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第13話 追跡

「けっ、そんな“はったり”が通用するか!」
 2人の男たちのひとりが、ナイフを突き出して真太郎に襲いかかった。真太郎はすかさず体をかわし、ナイフを持った男の腕を思い切り蹴り上げた。ナイフが空中に飛ぶ。間髪いれず真太郎は体を回転させて、男の顔面に裏拳をジャストミートさせた。勢いのついた裏拳は男の鼻を潰した。「ふがぁ!」と呻きながら、男は両手で鼻を抑えてうずくまった。
「ほお、やるじゃねえか!」
 そう言い終わらぬうちに、もうひとりの男がナイフを振りかざして真太郎へ突進した。真太郎は男が振り下ろしたナイフを、すばやい後方ジャンプで避けると、近くにあったゴミバケツを持ち上げて男に思い切り投げつけた。
「ぶはっ!」
 男はゴミバケツを諸に顔面に受け、仰け反るように後ずさりした。すかさず真太郎は、ゴミまみれになった男の胸に飛び蹴りを入れた。男は吹っ飛び、後ろのブロック塀に激しく後頭部をぶつけて気絶してしまった。
 鼻を潰されうずくまっていた男が、呻きながらよろよろと立ち上がった。
「まだやる気か? 今度は鼻だけじゃすまさんぞ!」
 そうすごみながら、真太郎が再び拳法の構えをとると、鼻血の男は脱兎のごとく逃げてしまった。
「お、おい! 逃げるなっ!」
 逃げて行く男を呼び止めようと、後ろを向いたリーダーの男の背後に真太郎はすばやくに回りこみ、後ろ手を取って思い切り締め上げた。
「いててっ!」
「だれに頼まれた!」
「な、なんの事だ?」
 真太郎は男の手をさらに締め上げた。男は悲鳴をあげた。
「さっさと言わないと、腕をへし折るぞ!」
「ま、まってくれ! 言う、言う! シェパードだ」
「シェパード?」
「市会議員の――、この辺の再開発計画の責任者だ」
 真太郎は思い出した。
新聞のコルロタウン再開発記事の写真に写っていた男。その議員の名前がシェパードだったという事を。そして、カレンと親しくしていた常連客でもあった事を。
 しかし、真太郎には、俄には信じられなかった。
 カレンに気に入られるような男が、まさか地上げ屋を使って“希望の園”に放火させるとは思えなかったのだ。
「放火は、そのシェパードという議員の指示で間違いないんだな?」
「えっ?」
「聞こえなかったのか! 放火はシェパードの指示だったのかと訊いているんだ!」
「そ、――そうだ!」
 どうやらこの男は、自分の本音がすぐ顔に出る損な性格らしい。真太郎は男が一瞬見せた、とまどいの表情を見逃さなかった。明らかにウソをついている。
「きさま、この期におよんでまだウソをつく気か」
「しつけーな! ウソなんかついてねーって言ってんだろ!」
 慎太郎は男の腕を更に締め上げた。ゴキッと鈍い音がした。
「ぐわあーっ!」
 男の悲鳴が路地裏に響き渡る。
「キャアーッ!」

 男の悲鳴と入れ替わるように、若い女の悲鳴が響き渡った。

 真太郎が女の悲鳴の方を振り向くと、逃げ去ったと思っていた鼻を潰された男が、若い女を羽交い絞めにして立っていた。

 真太郎は呆然とした。その若い女はアンだったからだ。
「なぜついて来たんだ!」
「ご、ごめんなさい、だって――」
 鼻を潰されたの男はすごんだ。
「兄貴をはなしぇ! しゃもないと、この女の首をへしゅ折るぞ!」
 真太郎は締め上げていたリーダーの男の手を、ゆっくりと離した。男は左手をぶらりと下げ、呻きながら真太郎から離れると、ブロック塀に頭をぶつけて気絶している男の手からナイフを取り上げた。
「形勢逆転だな。ヘッヘッヘ――」
 リーダーの男は激痛で引き攣った笑いをしながら、右手に持ったナイフをぐっと握り締めた。
「(まずい――)」
 慎太郎は緊張した。
「ぶっ殺してやるっ!!」
 男がナイフを振りかざし、真太郎に襲いかかろうとしたその時、強烈な光が男の顔を照らしつけた。「うっ?」男はまぶしさに目を細め、動きを止めた。
「アンを放せ!」
 爆音を立てて疾走してきたバイクのヘッドライトの向こうから叫ぶが聞こえた。
 アンは聞き覚えのある声の主に呼びかけた。
「ブラッキー!」
 ブラッキーは、急ブレーキをかけたバイクから飛び降りると、片手に持ったチェーンをブンブントと振り回しながら、地上げ屋の男たちに近づいて行った。
「誰だてめえは? それ以上、近づくんじゃねえ!」
 リーダーの男は、アンを羽交い絞めにしている男の傍へ駆け寄り、一緒にゆっくりと路地の奥へ後ずさりして行った。
 真太郎とブラッキーも、男たちとの間に一定の距離を保ちながら、ゆっくりとついていった。

 両者は緊張しながら、路地の突き当たりにある駐車場まで進んだ。

 そして駐車場に着くと、地上げ屋の男たちは入口に停めてあった1台の赤い車に近づき、ドアを開けてアンを中に放り込み、素早く乗り込んだ。
「逃げんのかっ!」
 ブラッキーが叫ぶと、車はライトもつけずに急発進し、タイヤを軋ませながらながら真太郎とブラッキーめがけて突っ込んできた。素早く横へジャンプし、間一髪で身を交わす2人。
 車は路地裏から表通りへ向かって、猛スピードで走り去って行った。
「逃すか!」
 真太郎は追跡用に、駐車中の車を一台拝借しようとした。
「そんなやばい事しなくても、俺のがある」
 ブラッキーはそう言うと、来た道を走って戻って行った。
「(あいつ、俺が助けた族の頭(あたま)だったな。たぶん入院していたはずだが――)」
 爆音を轟かせたバイクが、真太郎の目の前で急停車した。
「乗れよ!」
「おまえ、たしか怪我してたんじゃ――」
「乗るのかよ! 乗らねーのかよ!」
 真太郎が慌てて後部座席に飛び乗ると、ブラッキーはバイクを急発進させた。
 2人を乗せたバイクは、大通りへ繋がる路地裏の抜け道を巧みに走り抜け、コルロタウンの大通りへと出て行った。
「すまなかったな!」

 ブラッキーは、疾走するバイクの風の音に負けないように、大声で真太郎に叫んだ。
「何が!」
 真太郎も大声で答えた。
「あんたをボコボコにしちゃってさ!」
「そんな事より、運転、大丈夫か!」
「心配すんな! 落っこちねーように、しっかり、つかまっとけよ!」
 そう言うと、ブラッキーはアクセルを回し急加速した。仰け反った真太郎は思わずブラッキーにしがみついた。
 バイクは大通りの渋滞の中を縫うように走って行く。真太郎はブラッキーに指示した。
「あいつらがわざわざ渋滞する道を選ぶはずがない! たぶん、高速へ向かっているはずだ!」
「何でそう思うんだ!」
「勘だ!」
「勘?」
「信じろ! 高速の入口へ向かって走れ!」
「わかった!」
 ブラッキーは真太郎の指示どおり、高速道路へ向かってバイクのハンドルをきった。
 大通りを抜け、高速道路のインターチェンジへ繋がる道に入ると、走行する車の台数が急に減ってきた。
「さすがだな! あんたの勘はあたりだよ」
 ブラッキーが叫んだ。
 2人を乗せたバイクの前方に、アンを乗せた赤い車が走っていた。


第14話 倉庫街

 真太郎はブラッキーに、再び指示を出した。
「気づかれないように、あいつらとの間に車をはさんで追ってくれ!」
「え? 尾行すんのかい!」
「ああ、考えがある」
 ブラッキーはバイクを減速させ、左横を走る車の後ろに回り込んだ。

 

 しばらくして、アンを乗せた赤い車はインターチェンジから高速に乗った。

 車はスピードをぐんぐんと上げ、次々と他の車を追い抜いて行った。バイクもそれに合わせてスピードを上げて行った。
「いくらスピード上げてもムダだぜ。死んでもくらいついてやる。探偵さん、しっかりしがみついてんだぞ!」
「俺が探偵だと、どこで知った」
「アンから聞いた!」
 ブラッキーはアクセルレバーを全開にした。うなりを上げてバイクが急加速する。
「お、おい、死ぬのだけは勘弁してくれ!」
 真太郎は悲鳴にも似た声で、ブラッキーに叫んだが、時速100kmを超えて飛んでくる風の音にかき消されてしまった。

 

 

 ――同じ頃。

 シェパードを乗せたタクシーが、ベイエリア(湾岸地区)沿いの産業道路を走っていた。

「“あの家”が火事――。ああ、なんていうことだ。最悪だ。皆は大丈夫だろうか――」

 ドベールは頭をかかえた。
「(誰かが私を陥れようとしている。一体誰なんだ? ドベールなのか? ――いや、違う。あいつは子供の頃からの親友、いや、兄弟だ。そんなことをするような男じゃない。でも――)」
 タクシーはベイエリアの倉庫街の入口に差し掛かった。シェパードは運転手にそこで降ろすように告げた。
「お客さん、あの人に似ているって言われませんか?」
「え、誰に?」
「ほら、あの再開発の中心になってる、シェパードとかいう議員に」
 運転手はシェパードから料金を受け取りながら言った。
「ああ、よくそっくりだと言われるよ。迷惑な話しだよ」
 シェパードは慌てて誤魔化した。
「でしょうねえ。まったく、あの議員といい、市長といい、金持ちの見方ばかりしやがって、あたしら貧乏人はやってられないですよ」
 車から降りたシェパードは、産業道路の闇の中へ消えてゆくタクシーに向かって吐き捨てるように言った。
「黙れ! やってられないのはこっちの方だ!」

 

 倉庫街の中に入ったシェパードは、街灯もろくにない暗い道を歩き続けた。

 遠くで船の霧笛が寂しげになった。潮の香りが強い。

 4、5分歩くと、かなり老朽化した2つの大きな倉庫の間に建っている、プレハブ2階建ての事務所を見つけた。既に時間は午前2時をまわっているというのに、事務所内の灯りはついたままだった。
 シェパードは事務所に歩み寄った。入口ドアの窓ガラスには、いかにも素人が書いたと思われるおぼつかない文字で“第一港湾サービス”と書かれてあった。

 シェパードは懐から手帳を取り出しメモを見ながら確認した。
「ここだな。ドベールが紹介してくれた、地上げ屋のボスがいるのは――」
 ドアをノックした。
しかし返事はない。ドアノブを回してみると鍵がかけられていた。
念のために2階を見上げ、様子をうかがってみたが、人の気配は感じられなかった。
「くそっ、いないのなら灯りくらい消しておけ!」
 シェパードは思い切りドアを蹴った。その音が人気のない深夜の倉庫街に響き渡った。
 いらつきながらネクタイをゆるめ、地面にしゃがみこんだシェパードは、懐からタバコを取り出して一服した。最初はせわしなく吐き出していた煙が、しばらくすると気分が落ち着いたのか、タバコの先からゆっくりと昇っていくだけになった。
「(落ち着け。冷静になれ――。もしドベールが私を陥れようとしているのなら、必ずどこかで動き始めるはずだ。意味もなく潜伏するはずもない。その時を待て)」
 そう思いながらゆっくりと立ち上がり、吸っていたタバコを地面に投げ捨てた。まだ火のついていたタバコの灰が、花火のように地面に飛び散った。
「(私だってバカじゃない。黙って罠にはまるものか!)」
 シェパードは、とりあえず朝まで張り込みをしようと、事務所の隣の倉庫前に詰んであったコンテナの裏へ隠れた。
「(ここなら気づかれないだろう)」

 警戒しながら辺りを見回すと、事務所の入口前に何かが落ちているのに気がついた。シェパードは何故かそれが気になり、歩み寄って拾い上げた。
「なんだ携帯電話か。誰かが落としたんだな」
 電源ボタンを押してみた。ディスプレイが明るく表示された。
「えっ?」
 ディスプレイに表示された着信履歴を見て、シェパードは我が目を疑った。それは、まぎれもなく自分からドベールにかけた着信履歴だったからだ。
「これは、ドベールの携帯だ。あいつはここに来ていたのか!」

 

 

 ――アンを乗せ疾走する赤い車は、スピードを徐々に緩め、“ベイエリア”という標識のある出口から高速を降りた。
 車を尾行していたブラッキーが真太郎に訊いた。
「このまま尾行したらばれるぞ。ベイエリアへ向かう産業道路は、夜に車なんか一台も走っちゃいねえからな」
「くわしいな」
「へへっ。まあ、昔よく暴走(はし)ってたからな。でも、もう俺は――」
 ブラッキーは何かを言いかけようとしたが、何故かそれを途中で止めてしまった。
「えっ、何て言った? 聞こえないぞ!」
「なんでもねえよ! で、どうすんだ、探偵さんよ」
「ヘッドライトを消せ」
「えっ?」
「ヘッドライトを消せと言ったんだ!」
「うへっ。ムチャさせるなあ。まあ、度胸試しで面白そうだけどな」
 ブラッキーと真太郎を乗せたバイクは、無灯火の状態で高速を降りた。

 

 赤い車はスピードを落としながら、街灯の少ない暗い産業道路へ入って行った。
 “ベイエリアまで3km”と書かれた標識が車のヘッドライトに浮かび上がった。
「ここからは一本道だ。終点は倉庫街だ」
 ブラッキーはそう言いながら、後真太郎の方を振り返った。真太郎は慌てた。
「前! 前っ!」
 ブラッキーが前へ振り返ると、前方から一台のタクシーが走ってきた。タクシーは無灯火のバイクに気づくのが遅れ、慌ててハンドルを左にきった。
「バカヤロー!」
 タクシーはバイクの二人を罵りながら走り去って行った。
「まさか、こんな時間に対向車が来るとは思わなかったぜ」
 ブラッキーは少し肝を冷やしたのか、その声が上ずっていた。
 
 しばらく尾行すると、赤い車は倉庫街の入口で停まった。
「手前で停めてくれ!」
 バイクは倉庫街の入口の約300mぐらい手前で停まった。

 真太郎はバイクから飛び降り、地上げ屋たちに気づかれないように、中腰の姿勢で入口へ向かって走った。
 地上げ屋の2人が、抵抗するアンを、車から無理やり引きずり出そうしているのが見えた。


第15話 アジト

「離してっ!」
 静まり返った深夜の倉庫街に、アンの叫び声が響き渡った。
「でけえ声を出しゅんじゃねー!」
 鼻をつぶされた男は、嫌がるアンの手を強引に引っ張り、逃げないように腕を後ろにねじ上げた。
「痛いっ!」
「兄貴、どうしゅましゅか? この娘」
 リーダーの男は、真太郎に脱臼させられた左の肩を抑えながら、苦痛と憎悪に満ちた顔で答えた。
「この娘はさっきの連中のダチだ。このまま帰したら、俺たちの居場所がばれてしまう」
「――しゅまつしますか?」
「え?」
「しゅまつ――」
「始末って言いてえのか?」
「あい――」
「まあ、まて。まだ使い道はありそうだ。とりあえず、あそこへ連れて行こう」
 リーダーの男は顎をふって、鼻をつぶされたの男に指示した。
 3人は倉庫街の闇の中へ消えていった。

 

「何してんだ? 早くあいつらを捕まえなくていいのか?」
 地上げ屋たちの動きを静観していた真太郎に、ブラッキーがイラつくように訊いた。
「うかつに動くとアンが危険だ」
「でも、タラタラしてたらアンを助け出せねーぞ!」
「どうやら、ここが奴らのアジトのようだ」
「え?」
「今回の地上げ騒動は、市会議員までぐるになった悪質なもののようだ。やつらを一網打尽にできるチャンスかもしれない」
「一網打尽のチャンス? んなもん、警察に任せればいいだろ。それともあんた、でけぇ手柄でもたてて、ヒーローにでも成りたいのかよ」
「ちがう!」

 真太郎の怒りのこもった声に、ブラッキーは驚いた。

「奴らが“希望の園”のお母さんや子供たちにしでかした、罪の重さを思い知らせたいだけだ。関係した奴ら全員、ひとりも漏らさず!」
「(“希望の園”――)」
 その言葉を聞いて、ブラッキーは昨夜の火事の事を思い出した。


 入院中だったブラッキーは、アンからの連絡で火事のことを知り、病院を抜け出してバイクで現場へ駆けつけた。そして、燃え上がる“希望の園”を見ながら泣き崩れた。

 子どもの頃の思い出が、たくさんつまった“家”。

 自分にとって、唯一の故郷(ふるさと)だった“家”。

 それが無残にも燃え尽きようとしていた。それも放火という卑劣な手段で。ブラッキーの悲しみは怒りへと変わり、放火犯を探すために酒場通り一体を躍起になってバイクで走り回っていた。そして、地上げ屋と闘っていた真太郎に遭遇したのだった。


 ブラッキーは真太郎の横顔を見た。その横顔は悲しみと怒りにあふれていた。まるで、自分が育った“家”が焼かれてしまったように。
「(このおっさん、ウソはついてない――)」
 ブラッキーは園長以外の“信じられる大人”に初めて会えたような気がした。


 真太郎は地上げ屋たちを追って歩みを早めた。ブラッキーも遅れまいと真太郎の後を追った。

 しばらく尾行すると、灯りのついたプレハブの事務所の前で、アンを引き連れた地上げ屋たちが立っているのが見えた。地上げ屋たちは警戒するかのように周りを2、3度見回した後、ドアを開けてアンを中へ連れ込んだ。
「あそこか。やつらのアジトは」
 真太郎がつぶやいた。
「アンを助けに行こうぜ!」
 勇んで行こうとするブラッキーを、真太郎が制した。
「おまえはここに残れ」
「なんでだよ!」
「おまえには危険過ぎる。俺がアジトへ潜入しアンを助ける」
「なんであんただけが行くんだよ! 俺にもアンを助ける資格はあるだろ」
「資格? いいか、あそこは人殺しなんか何とも思っていない、プロの悪党どもが潜んでるんだ。対立する族チームへの殴りこみとはわけが違う」
「な、なんだと! 俺を馬鹿にしてんのか!」
「なんか気に障ったことでも言ったか? 変だな。おまえはもう族とは、何の関係もなかったはずだが」
「え?」
「アンは必ず俺が助けだす。信じろ」
 真太郎はブラッキーに微笑むと、まるで忍者のような中腰の姿勢で、音もなく事務所の方へ走って行った。
「(あの、おっさん、なんで俺が族を辞めちまったことが分かったんだ? 俺の心の中が読めるのか?)」
 ブラッキーは不思議な気持ちで、闇の中に消えてゆく真太郎の後ろ姿を見送った。

 

 

 ――コンテナの裏に隠れていたシェパードは、人の気配に気づいた。
 注意しながらそっと覗いてみると、事務所の入口前に若い女を連れた2人の男が立っていた。
「(あいつらか? 地上げ屋どもは。しかし、あの若い女は何者だ。腕をねじ上げられているぞ。それに以前どこかで見たことがあるような――)」
 地上げ屋たちは、若い女を事務所の中へ連れ込んだ。
 シェパードは女のことを思い出そうとした。
「(そうだ! ドベールの養子の娘だ。たしか名前は――アン。いや、まて。落ち着け。こんな場所にドベールの娘がいるはずがないじゃないか。他人の空似というやつだろう)」
 そう考えながら、シェパードはさっき拾ったドベールの携帯電話を見た。
「(――でも、ドベールがここに来ているのなら、娘が来ていてもおかしくはない。まさか、娘までグルなのか? そんな馬鹿な)」
 疑心暗鬼に陥ったシェパードは、隠れていたコンテナの裏から出て事務所へ近づこうとした。しかし、また誰かが近づいて来る気配を感じて慌てて戻った。
 闇の中から現れた男は、まるで忍者のような足取りだった。
「(あいつ何やってんだ? 地上げ屋どもの仲間じゃないのか?)」
 その男は事務所の入口前で立ち止まり、辺りを見回した。事務所の窓からこぼれた光に照らされて、男の顔が浮かび上がった。
「(おや? あの男、どこかで見た事があるような。――思い出した。カレンの店に来ていた客だ。カレンがえらく気に入っていたな。しかし、なぜこんな所をうろついてるんだ?)」
 シェパードはコンテナの裏に隠れたまま、しばらくその男の様子を観ることにした。


第16話 潜入

 真太郎は事務所入口のドアに耳をあて、中の様子を伺った。

 中は物音一つしない。
「(変だな?)」
 真太郎は中が覗ける場所はないかと探した。すると入口からちょっと離れた窓ガラスの中のカーテンが、少し開いているのに気づいた。
「しめた」
 真太郎はそこから事務所の中を覗いてみた。

 中は狭いワンフロアで誰もおらず、入口から入ってすぐの場所に、安物っぽい応接セットが置いてあり、中央には古びた事務机が3つ並んでいた。どの机の上にも何も置かれておらず、ここで何らかの業務が行われているようには見えなかった。1番奥には2階へ続く階段があった。
 真太郎は窓から離れ、2階の窓を仰ぎ見た。
「(アンたちは2階にいるのか?)」
 真太郎は再び入口へ戻り、ドアノブを手に取って静かに回してみた。ドアには鍵がかかっていなかった。

 ゆっくりとドアを開け、忍び足で中に入って行く。窓から覗いた時には気づかなかったが、応接セットのテーブルの上には大きな灰皿が置いてあり、タバコの吸殻が小さな山を作っていた。
「(違った銘柄の吸殻が複数ある。やはり大勢の地上げ屋どもが、ここに出入りしているな)」
 真太郎は2階の方へ聞き耳をたてた。誰かが歩き回るような音は全くしなかった。
「(静かすぎる)」
 真太郎は奥にある階段まで進み、音を立てないようにゆっくりと昇り始めた。そして2階のフロアが見えかけたところで足を止め、気づかれないようにそっと首を伸ばし覗いてみた。
「(えっ、どういうことだ!)」
 真太郎は我が目を疑った。

 2階にいるはずのアンと2人の地上げ屋が、まるで神隠しにでもあったかのように、忽然と消えていたからだ。
「(そんなバカな。確かにアンたちはこの事務所の中に入ったはずだ)」
 真太郎は2階へ駆け上がり、ガランとした部屋の中を見回した。

 

 

 ――「(どうした? 地上げ屋どもに捕まったのか)」
 シェパードは事務所の中に入ったきり出てこない真太郎のことが、少し気になった。
“ドーン!”
 背後から、何かが壁にぶつかるような大きな音がした。
「(な、なんだ!)」
 驚いて音がした方へ近づくと、もう一度何かが壁にぶつかる音がした。
「(どうやら音は、倉庫の中からのようだ)」
 倉庫の壁に耳をあて中の様子を伺うと、中から複数の男たちの話し声が聞こえた。

「(誰なんだ?)」
 シェパードは倉庫の入口を探した。老朽化した倉庫の前にはコンテナがずらりと並べられ、それらが倉庫のシャッターや非常用の出入リ口を塞いでいた。まるで中への侵入を拒む城壁のように。
 一番端にあるコンテナまで進むと、その横に一台のワンボックスカーがまるで隠れるように駐車していた。
「(倉庫の中の連中が乗ってきた車か? ならば、一体何処から中へ入ったんだ?)」
 シェパードは音が聞こえた場所まで戻り、壁に耳をあてた。すると、今度は誰かの怒声が聞こえた。

「どういうつもりだ!」

 シェパードはその声を聞いてハッとした。
「(あれはドベールの声だ! この中にいるのか)」
 シェパードは耳に全神経を集中させた。

 

「悪いですね、ドベールさん。状況が変わったんですよ」
「変わった?」
「ええ、クライアントが変わりましてね。あなたも、あの議員さんも、もう必要なくなったんです」
「クライアントが変わった? 誰だ、そいつは!」
「それは言えません。いずれにしても、あなたは知りすぎたので消えてもらいます。タイミングのいいことに、部下があなたの娘さんを連れてきたようですから、親子仲良く――」
「娘? アンか! ど、どういう事だ! 何故娘を連れてきた!」
「さあね。後で部下にでも訊いてみてください」
「ま、待てっ! 娘は関係ない。頼む、娘だけは放してやってくれ!」

 

 シェパードは聞き捨てならない会話の内容に動揺した。
「(いったい何を話してるんだ。クライアントが変わった? ドベールも議員も必要ない? 議員って、もしかして俺のことか? 消えてもらう? 娘? やっぱりさっきの娘はアンだったのか)」

 

“ドカッ!”
「キャアーッ! 父さん!」


 ドベールが殴り倒される音と、アンの悲鳴が聞こえた。
「(まずい!)」
 ドベール親子の身を案じたシェパードは、ドベールを痛めつけている連中の気を引こうと、思わず倉庫の壁を何度も激しく叩いた。

 

「だれだっ?」
 倉庫の中からざわめきが聞こえた。

「おいっ、だれか外を見て来い!」
「おす!」


 走ってゆく複数の足音が聞こえた。身の危険を感じたシェパードは、その場から離れ、他の隠れ場所を探した。

 

 

 ――事務所の2階で途方にくれていた真太郎は、隣接する倉庫側にある窓の方から、駆け上がる複数の足音に気づいた。危険を感じて身構えると、突然、窓が開き、人相の悪い男が飛び出してきた。
「なんだあ? てめえ!」
 飛び出してきた男が、いきなり真太郎に殴りかかった。すかさず真太郎は体をかわし、男の腹に膝蹴りを入れ、襟首をつかんで事務所の階段まで持ってゆき、そのまま1階へ蹴り落とした。
「ずいぶん変な場所から出迎えてくれるじゃないか」

 そう言いながら真太郎は、次に窓から飛び出そうとした男の顔に、強烈なアッパーパンチをくらわせた。男は殴られた勢いで仰け反り、後ろへ倒れ、後方にいた2人の仲間たちを巻き込みながら階段から転げ落ちた。
 真太郎は窓の外を覗いた。そこは隣の倉庫の中だった。どうやら事務所の2階の窓は、隣の倉庫の出入り口だったようだ。出入り口の階段の下には、転げ落ちた3人の男たちが気絶していた。

 真太郎は窓から階段を降りようとした。すると、不審な音を聞きつけた別の男たちが、階段に向かって走って来た。
「ぞろぞろわいてきやがったな。ゴキブリどもめ」
 真太郎は、ためらわず階段を降り始めた。
「て、てめえ、いつのまに!」
 階段下までやって来た3人の男たちの1人が、真太郎の顔を見て驚愕した。

 その男はアンを連れ去った、あの地上げ屋のリーダーだった。
 真太郎は階段を降りる足を止め、男を睨みつけた。
「アンはどこだ? アンを返せ!」


第17話 救出

「生かして帰すな!」
 リーダーの男は、残りの2人の男に命令した。

 2人は手にナイフを持って、真太郎に向かって階段を駆け登って行った。真太郎はためらわず階段から飛び降り、先頭の男の顔面に強烈なジャンプキックをおみまいした。男は後ろへ吹っ飛び、後続の男を巻き添えにして階段から転げ落ちた。真太郎も男たちと一緒に階段下へ転げ落ちたが、すかさず体制を立て直し、リーダーの男のもとへ突進した。
「ヒッ!」
 リーダーの男は真太郎に背を向けて逃げようとしたが、あっという間に捕まり右腕をねじ上げられてしまった。
「ギャッ!」
「アンはどこだ!」
「ううっ――」
「聞こえないのか!」
 真太郎はさらに強く右腕を上へねじ上げた。
「いてえーっ! 奥だ! 奥にいる!」
「そうか。ありがとうよ」
 真太郎は腕を思い切り上へねじ上げた。ゴキッという鈍い音がした。
「ぐわあーっ!」
 両腕を脱臼させられ、そのままへたりこんでしまったリーダーの男を見やって、真太郎は倉庫の奥へ向かって走った。
 倉庫の奥へ通じる廊下には大量の荷物が詰まれ、視界をさえぎっていた。
 真太郎は荷物の影からそっと顔を出し、奥のフロアを覗き見た。そこにはロープで縛られたアンが椅子に坐わらされ、その周りには3人の地上げ屋とスーツ姿の男が緊張した表情で身構え、こちらを睨みつけていた。
「(どうやらアンは大丈夫のようだ。ん? あれは――)」
 地上げ屋たちの足元で、ロープに縛られて転がっている男に気がつき驚愕した。
「ドベール? ドベールじゃないか! なんであんなところにいるんだ!」
“パン!”
 一発の銃声と熱風が、真太郎の顔を斬るようにかすめていった。思わず荷物の後ろに顔を引っ込める真太郎。
「(ふっ。悪党どもの伝家の宝刀が出たな)」
 銃を持った地上げ屋たちが向かってくる足音が聞こえる。真太郎は再び出入口の階段へ戻った。
 階段の下には、リーダーの男が両腕をブラブラさせながら、苦痛に顔を歪ませて立っていた。
「ひーっ! もう勘弁してくれぇ!」
 男は戻って来た真太郎を見て怯えた。
「来い!」
「え?」
「いいから階段を上れ!」
 真太郎はリーダーの男を盾代わりにしながら、階段を上った。
「いたぞ! 撃て!」
「バ、バカッ! 撃つな!」
 盾代わりになったリーダーの男が、必死の形相で叫んだ。状況を察した追っ手の男たちは、撃つの一瞬ためらった。
 真太郎はリーダーの男を引き連れ、窓から事務所の2階へ入った。
 追っての男たちが階段を上ってくる足音が聞こえる。その音が次第に真太郎たちに近づいてきた。
「悪いが、ちょっと協力してくれ」
「な、なにをする気だ――」

 真太郎はリーダーの男を窓に立たせた。
 階段を上っていた追っ手の男たちは、突然、目の前に現れた仲間を見て驚いた。
「くらえ!」
 そう叫ぶと、真太郎はリーダーの男の尻を思い切り蹴った。男は階段へ向かって吹っ飛んだ。
 複数の悲鳴があがり、リーダーの男と地上げ屋たちが、階段から激しく転げ落ちて行く音が聞こえた。
「“地の利”は多いに利用しないとな」
 真太郎は窓から階段下を覗いた。リーダーの男と複数の男たちが、山のようになって倒れていた。
“パン! パン! パン!”

 難を逃れた1人の男が、真太郎に向かって連射した。真太郎はすかさず身を隠した。
「おらおらーっ!」
 男は自らを奮い立たせるかのように、怒声をあげながら階段を駆け上がった。そして窓から事務所の2階に飛び降り、銃を構えて真太郎を探した。
「どこに隠れた! 出て来い!」
“パン!”
 地上げ屋は威嚇の銃を一発撃った。
「回転式か。今時、古風だな――」
「そこか!」
“パン! パン!”
 地上げ屋は真太郎の声がする方めがけて撃った。
「おい、ずいぶん気前よく撃つな。弾は大丈夫か?」
 事務所の階段の下に隠れていた真太郎は駆け上がり、男に突進した。
 男は慌てて銃を撃とうとしたが、既に弾はきれていた。真太郎は男の顔のド真ん中に、ストレートパンチをくらわせた。勢いのついたパンチをもろにくらった男は、後ろに吹っ飛んで気絶した。
「残り弾ぐらい、数えて撃てよ」
 真太郎はパンチで痛めた右手を振りながら、倉庫への階段を駆け下りた。
「(もう、手下はいないはずだ)」
 そう確信しながら、真太郎は奥のフロアまで駆け、そして飛び出した。
「アン! ドベール!」
 捕らえられていた2人が、真太郎に声の方へ振り向いた。
「探偵さん!」
「真太郎!」

 1人だけになったスーツ姿の男が、すばやくアンの背後に回りこみ、頭に銃を突きつけた。
「近づくな!」
 真太郎は足を止め、スーツ姿の男に向かって叫んだ。
「おまえが地上げ屋のボスか?」
 男はそれに答えず、口を歪ませニヤリと笑った。
「なんでこんなまねをする? ドベール親子が、いったい何をしたと言うんだ」
「クライアントの命令ですよ」
「クライアント? シェパードという議員のことか?」
「そうです――。こいつらが邪魔だから、消してくれと頼まれましてね。酒場通りの嫌がらせも、放火も全部シェパードの指示です」
 床に倒れていたドベールが叫んだ。
「うそつけ! シェパードは自分が育った“家”に火をつけさせるような男じゃない! おまえら、地上げの裏工作の罪を、全部シェパードと俺になすりつける魂胆だろうが!」
「黙れ!」
“パン!”
 男が撃った弾がドベールの肩に当たった。
「キャアーッ! 父さんっ!」
 アンは絶叫した。
「ドベール! 大丈夫かっ!」
 真太郎が叫んだ。ドベールは真太郎とアンを安心させるかのように、苦痛に満ちた表情で頭を2度縦に振った。
 男は、アンに銃を突きつけたまま彼女を立ち上がらせた。
「ドベールさん。あなた元悪党だけあって、さすがに勘がいいですな。なら、わかるでしょ? 私たちは金と力のある方の見方です。その相手が誰だろうが」
 ドベールは吐き捨てるように言った。
「きさまら、昔の俺の恩を、仇で返すのか!」
「恩?――。ふざけるな!」
 突然、激昂した男は、その口調を別人のように荒げた。
「あんた、兄貴分のくせに、俺たちを見捨てて組織から逃げたじゃねえか! “新しい生き方がしたくなった”とか、わけのわからねえヌルい事ぬかしやがって!」
 ドベールは昔の事を思い出し、表情を変えた。
「その後、俺たちが組織でどんなヒドイ目にあったか、知らねえとは言わせねえぞ!」
「組織? 父さん――」
 アンは始めて聞いた事実に驚愕し、目を大きく見開いた。
「おやおや、これは申し訳ない。娘さんの前でまずい事を言ってしまったようですな。ではお詫びに、親子仲良く、楽しい冥土の旅に招待してあげますよ!」

「ははあ、なるほど――。おまえら、本物のバカだな」
 真太郎がつぶやいた。

「な、なんだと?」
 男は目を釣り上げ、銃口を真太郎の方へ向けた。
「しょぼい小金で殺しまでやるつもりか? ずいぶんサービスがいいもんだ。おまえらも、その新しいクライアントに利用されているのが、わからないのか」
「どういうことだ!」
「その足りない頭で考えてみろ。クライアントはおまえらを使ってドベールと議員を消した後、次におまえらを消すに決まっているだろうが!」
「な、なに言ってる!」
 男は自信を持ってしゃべる真太郎に動揺した。
「安っぽいシナリオが見えてくるぜ。 ――地上げの裏工作を計画した悪党議員シェパードと、彼から地上げを委託された元悪党ドベールは、いざこざのあげくお互いの命を奪い合った。おまえらのクラインアントは、すべて2人のせいにして地上げを成功させる。で、そのシナリオを知っていた雑魚のおまえらは邪魔だから、おまえらより格上の悪党に消させる――。どうだ?」
「ば、ばかな! ど素人の市長にそんな悪事が――」
 真太郎は、男が思わずもらした言葉を聞き逃さなかった。
「市長? きさま、今、市長と言ったなっ!」
「う、うるせーっ!」
“パン! パン! パン!”
 男は狂ったように真太郎に向かって銃を乱射した。その内の一発が真太郎の顔をかすり血が飛び散った。真太郎はそのショックでガクリと膝を突いた。
「探偵さんっ!」
 アンは無我夢中で、銃を持つ男の手に噛み付いた。
「何しやがるっ!」
 男はアンを思い切り突き飛ばした。
「キャア!」
 突き飛ばされたアンは、床に転がっているドベールの上に、覆いかぶさるように倒れた。
 男は銃を構え、うずくまっている真太郎の方へゆっくりと歩み寄った。
「全員、皆殺しにしてやる。最初はクソ生意気なおまえからだ!」
“ドーン! ドーン! ドーン!”
 男が真太郎へ銃口を向けたその時、後方から倉庫の壁を激しく叩く音が聞こえた。
「なにっ?」
 思わず後ろを振り向いた男の隙をついて、真太郎は猛烈な勢いで飛びかかった。それに気づいた男は振り向きながら銃を撃ったが、弾は真太郎の体をかすめ倉庫の荷物に当たった。真太郎と男が激しくぶつかった。男はその勢いで後ろにひっくり返った。すかさず真太郎は男の上に馬乗りになり、顔に強烈なパンチを食らわせ、銃を持った腕をつかんで床に激しく叩きつけた。威勢をなくした男の手から銃がこぼれ落ちた。
「しばらく眠ってろ!」
 真太郎は男のボディーに、とどめのパンチを入れた。男はグウといって気絶した。

 

「アン! ドベール!」
 真太郎は男の銃を拾い上げ、倒れているアンとドベールの傍へ走り寄り、2匹を縛っていたロープをほどいた。
「大丈夫か、アン?」
「はい。それより、父さんが――」
 真太郎はドベールを抱き起こした。銃で撃たれた肩に血が滲んでいた。
「心配するな、かすり傷だ――」
「とにかく、外へ出よう」
 アンと傷ついたドベールをいたわりながら、真太郎は2人を外へと導いた



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