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Cafe 虫の息

 

ここにはさまざまな病気の人がいる
喘息の人、癌の人、線維筋痛症の人

薬でろれつの回らない歌手が歌う
「この世界はクソで絶望的だ」と

会場に拍手がまき起こる

 

みんな思ってる
この痛みから逃れる方法はない…

 


ひとりの若者が立ち上がって言った
「嘘をつくなよ
このカフェにみんなで集まったのは
全員で絶望する為なのか?
少しでもこの悪循環から
抜け出したいからじゃないのか?」

 

誰一人答える者はいない
カフェ中がざわざわする

 

 


手の震えるウェイトレスが コーヒーをはこんでくる
会場の窒息しそうな雰囲気が
少しだけ暖かくなった

 

さっきの若者が咳をして続ける
「俺は統合失調症さ
この年齢から発症すれば 治る可能性などない
それでも生きてる
どんな小さな虫でも 息してるのさ」


どんな小さな虫にも 生きる権利がある
苦しそうな音がきこえるのが 俺達の生きてる証拠…

 


 

絶望
身を刺すほど冷たかったそれが
今は暗く穏やかに見える

 

半身の動かない老人の口に
ウェイトレスがケーキをはこぶ
ここには生きててよかったと思える瞬間がある

 

明日はどうなるかわからない
不安が消えた訳でもない
ただカフェでお互いに話し、ぶつけ合って
少しだけわかりあえた今日を
みんなは永久に忘れないだろう

 

 

このカフェに絶望しに来た者はみな
希望を手にして帰ってゆく

カフェ 虫の息
その名前を誰がつけたのか
今は誰も知らない


 


幸せの国からこんにちは

幸せの国からこんにちは
そちら側まで聞こえるかい
もう雨は止んだかい

 

絶望の国からこんにちは
未だ風雨は止まない
雨は人々を襲う
風は外に出る気力さえも奪う

 

どうもありがとう
こちらには太陽の花が咲きました
そちらにも分けてあげたい

 

いいえありがとう
何をしても無理なんだ
黒い雲は花では動かない


でも貴方はいつか
こちら側にいたことがあったのでしょう?
太陽の花で思い出して
一番優しい時間の記憶を

 

 

 

絶望の国からこんにちは
何か思い出せそうな気がする
そちら側に行きたいが 無理そうだ

 

幸せの国からこんにちは
険しい山が立ちはだかっているなら
そちらにぜひ助けに行きたい


ここはいつか 絶望の国だった
救われたのは
わずかな光の思い出と 
幸せから来た人々の明るさ

 


絶望の国は
いつまでも絶望の国じゃない
変化には時間がかかるけど
雨は 風は いつか止む
太陽が射す日がいつかきっと来る

 

 


幸せの国からこんにちは
今助けに向かってる
知らない人でもいい
太陽の花を持って行くよ

 

絶望の国からこんにちは
助けてくれるのかい
じゃあ信じてみようかな…


 

貴方に見せたい
雨上がりにかかる大きな虹
絶望はいつか死んで生まれ変わるって事を

 

太陽の花で思い出して


青春は死なない

青春が死んだと思うなら
それはただ眠っているだけ
僕らが生きている限り
青春は死んだりしない

 

 

ヒマだから寝るなんて もうやめにしよう
明日死んだら何もかも終わりだ
今日のうちに
今すぐ始めよう

 

片っ端からメールを送ろう
片っ端から会いに行こう
見たい夢が
まだ限りなくあるなら

 

青春は死んだりしない
ただ眠っているだけ
青春を叩き起こしてくれる 何かを探してる

 

 

 

 

周りに誰もいなくなった時 初めて気付くんだ
自分の帰る場所は人の中にしかないと


今すぐ遊んで
今すぐ馬鹿になろうぜ


青春が死んだと思うなら
アルバムを見てみなよ
箱の中で泣いてる
泣き声が聞こえるかい

 

 

 

 

見たい夢が死ぬほどある
君のなかにある

 

死ぬほど笑って
死ぬほど泣いて
死ぬほど恋したい

 

青春が死んだと思うなら
それはただ眠っているだけ
青春を叩き起こせ

青春は死んだりしない

生きて走り続ける限り
青春は死んだりしない


特別付録「彩」

どこで間違ったんだろう?
瞳の中の花はもう枯れてしまった
汚い事をして精一杯の息継ぎをした
もしも取り戻せるなら
昔僕の中に咲いていた花はどこだろう?

 

花壇に花を植えるように 一歩一歩でも
彩りのある生活  始めていけたらいいな
窓際に花を飾るような 優しいまなざしを
ずっとずっと 忘れてしまってる

 

 

 

窓の外を眺めているだけは もうやめたんだ
過去の人のように遠い目をして
心が雨に打たれてるとき
手を握りかえす温かい何かに気付いたよ

 

植木鉢に花の種を蒔くような 優しい気持ちになれたらいいのに
君の瞳には何色の僕が映ってる?
淋しい色だとしても
また咲こうと濡れて輝いてる

 


人間らしい生活を始めるんだ
避けてきた道を通るんだ
握りしめた花が示す方へ

 

家中に花を飾るような 優しい気持ちになれたらいいのに
野の花をそっと摘む気持ちを 幼い頃の気持ちを
今なら取り戻せる 花畑にいざなうのは君

 


特別付録「スニーカー」

タコ焼き食べて復活する
鬱状態てのもどないなもんだろう
でも確かに僕は「復活」した

 

ギャンブルに出たくてしょうがない
情熱を燃やして空まで連れてってくれ

 

呼吸するように
空を飛べたらいいのに
呼吸するように
風を切って歩けたらいいのに
願いを叶えてくれ、新しいスニーカー

 

 

 

世間の芽のタマネギに目が痛くなる
何度も言われて胸にタコができる

 

コントローラーなんていらない
体を張ったギャンブルがやりたいのさ

 

呼吸するように
海の上を歩けたらいいのに
呼吸するように
叫び声が鳥になったらいいのに
願いを叶えてくれ、新しいスニーカー

 


僕の寝ている間に
こっそり手に勇気を握らせておいて
飛び立つのにあと少しだけ
勇気が必要だ

 

 

呼吸するように
飛んで行けたらいいのに
呼吸するように
願いの上を歩かせてくれ

心の準備ができたら行くよ
僕について来てくれ、新しいスニーカー

 



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