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はじめに

日本人の死因で、いちばん多いのがガン。
そして二番目に多いのが「自殺」なのだという。

年間3万人以上の人々が、自殺をしている。
先進諸国と呼ばれる国のなかで、日本がいちばん自殺者が多いとのこと。

年齢別にすると40代の自殺者が、最も多いという。
社会経済が劇的に変化した時代の経験者たちであり、
それ以前に組んでいた事業ローン、住宅ローンなどが支払えず、
経済的困窮によって自らの死を選ぶのだという。

それは、つまり中小企業の経営者たちの自殺が多い、ということ。

従業員たちの給与を支払えない、銀行への事業ローン支払いが滞り、
もはや、ここまで、という覚悟を決めた自殺。

ウソか本当なのか、
支払いが迫る月末月初の月曜日に自殺者が多いという噂を聞いた。

土日、家族と最期の晩餐を終えて、月曜日の朝、自殺――そんな光景が目に浮かぶ。
ホテルの一室で首を吊り、警察からの報告を受けて家族は驚き、
遺された人たちは、入金された生命保険金を得て、会社の後始末をする。


静岡のほうでは地元の消防団たちが、定期的に富士の樹海を探索する。
自殺体の後始末である。
比較的に近いところで死んでいる人は、やはり見つけて欲しいらしく、
免許証や保険証など、身元が解るものを所持しているという。

逆に森の奥のほうにある遺体は、身元が解るものは何ひとつ持っていないという。

「中国人に戸籍を売ったから身元がバレると困る」ということを
地元の消防団が噂しているのを聞いたことがある。
これもウソか本当か解らないが、戸籍は300万円くらいで売れるらしい。


日本では、その昔、戦国の時代を終えて、
城勤めという職を失った侍たちが浪人と呼ばれ、
食うに困って傘などを作る内職などをしながら細々と生活を続けて、
ああ、もはや、こんな惨めな暮らしをするくらいならば、と
腹を切って自殺をする、というケースもあったそうだ。

どちらにしても、これらは経済的なことを理由に、自ら死を選んだ人たちである。

もちろん若年層の自殺者も多い。
もはや終電もなくなった新宿で、安酒場の脇にしゃがみ込んでいる若い女が
「もう、あたし死にたい」「あたしも死にたい」と呟いていた。

失恋して、その場の気分の勢いで自殺してしまう10代の女性たち。
将来への不安、職場の人間関係に悩み、自殺する若い男性サラリーマンもいる。

ウツ病で通院している20、30代の男女は数多く、
このうちの何%は、やはり自殺する。

では高齢者たちは、どうなのか、というと、
最近のニュースでよく聞くのは、孤独死。
核家族化の成れの果てであり、一人、病気で亡くなっていたり、
なかには餓死していたというケースも聞く。

ある意味、自殺よりも物悲しい死であるように感じる。


私の近所の居酒屋に、よく来る高齢の常連客が
「俺、末期ガンだってよ」と言う。

それを聞いた仲間たちは「おめでとう」と答えた。

「末期だからモルヒネいっぱい射ってくれるから、苦しまずラクに死ねる」
「ああ、もう生きていかないで済んだ」と。

同じく近所の年配女性は、富裕層と呼ばれる人なのだけれど、
これまで大切にしていた物も、
みんな、すべて廃棄してしまって、家のなかは、ものの見事に何もない。

「もう死ぬ準備しないとね」と言う。

この潔さには脱帽する。


経済破綻、自殺、ウツ、放射能と、老いも若きも、どちらにしても「生きずらい」という、
そんな社会になってしまった。
しかし、そんな社会でも、我々は生き続けなければならない。
女は結婚すれば逃げ場を作れるが、男には逃げ場がない。

「男らしさ」という言葉を失ってしまった時代、
だが結局のところ、男が活きないと、どうしようもない。

では、こんな時代に、いかにして生き抜くべきか、
男の人生哲学について、考察を巡りたい。



2012年3月 著者・大沼孝次







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