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夜叉

カテゴライズ



自分自身を開くも閉ざすも自分自身

容易なカテゴライズ

例えば犯罪者

例えば精神異常者

そうしてカテゴライズしていくことで

自分自身を他人と切り離し

そうすることで自分がそのものと違う種であることに安堵する

堕ちた安心感

相手を理解しようとしない姿勢そのものの形

無関心であることはもっとも性質が悪い


2007.6.15.

手を離した瞬間の浮遊感に酔う

詰め込まれた世界

溢れ落ちていくもの

零れ落ちていくものに

眼を向けているものがいない

しがみつくのに必死なのさ

自ら手を離そう


2007.5.23.

長いもの

ろくなものはない

巻かれて

先にあるものを腐らせる

気付かずに巻かれて

気付いた時にはなくしてる


2007.5.15.

雑音



本質の上を掠うようにして

交わらない心と言葉

苛立ち

雑音とも想えるそれに

隠れる本質を視る眼を

どうか私に


2007.5.4.

喪失

無くさなきゃわからないものの多さを思う

ひどく虚しくなるよ

無くすことを知らなきゃ
大事にすることもできないなんてね


2006.11.23.

冬の雨は涙雨

静かに春を待っている


春の雨は緑を呼ぶよ

恋しくて恋しくてたまらない


夏の雨はとても濃い

香り続けてもまだ足りない


秋の雨は澄んでいる

一年をみんな洗い流すから


もっと溶かして

もっと包んで

私も見えなくしてしまってね

早く溶けて混ざりたい

その空気にその香りに
その緑にその白さに

見えなくしてしまってね


2006.10.16.

甘い空気

手拍子にも似た雨音に呼ばれる

この空気の甘さ
風に乗って香る緑

この空の向こうには
見たいものが広がっている

私を呼ぶもの
声にならない

胸の少し下が押される感覚

この空の向こうには・・・


雨音に遮られて聴こえない
でもこの手は微かに触れている

目に見えないもの
見えないからこそ感じるもの

私をここへ連れ戻したのは
他の何でもないよ

この空気の甘さ
とても愛しくて欲していた

浸透していく魂


2006.9.6.

つつじ

つつじの赤は眼に痛い

違う色に際立って光るものは

人を刺して

その美しさ

鮮やかさ

その姿を明らかにする


2007.5.4.

秋月

板の朽ちたベランダのくすんだ赤い屋根に座っていた

その日は息も白い秋の終わりで
ただなお白く輝く月を見つめていた
古い毛布にくるまって

月明かりが眩しくて
雪のにおいがかすかに近づいていたあの日

私はただその月の姿に夢中で
全てはあの空気のように濁りなかった

あの日はもう遠い昔

哀しみも寂しさも本当には知らなかった

ただ密かに感じていただけ
自分の生きていることの不確かさ
この手の感触のぎこちなさ

あの秋の月
美しかったあの日の月
ただ今は恋しくてたまらないよ
あの頃に戻ることはないけれど
もう一度見れるのかな

もう一度見たいよ


2006.7.29.

gone.



空は晴れていて 静かに風なんか吹いていて

「小春日和」

私はここにいるのに ここにいない
 

風がさらう

自分で作った小さなジンクスに逆らって 長く伸ばした髪

他人には見えて 自分には見えない何処かへ

 
私は現実に居て

声を出せば誰かに聞こえる 答えが来る

 
でも私は何も見えない

私は答えない

私には声が聞こえない

 
来ないはずの未来が見えた日

 
来ない未来を葬った日
 

来ない未来と一緒に私は行ってしまった

 
2002.10.25.

花霞



在りし日の形を追い続け 口を閉ざして

触れないように 触れないように

 
壁紙の色褪せる様は年月を刻む

変わらないように振舞う人々の前で


本当は何もかもが変わって

何もかもが別のものになったのに

私たちだけが何もなかったように

横を向いて 砕けている

砕けているのに…

 
2002.4.14.