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23 ダイヤモンドボディ

「あとはあんただけねっ」
 玄武という大男を美那子さんが指差す。

「たよりにならねえな」
 大男は美那子さんを睨む。

「よく闘ったほうだよ。
 私たちを相手にしてさ」
 美那子さんがバスケット光弾をドリブルする。

 でも、この男、どんな技を使うの?
 いままでの奴のリーダーなんだから、
 たぶんすごい技があるはず・・・
 
 美那子さんが走り出す。
 トリッキーな動き・・・

 男はそれを目で追う・・・・
 
 美那子さんはパスを出すように光弾をぶつける。
 ゴムがついているかのようにボールは美那子さんの胸元に戻る。

 普通ならこれを喰らっただけで終わりだ。

 でも、玄武は微動だにしない。

 もしかして・・・・
 こいつの武器ってタフなだけとか・・・・

「ふぅん、やっぱ効かないか・・・」
 美那子さんはそういうと精一杯ジャンプする。
 必殺技だ。

「アルティメット・ダンク!」
 上からバスケット光弾を大男に向けて叩きつける。
 
 たぶんこれで終わり。

 玄武はまばゆいオレンジの光に包まれる。
 
 わたしたちは爆風を避けるために下を向く。
 
 ・・・・・・

 顔を上げる・・・・

 美那子さんも大男を振り返る・・・・

 まさか・・・・

 そこには、無傷の男が立っている。

 そして、美那子さんの方へ走ってくる。

 信じられないという顔の美那子さん・・・・
 
 その肩を両手で掴む・・・・
 
 軽く美那子さんを持ち上げる。

「どんな攻撃もきかねえよ・・・
 俺のダイヤモンドボディにはな」

 これがこいつの能力なの・・・
 どんな攻撃も効かないっていうのが・・・

「さあ、どこからへし折ってやろうか?」
「やめろよっ!」
 美那子さんは足をばたばたさせるだけ・・・・
 美那子さんのバスケット光弾は、わたしのように念だけで操れない。

 やばいっ。

 わたしは前に出ようとする。

 それより先に麻衣さんと真奈美さんが前に出る。
 そして、2人ともダッシュで近づいて玄武に攻撃する。

 美那子さんはフォースを纏った木刀・・・・
 真奈美さんは首に短刀を突き立てる・・・・

 でも、大男は微動だにしない。

「効かねえよ。
 俺の身体にはな!」
 美那子さんの肩を持つ手に力を入れる。
「ぐぅぅぅ・・・・」
 美那子さんのうめき声・・・・

 そういえば、わたしの黒い玉なら・・・・

 わたしはロッドを振る・・・・

 7色の玉と黒い玉・・・・
 
「レインボーイリュージョン!」

 一気に大男に向けて叩き込む。
 もちろん、美那子さんを避けて・・・・

 でもすべて弾き返される・・・・
 黒い玉も玄武の身体に傷ひとつつけられない・・・・

 麻衣さんと真奈美さんは何度も攻撃する・・・・
 でもすべて無駄っ。
 
 美那子さんが引きちぎられちゃうよ・・・・
 わたしも、また光弾を当ててみる・・・・
 顔中心に、目を貫いたらとか考えて・・・・
 でも、男にはわたしの攻撃は通じない・・・・


24 大和と青龍

 いきなりわたしの肩を掴む大きな手・・・・

 だれっ???

 わたしは振り向く・・・・

「どきなっ。
 これは俺たちの問題だ!」

 振り返ると・・・
 大和ともう一人の男が立っている。

 金髪のリーゼントに濃いサングラス・・・
 黒の革ジャン・・・・
 昔の不良の格好・・・・

「そうだろう?
 玄武よ」
 リーゼントの男が玄武に対峙する。

「青龍。
 じゃまをしにきたのか?」
 玄武は美那子さんを放り投げる。

「いや、総長が帰ってきた。
 それを伝えにな。
 これで闘う理由がなくなっただろう」
 
「総長だと・・・・
 もしかして、
 その後ろの奴か?」
 玄武が吼える。

「そうだ」
 青龍という男の口数は少ない。
 でも、わたしたちが動けなくなるような迫力がある。
 
「じゃあ、そいつを倒せば俺が総長と言うわけだな」
 血走った目で笑う。

「その前に俺が倒せるのか?」
 青龍という男が玄武の手前に立つ。
 大きな人、玄武も大きいけど頭ひとつ抜けている。
 でも、身体は玄武と違ってスリムだけど・・・・

「怖くねえよ。
 視力を失った負け犬なんかな。
 知ってるぜ。
 北から来たやつに秒殺されたってな。
 いきがるんじゃねえよ」
「試してみるか」
 一触即発の状況。
 もう私たちは見ているだけ・・・・・

「青龍・・・
 いいよ・・・」
 大和が後ろから声をかける。

「久しぶりに見せてやるよ。
 この雑魚に格の違いってやつをね」
 ポケットに手をつっこんだまま。
 余裕の表情の大和。

 こいつわかってんの?
 美那子さんと麻衣さんでもかなわなかったんだよ。

「さあ、やろうか」
 ポケットから手をだして構える。
 ボクシングのポーズ。
「玄武、知らねえぞ」
 青龍は玄武にそう言って道を譲る。

「どっからでもこい!」
 挑発するように両手をだらりと下げる玄武。
 ガードしなくても効かないって自信。

 大和がゆっくりと前に出る。

 そのまま、パンチを2、3発繰り出す。
 胡桃と違って重そうなパンチ。
 玄武の顔、胸、ボディにヒットする。

「効かねえって言ってんだろ!」
 ニタリと微笑む玄武。

「いいのかよ。
 そんなに受けて・・・」
 あきれたように周りを回りながらゆっくりとパンチを当てていく大和。

「だから、どんな攻撃も???」
 なぜかよろける玄武・・・・
 どうしたの?

「硬いのは、表面だけだろ?
 やばいぜ。
 このまま衝撃を受け続けたら・・・」
 哀れむような目で玄武を見る。

「中身はグチャグチャにシェイクされちゃうぜ」
 大和の目に狂気が浮かぶ。
 そして、玄武の目に怯え・・・・

「じゃあ、一気にいくぜっ♪」
 大和がラッシュをかける。
 無数のパンチを繰り出す。

「や、やめてくれ・・・
 悪かった・・・・
 負けを認める!」

 でも、大和はパンチを止めない・・・
 何度も何度もパンチを繰り出す。
 
 玄武が血を吐く・・・
 それでもやめない・・・・
 
 もう、やめて・・・・
 勝負ついてるよ・・・・
 こんなの大和らしくないよ・・・

「やめてっ」
 わたしは大和の後ろから抱きつく・・・・
 振り返る大和・・・・
 前にあったときの目に戻っている・・・・

「美月・・・・」
 わたしの名前を呼ぶ。

「うん、もういいよね?」
 わたしは潤んだ目で大和を見つめる。

「ああ・・・・」
 大和はうなづいて優しい目でわたしを見下ろした。
 


25 魔獣ビル21階

 満身創痍のわたしたち・・・・
 ウィザードの力はかなりの精神力を使う・・・
 
 みんな、もう闘える状態じゃない。

 でも、敵のリーダーは大和がやっつけてくれたし、
 まあ、ハッピーエンドかなっ。

「じゃあ、俺たちはこの上に用事があるから」
 大和と青龍は21階につながる階段の方へ歩き出す。

「わたしも行くわ」
 後に沙耶香さんが続く。
 もしかして、この先に影のボスとかが待ってるの・・・・
 ゲームでも、表のボスを倒したら・・・
 みたいに・・・・
 でも、もうみんな助け出したんだからいいじゃん。

 沙耶香さんはわたしの手を取る。
「えっ???」
「美月も行くよねっ」

 でも、周りを見回しても戦えるのはわたししかいない。

 唯一戦ってない沙織さんはヒーリングでみんなを治してるとこだし・・・・

 沙耶香さんに言われると拒否なんてできるわけがない・・・

「はい・・・」
 そう、答えて後に続く。

 階段を上がると、豪華な部屋・・・・

 その中に一人の白いスーツの男の人・・・・

「おわりましたか?」
 眼鏡がキラって光る。

「白虎・・・・」
 青龍が呻く・

「たぶん、あなたが動くと思っていましたよ。
 朱雀と玄武は全滅ですね。
 あの人たちに彼女たちを潰せるとは思っていませんよ。
 よくて相打ち・・・・
 もしくは返り討ちですよね
 ククッ・・・・」

「とにかく、ゲームは終わったんだよ。
 総長が帰ってきたんだからな」

「いえ、まだですよ。
 あなたがた全員を倒せばね。
 総長は想定外でしたが、
 別に大きな問題ではないでしょう」

「兄貴の後ろで震えてたガキがいきがるんじゃねえよ」

「ええ、でも白虎兄弟の名前はわたしの力によるものなんですよ。
 それに、もうあの頃のわたしではありません
 それと・・・・」

 もう、飛び出しそうな大和。
 でも、沙耶香さんが大和を抑える。

「それにですね。
 ここは魔獣ビル21階ですよ。
 この意味わかりますよね」

「魔界の入り口って言いたいんだろ」

「ええ、地上のもので20階より上に入ったものはいないということです。
 一説では魔界に通じているともいわれていますが・・・・
 とにかく、計り知れない能力者がいることはわかりますよね。
 たぶん、あなたたちが束になってもかなわないくらい」

 白虎の後ろにいつのまにか3人のフードをかぶった影。
 
「そいつらと手を組んだってわけか?」

「そう、この街はわたしが支配する。
 そして、彼らにわたしの得たものを半分進呈する。
 彼らも地上とのパイプができるわけです。
 合理的でしょう?」
 悪魔のような微笑を浮かべる。

「気にいらねえな」
 大和が前に出る。
「おまえの兄貴が聞いたらどうすんだろうな」

「黙れっ!
 兄の話はやめろ!」
 取り乱す白虎。

「兄貴は向こうに残ったんだよ。
 この街は弟がいれば大丈夫だって言ってな」

「嘘だっ!」
 頭を抱える白虎。

「今なら間に合うよな。
 こんな奴らに力を借りたらどうなるかわかったものじゃない」
 フードをかぶった3人・・・・
 その真ん中の奴の前に大和が出る。
 いきなりパンチを叩き込む。
 でも、ふわりと飛ぶように避けるフード。
 まるで、フードだけで本体がないような感じだ。
 また、少し後ろに舞い降りる。

 その横の大きいフードが脱ぎ捨てられる。
 さっきの玄武っていう男より、一回り大きい感じ。
 両手に剣を持っている。
 刃の太い剣。
 まるで、アラビアンナイトに出てきそうな。
 でも、その大きな剣も男が持つと包丁くらいにしか見えない。

 隣の細い影もフードを脱ぎ捨てる・・・・
 こんどはチャイナドレスの女の人・・・・
 扇を持って、涼しい眼をしている。

 なんかヤバゲな雰囲気・・・・

 さっきまでの敵でも大変だったのに・・・
 それ以上のオーラを持っている。

 でも、やるしかない。

 わたしもWITCHESなんだから、
 わたしはチャイナドレスの前に出て、その女を睨みつけた。


26 芭蕉扇

「なかなかいい目してるわね・・・」
 女が少し微笑んでわたしを見る。

 わたしは無言で構える。

 わたしがロッドを振ると、
 その軌跡に7つの玉が浮かび上がる。

「わたしは羅刹女・・・・
 あなたは?」

「海崎美月!」
 はき捨てるように言う。

「そう・・・・
 そう言う目を見ると潰したくなるの。
 すぐに変わるわ・・・・
 助けを請う、哀れな目にね・・・」

 ぞっとするような微笑・・・・
 獲物をもてあそぶ猫のような・・・・

 とりあえず、レインボーシュート・・・

 7つの玉を羅刹女に向けて放つ!


 羅刹女は扇をこっちに向けて・・・

 扇ぐ・・・・


 すごい風がわたしと光弾を襲う・・・

 台風・・・・

 もっとすごい・・・

 わたしが浮き上がるくらい・・・

 1回軽くあおいだだけなのに、、、、

 壁に叩きつけられる・・・・

 光の玉たちも一緒に・・・・

「無駄だよ。
 わたしの宝具にそんなの効かないよ」
 
 やばいっ。
 そういえば、研修所で習ったけど、
 世界には108の宝具って言われる武器があると言われていて・・・
 そのひとつが愛莉さんの持ってる「魔王の槌」・・・・
 そして・・・
 その宝具は誰にでも扱えるものではなくて、
 持ち主を選ぶらしい・・・・

 こいつ・・・・
 その一つの使い手なの?

「レインボーイリュージョン!」
 わたしは気を取り直して、再び必殺技を出す。
 そう、これしかないんだ・・・
 わたしの周りを回り始める光弾・・・

「無意味っ!」
 扇を一扇ぎする羅刹女・・・
 わたしの光弾は壁に叩きつけられる・・・・

 絶望的・・・・
 まるで歯が立たない・・・

 じゃあ、トールは?
 わたしは黄色い玉に意識を集中する・・・・

「僕じゃないよ。
 上を見て・・・・」

 心の中に木霊する声・・・・

 わたしは上を見上げる・・・・

 そこには緑の玉が浮かんでいる・・・
 さっきより大きくなって・・・・

「トールの他に何かあるの?」

「試してみて・・・・」

「どうやるの???」

「風神シルフィードを解放するんだ・・」

「やってみる」

 わたしは緑の玉に意識を集中する。
 トールを解放したときみたいに・・・・

「風神、シルフィードを解放する!」

 心の中で言う。
 届いて・・・
 風神さんへ・・・
 そういう思いで・・・・・

 上を見ると緑の玉がはじける・・・・
 少年の形になる・・・

「やあ・・」
 少年はその場に浮いたまま、わたしに微笑みかける。
 わたしも彼を見上げて微笑んだ・・・・


27 風神シルフィード

 緑の服の少年・・・・
 わたしより少し年下・・・
 中学生くらいの子・・・
 まるで、映画で見たピーターパンのような・・・
 空にさかさまに浮かんでわたしの顔を覗き込む。

「風神シルフィード???」

「うん、シルフでいいよ」
 あどけない微笑みを浮かべる。
 あんま・・・・強そうじゃ・・・ない・・・
 でも、トールもそうだし・・・・
 たぶん、すごい力を持ってるんだ・・・

「なに?そいつ」
 羅刹女がシルフに気づく。

「あっ、俺・・・シルフだよ」
 羅刹女のまわりを飛び回る・・・・
 まるで、風のような動き・・・・
 くるくるとまわりながら飛ぶ・・・

 羅刹女はいらいらしたように
 芭蕉扇で扇ぐ・・・
 シルフの飛び方・・・・
 まるで、からかわれてるように思っちゃうよ・・・
 絶対逆効果っ・・・・

 シルフは全然そんなこと考えてない・・・
 風に乗り、さっきより舞いかたが激しくなる・・・・

「おっもしれえ・・・ハハハハ・・・」
 わたしたちはもう壁に張り付いていることしかできない・・・・
 その壁さえしなるような風圧なのに・・・・

「ねぇ・・・もっと扇いでよ・・・」
 羅刹女の近くに行くとあおるようなことを言う・・・
 ばかっ・・・これ以上やられたら・・・
 わたしたちがふっとばされちゃうよ・・・・

「吹き飛ばしてやる!」
 怒り心頭の羅刹女・・・・
 大きく扇で扇ごうとする・・・

 やばいよっ・・・・

 その正面にシルフが舞い降りる・・・・
 
「ねぇ・・・風はね・・・友達だよっ・・・」
 シルフは両手を開いて重ねる・・・

「吹き飛べぇぇ!!!!」
 羅刹女はかすれるくらいの声で叫ぶ・・・・
 大きく芭蕉扇を振る・・・

 でも、風は来ない・・・
 シルフの手のひらに吸い込まれるみたいに消えていく・・・

「ばかなっ。
 これは宝具だよ・・・・」
 何度も何度も扇ぐ羅刹女・・・
 でも、結果は同じ・・・・

「風は操るものじゃないよ。」
 シルフは羅刹女に手のひらをかざす・・・

「じゃあ、そろそろ返すねっ・・・」
 シルフの手のひらから、風が吹き出す・・・・
 それも、集中的に羅刹女を狙って・・・・

「きゃぁぁぁ」
 羅刹女の悲鳴・・・
 一瞬で壁まで吹き飛ばされて激突する・・・・

「それじゃあ、風使いになんてなれないね」
 シルフは笑って、また空に舞い上がった・・・・



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