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 「だから僕が、こんなにいっぱい落し物するなよって言っただけなんだよ。だって勿体ないやんか。」

そう言われたお姉ちゃんは、すぐに言い返したのだった。

 「だからさっきから何回言わせるの、私のじゃないって言ってるでしょ。」

さらに、すぐ横に居たもう一人のお姉ちゃんも加勢して言い始めた。

 「ねえ僕、もしこの上靴がこのお姉ちゃんのだったら、このお姉ちゃんは、今、裸足でしょ。裸足かどうか良く見てよ。」

女の子の声はどこか聞き覚えのある声であった。少し声の調子は違うようだが、確かに聞いたことのある声であった。由里は一体誰なのだろうと思い一生懸命に見ようとしたが、一番最後にやって来たということもあり、自分の前には大きな高学年の男の子や女の子が取り囲んでいて、中の様子を見ることは出来なかった。何とか見ることが出来ないものかと初めは背伸びをしていたが、それでも高学年の子たちの身長は高すぎて、とても見ることはできなかった。それではと、今度は逆に腰を屈めて下の方の僅かな隙間から覗こうとしたが、足元や腰の辺りを見るのが精一杯であった。

一年生の男の子は、お姉ちゃんの足元を見ながらもう半分泣いた状態になっていたが、それでも自分の方が正しいとばかりに、

 「だって僕、二十分休みに体育館の裏で、このお姉ちゃん達が真っ白な上靴を持っているのを見たもん。体育館の裏を通ってうさぎ小屋へ行こうとした時に、僕、見たもん。絶対このお姉ちゃんのだよ。」


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最終更新日 : 2012-02-08 05:02:05

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