閉じる


<<最初から読む

21 / 34ページ

試練1

彼女はきっとわかってない
自分が今何をしてるのかを

彼女はきっとわかってない
この階段がどこへ向かってるのか


彼女はきっと待ってる
助けを心のどこかで

彼女はきっと待ってる
心の底に沈んでいく


絆が試されてる
重い病気が気付かせてくれる
僕が誰を愛して 誰に愛されたか

見捨てたくない
それがどんなに無意味に思えても
心の底から彼女を救いたい

 

 

 

彼女はきっとわかってない
僕がここにいることも

彼女はきっとわかってない
失ったものはあまりに大きい


彼女はきっとわかってない
僕がどれだけ苦い思いをしてるか

考える余裕もない
落ち着く力さえ残されてない

 

絆が試されてる
みんな自分の事しか頭にない
誰一人助けようとはしない

そのときわかる
君が誰を愛して 誰に愛されたか

 


このまま見捨てたくない
ここで手を放したら 彼女は転がり落ちるだけ


苦しいとき素直に言ってよ
辛いときも言ってよ
でなきゃこっちが苦しくなるから

 

心の底に助けに行くから 入れてよ
今度は一人の人として愛して


彼女はきっとわかってない
この先どうすればいいのか

今はきっと休むべきだよ
休むうちに何かが見えてくるだろう


試練2

彼女はきっと待ってる
元の暮らしに戻れる日を

ゆっくりしていいよ
僕ら試練には勝ったんだから

 

ひさしぶりの笑顔 
あくびをしたときの涙
張り詰めていた毎日が嘘のよう

 

 

この涙は
あくびをしたからじゃない
気付いてる?

 

心の底 奥深くに彼女を見つけた
あのときと何もかもが違って見える
空さえも僕らの
決断を祝ってくれてるように

 

 


ゆっくり雲は流れる
傷はいつになったら癒えるのだろう?
とりとめのない事考える

 

彼女はきっと知ってる
だから僕もそばにいるときはずっと笑顔でいるよ

彼女は楽しそうだから
とりあえずそれでいいか

 

 

 

絆が試された
あの試練の日々が
僕らに思い出させてくれた
心の底で二人が
誰を愛して 誰に愛されたか


 


紅い涙で

いつかの冬
オムライスにケチャップで貴方の名前を書いた
そう
それが私の見せられていた幸せだった

 


涙で絵を描くなら 何の絵にしよう
紅い涙で

 

 

血の涙は雨になって 立ち続ける私の周りに降り注ぐ
私は貴方のすべてを信じた
なのに
貴方は私を壊そうとした

 

怒りの炎が硝子の前で静かに燃えている
決して許されない裏切りを映し出す
貴方を永久に許さない
血の涙で 硝子に貴方の名前を書こう

 

あの頃を痛みと共に思い出して
私が貴方をどんな目で見つめていたか…
貴方は見てさえいなかった


 
紅い涙が唇を伝う
私は貴方に「好きだ」と伝えた
貴方が伝えたのは限りない憎しみだけ

裏切り、死、恥、
終わりのない燃えさかる感情
私を悪魔に変えたのは誰

 

 

血の涙で 貴方の名前を書こう
眠る貴方の首筋に落ちるといい
楽しい時間はすぐ終わってしまった
終わらせたのは貴方よ


僕がいなくなってから

雪の日のある日
僕は君と歩きながら
拙い言葉だけど
「今までありがとう」って言ってみた

 

「今までありがとう
一緒に卒業しよう」

 

君は赤眼鏡をずらして
「私のほうこそ 君に会えてよかったよ」
恥ずかしそうに

 

ねえ
僕がいなくなったとき
君はすぐに忘れた?
それとも隠れて泣いてたの


卒業なんてどうでもよかった
遠い未来のことだった
ただ僕は
君のそばにずっといたかっただけ

 

ごめんな
あと2年はいられるはずだったのに

 

 

 

 

僕がいなくなってから
君には新しい友達ができたの
誰と休み時間をふざけて過ごしたの
今度紹介してよ

 

僕がいなくなっても
きっと何も変わらなかった
新しい校舎はあのときと同じチャイムが鳴って
今はまた
新しい秋を迎え入れようとしてる

 

 

 

僕がいなくなったことを覚えてたのは
きっと君だけだよ
遅くなったけど
ありがとう
君に会えてよかった 僕のほうこそ

 

でもね
1年しかいられないことを知っていたなら
もっとありのままに
感謝を伝えられたのかな
こんなメールでじゃなく


ピアノを弾く悪魔

やめろ、もうやめてくれ
頭がおかしくなりそうだ
ああ…

 

耳のすき間から
ピアノの音色と悪魔が入ってくるんだ
地獄の叫び声が聞こえる
誰か耳をふさいで
耳をふさいで
何も知りたくない…

 
神経遮断
その日から僕は何も 食べなくなった
悪魔の声以外聞こえない

 

 
 


悪魔はピアノを弾く
ピアノの音色を聴くと
胸がざわざわして熱くなる

聴いていたいのかいたくないのか
よくわからないよ


低い笑い声が
耳のすき間から侵入してくると
頭の中の何かが切れて
僕は闇の世界へと堕ちる


 

 

そうだ僕は
人間界では死にかけてた
僕は死んだのか?
両手はちゃんとある


息ができるよ
なぜかわからない
闇の世界が心地良い

 


もう帰れない
帰っても居場所などない
頭を抱えて 悪魔のピアノの
狂った旋律 悲しげな音色を聴いた
不思議と懐かしいような気持になる
あれほど拷問のようだったのに

 

意識が遠くなる
誰かにとってあなたは悪魔
でも
死ぬ寸前の僕を救ってくれた…

 

 


その日、僕は発狂した
悪魔になりたいと願ってしまったから


意思というものを失くしてしまった
全て人間のおかげだ
指が音色に絡まってはなれない
僕は虜になっていた

 

 

薄暗いここでは息ができる
意識が操られているのか
綿にくるまれたような感覚
黒の中に美しいピアノが響く
激しい、狂おしい音色が胸をかき乱す
動けないけれど 目頭が熱くなった


人間界で僕は 密かに殺されようとしていた
悪魔は僕に憑いて
新しい鼓動をくれた
だとしたら
人間と悪魔の違いはなんなのか…

 

 


暗闇から2本のつたが伸びてきて僕を縛る
そのまま石になった
すばらしい観客席だ


闇の世界が僕の帰る場所
もう一度出逢った時の曲を聴かせて
僕は悪魔になる
覚悟はできている…



読者登録

雨野小夜美(おけちよ)さんの更新情報・新作情報をメールで受取りますか?(読者登録について