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喪失

無くさなきゃわからないものの多さを思う

ひどく虚しくなるよ

無くすことを知らなきゃ
大事にすることもできないなんてね


2006.11.23.

冬の雨は涙雨

静かに春を待っている


春の雨は緑を呼ぶよ

恋しくて恋しくてたまらない


夏の雨はとても濃い

香り続けてもまだ足りない


秋の雨は澄んでいる

一年をみんな洗い流すから


もっと溶かして

もっと包んで

私も見えなくしてしまってね

早く溶けて混ざりたい

その空気にその香りに
その緑にその白さに

見えなくしてしまってね


2006.10.16.

甘い空気

手拍子にも似た雨音に呼ばれる

この空気の甘さ
風に乗って香る緑

この空の向こうには
見たいものが広がっている

私を呼ぶもの
声にならない

胸の少し下が押される感覚

この空の向こうには・・・


雨音に遮られて聴こえない
でもこの手は微かに触れている

目に見えないもの
見えないからこそ感じるもの

私をここへ連れ戻したのは
他の何でもないよ

この空気の甘さ
とても愛しくて欲していた

浸透していく魂


2006.9.6.

つつじ

つつじの赤は眼に痛い

違う色に際立って光るものは

人を刺して

その美しさ

鮮やかさ

その姿を明らかにする


2007.5.4.

秋月

板の朽ちたベランダのくすんだ赤い屋根に座っていた

その日は息も白い秋の終わりで
ただなお白く輝く月を見つめていた
古い毛布にくるまって

月明かりが眩しくて
雪のにおいがかすかに近づいていたあの日

私はただその月の姿に夢中で
全てはあの空気のように濁りなかった

あの日はもう遠い昔

哀しみも寂しさも本当には知らなかった

ただ密かに感じていただけ
自分の生きていることの不確かさ
この手の感触のぎこちなさ

あの秋の月
美しかったあの日の月
ただ今は恋しくてたまらないよ
あの頃に戻ることはないけれど
もう一度見れるのかな

もう一度見たいよ


2006.7.29.


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