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企画 project 俺ビジョン 

ヒロム、愛を悟る!

暑い、夏の日。 突然だが、ヒロムは愛、そして生きる意味を悟った。 

悟った理由?なにがきっかけかって?愛を悟るのに理由が必要だろうか? 

まあ、良い。きっかけは単純なものだ。 愛を悟った理由は、ハリウッドスターがテレビで愛が全て的なことを語っていたからだ。 ヒロムは、それを聞いて開眼した気持ちになったのだ。 愛が全て!我、生きる道を悟ったり!と。 

ヒロムは開眼し、涙した。
 ありがとう! 名も知らぬハリウッドスター! 映画、絶対見るよ! 火曜ロードショーでやったらみるよ! ありがとう! ありがとう! と。 

そんなこんなで、ヒロムは愛に対する気持ちが高まり。 愛を語りたい気持ちいっぱいで、いそいそと町へ出かけて行った。 

「お姉さん。愛は素晴らしいですよ」
 「奥さん。愛を知りたくないですか?」
 「お兄さん。I LOVE THE WORLD! DO YOU LOVE THE WORLE?」 

人々はヒロムを避けるようにし、目を背け、言葉にも耳を傾けず、 臭いものにフタをするようにし、決して心を開かず、歩みを止めることもなかった。 

世界はいま大きく変わろうとしている。 愛の時代、個の時代、集合的無意識の時代! 馬鹿な!愛は!愛は全てを凌駕する巨大なるエネルギー! 
愛は全てを紐づける、エーテル領域の共通エネルギー! 人々はまだ気づいていないのだろうか? ヒロムは驚きのあまり、悲しく儚く激しく失禁した。 

アセンション、プリーズ! 魂は統合のときをむかえようとしているのです! 
ヒロムはヨダレをたらし、路面をのたうちまわり、 愛!愛!と叫び、天を仰いで白目をむく。 

ひとりの小学生らしき男の子がヒロムに話しかけてくる。 
「お兄さん、どうしたんですか?具合がわるいんですか?」 

ヒロムは声を絞り出す。「愛を!愛を!人々に愛を!」 

小学生はヒロムの肩を揺する。
 「お兄さん!大丈夫です! 僕は昨日、クラスメートのアケミちゃんとSEXをしました! 人々は決して愛を忘れることはありません!」 

「なんだって!」ヒロムは唸るようにつぶやく。 我々は女子高生とSEXしようものなら刑務所にぶち込まれるというのに小学生がSEXだって!早熟ではないか最近の小学生!早熟すぎるぞ! 

ヒロムは驚きのあまり、今度は脱糞すると、 小学生に平手打ちを食らわし、「YOU'RE SO BITCH!!」と呪文のように言葉を発すると、いそいそと家路へ向かった。 

「生きとし生けるもの皆、幸せになりますように」 そう願い呟きつつ、糞尿を洗い流し、その夜、ヒロムは眠りについた。 明日は幸せな一日になると良いね!ヒロム!<続く>

ヒロム、神秘体験をす!

ヒロムは深夜に酒を飲みながらぼーと天井を眺めていた。
 一匹の小さな蜘蛛が右に左に動き回っている。 かさかさとヒロムのまわりを動きまわる。 観察しているのはヒロムのほうだろうか蜘蛛のほうだろうか。 

君よ、この地獄から僕を救い出すために糸をたらしておくれ。 ヒロムは、そう呟くと、ヒビが入ったお気に入りの湯のみから酒をすすり、 ひとり声を出すでもなく、くすくすとわらった。 

暑い夜だった。 
世間は、まだ6月だというのに、熱中症に注意だ、なんだと騒いでいた。 じっとりとした汗が、耳の後ろを通り首筋をつたう。 わきに手をあてると溜まった汗が指先を湿らせる。 ヒロムは、くんと匂いを嗅ぐ。 

少し窓を開けると、ふわりと風が入ってくる。 ゴミの散らばった蒸し暑い部屋に土の匂いがはこばれてくる。 ヒロムは、ちゃぶ台に向かい座り、ぐびりと酒を飲みほした。 

なにをなす?なさぬがそんざい?なすがゆめ?なにをなす?なさぬがそんざい?なすがゆめ?なにをなす?なさぬがそんざい?なすがゆめ?なにをなす?なさぬがそんざい?なすがゆめ?なにをなす?なさぬがそんざい?なすがゆめ? 

ヒロムは、ばたむと横になりくつろぐ。
・・・・・・・・・・・・・・・ 

気がつくとヒロムは赤黒いドブ池の中にいた。
そして、もがき苦しんでいた。ドブ池は視界で見渡せるほどの広さで、裸の人間たちであふれていた。裸の人間たちは池を出ようと暴れ回るが、角の生えた大男たちが、 ボツボツのついた大きな棒を振り回し、逃げようとする裸の人間たちの 脳天を次々とカチ割りなぎ倒して行く。 

「この裸野郎!裸野郎!裸野郎!くぬっ!くぬっ!くぬぅ!」 角の生えた大男たちは、脳天、尻へとボツボツのついた大きな棒を 裸の人間たちに突き立てる。 「くぬっ!くぬっ!くぬぅ!くぬううーん!」 

これは逃げねばならんと思うが、赤黒い沼では身動きが上手くとれない。くさい。くさすぎる。ここはどこだ!?腐っている。この赤黒い水は腐っているのか?血だ!血液だ!血液のドブ池なのだ! 腐った血液だ!臭い赤黒い腐った血液なのだ!くさいのだ!この血液は腐っていて臭いのだ!赤黒いドブ池は腐って赤黒いのだ!血液なのだ赤黒い血液で腐っているのだ!あか黒いぬまはくさいのだ腐って臭いのだ! 

逃げたい!しかし逃げ出そうとすれば、裸の人間たちと同じく、角の生えた大男に脳天をカチ割られ、尻にボツボツのついた大きな棒をねじ込まれ、あっけなくこの世を去ることになろう! 
  
逃げたい!くさい!からだがくさい!くさい!くさい!くさい!怖い!こわい!こわい!脳天をカチ割られる!こわい!くさい!くさすぎる! 

そんな最中、ヒロムは、視界に黒ギャルを発見した。 
黒ギャルは、赤黒い沼でうごめき、濡れそぼった身体を艶かしく動かしていた。角の生えた大男に折檻されたのか、破れたキャミソールからは乳房がこぼれ落ち、下半身は濡れ湿った面積の小さな布のみで隠され、肉厚のある尻蓋には緩んだ下着の紐がぺたりとへばりついていた。

なんだって!なんだ!ここは天国なのか!ヒロムは急激に、もぞもぞと内股を動かしだす。前屈みになり、股間は大きく固くなっていく。そのとき、ピカリと、空の雲と雲のすきまから陽光が差し込み、一本の細く長い糸が天よりするりと吊るしだされる! <続く>

ヒロム、宇宙からの交信を受ける!

ヒロムはtwitterをいじくっていた。
電車で、若き女子のなま足をちら見しながらの情報収集。そこで驚きの情報を得ることになろうとはだれが知ろうか。 

エレーニン彗星、地球へ接近!そんな情報がヒロムのタイムラインに飛び込んでくる。なんだって!ヒロムはプチ反吐が込み上げるがそれを反芻する。
失禁しそうになるのを必死に押さえる。 

なんと、エレーニン彗星とやらが、地球と月の距離の10倍程度の距離まで接近するらしいのだ。 

さらには、惑星直列だかなんだか、太陽、太陽系の星、エレーニン彗星、地球が直列に並び、重力が激しく働き、地球の地軸やらなんだかが乱れたり、海水が満ち引きして大洪水を起こしたり、氷河期になったりだのなんだのと凄まじきことになるというのである。 

馬鹿な!こんなにも早くこの日が来るなんて! 
終結プログラム「エレニン」。ヒロムがアクセスしたアカシック・レコードの領域には 終結プログラム「エレニン」の開始時期は記されていなかった。 

2012年、アセンションへの開始プログラムという記述は一部見受けられたが、終結プログラム「エレニン」の記述はなかったはずだ。 

全てが早く進みすぎている。 
時間<タイムライン>の進行が乱れているとでもいうのか! 

ヒロムは怒りのあまり、電車内で床に座り込む若者に、「いけないよ!いけない!ううううう!いけない!」と心の中よりテレパシーを送ると、激しく失禁した! 

なに!エレニン惑星の正体は宇宙船だと!twitterに新しい情報が入ってくる。四面体のバリヤーフィールドに包まれている!これは、別次元からの干渉の可能性がある! いかん!いかん!
より高次元のアカシックレコードへアクセスしなければ!全ての次元を記した、高次元のアカシックレコードへのアクセスが必要だ! 

ヒロムは糞までも垂れ流しそうになるのを必死に我慢し、地球の終結を予告するツイートを読みあさる。 

そのとき、ヒロムにメッセージが届く。 

最近、読者モデルを始めたケミコって言います。雑誌に載るようになってから友達とも遊べなくなって困ってます! 年頃だし、Hもいっぱいしたいよ。だれか遊んでよ! 

なんだって!ヒロムは驚きのあまり、激しく股間が固くなる。これは、未来人からのアクセスか!ヒロムは急いで返事を出す。

こんにちは。ヒロムです!お金はいっぱいもっています。紳士です。とにもかくにも一度会いましょう! <続く>

ヒロム、宇宙からの交信を受ける! その2

ケミコと名乗る女性と会うことになったのは、最初のメッセージのやり取りから一週間後のことだった。

ふたりはいま新宿のカラオケ館の個室にて愛について語りあっていた。 I WANT YOU. だの I NEED YOU.だのと近くの部屋からそんな曲を歌う声が聞こえてくる。

ヒロムとケミコの部屋だけは、歌声は聞こえず、小さな静寂に包まれ、見つめあうふたりの囁きだけが発されていた。ヒロムの首筋をじっとりした汗がつたう。そしてケミコの汗の匂いがヒロムの鼻腔に届く。いい乳をしている、ヒロムは、ふむ、とうなづく。 

「ヒロムさん、なんで私が未来人だとわかったんですか?」
「ヒロムさん、地球は終末の時を迎えようとしています」
「ヒロムさん、あなたはきっと愛を伝道師、オープンゲートの能力者なんです」
「ヒロムさんは、この宇宙の愛をもう一つの宇宙に伝えるために生まれたんです」
「ヒロムさん、私たちと一緒に世界、いや無限数の宇宙全てを救いましょう!」 

ケミコは会ってから、すっかりテンションが高まっていた。ふむ、いい尻をしている、ひろむはひたすらにうなずいていた。しかしヒロムはとまどっていた。おかしい、なんだ、この中二病小説のような展開は!ケミコは未来人だなんだと3時間以上語って止まない。 

我が人生、こんなサイエンスフィクションなわけがない。我が人生はもっとこう文学的な出来事に溢れているはずなのだ。ヒロムはだんだんと気持ちが萎えてきていた。 

「姉さん、雪が降ってきました。明日には積もっているかもしれませんよ」
「ほんとかいヒロム。ケミコさん家に肉じゃが、届けてあげなさいな」
「はい、姉さん、今年ももうあと少しで終わりですね。さみしいもんです」
「ふふふ、ヒロム、言うようになったね」
「姉さん、ほめたって、なんもでやしませんよ。ふっふっふ」
的な、なんだが文学っぽい会話が常日頃、日常日本語会話に溢れているはずなのだ! 

いや!なにか違う!ちょっと文学っぽくない例だ!美味く表現できない!表現できないぞ!もっと、こう文学的な、哲学的な人生が。我が人生には相応しいのだ!なんだ!なにが足りないのだ! 

そう!そうだ!!先生と呼ばれる登場人物が必要な感じだ!! 

猫でも坊ちゃんでもなく、先生的な登場人物が必要なのだ!そうだ!そうに違いない!我が人生!登場人物、先生の不足あり!ヒロムは、がばっと立ち上がる。 

「ケミコよ!制服を着て、私を先生と呼んではみないか!」 
ヒロム的には、ティーチャーなのかドクターなのかは、問わないつもりだった。そう、ヒロムは紳士なのだ! 

「ヒロムさん!マッドサイエンティスト、ヒロム誕生ですね!」ケミコもがばと立ち上がる。 

「サイエンス要素などいらん!」ヒロムはイラッとし、びたんとケミコに平手打ちをかましてしまう。 

「あん!」ケミコが床に倒れる。 
しまった、女に手を挙げてしまった。ヒロムは愕然とする。いかん!いかんぞ! 

「ケミコよ。痛いか!これは試練だ!これより魔法学園にて魔法の勉強を始めようぞ!」 
この際、児童文学でもかまわん、ヒロムはやけくそになり、ハリーポッター的要素を取り入れケミコのご機嫌を取り始めた。 

「はい、先生!」床に伏したケミコは振り返るなり元気に返事をする。

そして、ヒロムは、持ち前のポジティブさからか、「先生!」そんな響きに、わずかながら、下半身に熱を帯び始める自分に気がつきほっこりと温かな気持ちになるのであった。<続く>


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