目次
はじめに
嶋戸悠祐
自己紹介 嶋戸悠祐
六つの檻 1
六つの檻 2
六つの檻 3
六つの檻 4
六つの檻 5
六つの檻 6
六つの檻 7
六つの檻 8
六つの檻 9
齊藤想(サイトー)
自己紹介 齊藤 想(サイトー)
『オオカミと少年』  イソップ寓話 『嘘を付く子供』(『オオカミ少年』) より
『アリとキリギリス』  イソップ寓話『アリとキリギリス』より
『北風と太陽』  イソップ寓話『北風と太陽』より
カミツキレイニー
自己紹介 カミツキレイニー
【赤ずきん喫茶】
【うんこの話】
【冬オズ】
いづみみなみ
自己紹介 いづみみなみ
赤ずきんちゃん 1
赤ずきんちゃん 2
赤ずきんちゃん 3
赤ずきんちゃん 4
赤ずきんちゃん 5
まるたん
自己紹介 まるたん
八川克也
自己紹介 八川克也
ダンシング・リム 1
ダンシング・リム 2
ダンシング・リム 3
ダンシング・リム 4
ダンシング・リム 5
井上裕之
自己紹介 井上裕之
R大学民俗舞踊愛好部設立前史 1
R大学民俗舞踊愛好部設立前史 2
R大学民俗舞踊愛好部設立前史 3
R大学民俗舞踊愛好部設立前史 4
R大学民俗舞踊愛好部設立前史 5
R大学民俗舞踊愛好部設立前史 6
平渡敏
自己紹介 平渡敏
『アンデルセン童話による3つの変奏』
『北風と太陽』
『本』
一田和樹
自己紹介 一田和樹
昏倒少女 1
昏倒少女 2
昏倒少女 3

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赤ずきんちゃん 3

弾丸を発射した銃口が、細い煙を吐き出しているのをぼんやりと見た後、草むらに視線を落とす。

 


足元には、無残に転がる「狼」の死体があった。
これで―――「狼」を一匹仕留めた。
あと何匹の「狼」が森にいるのかわからない。
だけど、これで後から「おつかい」に来るはずの兄弟たちの危険を、少しでも取り除くことが出来ただろう。
そう思うと、小さな胸がほんの少しだけ高鳴った。
やった、やったわ。ちゃんと殺せた。
死体を漁って見つけた銃弾を、同じく「狼」から奪った銃に補充する。
最初の「狼」から武器を手に入れることが出来たのは幸先がいい。
銃は少しばかり重いけれど、油断させて至近距離で打てばなんとか当たることを、私は知っている。
バスケットに忍ばせていたナイフを使うより効率的だ。
ぶるり、と再び悪寒が私を襲う。
まだ終わっていない。
これからだ。
あと何匹いるかわからない「狼」を、一匹でも多く、私は殺さなければならない。
考えに考えて、「おつかい」に行く前に決めたことだ。
これが、私に出来る精一杯。
残された兄弟たちが、どうにか生き延びられますように。
私はこの命を最大限利用する。


赤ずきんちゃん 4

ひたすら歩いて数十分、やっと小さなレンガ造りの家が見えた。
扉を開ける。
中に入る。
ベットが、人間一人分膨らんでいて―――――そこに、干からびた死体があった。
当然だ。
こんな辺鄙なところでろくな食料もなしに、老婆が一人暮らしていける道理がない。わかっていたことだった。
「狼」に荒らされた形跡がないだけでも奇跡に近い。

 

こみあげてくる嗚咽をこらえながら、おばあちゃんに教えられたとおりに、生き残っていた鳩を籠から出す。
おばあちゃんが可愛がっていた鳩は、久しぶりでも私を覚えていてくれたようだった。
多めに餌をもらっていたのか――後々「おつかい」に出される私達兄弟のために、鳩を残しておいてくれたに違いない。
バスケットの奥から手紙を出す。
村の偉い大人達がしてきたことを、事細かに記した手紙。
村の偉い連中よりも、もっともっと偉い人がいる場所に、鳩は手紙を運んでいってくれるという。
偉い人達というのは、責任というものを果たさないと、死刑になることがあるのだ、とおばあちゃんは言っていた。
もし運がよければ、この国の偉い人が、村の窮地を救ってくれるかもしれない。
だからもしお前がここに「おつかい」にくることがあれば、こうして手紙を出すのだよと、おばあちゃんはそうも言った。
鳩の足に手紙をくくりつけて、空に離してやる。


そうして、私は泣きながらおばあちゃんの死体を家の裏に埋葬した。


赤ずきんちゃん 5

涙が枯れて、嗚咽が底をついたとき、私はしばらくはこの家を拠点に「狼」たちを狩ることに決めた。
食料は、バスケットの中にあるパンと葡萄だけだから、大切に食べなければいけない。
近くを流れる川で、魚を釣ることは出来るだろうか?
危険な森で小動物を捕まえて火で炙ることは?
やるしかない。
私は生きる。
搾取され、打ち捨てられて、ただ死んでいくだけの運命なのだとしても―――
せめて、命の灯火が消える前に、運命の喉元を噛み千切ってやる。

 

 

決意を新たにしていると、とんとん、と扉が叩かれた。
「お嬢さん、こんな場所までおつかいかい?
ここは危ないよ。
おじさんが家まで送っていってあげよう。
さあ、出ておいで」

ああ―――早速次の「狼」だ。
埋葬している様子を遠くから見ていたのだろうか?
一日で二匹も「狼」を狩れるなんて、なんてラッキーなのかしら!
「ありがとう、親切なおじさま。今行くわ」
そう言うと、私は銃を持ちゆっくりと扉を開けて―――

 

 

 


気付くと、白いはずの頭巾が、返り血で赤く染まっていた。

 

 

 


 


自己紹介 まるたん

 

初めまして、まるたんと申します。
普段はこんな感じの絵を描いております。
ハッカージャパン(白夜書房・刊)にて、この『オーブンレンジは振り向かない』の作画をしております。
原作は一田和樹先生。今回はその縁もあってお誘いいただきました。ありがとうございました。
下記HPにて3話まで無料で掲載しております。よろしければご覧ください。

 

『オーブンレンジは振り向かない』

 

 

久しぶりのリアルタッチな絵が描けました。
また機会があれば色々と描かせていただけたらと思います。

 

STUDIO M


自己紹介 八川克也

 闘えない虚弱プログラマー、八川克也(やつかわかつや)です。
 最近三人目が産まれ、てんてこ舞いの日々を送っております。
 前回、一田さんに誘われて「セラエノ」に参加させていただいたつながりで、そのまま今回の「セラエノ2」にも参加させていただきました。SFマガジンのリーダーズストーリィに投稿していた、ということからもわかるように、SF好きです。
 最近は「子育てSF」に興味があります。今作った言葉ですが。何かしらネタにならないかなと考える日々です。子供にあれだけ時間を割いているのにもったいない! と思うのです。
 それでは、楽しんでいただけたなら幸いです。

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