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30 青龍と白虎

「じゃあ、つぎは俺だな。」
 青龍が前に出る。
 革ジャンを脱いで、Tシャツ1枚になる。
 すごい筋肉。
 特に肩のあたり・・・・
 こんなところに筋肉ってつくのってくらいに・・・
「おまえの兄貴との約束だ。
 お前を見てやれってな」
 
「何を・・・・
 あなたなんかにわたしは諭されませんよ。
 北の悪魔ごときに両目を奪われたあなたになんかね」
 スーツを脱ぎ捨て・・・
 ネクタイをはずす・・・・
 眼鏡を下におく・・・
 気障なしぐさだ・・・

「俺は口下手でな。
 この拳で教えてやる。
 お前の兄貴に頼まれたことをな」
 青龍は拳を突き出す。
 Tシャツが張り裂けそうになるくらい筋肉が盛り上がる。

「あなたの拳なんてあたりませんよ。
 白虎兄弟の名前の由来・・・
 ご存知ですよね。
 このわたしに由来するってことを!」
 いきなり間合いを詰める白虎。

 青龍は、ゆっくりとそれに反応する。
 目で追いかけるように回り込んだ白虎の方を向く。

 えっ、この人・・・
 目が見えないのに。

 白虎の手が白い光に包まれる・・・・
 まるでそれが虎のような形になる・・・
「知ってますよね。
 わたしがこの街の空手チャンピオンであること・・・
 あなたのような喧嘩拳法で太刀打ちできる相手ではありませんよ。
 それにその目・・・・
 クスッ・・・・
 わたしに教えるだって???
 笑わせないで下さい・・・」
 
「御託はいいから、
 サッサとはじめようぜ」
 白虎の挑発を軽くかわす。
 
「ええ、じゃあ行かせてもらいます。
 そうですね。
 たしかフォースは意味がないんでしたね。」
 白虎の両拳の光が消える・・・
「でも、秒殺は同じですがねっ」
 すごいスピードで白虎が飛び出す。

 青龍の懐に飛び込む・・・
 重そうなパンチを繰り出す・・・・
 それをガードした腕で受け止める・・・
 でもそのガードを払うように・・・
 下からのパンチ・・・
 ガードがあがったとこで、まっすぐなパンチが青龍さんの顔を貫く・・・・
「ぐ・・・・」
「見えないんですね。
 わたしのパンチが」
 冷酷そうな目が光る・・・
 左右からのパンチ・・・
 足の脛をローキック・・・・
 されるがままの青龍さん・・・

 でも、一歩も後退しない・・・・
 気迫で耐え続ける・・・

 もしかして・・・
 ここで・・・・
 あのセリフかも・・・
「今日はこのへんでゆるしといたるわ」
 とか・・・

 そんなギャグも入り込めないくらいの緊迫。
 青龍さんは受ける一方。
 サンドバック状態・・・
 でも、倒れない。
 白虎は一方的に殴ったり蹴ったり・・・
 そのパンチや蹴りに威力があるのは見てるだけでわかる。
 そんな素人っぽいものじゃない。

「いいかげんに倒れろよ!」
 殴りながら、白虎が言う。
 いままで、言葉なんてなかったのに、
 たぶん苛立ってるんだ・・・・

「そんなもんか?」
 青龍さんの低い声。
「なんだと!」
 白虎の怒声。

「だから、これで全力かって聞いてるんだ!」
 青龍さんの言葉に白虎さんがひるむのがわかる。
 大きなパンチを浴びせようとする。
 
 そのパンチを青龍さんが掴む。
 えっ?見えないんじゃあ。
 
 右を捕まれたまま左でパンチ・・・・
 それを簡単によける青龍さん・・・・

「おまえの兄貴のパンチはこんなものじゃなかった・・・」
 白虎さんを突き飛ばす。

「兄貴のことは言うな!」
 無茶苦茶に殴りかかる白虎。
 でも、そのパンチはすべて宙を切る。
 逆にボディにカウンターが決まる。
 身体をくの字に折ってうずくまる白虎。

「何も変わってねえよ。
 昔から・・・」
「なんだと!」
「おまえの兄は拳で語れる男だったがな」
 青龍さんの見えない目から涙がこぼれる。

「今こそ、お前の兄との約束を果たす時」
「約束だと!」
「そう、組を率いるお前を助けること」
「じゃあ、なんで、こんな」
「しかし、もし組を率いる器ではないときは、お前を止めることだ」
「何を勝手なことを!」
 怒り心頭のパンチ。
 でもすべてガードされる。
 反対に青龍さんのパンチや蹴りはガードの上からでも白虎を吹っ飛ばす。

「おまえもわかっているんだろ。
 なぜ、お前の兄が組を率いるようになったか。
 それは・・・・
 お前が始めたからだ」
 白虎の襟を片手でつかんで、身体ごと持ち上げる。
「そして・・・俺たちと対立した・・・
 そのお前を守るために立ち上がったんだ。
 どうみてもお前に分はなかった・・・・
 恐怖だけで支配する狂犬・・・・
 仲間も俺たちに擦り寄った・・・
 しかし・・・・
 お前の兄貴がすべてを変えたんだ・・・
 お前は変ってねえよ。
 なにひとつな・・・」
「兄貴と比べるな!
 子供の時からずっと兄のことばかり・・・」
 白虎の声が涙ぐむ。
「甘ったれるな!」
 青龍さんの重いパンチが飛ぶ。
 吊られたままの白虎は防ぐことができない。
 そのまま宙を飛んで転げる。

 もう立てずに大の字に寝ている白虎。

「何度でも叩きなおしてやるぜ。
 あいつとの約束だからな」
 青龍さんの言葉。

 白虎は何も言わない。
 でも、ボーッと宙を見る瞳は憑き物が落ちたような感じ・・・
 そして、その頬を一筋の涙が伝った。


エピローグ

 ミュージック・マグナム
 略してMM・・・
 一番視聴率の高い歌番組・・・・
 その時のランキング上位のアーティストが出演する。

 
 これも、ウィッチーズに入る前からあこがれて、
 毎週欠かさずに見ていた番組だ。
 そのステージにわたしがいる。
 っていっても、ウィッチーズ全員でなくて、
 わたしと愛莉さんと沙耶香さんだけ・・・

 ウィッチーズの歌ももちろん流れるけど、
 だいたいは生じゃなくて、
 PVが流されることとなっている。
 ここでのお仕事はトークと
 エンディング前の他のミュージシャンとのセッションってことになっている。

 オープニングにわたしたちのPVが流れる。
 今のWITCHESのテーマ曲・・・・

 LOVE★LOVE★LOVE WITCHES
 全速力でいくぜ
 LOVE★LOVE★LOVE WITCHES
 負けるはずなんかない
 だって
 わたしたちは
 LOVE★WITCHES

 まあ、ありげな感じの曲・・・
 PVもわたしたちが入ってから作り直したもの・・・
 ばっちりわたしも映っている・・・

 PVが終わるとADさんの合図で舞台の後ろから飛び出す・・・

「今週も一位はLOVE WITCHESです」
 拍手の中、愛莉さん、沙也香さんと中央へ・・・
「今日は沙也香さん、愛莉さんと人気急上昇、新メンバーの美月さんが初登場です」
 女性アナが紹介してくれる・・・
 中央でおじぎするわたし・・・・
 横断幕とか、わたしの名前を呼んでくれたりする・・・
 初登場なのを忘れてファンの人たちに手を振る・・・
 また、歓声があがる・・・

「すごい人気ですねっ」
 びっくりしたように男性アナが言う。
 愛莉さんも沙也香さんも歓声が上がっているけど、わたしのが一番大きい。
「今夜は新メンバー美月さんを大解剖しちゃいます。お楽しみに」
 女性アナが言うとCMになる。

 そのあといろいろな質問。
 好きな食べ物・・・
 休みの日、何してるとか・・・・
 うまく答えられたかな・・・
 時々、愛莉さんが突っ込みを入れてくれる・・・
 別にボケたわけじゃないけど・・・
 あっ・・・わたし・・・天然なのかなっ・・・
 まあ、初めての歌番は成功って感じかなっ・・・・
 次のアーティストに移る・・・

「それでは、本日の2組目・・・
 ランキング、初登場5位、
 DEEP BLUEのみなさんです。
 曲は『俺たちの街』」
 
 照明が消える・・・・・
 大人のロックって感じでギターのリフが始まる・・・・
 うん、最近聞いたことのあるメロディ・・・
 車で移動中のラジオから流れる曲・・・・
 愛莉さんから聞いたけど、
 この人たちテレビNGだったはずなんだけど・・・

 照明がいきなり明るくなる。

 えーっ・・・・

 中央で歌ってるの・・・・

 大和じゃん・・・・

 それだけじゃない

 ドラムは青龍さんだし・・・
 
 ベースは・・・・
 
 あの・・・・

 白虎さん・・・・

 すごい無表情に演奏している・・・・

 ギターの人は知らないけど、
 短い金髪で、かなりのイケメン・・・
 
 わたしたちは番組であるのも忘れて、彼らの演奏を眺めていた・・・

 TO BE CONTINUE 『第2部 魔獣学園の七不思議』


この本の内容は以上です。


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