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まえがき


はじめまして☆(*゜▽゜)ノ
PYON☆ と申します。

バトルアイドル小説「LOVE☆WITCHES」のはじまりです。

基本 ブログにて連載していって、
たまったらここで単行本にしていきます。

ブログはこちらです。

壮大なストーリーにしていきたいと思いますので、
応援よろしくです。(*^-^)


****この小説の注意点**** 
この小説についての注意事項です。

1.この小説については著作権フリーとします。改変・転載・配布は自由です。

2.この小説の世界観・キャラクターについても著作権フリーです。ご自由に利用していただいてかまいません。


って感じで、えらそうなこと書きました。


わたしが考えていることは

この世界を広げていきたいな・・・ってことです。

たとえば、わたしはいまのところ美月の視点から書いているんですけど、

胡桃の視点から書く人がいてもいいかなって思います。


目指してるのは『参加型ライブノベル』です。

もし、参加していただける方がいれば

このブログに掲載してもいいし、

自分のブログに掲載してリンクを張ってもいいし、

その点はできる限りの協力を致します。

また、参加される方は著作権を放棄する必要はありません。

でも、あとの人が書きやすいようにキャラクター・世界観についてはフリーでお願いします。


なんか・・・みんなで協力したら、すごいものができると思います。

ハリーポッター以上のものができるかも・・・・

また、その中からプロの作家さんが生まれたりして・・・・

夢が尽きません・・・・


わたしみたいなツイッター小説でいいから、一度参加してみてください。

絶対に楽しいと思うよっ。

よろしくお願いします。


                PYON(pyon228@gmail.com)


01

01
「そろそろ行くよっ」
 安城さんが言う。
「はーい」
 みんながいっせいに返事をする。
 さっきまであわただしいだけだった舞台の袖に緊張が走る。
 メイクも衣装も完璧。
 胸が高鳴る。
「いつもどおりやれば大丈夫っ!」
 胡桃が大きな声を出す。でも、いつもより顔がこわばってるよ。やっぱ胡桃でも緊張してるんだ。そう思うと、少し気が楽になる。
「うん」
 わたしは笑顔で答える。

 音楽が止まり・・・・
 静まりかえる舞台・・・・
 観客席も水を打ったように・・・

『それでは、新メンバーを紹介します』
 場内にアナウンスが流れる。
 もう、いくっきゃないっ。
「がんばってねっ」
 安城さんがわたしの背中をポンと叩く。それを合図にわたしたちは眩しい光の中に駆け出した。




 いきなり舞台中央に魔獣のCGが浮かび上がる。
 そう、最新の映像技術。ただの映像じゃなくて、実体だ。
 むずかしいことはわからないけど、素粒子とかをくっつけて本当の魔獣を作り出すらしい。
 わたしたちがシュミレーションに使っている機械だ。
 でも、本物と違って核を壊せば、消滅する。
 それに、本物ほど強くない。って言っても、実体だから攻撃が当たれば怪我をするし、訓練を受けたわたしたちじゃないと太刀打ちできない。
 よい子はまねをしないでねって感じかな。

 まず、胡桃が行く。舞台の中央へ。
 ヒグマくらいの大きさの魔獣に対峙する。
 迷彩柄のショートパンツに黒のタンクトップ。
 ラフな格好がショートカットの彼女にマッチしている。
 でも、そこらへんに売ってる服ではない。
 最新の技術の生地。
 弾丸くらいなら貫通しないし、
 動きやすさと丈夫さを追求している。
 
 胡桃はボクサーのように顔の前で拳を構える。
 指先だけ出た赤のグローブ。
 そう、胡桃は格闘技の達人。
 そしてわたしと同じ光のフォースを持っている。

 魔獣がうなりながら右手を振り上げる。
 そのまま、胡桃の方へ振り下ろす。
 速い・・・。
 レベル5ってとこかな。
 でも、わたしたちはレベル7までやってるし、大丈夫だよっ。
 わたしの手にも汗がにじむ。
 魔獣のターゲットである胡桃が消える。
 ううん、すごいスピードで避けただけ。
 客席からは悲鳴が上がる。
 次々と繰り出される攻撃。
 でも、胡桃はアクロバットのように回転しながらかわす。
 その動きは会場のフアンたちの心をとらえる。会場にがんばれっの声援が起こり始める。
 
 胡桃もやられてばっかじゃない。
 時々、鋭いキックとかパンチを繰り出す。
 でも、身長2倍以上の熊型の魔獣には効かない。
 
 胡桃は余裕の表情でわたしたちを振り返る。
 安城さんがサインを出す。
 フィニッシュのサイン。
 それを確認するとまた魔獣に向き直り、ダッシュで懐に飛び込む。
 そのまま、パンチを繰り出す、それもものすごいスピードで。
 胡桃の必殺技。ライトニング・ラッシュだ。だんだん加速するパンチ。
 そのうち、胡桃の拳が青く光り始める。
 魔獣は何もできずに受けているだけ、胡桃以外の時間が止まったようにも見えるくらい。
 胡桃が最後に大きなパンチを放つ。フィニッシュだ。
 あの大きな魔獣が、投げ飛ばされたように吹っ飛ぶ。
 そのまま、ノイズとなって消える。CG特有の消え方だ。

 胡桃が両腕を高く上げると、黄色い大歓声が彼女を包む。
『ライトニング・ラッシュ。藤崎胡桃。』
 胡桃にスポットライトが当たり。
 左右の大画面に、胡桃とライトニング・ラッシュのロゴが映し出される。




 次にスポットライトは、優菜にうつる。
 礼儀正しくお辞儀をする優菜。
 5人の中では一番大人っぽい。
 その外見に引けをとらない優等生タイプ。
 この中ではおねえさん役って感じ。
 おっとりしてるけど、怒らせたら恐いと思う。
 長いストレートの髪を揺らして、中央にゆっくり歩いていく。
 わたしと同じ17歳とは思えない貫禄。
 そして、シュミレーターが作り出したのは、3つの顔を持つ大蛇。
 その大蛇の6個の目が赤く光る。

 魔獣って本当にいろいろな形態を持つ。
 このトレーニング用のCGも実際に確認されている魔獣を元に作成されている。
 人間型とか獣型、ロボットのような金属製の魔獣もいる。
 それぞれ、弱点が違うし、戦い方も違う。
 大蛇の弱点って目だったかな。
 口だったかな。
 でも、優菜には関係ない。
 たぶん、先輩たちを含めても最強に近いフォースを持っている。

 ある程度の距離で立ち止まる優菜。
 蛇はそれぞれの鎌首をもたげて、優菜をにらむ。
 優菜はそれを見上げて微笑むだけ。
 そのうち、1つが優菜めがけて飛び掛る。
 それを軽く手で払う。
 まるで、小さな子をいなすような、笑顔で。
 3つの顔がかわるがわる襲いかかる。
 でも、その笑顔は崩れない。
 客席も優菜の余裕がわかるのか、胡桃の時みたいな悲鳴は起きない。
 わたしや胡桃でも、たぶん分殺はできると思う。でも、優菜なら秒殺。
 それくらいの技を持っている。
 時々、ちらっとこっちを見る優菜。安城さんのサインを見てるんだ。
 安城さんが親指を立ててウインクする。

 そのとたん、優菜が手を前でかざす。
「フローズン!ワールド!」
 優菜の声をピンマイクが拾う。
 会場全体にエコーする優菜の声。
 その声が大歓声にかき消される。
 優菜の手のひらが青く光る。
 優菜に襲いかかる3つの首。
 その中のひとつに指先が触れる
 。そのとたん、大蛇の動きが停止する。青い光が触れたところから広がっていく。
 だんだん、尻尾の方へ進んでいく光
 。青いイルミネーションのように大蛇の形が浮かび上がる。
 すぐに尻尾の先まで光に包まれる。
 優菜が再び大蛇の顔に手を触れる。
 そこから、亀裂が走り大蛇はガラス細工のように砕け散る。
 そのまま、大蛇は塵となって消える。

 優菜は、観客席に向き直り再び礼をする。
 観客から割れんばかりの声援。
『フローズン・クィーン!氷室優菜!』
 左右の大画面に優菜のロゴが踊る。
 優菜は舞台の隅、胡桃のところまで歩いていって、また礼をする。
 リハーサルどおり。
 わたしもうまくできるかな。ドキドキする。

 次は、希美の番でその次がわたし。足が震えるよ。しっかりしろって自分に言い聞かす。

 次に希美が歩き出す。
  この子のことってあんまりしらないけど、確か13歳。
 最年少デビューだ。
 観客に媚びることなく、無表情で歩き出す。
 それをスポットライトが追いかける。
 ロリータファッション、紺のひらひらのスカート。
 140センチくらいの背丈。
 くるくる巻いた金色の髪。
 まるでフランス人形のよう。
 でも、背中には背丈以上もある大剣をくくりつけている。
 一度、持たせてもらったことあるけど、胡桃と二人でも持ち上げるのがやっと・・・って感じ。
 
 その前に巨人の形の巨大な岩石が現れる。
 わたしたちはゴーレムって呼んでるけど、硬くて厄介な練習台だ。
 腕を振り上げて雄たけびを上げる。
 でも、何事もないみたいに歩き続ける希美。
 そして腰のベルトを歩きながらはずす。
 背中の大剣の柄を掴む。
 大きな剣だけど、柄の部分はその小さな手にあわせて細く作ってある。
 
 いきなり、肩に担ぐような姿勢から剣を振り下ろす。
 他にも剣使いの人はいるけど、どの流派とも異質。
 斬るためというより、ただ破壊のための剣という感じだ。
 その気配を察してよけるゴーレム。
 その身体に似合わないスピード。
 舞台に大剣は叩きつけられる。
 地震のように舞台が揺れる。
 この舞台もわたしたちに合わせて頑丈に作られている。
 普通の舞台だったら、破壊されているだろう。

 「ちっ」希美の舌打ちが聞こえる。
 この子、おさなく見えるけど態度は悪い。
 ゴーレムが再び戦闘態勢に入る。
 今度は、太い腕を振り下ろす。
 希美はそれを見上げるだけ、でも怯えた感じはない。
 腕が希美の近くまで来たとき、希美は片手で刀を持ち上げる。
 金属と岩石がぶつかりあう音。
 砕かれたのはゴーレムの腕・・・・
 そのまま、刀を振りかぶって踏み込む希美・・・・
「ダイヤモンド・クラッシュ!」
 希美の幼い声をマイクが拾う・・・・
 振り下ろされる大剣・・・・
 剣に切られるとかそういう話ではない。
 破壊・・・そういう言葉がふさわしい。
 剣があたったところから粉々に砕けるゴーレム。
 そして、核を潰したのか。
 砕けたところから消えていく。

『ダイヤモンド・クラッシュ。大道寺希美』
 希美はアナウンスに答えるように、軽々と大剣を振回す。
 でも、笑顔も浮かべず無表情。
 媚びない子。
 その希美のアップが左右のスクリーンに映し出される。

 希美はゆっくりと舞台の端に進む。
 優菜の横に行くと剣を下ろす。

 つぎは私。
 ゆっくりと深呼吸をする。
 足震えてないかな。
 横目で安城さんを見ると、行け!の合図。

 わたしは舞台に向かって走り出す。

 目の前に現れる3人のゾンビ。
 ちょっと・・・難易度低いんじゃない?
 初心者向け魔獣って感じ。
 ゆっくりとぎこちない動きでわたしに近づいてくる。よーし。
 
 私は駆けながら、手を左右に開く・・・
 手のひらの軌跡に7つの光の玉が現れる。
 ちょうど野球のボールくらいの大きさ。
 赤、青、紫、緑、オレンジ、黄色、ピンク。
 わたしを取り囲むように浮いている光の玉たち。
 これがわたしの能力。
 光弾を打つ人ってわりと多いんだけど、だいたい一つしか出せない。
 わたしのは別。
 同時に7つの玉をつくることができる。
 そして、それを意のままに操る。
 これはわたしだけのオリジナルだ。
 でも、あんまり迫力がないのが玉に瑕かな。
 いちばんメルヘンチックかも。
 衣装もわたしだけ、アイドルが着るような衣装。
 ピンクのフリルのミニスカートにノースリーブのドレス。
 靴も、白のサンダルだし。
 戦闘に一番向かない格好。
 でも、見た目と違って技の威力はそこそこだと思う。
 ゾンビたちは我先にって争うようにわたしに向かってくる。
 腕を前に突き出して牙を剥いて・・・・。
 ミイラのように干からびた顔。
 白くにごった目。

 一番先にたどり着いた奴がわたしを掴もうとする。
 後ろに飛んで避ける。
 それを合図に次々とゾンビたちは襲い掛かってくる。
 でも、最小の動作で避けていく。
 そのまま彼らをすりぬけるわたし。
 そう、たぶん観客にはすり抜けたって見えるんじゃないかな。
 こう見えても、身体能力は胡桃の次にあるって言われてる。
 ゾンビたちの攻撃なんて、スローモーションにしか見えない。
 わたしが振り返ると、少し遅れてこっちを振り返る奴ら。
 今度は、さっきより速いスピードでこっちに向かってくる。
 わたしの周りの光の玉がわたしを中心に回転する。
「レインボーイリュージョン!!」
 わたしがゾンビたちを指さすと、いっせいに光の玉がその方向へ飛び出す。
 光の玉の残像が刃となってゾンビたちを切り裂く。
 塵となって消滅するゾンビ。光の玉はわたしの方に戻ってくる。
 それを次々にキャッチすると手のひらに消える。
 会場が拍手と歓声に包まれる。
 スクリーンにわたしの横顔。
 打ち合わせどおりにカメラ目線でポーズを決める。
『レインボー・マジシャン。海崎美月。』
 カメラに向かってウインク。
 そして舞台の端に歩いて行って礼。
 完璧っ。
 リハーサルどおりっ。

 スポットライトが移動する。
 その光の中に少女が立っている。
 ごく普通の女の子。
 水色のワンピースに白いソックス。
 鞍馬栞って子。
 希美より1つ上だったと思う。
 メンバーの低年齢化が目立つ。
 最初はわたしくらいが一番年下だったのに。
 でも、この子は希美みたいに無愛想じゃないし、わたしたちにすごいなついてくれる。
 みんなの妹って感じかなっ。
 ちょっと緊張気味の栞に心の中でがんばれって声をかける。

 でも、この子の技も半端じゃない。
 わたしたちのほとんどは光の力を纏ってるんだけど、メンバーの中にはそれを持ってない子もいる。
 希美みたいに剣の達人だったり、武道の達人だったり。
 栞も光の力を持っていない。古来からの武術を使う。
 それは不思議な力なのだ。

 舞台の中央に巨大な爬虫類。
 5メートルくらい。
 手が短く頭が大きい直立型。
 そう、ティラノザウルス。
 大きな牙をむき出して雄たけびを上げる。
 こいつは難易度S。
 動きも素早く、攻撃力ありすぎ。
 そしてその前に立ってるのが、どこから見ても普通の小学生。
 観客から悲鳴が上がる。
 惨劇必死ってシチュエーションに。
 
 でも、栞はおちついている。
 恐竜に向かって微笑む。
 よだれまみれの大きな口を開けて栞につっこむティラノ。
 栞は軽くジャンプして、その頭の上に乗る。
 まるで、体重がないみたいな軽さで・・・
 そういえば、栞の訓練で相手の刀の刃の上に乗る栞をみたことがある。古武道の体術らしい。
 頭の上に乗られた恐竜は必死で頭を振る。
 そう、手が短い恐竜は頭の上の栞を振り払うことができない。
 大きな唸り声を上げるだけ。
「ドッペルゲンガー!!」
 栞が恐竜の頭の上で宙を指差す。
 そこに鏡があるかのように恐竜と同じ姿が現れる。
 どんな力かわからないけど、幻術っていうらしい。
 新たな敵を得た恐竜は自分と同じ姿をしたものに突っ込む。
 それを迎え撃つ恐竜。
 幻とは思えない・・・
 その体重を受け止めるにだから。
 栞はそのすきにふわりと舞い上がって、地面に降りる。
 まるで、無重力空間に遊ぶように軽やかに。
 恐竜たちは組あったまま、一歩も引かない。
 そして、そのまま、塵となって消えてしまう。

「ファントム・マリオネット!鞍馬栞!」
 場内アナウンスに静まり返っていた客席に拍手がパラパラと聞こえる。
 そう、栞の技はみんなを夢の中に引き込んでしまう。
 拍手は場内全体を包み込む大きな拍手になる。
 その中を悠然と進む栞。
 そのままわたしの横に来て客席に礼をする。

 その時、ステージに明るい照明がつき、
 場内には音楽が流れはじめる。
 新曲のイントロ。
 わたしたちは前に進んで、踊りながら練習した歌を歌い始めた。 
 


02

02
「おつかれさま~」
 舞台が終わって、楽屋に引き上げる。
 先輩たちは個室だけど、わたしたちは5人一緒。
 出迎えてくれる安城さんにみんなハイタッチを決める。
 もう、喉がカラカラ。
 初めて舞台で歌ったり、踊ったりして、
 緊張の後の脱力感と充実感を感じながら、椅子に身体を沈める。
 みんな思い思いの格好でくつろぐ。

「お疲れ~」

 わたしの頬に冷たいペットボトルが当たる。
 それを手で受け取ると、胡桃が微笑みながらわたしの横の椅子に腰をかける。

「うん、お疲れっ」

 笑顔を返す。
 まぁ、ちょっと間違えたけどまあまあの出来かな。
 水のペットボトルの蓋を回して開け、口をつける。
 おいしいっ。
 胡桃はダンス中心だけど、わたしはソロとかもあるし、歌要員かなっ。
 みんなと比べて戦闘力も劣るし・・・・。
 でも、まあ、あこがれの舞台に立てただけでも満足。

 そう、ずっと、ラブウィチーズのメンバーになることを夢見ていた。
 
 うぅん、それしか夢はなかったのかもれない。

 だって、不思議な力って、フォースって言うんだけど、そんなにいいものじゃない。
 わたしだって、普通に生まれたかった。
 フォースがあるってわかったとたん、化け物扱いされる。
 無理もない。
 切れたら、火の玉を出す子なんて・・
 マジで付き合えないって気持ちわかるから。

 だから、わたしたちはすごい孤独だった。

 その時、テレビ画面に現れたのが、卑弥香さんの率いるラブウィッチーズ・・・
 フォースを持った女の子のグループ・・・・
 ダンスして歌うだけでなく、魔獣退治もする・・・・
 たちまち、彼女たちはテレビ画面を埋め尽くした・・・
 歌番組、トーク番組、ドキュメンタリー・・・・
 出すCDやDVDは全部ミリオンセラー・・・・
 それに、魔獣がらみの事件が増えてきて、東都の治安も担うようになった。
 テレビに出るメンバーだけでなく、たくさんのフォースを持った女の子が集まって・・・
 
 それから、
 いままでみんなにシカトされていたわたしも逆にみんなの羨望の的になった。
 だって、フォースを持ってることがメンバーになる最低条件だから・・・
 
 そして、ラブウィッチーズのメンバーになることだけが、わたしの夢になった。

 わたしたちに他の夢なんてありえないし・・・
 第5期メンバーの美耶子さんの存在がわたしの夢に拍車をかけた。
 わたしと同じにチビで光弾使い・・・・
 卑弥香さんみたいな圧倒的なカリスマじゃないけど・・・
 なんにでも一生懸命で、前向きみたいな感じ・・・
 美耶子さんのDVDを何回もみて、歌もダンスも全部できるようになった・・・
 その夢が叶い、美耶子さんと同じステージに立つことができた。
 美耶子さんがリーダーのラブウィッチーズで・・・・

 あとは、美那子さんのグループに入れれば最高なんだけど・・・・
 ラブウィッチーズは12人の子で構成される。
 コンサートとかレコーディングとかの時はみんな集まるんだけど、
 基本的には3人一組のユニットとなって行動する。
 だから、ウィッチーズは4つのグループに分けられる。
 まあ、希美と栞はお子様グループだし・・・
 優菜はお色気組かなっ・・・・
 美那子さんのグループの可能性があるのは胡桃とわたし・・・・
 でも、あとひとつはバラエティ組・・・・・
 今日、どのグループか決まるんだ・・・・

 とか思ってるうちに。

 美那子さんが部屋に入ってくる・・・・
「お疲れ様です!」
 みんな立ちあがって挨拶をする。
 ここらへんは体育会系のわたしたち・・・・
 上下関係はしっかり教え込まれている・・・
「うん、お疲れっ・・・」
 言いながら美那子さんがこっちに近づいてくる・・・・
 やっぱ美那子さんチーム???
 やさしく微笑む美那子さんにわたしも微笑み返してしまう・・・・
 でも、視線はすぐにわたしから外れる・・・・
「胡桃っ、わたしのユニットだよ。」
 胡桃の緊張した顔が笑顔に変わる。
「えっ、わたし?」
「うん、がんばってねっ。わたしのチーム、案外きついよ。」
「がんばります!よろしくおねがいします。」
 体育会らしく最敬礼。
 よかったね。胡桃っ・・・

 次に入ってきたのは、睦美さん
 わたしより背が小さいけど、23歳。
「おーい!」
 両手を振って・・・・
 わたしたちを注目させる・・・・
 お子様向け番組とかビデオで絶大な人気を誇る・・・
 
 希美と栞の方を向く・・・
 小さいけどすごい迫力・・・・
 やっぱラブウィッチーズのメンバーって違う。
 わたしもあんな風になれるのかなっ。
 あの希美も圧倒されている感じ・・・
「いくよーぉ。栞、希美。」
 栞と希美は顔を見合わせる。
「うん、ついておいでっ」
 駆け足で部屋を出て行く。
 そのあとに2人はつづく。

 あとはわたしと、優菜。
 たぶん優菜はグラビアの仕事が多い麻衣さんのユニットかな?
 スタイルすごくいいし。
 
 そのうち、麻衣さんが入ってくる・・・・
 やっぱり、超華やかなオーラを纏っている。
 優菜に近寄ると2、3言かわして、一緒に出て行く・・・

 わたしだけぽつんって部屋に残った感じになる。

 乱暴にドアが開く・・・・
 立っているのは愛莉さん・・・・
 沙耶香さんのチームの・・・
 天然キャラでクイズ番組とかで活躍している。
 っていっても、クイズが得意っていうんじゃなくて、
 ほとんど正解できないおバカキャラとして。
 沙耶香さんも女王キャラで、
 トーク番組とかで、コメディアンの人たちをびびらせてる。
 研修生の中ではバラエティユニットって言って、いちばん人気のないユニット・・・
 沙耶香さんも厳しいっていうし、愛莉さん以外のメンバーは1期毎に変わっている・・・
 でも、メンバーの中では沙耶香さんが最強って言われている・・・
 あんまり、活躍しているビデオとかないけど・・・

「わたしたちチームだよ。よろしくねっ。」
 わたしの前に来て、手を差し出す・・・・
 テレビで見るより、ずっと美人だ・・・・
「海崎美月です。よろしくお願いします。」
 握手する・・・・
 手が震えそう・・・・
 やっぱ、現役メンバーって迫力が違う・・・
 テレビではボーッとした感じの人だけど・・・・
 それだけでは、ウィッチーズのメンバーにはなれない・・・・
「じゃあ、沙耶香さんのとこに行こうかっ。」
「はい・・・・」
 わたしがうなづくと、愛莉さんはわたしの手をとって歩き出す・・・
 わたしはそれに付き従った。


03

03
「海崎美月です。よろしくお願いします。」
 脚を組んで座ってる沙耶香さんの前で頭を下げる。
 正直言って、恐いくらいの迫力。
 何も言わずに、わたしをじっと見ているだけ。

 愛莉さんは心配そうにわたしと沙耶香さんを交互に見る。
 そういえば、研修の時に聞いた話。
 沙耶香さんに気に入られなかった子。
 3ヶ月で脱退したとか。
 戦いの時助けてもらえず、殉職したとか。
 大丈夫なのかな。

 絶対、ここって場違いな感じするし。

 そして、沙耶香さんが微笑む。
 それにつられてわたしも微笑む。
 ひきつってるけど。

「珍しいわね。普通の子がうちのユニットに来るなんて。」
「わたしも普通だよ。」
 愛莉さんがふくれる。
 一瞬で空気がかわったみたいになる。

「ごめん、ごめん。ここ、バラエティ組だから。」
 沙耶香さんが大きく笑う。
 もしかして思っていたのと違うのかも。
 わたしも、ちょっとリラックスして。
「わたし、沙耶香。一応、このユニットのリーダー。あなたのことは安城から聞いてるわ。よろしくね。」
 ゆっくりと手を差し出す。
 わたしはその手を握って、微笑んだ。
 
 そういえば、沙耶香さんってすごく歌が上手いんだった。
 とくにバラード・・・
 コンサートの中盤にソロで歌うのを何度も聞いたことがある。
 アルバムとかにも必ず一曲は入っている。
 基本的には卑弥香さんが作詞とか作曲とかしてるけど・・・
 沙耶香さんも何曲か書いている。
 そういう人と一緒に仕事できるんだって、
 すごく感動かも。

 それと愛莉さんも・・・・
 バカだとか言われてるけど、踊りとかすごいし・・・・
 すごい綺麗だし、
 あこがれてる友達もたくさんいた。

 だんだん気持ちが切り替わってくるわたし。
 現金なもんだって自分でも思う。

 そのとき、ふいに沙耶香さんの携帯が鳴る。
 題名は思い出せないけど、クラシックの曲。
 髪の毛をかきあげて、携帯を耳に当てる。
「はい・・・・」
 沙耶香さんの声・・・・
 愛利さんとわたしの携帯も鳴る。
 メール着信の音楽。
 もちろん、ラブウィッチーズの新曲。
 まだ、ファンの気分が抜けてないわたし。
 
 携帯を開くと、本部からのメール。
 指令内容が簡潔に書いてある。

『ユニット4出動要請
 夢の原公園
 Enamy 5
 魔獣使い 4
 ウイザート1』

 それからエナミーの詳細が添付してある。

 写真を見ると、
 オタクっっぽい人ばかり。
 その中でウィザードの人。
 ニュースとかで見たことある。
 たしか、雷人 桂木とか言って。
 なんか、ウィッチーズの大ファンで、とくに麻衣さんの。
 会うためにわざと事件を起こしたりしてるって。

「仕事、久しぶりですねっ」
 わたしは緊張してるのに、嬉しそうに言う愛莉先輩・・・
「そうだね。あんまりおよびがかからないよね」
「沙耶香さんがむちゃくちゃするからです」
「いや、愛莉も切れたら何するかわかんないし」
「危険人物ですねっ。わたしたち」

 そういえば、このユニットいちばんやばいって聞いたことある。
 あんま戦闘シーンのDVDとかない・・・・
 確か・・・・
 愛莉さんは大金槌が武器・・・
 沙耶香さんは黒い鞭・・・・
 
「やつら、この前、一般人まきこんでるし。殲滅オッケーだって」
「うんうん」
 嬉しそうに話す先輩たち・・・・
 殲滅って・・・・
「じゃあ、いこっか」
 わたしは立ち上がる先輩たちに付いて部屋を出た。


04

04
 エレベーターを降りると大きなワゴン車が止まっている。
 黒にネオン字でラブウィッチーズのロゴが大きく書かれた窓のないワゴン。
 それに乗り込む。
 中に入るとスタイリストとメイクの人・・・・
 てきぱきとわたしたちの衣装やメイクを調える・・・
 そう、わたしたちの戦いはライブと同じ。
 常にビデオで撮影されている。
 そして編集されてDVDとして発売される。

 敵は基本的には捕らえるだけだけど、場合によっては殺してしまうこともある。
 卑弥香さんが国家に認めさせたんだけど、基本的には正当防衛の延長ってことらしい。
 研修所で習ったんだけど、いまいちよくわからない。
 自分の身を守るためなら、相手を殺してしまっても大丈夫ってこと???
 そんな感じだ。

 作戦内容のビデオが流れる。
 基本的には愛莉さんとわたしが魔獣をひきつけて、
 沙耶香さんがウィザードを捕らえるって作戦。
 作戦担当の人がCGを使いながら説明する。
 特にわたしと愛莉さんは敵を公園から出さないことにも注意しなくてはならない。
 一般人に被害がおよばないようにする。
 これが第二の目的。
 それと、ウィザードを捕らえたら魔獣使いは無理に追いかけなくてよい。
 作戦内容を頭に叩き込む。

 その間、愛莉さんと沙耶香さんはずっとしゃべっている。
 画面なんて見ていないし、作戦なんてぜんぜん聞いていない感じ。
 大丈夫なの?この人たち。
 
 ワゴンが止まる。
 目的地に着いたみたい・・・

 スライドドアが開けられ、
 わたしたちは外に飛び出す・・・・

 騒然としている公園・・・・
 何人ものスタッフがあわただしく動き回っている・・・
 カメラの準備をする人・・・・
 敵を食い止めている人・・・・
 スタッフの中にも相当な実力者がいるらしいけど・・・・
 スタッフはみんな同じ制服とヘルメットで、表舞台に出ることはない・・・・

「ご苦労様、あとは任せて・・・」
 沙耶香さんが、敵の前にいるスタッフの肩をポンと叩く。
 そのあとに続く愛莉さん・・・・
 わたしも愛莉さんに並ぶようにして歩く・・・
 戦闘もショーのひとつだって教えられている・・・
 観客はスタッフの張ったロープの外にいる・・・

「我々は刃根麻衣を出すことを要求する。さもないと。ん」
 ハンドマイクでしゃべっている男。
 年齢は30くらい・・・・
 黒いフレームの眼鏡・・・・
 長髪に痩せた身体・・・・
 服もネルシャツに刃根麻衣のTシャツ・・・・
 頭に鉢巻まで巻いている・・・
 漫画に出てくるオタクの典型的なパターン・・・
 こいつがウィザードの桂木だ。

「バラエティチームか・・・わたしが会いたいのはおまえらじゃないんだ・・麻衣ちゃんをだせ。」
 沙耶香さんと愛莉さんを指さす。
「それから・・・あとのは・・・・」
 眼鏡のフレームを持ち上げながら、手帳をめくる・・・・
「新人の海崎美月ちゃんじゃないかぁ」
 眼鏡の奥から細い目でわたしを睨む・・・・
 正直・・・きもい・・・・
 ジロジロと品定めするようにわたしを見る・・・
 やめろっ・・・・
「ハハハ・・・デビュー戦というわけだな。わたしは桜沢美那子のユニットに入ると思っていたのだが・・・」
 わたしも入りたかったよ。
 それから、眼鏡は携帯をいじり始める。

「いいだろう。現在、ラブウィッチーズ新人人気ランキング1位、ラブウッチーズ人気ランキング5位・・・人気急上昇中の新人のデビューだ。思う存分戦ってやろう。」
 サイト見てたの?新人ランキング1位だったの?
 わたしたちの人気投票はネットでリアルタイムに行われている。
 嫌なやつだけど、人気ランキング1位は嬉しい。

「では、先生がた、むちゃくちゃにやっちゃってください。美月ちゃんは捕らえるだけね。」
 闇の中から4人の男が現れる。
 そして、その前に魔獣たち。
 そう、彼らの力だ。
 巨大なカマキリとムカデ・・・・
 ゴリラみたいな獣人。手には剣と楯を持っている。
 あとは西洋の鎧に身を包んだ武者・・・

「べつに俺たちはどうでもいいんだが、雇われた身だからな」
 ひとりの中年男が言う。
「じゃあ、仕事にかかりますか」
 腰を上げる禿げた男・・・・

「傭兵か・・・・」
 携帯にメールが入る。
 チラッと見ると、彼らのことが解析できたみたい・・・
 過去の事件とか細かく書いてあるけど、そんなの見てる暇ない・・・
 とりあえずランクだけ確認・・・
 ランクB・・・・
 ウィザードがランクBだったから・・・・
 魔獣使いとしては強い方だ・・・

「こいつら、強いよ。気を抜くなよ!」
 沙耶香さんが緊張気味に言う・・・・
 戦闘モード・・・・
「うん・・・・」
 沙耶香さんがカマキリに・・・
 ゴリラに愛莉さんが対峙する・・・・

 そしたら・・・・
 わたしは?
 必然的に中央の大ムカデの前に・・・・
 待ってよ・・・
 こんなの・・・・
 わたし・・・虫・・・めっちゃ苦手だし・・・・
 特に足の多いの・・・

 わさわさと動く足を見てるだけで、めまいがする。

 でも、カメラがわたしに構えられると、そんなことは言ってられない・・・
 練習したポーズを作る・・・・
 ロッドで宙に円を描く、7つの色とりどりの玉が現れる。
 上半身を起こして、攻撃の機会をうかがう大ムカデの前に対峙する。
 やっぱ脚が多いのダメェ・・・
 逃げ出したい気分を必死で抑える。

「レインボーシュート!」
 空間に浮いている玉がひとつづつムカデに向かって飛び出す。
 赤・青・黄・橙・紫・緑・ピンク
 そう、玉は弾丸となって敵を襲う。
 それもわたしの思ったとおりの弾道を描く。
 わたしの一番初歩的な技。
 とりあえず、相手を確かめる時にこれを使う。

 でも、小さな玉はすべて弾き飛ばされる。
 ムカデの身体は固い鎧みたいになっているみたい・・・
 なんのダメージも受けずにわたしを見下ろすムカデ・・・・

 そういえば、魔獣学の講義でやったことある。
 昆虫系の魔獣って基本的にAランクに位置づけられる。
 知能以外の部分、動きの早さ・パワーどれをとっても最高の部類に位置する。
 それだけじゃなくて、鈍いところも武器。
 脚の一本くらいとれても、戦闘意欲を失わないらしい。

 最初からこんなのに当たっちゃうなんて。
 それも、わたし虫が苦手だし。
 でも、わたしはラブウィッチーズの一員。
 逃げるわけにはいかない。

 ムカデがいきなり攻撃をしてくる。
 大きな身体を倒して、わたしを押しつぶしにくる。
 速い。
 でも、わたしもスピードには自信がある。
 横転して避ける。

 すぐに次の一撃・・・
 それもよけられる。
 この程度なら大丈夫。
 
 隣では先輩たちの戦いも始まっている。
 足をひっぱるわけにはいかない。
 ぎゅっと唇をかみ締める。

 わたしのまわりを回りだす玉・・・・
 そう必殺技しかない。
「レインボーイリュージョン!」
 そう、玉を刃に変えて切り刻む。
 多分、身体の節の部分は弱いはず。
 
 色とりどりの玉が楕円形の軌跡を残して、ムカデの節にぶつかる・・・・
 そう、シュミレーションではゴーレムでも切り裂いた刃・・・・

 これで終わり。
 わたしはポーズを決める。

 でも、すべての玉ははじき返される。

 どうして?

 一瞬、呆然とする。
 その後ろにムカデのしっぽがわたしを捉えようとしのびよっているのも知らずに。


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