を出なさい!ブスは町を出るのよ!!」的な*13。アレを「救い」と取るか「絶望」ととるかは、結構微妙なところだと思いますね。
■最強のD.Tケリーと、物語を彩る名脇役
i: ケリーの童貞喪失話も見事だよね。
R: バカすぎるでしょ!(笑)
i: セックス教本が「カーマ・スートラ*14」だし!
R: 準備が異様に入念だし!
M: バスケ部の補欠だし!
R: ホント、いいD.T像だよなぁ。
i: 身近な幼馴染で手を打っときゃいいのに、明後日の方向に走ってるからいつまで経っても童貞だってのも、いかにもそれっぽい。
R: でも俺は、実はこいつよりも、文芸部で詩とか書いてサブカルかぶれしてるプレストンのほうが絶対童貞っぽいと思う!真の童貞は、むしろプレストンだよ!
i: それは確かに言えてる(笑)
R: あとこの映画、脇役も良い味出してるんですよ。卒業記念のバンドとか、売春婦の天使の話とか。
i: あの天使は、形を変えた「ときめきサイエンス」のリサだよね。行動しないと救われないのは分かっているんだけど、一人でそれをやるのはやっぱり無理なんで すよ。その後押しをしてくれる役。
R: 音楽も、さっき言ったガンズ・アンド・ローゼズもそうだし、あとフィーダー*8とか出てくるでしょ。曲のチョイスが「分かってる人がやってるんだな」って を感じるんだよなぁ。
*8:アメリカでハイスクール卒業時、学校や自治体主催で開かれるダンスパーティー。スクールカーストが無理やり可視化されてしまう、Cランクにとっては ある意味拷問のようなパーティ。
*9:セックスしか頭にない思春期男子のイカ臭い青春を描いたおバカ映画。
*10:日本でいうところのB'zみたいな位置づけのアメリカのロックバンド。
*11:確かにアレは、日々人気飢饉に見舞われているCランクにとっては夢の話だと思う。
*12:懐中電灯の光をライトサーベルにして、スターウォーズごっことかしてしまう。
*13:映画「ゴーストワールド」を評する際におすぎが思わず口走った、名言すぎる名言。
*14:インドの性技の書。「お前一生こんなんやらねーだろ!」的な48手どころじゃないあらゆる種類の体位の極みが載っていたりする、世界最強のエロ 本。
*15:イギリスのロックバンド。初期には「グランジに対するUKからの回答」と言われた。繊細なメロディラインと演奏のハードさが共存した稀有なバン ド。ベースを弾くタカ・ヒロセは岐阜出身。
R: さっき「アメリカでは大学でカーストが逆転する」って話が出たけど、日本ではアメリカほどハッキリ階層が分かれていないから、そこまで変わらない気がしな い?社会人になったとしても、どこの会社行ってもやっぱり体育会系みたいのはいるわけだし。
i: 日本では学校的な空間がずっとゆるーく続いていくから、スクールカースト的なものが社会に出てからも温存されていくというのはあるかも。
R: 「デビューの有効性」の話になってくると思うんですよ。アメリカではデビューって凄く有効だと思うんだけど、日本ではそれ程でもないんじゃないかなって。
M: でも、republicさんがそう感じるのは、営業という職種に就いてるせいじゃない?俺はIT技術者だけど、この職種にはやっぱりCランクみたいな連中 しか来ないから(笑)、スクールカースト的なものはかなりゆるくなっていると思う。
R: あー、職種にもよるのかな。
i: でも日本とアメリカの違いはやっぱりあると思う。日本ではスクールカースト強者はコミュニケーション強者なわけだから、スクールカーストの外に出ても、強 者として振舞える。アメリカのほうが日本よりも、スクールカーストのローカリティは高いんじゃないかな。
■非モテ内部格差問題
i: ウィリアムの復讐話は、非モテの成長物語として、凄くよくできているよね。
M: ここで深いのが、成長して救われるのは、実際に復讐を計画・行動したウィリアムだけってところ。尻馬に乗っただけのナード仲間二人は、プロムの最中に外で 愚痴りながらオタトークしてるだけだし*12、最後はUFOに宇宙に連れ去られていくし、なんにも救いがない。最後のシーンなんて、「どうせプロムに出て もつまらなかったよ」とか言って、思いっ切り酸っぱい葡萄やってるんだよ!
i: 真性非モテは、この映画でも救われていないわけだよね(笑)。
R: 非モテの中でも救われる非モテと救われない非モテがいるという、非モテ内部格差が描かれているわけかぁ。
i: でもその「差」って、行動したかしなかったかの自主性の差として描かれているよね。コミュニティに認められるためには、コミュニティの中に入って行って、 冒険しないといけない、という。
M: でものふたりの前にUFOが現れるのは、ある種の救いだとも思う。カーストの最下層まで行ってしまったら、もう別の世界のカーストに逃げるしかないんだっ ていう、「ブスは町を出なさい!ブスは町を出るのよ!!」的な*13。アレを「救い」と取るか「絶望」ととるかは、結構微妙なところだと思いますね。
■最強のD.Tケリーと、物語を彩る名脇役
i: ケリーの童貞喪失話も見事だよね。
R: バカすぎるでしょ!(笑)
i: セックス教本が「カーマ・スートラ*14」だし!
R: 準備が異様に入念だし!
M: バスケ部の補欠だし!
R: ホント、いいD.T像だよなぁ。
i: 身近な幼馴染で手を打っときゃいいのに、明後日の方向に走ってるからいつまで経っても童貞だってのも、いかにもそれっぽい。
R: でも俺は、実はこいつよりも、文芸部で詩とか書いてサブカルかぶれしてるプレストンのほうが絶対童貞っぽいと思う!真の童貞は、むしろプレストンだよ!
i: それは確かに言えてる(笑)
R: あとこの映画、脇役も良い味出してるんですよ。卒業記念のバンドとか、売春婦の天使の話とか。
i: あの天使は、形を変えた「ときめきサイエンス」のリサだよね。行動しないと救われないのは分かっているんだけど、一人でそれをやるのはやっぱり無理なんで すよ。その後押しをしてくれる役。
R: 音楽も、さっき言ったガンズ・アンド・ローゼズもそうだし、あとフィーダー*8とか出てくるでしょ。曲のチョイスが「分かってる人がやってるんだな」って を感じるんだよなぁ。
*8:アメリカでハイスクール卒業時、学校や自治体主催で開かれるダンスパーティー。スクールカーストが無理やり可視化されてしまう、Cランクにとっては ある意味拷問のようなパーティ。
*9:セックスしか頭にない思春期男子のイカ臭い青春を描いたおバカ映画。
*10:日本でいうところのB'zみたいな位置づけのアメリカのロックバンド。
*11:確かにアレは、日々人気飢饉に見舞われているCランクにとっては夢の話だと思う。
*12:懐中電灯の光をライトサーベルにして、スターウォーズごっことかしてしまう。
*13:映画「ゴーストワールド」を評する際におすぎが思わず口走った、名言すぎる名言。
*14:インドの性技の書。「お前一生こんなんやらねーだろ!」的な48手どころじゃないあらゆる種類の体位の極みが載っていたりする、世界最強のエロ 本。
*15:イギリスのロックバンド。初期には「グランジに対するUKからの回答」と言われた。繊細なメロディラインと演奏のハードさが共存した稀有なバン ド。ベースを弾くタカ・ヒロセは岐阜出身。
いじめ問題とおバカ学園コメディの見事な融合 「ニュー・ガイ」-1
【ストーリー】
ジョックスからイジメを受けているバンド・ギークのディジー(クォルズ)は、些細なことから一夜を刑務所で過ごす羽目になって踏んだり蹴ったり。しかし彼はそこで出会った黒人ルーサー(グリフィン)から「ゲットーでサバイバルする知恵」を学んで変身を決意する。クールな不良に生まれ変わったディジーは、転校先の高校で人気者になり、学園プリンセスであるチアリーダーのダニエル(ドゥシュク)ともイイ感じになるのだが…。?!(長谷川町蔵、山崎まどか)
ジョックスからイジメを受けているバンド・ギークのディジー(クォルズ)は、些細なことから一夜を刑務所で過ごす羽目になって踏んだり蹴ったり。しかし彼はそこで出会った黒人ルーサー(グリフィン)から「ゲットーでサバイバルする知恵」を学んで変身を決意する。クールな不良に生まれ変わったディジーは、転校先の高校で人気者になり、学園プリンセスであるチアリーダーのダニエル(ドゥシュク)ともイイ感じになるのだが…。?!(長谷川町蔵、山崎まどか)
■典型的な脱オタ物語
M: これは単純に、爽快で面白いバカ映画だよね。冴えないナードないじめられっ子だったディジー(DJクォルズ)が、転校を機にデビューして、人気者の座を獲得する話なんだけど。
R: Masaoさんは脱オタ経験者として、自分の経験と照らし合わせて面白く観れたんじゃない?
M: うん。特に刑務所のシーンで出てくる囚人のルーサー(エディ・グリフィン)が言うように、「環境を変えろ」っていうのは脱オタで凄く重要なポイントだと思う。僕も一人でクラブに行って、それまでのしがらみから解放された場所で「違う自分」になってナンパの練習とかしていたわけだし。ここは、これから脱オタ/デビューにチャレンジしようという人に、声を大にして言っておきたいところかな。
■脱オタ/デビュー組は、Cランク仲間を引き上げろ!
i: この映画で素晴らしいのは、Aランクに昇格したディジーが、かつてのCランク仲間を見捨てずに、Aランクとの垣根を取っ払うところだよね。脱オタした人間は、Cランク仲間を引き上げろ!と。
M: でも最初、CD屋でファンクバンド仲間と鉢合わせしたときは、新しくできたAランク仲間の手前、Cランク連中との付き合いを隠そうとするんだけどね。あれはアレで凄く解るんだよなぁ。リアルだと思った。
R: いまのネットの脱オタ組に一番欠けているのは、まさにこの「引き上げ視点」だよ。
M: でもシロクマさんなんかは、引き上げようとしてるからああいうこと書いてるんだと思うけどなぁ。
R: そこらへんは引き上げ方の問題でさぁ。アドバイスが「一緒に頑張ろうぜ!」になるか嫌味になるかっていうのは、大きな違いだよ。
似: それ、金八先生問題じゃね?(笑)
M: 一応シロクマさん的には「太陽政策」のつもりらしいんだけどね*16。
i: そういえば、ディジーは白人なのに、ファンクバンドを組んでいるんだよね。ファンクって本来もの凄く「黒い」黒人の音楽なのに。白人のスクールカースト負け組ディジーが、アメリカ社会の被抑圧者である黒人の音楽をやっているっていうのは面白いなぁ。
R: 「白人はヒップホップやるな問題」じゃね?(笑)
M: 負け組Cランクのディジーだからこそ弱者の気持ちが理解できて、黒人に共鳴するところがあってファンクにハマッたということなのかも。
i: そう考えると、エミネムと同じ文脈ですね*17。
■Cランク内部の知られざる豊かさ
R: ディジーの友達連中が、とにかく面白いんだよね。ヒロインよりも、主人公のファンクバンド仲間の文化系女子のほうが、明らかにカワイイんだよ(笑)
似: あぁわかった、サークルクラッシャーだ。
i: ちげーよ!全然クラッシュしてないから(笑)*18
R: バンドのデブドラマーなんかも、凄く良い味出してるんだよなぁ。
i: 「待ちきれなくて…」で描かれたスクールカースト的な人間関係って、ある種すごく形骸的で軽薄じゃないですか。競争的な側面がメチャクチャ強いし。でも実はCランクコミュニティってのは、内部はもの凄く多様で面白かったりする。でもスクールカーストでは下層としての周囲の偏見があるせいで、その面白さがなかなか外部に理解してもらえなかったりするんだよね。
M: 後半で、ディジーがバンド仲間を転校先でできたAランクの友人に紹介するシーンがあるじゃないですか。あそこでさっき出てきたバンド仲間のデブドラマーが、Aランクの女の子から「ディジーがいなかったら、あなたなんて眼中にも入れなかったわ」なんて言われてしまう。アレなんて典型ですよね。中身の前に、カーストで判断されてしまっているっていう。
R: でも、「Cランクコミュニティの楽しさ」みたいなところも、ちゃんと描かれていると思うんだよ。ファンクバンドやったりとか。この映画は「脱オタ成功したCランク強者の話」として捉えられる映画かも知れないけど、Cランク内部の豊かさもちゃんと描かれている。
M: ラストでバンド仲間の文化系女子が、同じバンドのベースと恋人同士になるじゃない?アレはディジーとは違ったCランクの救われ方だと思うよ。カーストとか周りの眼なんて関係なく、Cランクの中で楽しくやることで、幸せになることができるんだっていう。
i: でもこの人達が豊かなのって、結局「行動してるから」なんだよね。バンドやったりして。「待ちきれなくて…」でもそうだったけど、救われるCランクと救われないCランクの差っていうのは、結局ここなんだよ。
R: 「何もしない美学」みたいなのが、Cランクにはあるからね。
i: いや、たぶん行動して、自分の実力とか欠けているものがハッキリしちゃうのが嫌なんだよ、ダメなCランクは。だから自分では行動しないで、頑張ってる奴等の足をあげつらってれば良いとかいう発想になっちゃう。まぁ評論やってる奴等ってみんなこういうところがあるから、うちらも全然他人のこと言えないんだけど。

khuriltai