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僕がいなくなってから

雪の日のある日
僕は君と歩きながら
拙い言葉だけど
「今までありがとう」って言ってみた

 

「今までありがとう
一緒に卒業しよう」

 

君は赤眼鏡をずらして
「私のほうこそ 君に会えてよかったよ」
恥ずかしそうに

 

ねえ
僕がいなくなったとき
君はすぐに忘れた?
それとも隠れて泣いてたの


卒業なんてどうでもよかった
遠い未来のことだった
ただ僕は
君のそばにずっといたかっただけ

 

ごめんな
あと2年はいられるはずだったのに

 

 

 

 

僕がいなくなってから
君には新しい友達ができたの
誰と休み時間をふざけて過ごしたの
今度紹介してよ

 

僕がいなくなっても
きっと何も変わらなかった
新しい校舎はあのときと同じチャイムが鳴って
今はまた
新しい秋を迎え入れようとしてる

 

 

 

僕がいなくなったことを覚えてたのは
きっと君だけだよ
遅くなったけど
ありがとう
君に会えてよかった 僕のほうこそ

 

でもね
1年しかいられないことを知っていたなら
もっとありのままに
感謝を伝えられたのかな
こんなメールでじゃなく


ピアノを弾く悪魔

やめろ、もうやめてくれ
頭がおかしくなりそうだ
ああ…

 

耳のすき間から
ピアノの音色と悪魔が入ってくるんだ
地獄の叫び声が聞こえる
誰か耳をふさいで
耳をふさいで
何も知りたくない…

 
神経遮断
その日から僕は何も 食べなくなった
悪魔の声以外聞こえない

 

 
 


悪魔はピアノを弾く
ピアノの音色を聴くと
胸がざわざわして熱くなる

聴いていたいのかいたくないのか
よくわからないよ


低い笑い声が
耳のすき間から侵入してくると
頭の中の何かが切れて
僕は闇の世界へと堕ちる


 

 

そうだ僕は
人間界では死にかけてた
僕は死んだのか?
両手はちゃんとある


息ができるよ
なぜかわからない
闇の世界が心地良い

 


もう帰れない
帰っても居場所などない
頭を抱えて 悪魔のピアノの
狂った旋律 悲しげな音色を聴いた
不思議と懐かしいような気持になる
あれほど拷問のようだったのに

 

意識が遠くなる
誰かにとってあなたは悪魔
でも
死ぬ寸前の僕を救ってくれた…

 

 


その日、僕は発狂した
悪魔になりたいと願ってしまったから


意思というものを失くしてしまった
全て人間のおかげだ
指が音色に絡まってはなれない
僕は虜になっていた

 

 

薄暗いここでは息ができる
意識が操られているのか
綿にくるまれたような感覚
黒の中に美しいピアノが響く
激しい、狂おしい音色が胸をかき乱す
動けないけれど 目頭が熱くなった


人間界で僕は 密かに殺されようとしていた
悪魔は僕に憑いて
新しい鼓動をくれた
だとしたら
人間と悪魔の違いはなんなのか…

 

 


暗闇から2本のつたが伸びてきて僕を縛る
そのまま石になった
すばらしい観客席だ


闇の世界が僕の帰る場所
もう一度出逢った時の曲を聴かせて
僕は悪魔になる
覚悟はできている…


手錠と共に 僕は旅に出る

手錠をはめて 僕は旅に出る
鎖を体に巻きつけて
鎖は僕が
ここに安住する事を許さなかった

 

鎖は重く
体にのしかかる
吹き付ける雨と風
草が無言の痛みに耐えてる


彼方に光が見えた
虹のアーチをくぐる
白い世界が広がった
僕の旅立ちを祝うかのように

 

 

 

地の果てまで限界を捜しに行くんだ
鎖の中で暴れる心臓
鎖は僕に
痛みと小さな安らぎをくれた

 

手錠が雨にぬれて輝く
何もかも失った僕は
ある日君に逢いたいと願った
崖の上の君に

 

 


手錠をはめて 僕は旅に出る
こんな気持ちになったのは初めてだ
激情が爪痕を残して
胸の中から消えていく

 

孤独を恐れないよ
この叫びを止める事は出来ない
手錠と共に
この崖を登るまで

 

 


手錠と共に 僕は旅に出る
虹のアーチを超えて
新たな旅人に祝福を
草も花も無い
荒れた大地の声を感じる

 

体に走る
無情な痛みだけが僕を認めてくれる
今は旅立ちの時
左側に見える青空に
いつか見た君の姿を描いた

 


初雪~僕がいなくなってから

初雪
凍えるような冬を言葉で照らして
離れ離れになった二人を
優しく包んで

 


僕は君の前から 突然いなくなった
でも僕が死んだわけじゃない
生きているから 二人が望む限り
またどこかで出逢えるよ

 

約束して
どんなときも心はそばにいると
思い出の中の日々のように
もう隣にはいられないけれど

 

 

 

 
初雪
本格的な冬がやってくる
君と語り合ったささやかな思い出
古いコートの中に残ってる

 

あの学校にもまた 冬がやってくる
出逢いと別れは止まることがない
たとえ歩く道は違っても
この初雪が君の目にも届いてるかな

 

 

 

僕がいなくなってから
君が何を思ったかは                 
いいよ 聞かないでおこう
もう過ぎ去ったこと

 

どうか風邪引かないで
この道がもし
離れていく道であっても
約束して
どんなときも心はそばにいると
いつまでも君のために祈るよ

 

 

 

初雪
うっすら地面は白くなる
この季節になったら
あの日誓ったこと
夢の中みたいに思い出してる


ヒーロー

僕は たくさんの命を犠牲にしてきたけど
あなたの命を救った そうでしょう

あなたは たくさんの命を犠牲にしてきた
でも僕を救った そうでしょう

 

誰もが一人じゃ生きていけないから
支えてくれるヒーローを求めるのに
求める人ばかり

 

 


あなたは たくさんの命を犠牲にしてきた
でもあのとき 一匹の虫を救った

僕は たくさんの命を犠牲にしてきたけど
あのとき 知らない誰かを支えた


小さなことでいいんだ つまんないことでいいんだ
なけなしの愛をはたいて 何かつまんないことをしよう
その誰かにとって あなたはヒーロー

 

 


僕は 多くの人にとって穀潰し
でも 誰かにとって最高のヒーロー

あなたは 多くの人にとって役立たず
でも 誰かにとって最高のヒーロー


なけなしの愛をなくさないように
自分と今日を大切にして
生きていればいつか見える その時が

 

あなたは 多くの人にとって 知らないシャイな人
でも誰かにとって
あなたはヒーロー



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