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© Karin Sonoyama / Sakoyan


第十話 引っ越ししちゃった?  八月三日


「じゃあこれ、お願いね」
 母は私に、風呂敷に包んだお皿を渡して言った。中から、揚げたての天ぷらの香りが、美味しそうに溢れている。
「はいはい」
「はい、は、一回でいいの」
「はぁ…い。じゃ、出かけてくる…」
 気乗りのしない返事でサンダルを履いた。はいはい、は、自分の口癖だってこと、母は気づいていない。ため息をわずかにこぼし、私は玄関を出た。午後の日差しは今日も強い。帽子、かぶって行こうかと、一瞬、立ち止まった。…近くだし、まあいいか。思い直して、再び歩き出す。母の得意料理の天ぷらを、祐輔の家へ届けて、と頼まれた。お礼の差し入れなら、自分で届けるべきでしょうに。
 歓迎会で、あれほど楽しませてもらったというのに、母はたった一日で、透さんへの関心度がほぼゼロに戻ってしまった。それでも、自慢のソーセージかき揚げを差し入れるくらいだから、ゲストをもてなす心はまだ消えてはいないんだな、と感心していたら、どうやら違うらしい。透さんのためっていうより、れんげが毎日のように祐輔の家に押し掛けているから、静香おばさんへのお詫びだという。まったく。雅一おじさんがお世話した、格好良いゲストの時には、自ら進んで差し入れを運んでたくせに。それも何度も。…とはいっても、初めてのお世話係で何かと忙しいから、差し入れは助かるって、静香おばさんは電話で母に言っていたらしい。理由は何であれ、ゲストをもてなすことに一役買っていることには、なるか。それに、これは他のおばさんたちも言えることだけど、関心度は元に戻ったとはいえ、透さんを見る目は、歓迎会以前よりも、あきらかに良くなったのは確かだ。
 今日もセミたちが時雨れ、人通りの無い道路を賑やかにしている。れんげたち、今頃どうしているだろう。お昼を早めに済ませ、今日も張り切って出かけたれんげは、透さんに二回目の村案内をすると言っていた。場所は聞かなかったけれど、一回目の時、秘密基地作りのために回れなかった所があるらしい。他に行く場所があるとすれば、学校の裏山あたりか。
 歩きながら、祐輔の家を見た。アスファルトの熱が、景色を揺らしている。ふと、白いシャツと黒のズボンの、浩輔おじさんの姿を思い出した。陽炎の中に、あるはずの無いまぼろしを探し、過去を辿った。浩輔おじさん、村へ帰った時は、いつも、その格好をしていたっけ。今頃、どうしているだろう…。きっと、もう一つの岩柿村へ、そろそろ帰る支度を始めているんだろうな。
 静香おばさんの旦那さん、つまり、祐輔のお父さんは、今は居ない。居ないというのは、お父さんは居るけど、この村には居ない、という意味だ。祐輔のお父さん、松田浩輔おじさんは、遠い町へ出稼ぎに出ている。お盆とお正月休みには、必ず帰省していたけれど、夏休みが繰り返すようになって、この村に帰ってこられなくなった。正確には、本来の時間からコースを外れているのは、私たち岩柿村の住民なのだから、静香おばさんと祐輔が、浩輔おじさんがいる正常な時間に帰ることができない、と言うのが正しい。
 祐輔が、悪ガキたちの先頭に立って悪さをするのは、寂しさを紛らわしているからってことは、みんなが知っている。いつだって、村中を元気に走り回っているし、寂しい顔は少しも見せたことがない祐輔だけど、本当は、お父さんに、会いたくてたまらないのだ。だから、悪ガキたちが多少の悪さをしても、村の住民たちは大目に見てあげている。怒る時もあるけれど、本気で怒っている訳ではない。それに、ほとんどは他愛も無いイタズラばかりだから、元ジイなんかは、むしろ、悪さをしかけられるのを喜んでいる。そんな祐輔の悪さが、透さんの失神事件以降、ピタリと止まった。どんなゲストの時も、男の人だろうと、女の人だろうと、構わず悪さをしていたのに。格好良いゲストには、爆竹の時限爆弾を連続で仕掛けていたし、イケイケのお姉さんには、大きなミミズを持って追いかけ回したりしていた。その悪さが、すっかり鳴りを潜めた。やっぱり、失神事件の大騒ぎが効いたのだろう。初めてのお世話係っていうのも、理由の一つなのかもしれない。久しぶりに家が賑やかになったことが、きっと、嬉しくてたまらないのだ。とはいえ、あるはずのものが無かったりすると、なんだか妙に不自然さを感じてしまったりする。
 奥野川のコンクリートの橋を通りかかった時、近くで声が聞こえた。
「あ、シーコ姉ちゃん」
 祐輔が、花をすでに落としたクチナシの茂みの向こうから、顔を出した。
「ちょうど良かった!」
 続けてれんげが立ち上がり、さらに寛太と透さんが顔を出す。透さんは私を見るなり、
「どうも…」
 と、軽く会釈した。
「こんにちは。透さん、いつも子どもたちに、付き合ってもらって、すみません」
「いえいえ」
 透さんはつばを持って、わずかに野球帽を上げた。つばの影で目元は暗い。けれど、対照的に口元の白い歯が、目立っている。
「ねえねえ、シーコ姉ちゃん!」
 れんげが手招きしながら呼んだ。私は、橋の傍から川沿いに続いている小道に降りて、茂みへ近づいた。クチナシの香りが、まだわずかに残っている。
「どうしたの?」
「確か、この辺にいたよね!」
「何が?」
「川エビ」
 祐輔が両手でチョキを出して答えた。
「ほら、この前、見たじゃない。大きいのと小さいのと、二匹」
 川底に落としている、クチナシの茂みの影を、れんげは指差した。
「うん、確かにいたわね。…川エビが、どうかしたの?」
「透兄ちゃんが見たいって!」
 透さんを見上げ、れんげは笑った。
「ごめんなさい。川にエビがいるっていうのが、珍しくって…」
 頭の後ろを掻き、透さんは恥ずかしそうに言った。
「そうだったんですか。じゃあ…」
 と、私は茂みの影に視線を移し、天ぷらの風呂敷包みを膝の上に乗せ、しゃがんだ。目を凝らす。丸くて平たい石が、ぽっかりと空いているように見える。その周辺にも、川エビの姿は無い。
「この前、確かにここにいたんですけど、どうしちゃったんだろ」
「引っ越ししちゃったのかなぁ…」
 れんげが、つまんなそうに私の隣でしゃがんだ。
「しょうがねえや。ここ、あきらめて、次行こう」
 透さんのTシャツをひっぱり、祐輔が言った。名残惜しそうに川底を覗いていたれんげは、立ち上がろうとして、風呂敷包みにようやく気がついた。
「あれ? それ、何?」
「静香おばさんに差し入れよ」
 すると、いままで一言も発していなかった寛太が、
「てんぷら…」
 鼻をひくひくさせて、ぼそっと言い当てた。
「あっ、もしかして、ソーセージかき揚げ?」
 中を覗こうと、顔を近づける祐輔。
「こら、だめよっ!」
 私は風呂敷の結び目をしっかりと持った。それでも、祐輔は天ぷらの臭いを嗅ぎとったのか、
「ウーン、マンダムゥー」
 と、コマーシャルのチャールズ・ブロンソンの真似をして、自分の顎を手で擦った。意味不明な仕草だけど、
「れんげの母ちゃんのソーセージかき揚げ、美味いんだよなあ…マンダムゥ!」
 どうやら、よだれが垂れるほど美味そうだっていうのを、表現しているらしい。寛太も祐輔の真似をして、しきりに顎を擦っている。母のことで、唯一、鼻高になるソーセージかき揚げ。私が言うのもなんだが、安っぽい材料なのに、シソやシイタケの天ぷらよりは遥かに美味しい。たびたび作り過ぎては、近所に配っているから、ちょっとした名物になっている。
「晩ご飯の差し入れなんだから、我慢しなさい!」
「ウーン、たまらん、マンダムゥーン」
「バカ。…あ、透さん、これ、母の作った天ぷらなんですけど、静香おばさんが後で食卓に出してくれると思いますから、良かったら、食べて下さいね」
「わあ、それは楽しみだなあ。どうも、ありがとう! わざわざ気を遣っていただいて。お母さんに、くれぐれもよろしく言っておいて下さい」
「い、いえいえ!」
 なんか、透さんへの差し入れっていう雰囲気になってしまった。母の本心、れんげが迷惑をかけているお詫び…だなんて、とても言えない。まあ、晩ご飯は三人一緒に食べるだろうから、別に問題あるまい。この際、透さんへの差し入れ、っていうことにしておこう。


 橋の上から、振り向いて手を振った。
「じゃあ、気をつけて!」
 茂みのずっと向こうを歩いていた悪ガキたちと透さんが、お返しに手を振った。やっぱり、学校の裏山へ行くらしい。祐輔を先頭に、一列に並んで、川沿いの細い小道を上って行く。透さんも、意外に楽しんでいるように見える。この村が気に入ってくれたのかな。だったらいいな。そんなことを思い、私は祐輔の家へ急いだ。強い日差しの元で、せっかくの天ぷらがダメになってしまいそうな気がして、慌てて走った。

「ご苦労様。椎子ちゃん、ちょっと寄ってって。何か飲み物、ご馳走するから」
 静香おばさんは、風呂敷包みを受け取ると、家に私を招き入れた。
「みかんジュースでいい?」
「うん、いただきます!」
 台所、久しぶりに上がらせてもらった。そういえば、前に上がらせてもらったのも、天ぷらを持って来た時だった。小六の時、浩輔おじさんからお土産をいただいたお返しに、母に頼まれ、れんげと二人で天ぷらを持って来た。あの時と、ほとんど変わっていない。チェック柄のテーブルクロスが懐かしい。
「あ、静香おばさん、えんどう豆、剥いてたの?」
 テーブルの上に、エンドウ豆のサヤを盛ったお皿が置いてあった。
「そう。今日は、豆ご飯にしようと思って」
「わあ、いいなあ」
 漂う青い匂いを嗅ぎ、ほかほかの豆ご飯が頭に浮かんだ。やがて、サヤのふくらみを見ているうちに、なんだか私も、無性に剥きたくなってしまった。
「ねえ、私も手伝わせて!」
「構わないけど。いいの?」
「うん、私、子どもの頃、エンドウ豆剥くのが大好きだったの」
 中学生になって、我が家で豆ご飯を食べた記憶が無い。前に剥いたのは、もう、ずいぶん前だ。懐かしい。
「ふふ。じゃあ、お願いしようかしら。豆を剥くのって、意外に楽しいのよねえ」
「そうそう!」
  みかんジュースをご馳走になった後、静香おばさんと向かい合わせで、豆剥きの作業に取りかかった。あれこれとおしゃべりしながら、ゆっくりと一時間ほどかけて、お茶碗一杯分のエンドウ豆を剥いた。
 おしゃべりの大半は、透さんのことだった。籠っていた時の透さんは、謝ってばかりいたそうだ。「すいません」と頭を下げたかと思うと、あとは無言のまま、ずっと落ち込み、それを何度も繰り返していたらしい。ゴロベエ先生に大丈夫だと言われていたものの、さすがに静香おばさん、三日目を過ぎたあたりで、どうなることかと心配で心配でたまらなかったという。
 変化があったのは、やはり、ホタルの大群を見た、あの夜から。理由は解らないようだけど、とにかく、祐輔と一緒にホタルを見た時から、人が変わったみたいに、表情が明るくなったそうだ。それでもやっぱり「すいません」というのは口癖のようで、ご飯を食べる時も、お風呂に入る時も、洗濯物を渡す時にも、一言「すいません」と頭を下げるのだという。だけど、暗い表情が消えてくれたおかげで、ようやく安心できたと、静香おばさんはほっとしていた。
 それから、透さんにとっては、この時代のものが大変珍しいのだそうだ。何かを見つけては「凄い!」と、感動しているらしい。テレビのチャンネル、トイレの裸電球、振り子の付いた柱時計、祐輔のマンガ雑誌、どれもこれも透さんにとっては新鮮なようで、いちいち感動している様子に、静香おばさんは可笑しくてたまらないらしい。面白かったのはチロルチョコレートの話。祐輔のおやつのチロルチョコレートを見て、透さんは「三倍も大きい!」と大騒ぎしたそうだ。二十一世紀のチロルチョコレートは、同じ値段で三分の一ほどしかないらしい。それから意外だったのは、特にテレビに感動しているっていうこと。未来の電化製品に詳しいから、この時代のテレビには興味が無いと思っていたのに。きっと、レコード好きの私が、今でも雅一おじさんの家に鎮座している蓄音機を、珍しがるようなものなのだろう。とにかく、エンドウ豆を剥きながら、おしゃべりをしている静香おばさんが、ずっと楽しそうだったのは、私も嬉しかった。
 帰りがけ、居間の柱に掛けられた白いシャツと黒のズボンを見かけ、なんだか、言葉に表現できないような安堵を感じ、無意識のうちに、私はほっと息をついていた。


© Karin Sonoyama / Sakoyan


第十一話 虫嫌いは父譲り。  八月六日


 座布団の上で腹這いになった。朝ご飯で満たされたお腹が圧迫され、わずかに苦しい。ほおづえをつき、片方の手でページをめくった。夏休みの二週間前に買った、月刊少女マンガ誌。何度も読み返しているから、ストーリーはどれも覚えてしまった。本来なら三年も前のものなのに、相変わらず新刊の匂いがする。
 湿気でページがふやけたり、綴じ込みカードがちぎれそうになっても、次の夏休みには、きちんと元に戻る。だけど、粗末には扱えない。タイムトラベルが始まって三回目の夏休みのある日、ゴミといっしょに他のマンガ雑誌を燃やしたことがあった。次の夏休み、レコード用のカラーボックスの上に置いてあるはずの、そのマンガ雑誌が消えていた。それだけではない。いっしょに燃やしたゴミ、紙切れと古着とぼろ雑巾、そのうち、半分焼け残ったぼろ雑巾は消えず、燃え尽きて灰になった紙切れと古着が、消えてしまった。さらに同じ頃、母がうっかり、磁器の小皿とガラスのコップを床に落として割ってしまった。真っ二つに割れた小皿はそのままで、鋭利な割れ方をしたコップは、危ないからって新聞紙に包み、金槌で粉々に砕いて、ゴミ焼き場の脇に放っておいた。次の夏休み、小皿は元通りになって、コップは消えた。
 どうやら、原型が分らないほど粉々に壊したり、燃えてしまって灰になったものは、次の夏休みには、跡形も無く消えてしまう…と、気づいた私は、まずは母に、それからすぐに高井和先生に報告した。母は「やっぱり超常現象よ」で片付けてしまったが、事の重大さに驚いた先生は、慌てて村長代理に連絡し、住民たちを学校に集合させると、緊急の話し合いを開いて注意を呼びかけた。「そういえば…」と、変化があったことを思い出した住民たちは、次々に報告と意見を出し合った。
 いつも自分の若い頃の話を、尾ひれを付けて話す元ジイこと元三郎じいさんは、育てていた観葉植物の一つをうっかり枯らしてしまった。頑固で見栄っ張りの雅一おじさんは、猫に金魚鉢をひっくり返しされてしまい、飼っていた自慢の金魚が死しんでしまった。元ジイの観葉植物も、雅一おじさんの金魚も、次の夏休みには消えていた。それまで、何をやっても次の夏休みには元に戻ると思い込み、羽目をはずしそうになっていた私たちは住民は、話し合いの結果、それなりに秩序を守って生活しようということになった。
 そんなわけで、たかがマンガ雑誌といえど、粗末には扱えない。この村には図書室はあっても、本屋は無い。小学校と中学校の図書室、そこそこの蔵書はあるけど、マンガ本は当然一冊も置いていない。これは私にとって、数少ない貴重なマンガ本の一冊というわけだ。とはいっても、さすがに何度も読み返していると飽きてしまう。この頃は、外枠の広告とか、読者投稿とか、プレゼントコーナーとか、マンガ以外の文章に目を通している。それでも、もうすでに隅から隅まで読み尽くしているから、目を通さなかった文字は一字も無い。『マンガ家だより』は二回も読んじゃったし…と思ってパラパラとめくっていたら、あるページに目が止まった。
「『KISS入門』…?」
 見覚えが無い。
「『初めて経験する、あなたのための予備知識。好きな男の子に、キスをしたいって思われる女の子になろう』…!」
 胸が高鳴った。キスの心得が、イラスト付きで詳しく説明されている。テレビやラジオは、時間差電波という現象で、時々、数年前の番組が流れ出すことがあるけど、印刷物が変化するのは、今まで見たことがない。見落としていたのだろうか? だけど、これほど気を惹くページ、なぜ、今まで気付かなかったのだろう。
 ファーストキス…、そういえば夏休みが繰り返す前、NSPのレコードを録音してくれた同級生の美香子が、
「今度の夏休み、剛史にファーストキスをプレゼントするんだ!」
って、張り切ってたっけ。あれからどうなったのだろう。高井和先生の理論どおり、正常な時間の流れに、もう一つの私たち、岩柿村の住民が本当に存在しているなら、先に剛史へ告白した美香子のことだから、今頃きっと、熱々のカップルになっているんだろうな。美香子の積極的な性格が、羨ましい。私は、どうでもいい男子には大きな態度をとれるのに、好きな人には、どうしても奥手になってしまう。キスの経験どころか、まだ、手さえ繋いだことがない。自分の性格がもどかしい。キスってどんな感じなのかな。キスしてほしい人のことを思い浮かべると、胸が熱くなってくる。

 私は、無意識のうちに、机の一番下の引き出しに視線を移していた。思わず慌てて目を閉じた。切なさで、押しつぶされそうになるのは解っているのに、ずっとずっと我慢していたつもりだったのに、この前の歓迎会以来、封印を解いてしまいたい衝動にかられている。ゆっくりと目を開け、引き出しを見た。
…もう、押しつぶされたっていい。
 覚悟を決め、私は引き出しを引いた。中から、薄いグリーンのノートを取り出す。交換日記になるはずだったノート。真新しさが、今でも残っている。息を深く吸い、思い切って表紙をめくる。1ページ目に大きく書いた『OK』の文字が、揺れて見えた。ゆっくりと、次のページをめくる。
「あ…」
 中から、吉澤先輩が笑った。久しぶりに見る、先輩の写真。中判に引き延ばされた白黒写真。いじいじしていた私を見かね、美香子が、写真部の顧問だった田霜先生に、無理を言って撮ってもらった。印画紙いっぱいにジャージ姿の上半身が収まっている。背景から、図書室周辺で撮られているのが解る。野球部の帽子を右手に持ったまま、その手を頭の後ろにあてて、照れくさそうに笑っている。この村の時間から見れば、たった一ヶ月前の写真なのに。先輩の笑顔に、懐かしさが染み込んでいる。胸がキュンと詰まりそうになった。とたんに、思い出が溢れ出す。
 吉澤先輩のことが気になりだしたのは、美香子がキッカケだった。美香子と私は、由美と光子のように、いつも一緒だった。ちょっと勝ち気な美香子と、ちょっと控えめな私。いつも美香子が先に行動し、後から私がついて行く。話し手はいつも美香子、聞き手はいつも私。性格的には正反対の二人が、なぜか不思議と気が合った。お互いにフォークが好きってことも、気が合う理由だった。その美香子が、同級生の西川剛史を好きになった。一年の二学期の半ばのことだった。
「シーコ、練習見物に付き合って!」
 剛史は野球部だった。美香子に強引に誘われ、野球部の練習を、見物するはめになった。雲の多い放課後だった。校舎側の中庭から、大グラウンドへ降りる石段に、二人並んで腰掛けた。見物人は私たちだけではなかった。バックネットの裏や、グラウンドを囲む、一メートルたらずのブロック塀の後ろに、全部で十人ほどの上級生の女子たちが、すでに熱い視線を送っていた。バレー部とか、テニス部とか、卓球部とか、男子の部活は他にもあるのに、取り巻きがいるのは野球部だけだと、美香子が言った。その時は、なぜ野球部だけが人気があるのか、解らなかった。高井和先生が顧問を務める、部員十五人の小さな野球部。一年と二年の男子部員たちが、二人一組になってキャッチボールをしていた。美香子が剛史を指差した。その隣に、先輩がいた。高井和先生が相手になって、先輩のボールを受けていた。そこだけ、陽が射したように見えた。顔がはっきりと解るほど、近くにいたわけじゃない。一目惚れするほど、距離は近くはなかった。だけど、今にして思えば、その時から私の恋は始まっていた。
 突然、強い風が吹いて、グラウンドの土を舞い上げた。風は土ぼこりとなって私たちの所へ押し寄せ、たまらず顔をそむけた。その時、
「おーい、取ってくれーっ!」
 高井和先生の声が響いた。いつのまにか、私たちの手前に、ボールが転がっていた。先輩が、私たちの方へ駆けて来た。私は腰を起こし、ボールを拾った。こんな時は、大抵は美香子が行動するのに。美香子が「目にホコリが入った」と顔を手で覆うよりも速く、なぜかその時は、先に自然に体が動いた。先輩は、私の数メートル手前で立ち止まると、帽子をとって一礼し、グローブを差し出した。短い髪に汗がにじんで、キラキラ輝いていた。私は、先輩のグローブめがけてボールを投げようとした。すると、風がまた吹いた。見事な早業で、私のスカートをめくった。慌てて押さえたけれど、先輩のうつむいた顔で、わずかに遅かったことが解った。恥ずかしさのあまり、手元が狂った。私の投げたボールは、先輩のグローブを遥かに外れ、結局、グラウンドへ転がっていった。
「あ…、ご、ごめんなさい!」
「い、いえ。どうも、ありがとう!」
 それが吉澤先輩との初めての会話だった。帽子をかぶり、もう一度軽く頭を下げ、先輩は、また、グラウンドに駆け戻って行った。ふと、上級生の取り巻きたちの、突き刺さるような視線を感じた。なぜ、野球部だけが人気があるのか、なんとなく解った。だけど、私の心は動き出し、止めることが出来なくなった。体中が熱くなるのを感じた。いつのまにか、鼓動が激しさを増していた。いつのまにか、先輩の後ろ姿を追っていた。その日から、先輩の、グローブを差し出す姿が、頭から離れなくなった。


 元気にしてますか? 高校に進んでも、野球は続けていますか? その後、もう一人の私と、空欄を埋めてくれましたか? 先輩の笑顔に、胸の内で語りかけた。懐かしさや愛しさ、いろんな想いが交差し、涙がにじんみ、先輩の笑顔がかすんだ。なのに、なぜか、思ったほど悲しくはなかった。切なさに、押しつぶされずに済んだ。ただ、このまま遠い記憶になってしまうんじゃないかと、不安を感じてしまう。
 そっと、写真を唇に近づけた。胸が高鳴る。先輩と初めて会話したあの時のように、耳まで体温が上昇していく。
 我に返り、写真をノートに挟んだ。たった一枚の先輩の写真。大切に仕舞っておきたい。でも、表紙越しなら構わない。そう思い直し、正座して表紙に唇を近づけ、静かに目をつむった。
 一面に銀色の草原が広がる。私は、そこに一人で佇んでいる。そよ風が優しく髪を撫でてくれる。どこからか飛んでくるシャボン玉たちが、はじけながら挨拶をしていく。ふと振り返ると、吉澤先輩が、優しい笑顔で静かに近づいて来ている。
「待たせたね」
 そう言って先輩は…、先輩は私の肩をそっと抱き寄せ、そして…
「シーコ姉ちゃん、何やってんの?」
「えっ!?」
 振り返ると、仁王立ちのれんげがいた。
「ノートに顔くっつけて、新しいおまじない?」
 怪しいものを見る目つきで、私の顔を観察している。
「ちょっと、れんげ! 人の部屋に入る時はノックしてよね!」
「だって、ドア、始めっから開いてたじゃん」
「開いてても、入る前には一声かけるものなの! で、なんか用?」
 私はわざと不機嫌な顔をして誤摩化した。
「これから、かぶと虫探しに行くんだけど、シーコ姉ちゃんも行く?」
「かぶと虫?」
「透兄ちゃん、本物のかぶと虫、見たことないんだって。そしたら祐輔が『じゃあ、奥野森に探しに行こう』って」
「ふーん。透さんも一緒に行くの?」
「もちろん!」
 奥野森は岩柿村バス停の真逆、富美蔵おじさんの畑と竹林を越えたところにある。村の奥にあるから奥野森。樫やクヌギの木が茂る小さな森。
「どうする?」
 暇はたっぷりあるけれど、虫を見ても平気でいられる度胸は、ない。
「うーん…、パス」
「やっぱりね。シーコ姉ちゃん、虫が嫌いだもんね」
「分ってるんだったら、いちいち誘わないの!」
「何よ、ヒマそうだったから誘ってあげたのに」
「余計なお世話ですぅ」
「後でやっぱり行けば良かったって、文句言わないでよね」
「言わない言わない! さっさと行っといで」
「フン! じゃあれんげ、楽しい楽しい虫探しに出かけてこよーっと!」
 バタバタと、嫌味ったらしい大きな足音をたてて、れんげは階段を降りて行った。その発言と行動には、大人と子供が同居しているかのようで、どちらが素なのか、時々、大いに困惑させられるときがある。
「あ、そうだ…」
 気がかりなことがあって、部屋の窓から顔を出す。すると、玄関を一旦出たと思ったれんげが、慌てて家に引っ込んだ。どうやら忘れ物のようだ。帽子だの、水筒だの、ハンカチだのと、母の慌ただしい声が聞こえる。いつも生意気なことばかり言ってはいても、やっぱりまだ子供だな。こんなところがあるから、憎めない。
 再び表に飛び出したれんげに、私は声をかけた。
「かぶと虫、後でちゃんと逃がさなきゃだめよ」
 捕まえて持ち帰ったりしたら、すぐに死んじゃうかもしれない。そしたら、次の夏休みには、多分その虫はいなくなってしまう。たとえ虫一匹でも、捕まえた後は逃がしてあげるのが、この村のルール。
「分ってる! べぇーだ!」
 れんげは振り向いて、いつかの和則のような、憎々しいあっかんべーを放った。「こらぁっ! まったくもう…。それから、あんた、あんまり無理しちゃだめよ!」
 口うるさいと思ったのか、今度は振り向きもしないで、れんげは、返事代わりに右手を振って駆けて行った。私たちのやり取りを聞いていたのだろう。下から、母の笑い声が聞こえた。
 れんげは幼稚園の時から、祐輔たちと遊んでいる。だから、おはじきよりもビー玉、ママゴトよりも秘密基地作りが好きな女の子になってしまった。昆虫が好きなのもそのせい。たまには、女の子らしいことをしたら? と苦言を呈しても、聞く耳を持たない。やがて、小学生の女の子に大人気の、フィンガー5のアキラよりも、高校の男子たちに大ウケしている、あのねのねの伸郎が好きになった。母は「別にいいじゃない。れんげらしくて」と、まったく問題にしていない。だけど、時々意味も分からず、大人も舌を巻く難しい言葉を言ったりするから、行く末が恐ろしい。そのうち、鶴光のオールナイト・ニッポンを聞き始めるんじゃないかと、心配になってくる。

 お昼過ぎ、れんげは手と口の回りを真っ赤に染めて帰って来た。お昼ご飯の前に帰る予定が、かなりの時間がかかってしまい、途中でお腹がすいて、奥野森に群生する木いちごを、みんなで、ごはん代わりにたらふく食べたそうだ。
「かぶと虫、見つかった?」
「ううん…。でも、おもしろかったよ」
 よほど疲れていたのか、れんげはそっけなく返し、コップいっぱいに注いだ麦茶を一気に飲み干すと、
「お昼ねする」
 と、座布団を枕がわりに居間で横になり、母から起こされる夕方まで熟睡した。
 晩ご飯までに元気は復活し、「ご飯の時に、勘弁してよ」というデリケートな私を無視して、れんげは虫探しの話をまくしたてた。
「かぶと虫かあ。昔、あの森にたくさんいたなあ」
 途中、父がしみじみと回想したせいで、虫探しの話は調子づき、食事している間、ずっと続いてしまった。
 かぶと虫探しには克子姉さんも参加したらしい。虫探しご一行が克子姉さんの家の前を通りかかった時、たまたま打ち水をしていた克子姉さんを、透さんが誘ったのだという。れんげ、祐輔、寛太、透さん、克子姉さんの5人で探すことになったかぶと虫は、結局一匹も見つからなかったらしい。父によると、夜明け前に探さないと、ほとんど見つけるのが難しいようだ。
「だったら、最初から教えといてよね!」
 れんげに理不尽な言いがかりをつけられ、父は頭を掻きながら「ごめん」と謝った。
 かぶと虫は見つからなかったものの、そのかわり、カミキリ虫三匹と、小さなクワガタ一匹を見つけ、透さんはどちらもやっぱり初めて見た昆虫で、
「凄い! 凄い!」
 を連発し、大満足だったそうだ。だけど、木の高いところにいたクワガタを見つけた時、祐輔が透さんに肩車してもらって素手で捕まえたとたんに、大きなムカデが現れて、もう少しで襲われそうになったという。想像しただけで、私は背筋が凍ってしまった。
「お姉ちゃん、来なくて正解だったよ。来てたら、ぜったい、腰抜かしてたよね」
 カチンとくることをれんげに言われ、
「ちょっと、決めつけないでよ。いくらなんでも、腰抜かすわけないでしょ」
 私は強がった。
「ぜーったい、抜かしてたってば! だって、こーんっなに大きかったんだよっ!」
 両手を四十センチほど広げ、れんげは大きさを示した。
「バーカ、そんな大きなムカデ、いるわけないでしょ」
「本当だもんっ! 本当にこれくらいだったもんっ!」
 れんげはさらに幅を拡げ、息巻いた。
「はいはい」
 呆れた私は、これ以上対抗するのを諦めた。
「椎子ったら、父さんと同じで、小さな虫をみただけでも大騒ぎだもんねえ。行かないで正解だったかもよ」
 母は私に、いや、遠回しに、父に対して嫌味を言った。
「お、俺が苦手なのは、ゲジゲジだけだぞ!」
「何言ってんの。あなた、前に小さな蜘蛛が足によじ登ってきたって、うろたえたことがあったじゃないの」
「あ、あん時はなあ…、き、急にだなあ…」
 父は言い返せず、言葉を濁す。そんなんで、よく外を歩き回れるものだ。
「はー、虫が苦手なのは、父さん譲りってわけね」
 私が溜め息をつくと、れんげは私と父を指差して、
「弱虫」
 と言い放った。
 虫探しに参加しなかったのは、確かに正解だったかも。れんげの言う通り、もしも大ムカデを実際に見てたら、本当に腰を抜かしていたかもしれない。ぞわぞわと動いている、無数のムカデの足を想像しただけで、鳥肌が立ってしまう。とにかく私は、虫、とくに足の多い生き物が大っ嫌いだ!


「椎子、お風呂まだでしょ」
 母が一階から声をかけた。
「あ、はーい」
 気がつくと、もう十一時過ぎ。ギターの練習に夢中になってしまった。扇風機を止めると、外のカエルたちの合唱が、網戸を通り抜けて、今日はやけに賑やかに聞こえてくる。
「シーコ姉ちゃん、ちょっといい?」
 すでにお風呂から上がっていたれんげが、性格とは正反対の、可愛いいちご柄のパジャマ姿で部屋に入ってきた。
「まだ起きてたの?」
「だって、ぜんぜん眠くならないんだもん」
「そういえば、何時間も昼寝してたからねー」
「それより、ねえ、シーコ姉ちゃん」
「何?」
「今夜、一時過ぎまで起きてる?」
「なんで?」
「ラジオ、録音してくれない?」
 れんげは、六〇分のカセットテープを差し出した。ラベルの『フォーク特集』の文字の上に、いつのまにか赤い汚い字で『ジャイアントかめんのうた』って書き足している。前に私があげたやつだ。れんげに頼まれて、テレビにラジカセをくっつけて録音してあげたけど、お母さんの声が途中で入ってしまったからって、次の週にもう一度、録音を頼まれたテープ。これに一時から録音って、まさか、鶴光? …いや、今日は違うか。あ、もしかして…
「もしかして、あのねのね?」
「うん!」
 いつだったか、あのねのねのラジオ、水曜日の深夜一時からやってたよって、教えたことがあったっけ。和則によれば、あのねのねもエッチな唄とか唄うらしいけど、鶴光よりはずっとマシらしい。それでもまだれんげには、高校生好みの『あのねのね』はちょっと早いような気がする。とは言っても、私もあのねのねについて、あまりよく知らない。知っているのは、れんげがときどき口ずさむ『空飛ぶ円盤の唄』や『赤とんぼの唄』といったヘンテコな唄を唄うフォークバンドってだけ。以前聞いたラジオも、夜中に勉強していた時にたまたま流れていた放送を、ほとんど聞き流していたにすぎない。
 今じゃ、フォークソング部には欠かせなくなったNSPだって、『便所虫』という可笑しな唄を唄ってる。あのねのねも、NSPみたいなフォークグループなのかも。だけど、彼らの番組は、今は放送さけてはいない。
「あのねのねの番組、もう、やってないよ」
 私が中一の時に放送していた番組は、中二になって、突然お休みになった。
「でも、時間差電波で放送されるかもしれないでしょ」
「うーん、かもしれないけど…」
「透兄ちゃんに聞かせてあげたいんだ」
「あのねのねを?」
「うん。奥野森から返ってくる時、空飛ぶ円盤の唄を教えてあげたら、すっごく面白がって『もっと聞いてみたいな』って。だから、おねがいっ!」
 いつも勝ち気なれんげが、珍しく頭を下げた。
「そんなことなら、かまわないけど、あんまり期待できないわよ。時間差電波って気まぐれだから。それに、テープ、あんたのお気に入りでしょ? 録音しちゃったら、この夏いっぱいは、元に戻んないよ」
「いいの!」
「はいはい。ちゃんと録音しといてあげるから、早く寝なさい。明日はラジオ体操でしょ? 寝坊するよ!」
「ほーい!」
 れんげは、嬉しそうにガッツポーズで自分の部屋へ戻った。
 どうやられんげは、透さんのことが、好きで好きでたまらないようだ。祐輔と寛太も、本当のお兄さんのように慕っている。なのに岩柿村の女性陣ときたら、もう愛想笑いを浮かべている。大人の女性で唯一、ずっとお気に入りでいるのは、キクばあちゃんだけだ。
 歓迎会の質問コーナーで、あれだけ私たちを熱狂させたてくれたのに、特におばさんたちの透さんへの関心度は、潮が引いて行くように下がってしまった。もちろん、透さんがいい人だっていうのは、みんな解っているから、ゲストをもてなす気持ちに変わりはない。だけど、やっぱり、格好良いゲストのようにはいかない。母たちにしてみれば、野暮ったくてしなびた格好が、やはり、近づき難い最大の理由なのだろう。幸いなのは、透さん自信は、そんなに気にしていない様子だってこと。放っておかれたほうが、きっと気が楽なのかもしれない。悪ガキたちには、毎日のように構われているけれど、たぶん透さんは、子どもが好きなのだろう。れんげたちも、そこを敏感に感じ取っているから、子供たちに大人気なのかもしれない。キクばあちゃんに気に入られている理由は、さっぱり解らないけど。
 お風呂に入ろうとした時、脱衣場と洗濯機置き場がいっしょになっている廊下の窓が、半分ほど空いているのに気がついた。
「だれよ、開けっ放しにしたの」
 愚痴をこぼし、慌てて閉める。誰かに覗かれるからって訳じゃない。窓の外は裏山に続く崖になっているから、覗かれることはない。それよりも、こんな時間に窓を開けっ放しじゃ、カナブンが入ってくる!
 私の虫嫌いは、父譲りだけが原因ではない。幼稚園の時、男の子に意地悪されて、お気に入りの新しい靴の中に、ヤスデを入れられたことがあった。知らずに靴を履いた私は、その異様な感触に悲鳴を上げた。ヤスデも、ダンゴムシも、平気で掴んでいたのに、それ以来、足の多い生き物が嫌いになった。さらに、小学一年生の時、突然飛んできたカナブンに、顔にへばりつかれたことがあった。なかなか取れずに私は泣き出した。泣きながらも自分で強引に剥がした。すると、とげとげの足が引っかかって、おでこから血が出た。それまで足の多い生き物だけが苦手だった私は、昆虫までもが苦手になった。今じゃ、網戸にカナブンが突っ込んで来るたびに、心臓が縮む想いをしている。
 ふと、天井の灯りのそばを、何かが通ったような気配を感じて顔を上げた。カナブン? 一瞬、そう思った。しかしそれは、カナブンを遥かに越えるおぞましいものだった。
「ぎゃーーーーーっ!」
 本当に腰が抜けるかと思った。ちょっと大袈裟だけど、村中に響き渡るほどの悲鳴を上げてしまった。それほど、私の目には、この世のものとは思えない、不気味な生き物に見えた。なんと、天井の隅に、私の手のひらほどもある大きな家蜘蛛が、白くて丸い卵の袋をかかえて、居座っていたのだ。
第十二話へつづく…

Illustration SAKOYAN


この本の内容は以上です。


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