目次
はじめに
はじめに
目次
目次
口コミ・マーケティング
口コミ・マーケティングとは
口コミと消費者行動
消費者のマインドを理解する
コミュニケーションとは
コミュニケーションとは
情報伝達の方向
コミュニケーションの種類
バズ・コミュニケーションの基本モデル
バズ・コミュニケーションの基本モデル
送り手と受け手の関係と口コミの影響力
コミュニケーション・モデル
コミュニケーション・モデル
制御・内容・媒体・聴衆の分析
影響の分析
意味を含蓄する記号・シンボルとしての言語
記号化の要件
消費者の反応プロセス
消費者の反応プロセス
広告~購買までのフロー
解決と向上
解決策・向上策の双方を取り込む
顧客接点に基づいた攻めのマーケティング
顧客接点に基づいた攻めのマーケティング
バズ・マーケティングの必要性
バズ・マーケティングの必要性
解決型顧客フィードバックから向上型への進化
バズ・マーケティングを理解する
バズ・マーケティングを理解する
バズ・マーケティングを理解する
正確な定性情報の欠如
正確な定性情報の欠如
口コミ・マーケティングの3つの手法
口コミ・マーケティングの3つの手法
バイラル(Viral) マーケティング
バズ(Buzz) マーケティング
口コミが発生するメカニズム
口コミが発生するメカニズム
口コミが発生するメカニズム
口コミを発生させるコミュニティ特性
製品・ブランド選択時におけるコミュニティからの影響
口コミ発生の衝動
口コミに至る欲求の構成要素
想像性と理想性の交差による口コミ欲求
口コミ発生ルートの拡大と増加
マズローの欲求段階
マズローの欲求段階
マズローの欲求段階
マズローの欲求段階
マズローの欲求段階
マリーの21の生理的欲求
マリーの欲求リスト
マリーの欲求リスト
ケラーのARCSモデル
ケラーのARCSモデル
関連性 (Relevance)
確信性 (Confidence)
満足度 (Satisfaction)
マクイェル・モデル
バズ・マーケティングのアイデアの捻出
口コミを抑制する要因
口コミを抑制する要因 ~知覚・選別・防御~
知覚と選別
バズ・マーケティングが求められる多くの理由
バズ・マーケティングが求められる多くの理由
サプライ・デマンド構造の逆転現象
サプライ・デマンド構造の逆転現象
コモディティ化する大衆消費市場とバズ・マーケティング
SNS・Webマーケティングによるビジネスチャンス
自由なチャネル構造の確立
従来の市場構造と新しい市場構造
バズ・マーケティングSWOT分析
バズ・マーケティングSWOT分析
ホワイトスペース戦略
ホワイトスペース戦略例
事業領域とバズ・マーケティングの関係
エイベルとハモンドによる事業領域の構造
バズ・マーケティング実施のためのマーケティングミックス
バズ・マーケティング実施のためのマーケティング・ミックス
目的の設定
バズ選定のマーケティング・ミックス
バズ・マーケティング成功要因
口コミ力を形成する構成要因
口コミ力を形成する構成要因
Product
主な口コミ構成要因
ブランド構成要素の例
ブランドの構成要素
感情ニーズ
信ぴょう性要因
検索・伝達要因
魔法の番号「7」
忘却と干渉の問題
口コミで想起されやすいブランド
代表的なものからの想起
馴染み深いもの、良い印象からの想起
体験からの想起、状況・機会からの想起
ニーズ満足要因
購入経験による口コミの影響変化
Place
口コミ媒体の事前評価
情報発信者から見たバズ・チャネル比較表
バズ・チャネル比較
ネット上での主な口コミ形成
ネット上での主な口コミ形成技術
媒体の選択
ネット上における言語活動技術のグルーピング
ネット言語活動のビジネス・ポジショニング
情報探索型と情報遭遇型の違い
マーケティングの受け手の能動性と記憶の関係
Promotion
バズ・コミュニケーション・ミックス
バズ・プロモーションの主な施策
広告の残余効果
広告残余効果の構成変数
広告残余効果を利用する際の注意点
Value (Price)
口コミを形成する5つの人物タイプ
口コミを形成する人物像のタイプ別分類
時間軸による4つの人物タイプ
時間と知識空間における人物像
オピニオン・リーダーとは
情報発信から消費者に至る2段階モデル
オピニオン・リーダー
自己の主体性と多段階の流れ
多段階モデル
バズ・マーケティングを導入する
バズ・マーケティングを取り入れる
バズ・マーケティングの導入フロー
1. 目的の明確化
口コミによる製品・市場マトリックス
口コミにおける製品・市場マトリックス
市場浸透戦略
商品改良戦略
市場開拓戦略
事業多角化戦略
口コミとアンゾフの成長ベクトル
1. 顧客との関係性を高める
2. 調査を実施する
3. 認知・理解する
4. 分析する
5. 企画する
優先順位をつける
6. 説得する
7. 承認を得る
8. ガイドラインを作成する
ガイドラインの例
9. 導入する
導入の時のチェック事項例
10. 参加する
11. 継続する
受け入れ時の心理
定例業務の流れ
チェック・評価・レビュー
バズ・マーケティングの4C
バズ・マーケティングの4C
Consumer - 消費者
消費者の立場軸の相違による視点
Convenience - 利便性
Communication - 情報伝達
ファン獲得に至る消費者集合プロセス
Value (Cost) - 価値
バズ・マーケティングの4C
商品ライフサイクルによるバズ・マーケティング
商品ライフサイクルによるバズ・マーケティング
商品・サービスのライフサイクル
商品・サービスのライフサイクル
消費者類型によるバズ・マーケティング
消費者類型によるバズ・マーケティング
商品の普及過程と採用者類型
注目すべき初期採用者
ロジャーの採用者類型と口コミ施策例
商品ライフサイクルと消費者像によるクロス・バズ・マーケティング
商品ライフサイクルと消費者類型によるクロス・バズ・マーケティング
商品ライフサイクルに応じたバズ・マーケティング戦略
商品ライフサイクル別の特徴と バズ・マーケティングの目的・戦略
導入前のバズ・マーケティング
風評形成要因
バズによる商品の普及過程と採用者類型
バズによる商品の普及過程と採用者類型
口コミによる顧客ロックイン戦略
顧客ロックインを目的とする口コミ
口コミによる顧客ロックイン戦略
消費者志向からアプローチするバズ・マーケティング
消費者思考からアプローチするバズ・マーケティング
顧客満足トリガーによる口コミ発生
購買行動に至る消費者の思考プロセスと 口コミのフロー
ブランド・アイデンティティ(独自性)・イメージ(連想)・インテグリティ(統合性)
深層心理を把握する調査手法
ザルトマンの7大メタファー
ZMET手法
口コミで顧客満足を高める
顧客満足度向上に必要な口コミ要素
ロイヤルティの向上
リカートの商品関与尺度
商品に関与する口コミワード
商品関与を高める口コミ手法
関連性・利用場面・心理
広告塔・不安
オピニオン・リーダー
商品特性・持続・危機管理
評価・ベンチマーク・コミュニケーション
実施すべき施策と避けるべき施策
あとがき
おわりに
参考文献
参考文献
参考資料
参考資料
参考資料

閉じる


コミュニケーション・モデル

試し読みできます

コミュニケーション・モデル

コミュニケーション・モデル

 

ラスウェル([1])によると、コミュニケーションの形式を以下のようにまとめている。

これをバズ・マーケティングとして応用を試みると、制御分析・内容分析・媒体分析・聴衆分析・影響分析として、以下のように説明することができる。




([1]) H.D. Lasswell: 米国の政治学者。フロイトの精神分析学の方法を導入,政治学における行動主義的研究方法の基礎を作った。


試し読みできます

制御・内容・媒体・聴衆の分析

制御分析

 誰がメディア媒体を発行するのか、目的、メッセージの傾向、配信頻度などを考えることで、口コミに対して少しでも有効な戦術が実施できるような話し手側の状況を分析するものをメディアの制御分析という。的確なバズ・マーケティングが実施できる話し手を選定し、起用し、情報提供の際のコントロールを実施することについて、対策を講じることが必要になる。

 

内容分析

 メッセージの内容分析とは、代表性についての分析である。使用するロゴマーク、色彩、対象となる商品やサービス内容にはどのような代表性があるのか、を分析することで、どのようなフレーズが用いられるべきか、どのようなパッケージ、デザイン、機能、パーソナリティー・キャラクターを起用すべきか、など話題を生成しやすくする対象物を検討・分析する必要がある。

 また、話題の対象だけではなく、付随する情報についても考慮する必要がある。例えば、個人によるコミュニケーション活動では、あなたはどのようなライフスタイルを送っているのか、ファッション・髪型などの個人の嗜好性など、メッセージ性が付与されているとは深く考えていないものの、接する側からすると、何らかのイメージが主目的である話題と共に伝わることになることを注意したい。

 

媒体分析

 媒体分析とは、メッセージを伝達するチャネルを分析することをいう。インターネット上でソーシャル・メディアを用いる場合は、それが動画であったり静止画であったり、音楽が付いていたり、テキストだけであったり、様々なコンビネーションが考えられる。単に動画を用いる場合であっても、映像情報と音響情報とテキスト情報とが一体になっているものもあるために、どのような媒体が有効であるのか、それぞれの効果を分析してみる必要がある。

 特に、対象とする消費者・聴衆によっては、高齢で小さい字が読めない・聞こえない・見えないこともあるし、漢字が読めない年齢が対象になる場合もある。また、事故や障害で接触可能なメディアが限られているケースも考えられる。よって、最適な媒体を分析することも1つの重要な要素となる。

 

聴衆(オーディエンス)分析

 ここでは、一般的な消費者である聴衆をメッセージの受け手として分析する必要がある。ターゲットとするオーディエンスを見誤ると、折角の広報・マーケティング活動も台無しになる。あなたの推測でマーケティング活動の投資判断が実施されるとしたら、推測した根拠や責任のリスクを負うことになる。データによる客観性ある分析を実施することで、その消費者・ターゲット聴衆の属性を吟味する必要がある。
試し読みできます

影響の分析

影響

 通常何かを成し遂げるためにコミュニケーションを図るため、そこには何らかの影響を生じせしめるものが存在するはずである。よく考えずに、廊下をすれ違う知人に「挨拶」をする時などであっても、挨拶というメッセージに込められた意味としては、心を開いており同じグループに属していることを無意識に示すものであったり、むげに他人を拒否するような性格ではなく、社交性があることを暗に示すことでもあるはずだ。

このように、発信するメッセージ・口コミや噂などが、どのように受け手に影響を与えているのかを分析することで、消費者・聴衆に対して最もリーチが広く深い範囲のコミュニケーション手法が良いのか探索することができるようになる。


 影響を考慮する上で、もう一つ重要なポイントは、影響に応じたの聴衆や消費者のフィードバックの収集が、影響を見る上で有効になる。メッセージを受け取る側の反応を、受け手側から教えてくれる手法があるのであれば、分析上有利になる。特に、媒体がソーシャル・メディアであれば、双方向のコミュニケーションが容易であることから、一方的なメッセージの伝播よりも双方向の方がすぐれた施策が提供できるようになる。

試し読みできます

意味を含蓄する記号・シンボルとしての言語

意味を含蓄する記号・シンボルとしての言語

 

 コミュニケーションを行う際は、メッセージを発信することであるが、メッセージの中で必要な言語となるものは何であろうか。

 E.カッシーラー([2])によると、人間はシンボルを操る動物であり、記号としての言語を自由自在に操ることができる唯一の存在だといわれる。記号やシンボルによって、日々のコミュニケーション活動をシンプルで迅速にするだけを目的とするのではなく、口コミに代表される様々なセールス・マーケティング活動であっても、消費者に対して自社の商品や会社のロゴなどを、できるだけシンプルに記号化して分かりやすい形で示すことで内容を伝える方法が、ブランド構築作業としても、間接的コミュニケーションを介したとしても消費者の記憶に残りやすいものとなる。

 効果的な記号・シンボルを用いることで短期間にメッセージの印象付けを行うことで、消費者の思考に想起されるものとなるようなメッセージの印象付けを分析することが重要だ。



([2]) Ernst Cassirer: ドイツの哲学者、思想家。シンボルとしての象徴体系文化に関する研究が有名。


試し読みできます

記号化の要件

記号化の要件

 

 ブランドの記号化とは、言語と同様に、先ず、それを見た・聞いただけでブランド自体を「代表」するものでなければならず、ブランドを認知することができて、その意味を内包するようなものでなければならない。

また、時間によって受け継がれるような「伝統」が無ければ成立しない。ただし、それは「自由に創造可能」なものである、とベルタランフィ([3])が言っている。

言語の代替物である手話や、写真・映像などもシンボルによる記号を操っているものであるし、ライフスタイルや文化も経験を記号化したものである。

 何らかのキャッチフレーズやロゴなど記号・象徴を創造し、それに意味を持たせることで、シンプルで短期間に消費者を印象づけることができるメッセージがある場合、口コミは簡単に伝えることができるために容易に伝わりやすいであろう。バズ・マーケティング活動においてもこうしたコミュニケーションができれば、有利なアドバンテージとなる。

 口コミとしてのマーケティング活動として見ると、バズ・マーケティングは、消費者一般に対して口コミとなりえるようなメッセージを伝えることが目的であるから、伝えたい内容は、おおよそ企業のブランディングと同じ作業が必要になるものと考えてよい。



([3]) Ludwig von Bertalanffy: ルートヴィヒ・フォン・ベルタランフィは、オーストリア生まれの生物学者。様々な現象をシステムとして捉え、これら多様なシステムに適用可能な理論を構築した。


試し読みできます

消費者の反応プロセス

  消費者の反応プロセスに示されているように、象徴・記号である言語をコミュニケーションに用いることで、認知・理解という認知段階へと至らしめる。

  認知・理解という段階を踏んで、より深層に進むと、関心・欲求・評価という情動段階へ発展して消費者の反応が更に移行していくプロセスが見られる。

  情動段階にまで至る施策を講じるには、単に、認知や理解をさせるアクションだけではなく、双方によって、できるだけコミュニケーションの確立を目指していくことで、関心を深め、欲求を刺激し、評価させていくような戦略が求められる。

  こうしたことから、コミュニティなどの一定のグループを形成する消費者に深く切り込める環境がある場合、一般広告よりも、バズ・マーケティングを実施することで、消費者の情動反応に対して、効果を得る可能性が高くなるものと理解できる。こうした情動段階でこそ効果が発揮されるのがバズ・マーケティングの特徴だ。

  企業内の広報担当者と同じように、社外とのコミュニケーション活動の多い部門である、営業・セールスといったところでも、同じ段階を踏んで営業活動を行うのが基本だ。消費者を認知から、理解へ移行させるには、一方的な情報提供によるコミュニケーションだけでは難しく、双方向のコミュニケーションを図ることでより深い理解へとつなげて行く。


  この段階までを消費者の反応プロセス上、外部情報の認知段階とするならば、これ以降は消費者自らの主観によるコントロールが優先されることから、自らの「関心・欲求・評価」といった段階を消費者の情動段階として理解することができる。


試し読みできます

消費者の反応プロセス

消費者の反応プロセス

 

以下に、AIDAモデル・イノベーション採用モデル・情報処理モデルなどを基に作成した消費者の反応プロセスを示す。

 

 

 

 一般的な企業では、通常の営業努力に加え、消費者・顧客を少しでも自社に繋ぎ止めようと、ホームページ上で、製品のユーザー登録を行ったり、ポイント制を導入する、お客様相談窓口を拡充する、などのアイデアで、顧客を囲い込み、顧客からのフィードバック情報を収集し、自社製品の改善に役立てようとする試みが継続されているが、これだけでは、消費者の反応プロセス全体をカバーし、投資に対する効果を得ているかどうか十分と言えるものではない。

 コミュニケーションの方向性を双方向にして、消費者を認知から情動へと移行する反応プロセスを効果的に活用するために、様々な試みがなされている。こうした試みうちの一つである、コールセンターやお客様相談室といった専門部署の設置は、顧客とのコンタクト・ポイントを増やすという点では価値があるが、積極的なバズ・マーケティングという観点から見ると、双方向の顧客コミュニケーションを有効活用するものとして、バズ・マーケティングを実践しているものとはまだまだ言えるものではない。

 


試し読みできます

広告~購買までのフロー

広告~購買までのフローとしては、インターネットにおけるソーシャル・メディアの躍進により、以下のような複合的なフローモデルが一般的だ。こうしたフローから、それぞれの段階において企業として何をすべきかを考慮しなければならず、施策として抜けや漏れがある議論は避けるべきである。

「公益財団法人吉田秀雄記念事業財団, AD STUDIES Vol.38 2011, p9」を著者が加筆


試し読みできます

解決と向上

コールセンターやお客様相談室における、顧客からのフィードバックというと、どうしても苦情・クレームというネガティブで一方的なコミュニケーション的な要素が多く、苦情・クレームを処理する業務に重点が偏ってしまう。どうすれば自社製品への品質向上に役立てていけるのか、消費者と双方向に対話をしながら共に何かを創り上げていく、という理想とは相違してくるためだ。

もちろん、コールセンターやお客様相談室といった取り組みは必要ではあるものの、なぜネガティブな意見や苦情の収集だけで、四苦八苦してしまうのであろうか。具体的には、ユーザーが製品やサービスを利用するにあたって、その製品やサービスを利用中もしくは利用したい意思が確実にあるにも関わらず、何らかの問題が生じてしまい、利用ができないことから、苦情へと発展することになる。これは問題を当初の状態に戻すことを目的とする類のものであって、あるべき姿・理想や目的へと向上させる問題ではないからである。


試し読みできます

解決策・向上策の双方を取り込む

ネット上では、ブログやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などに見られる交流サイトなどで、ネガティブなコメントを発するだけではなく、話題に応じたポジティブなコメントも数多く表明され、~だったら良いのに、~を改良してほしい、といった要望を、自由で率直な意見がいつでもコメントできる「場」が提供されている。

消費者の自由な会話や、コミュニケーションの場が爆発的に膨れ上がってきているため、ネット上では、視点を変えた見方や、斬新なアイデア、改善要望などが溢れているアイデアの宝庫と位置づけることができる。

無益なノイズが多々含まれることがあるものの、有益な情報を見逃し、折角のチャンスを逃すことこそ、残念なことはない。

 

一般的なブログや、コミュニティ・サイトに残されているコメントは、コールセンターやお客様相談室などとは違い、問題が生じたとき以外であっても、個人の意思の趣くままに、いつでも自由に書き込み・会話ができることから、問題を「向上」させるための口コミ情報、「解決」させるための口コミ情報の双方が、偏りなく平等に存在しているものとみなすことができる。


試し読みできます

顧客接点に基づいた攻めのマーケティング

意見が自然発生し、集積されると、消費者の間で「口コミ」が形成されることとなるが、こうした意見が集中する場所となる、「SNSやブログなどのソーシャル・メディア」を重要なマーケティング・ツールと位置づけ、ビジネスに結び付けていくマーケティング手法を積極的に導入している企業は、まだまだ少ないのが現状だ。

もちろん大手企業や外資系を中心として、バズ・マーケティングに関する何らかの方策を導入している積極的な企業もあるが、ましてや、数多くのヒット商品を生み出すマーケティング活動を口コミやSNS戦略から実践している企業は、数少なく、日本ではおおよそ大手の消費財メーカーなどで多く実施されているに留まっている。

 

陽の目を見ず、常に苦情処理や操作方法の説明に終始してきた影の立役者である「コールセンター」や「お客様相談室」といった部門は、いわば消費者に目を向けているフロントラインとしての企業の顔であり、バズ・マーケティングに最も近い位置に立っている部門だ。こうした部門に広報・マーケティングといった視点を取り込むことで、自社で活用しない手はない。

陰の立役者であるクレーム処理部門が、昨今のビジネス環境・消費者の口コミ力の増大といった変化に乗じて、パッシブな側面に対応するだけのルーチン業務をこなすだけではなく、今後はプロアクティブな顧客視点をマーケティング活動の一環として取り入れていくことも視野に入れる必要がある。


試し読みできます

顧客接点に基づいた攻めのマーケティング

消費者のポジティブな意見を、自由に集積できる者・部門があるとしたら、これは、既に社内で非常に大きな権力を得たに等しい。消費者と対峙している部門や会社、消費者へと続く唯一のルートを確保している場合、大きなパワーを獲得するのは時間の問題だ。

なぜなら、消費者=収益源という論理が存在しており、家電業界を例に挙げると、家電メーカーよりも消費者に対峙している流通業者の方が、パワーバランスが上になっている現実がある。メーカーは、消費者との接点を多く抱える流通業者に自社商品を置いて欲しいとお願いし、商品を陳列する棚のスペースが限られている流通業者としては、殺到するメーカー各社の商品の中から、消費者の観点に合う商品のみを選別、ピックアップしなければならない。

また流通に限らず、他のどのような企業であっても、購買を担当するような部門に長年勤続している場合や、購買を司る部門のトップなどは、その特定の人物の一存によって商談が左右するのであるから、より親密で深いコミュニケーションを行うことで、購買を左右させるような力を持つ場合もあるようだ。

このようなグレーでウェットなコミュニケーション領域や、ビジネス上で得られる強大な力がしばしばニュースなどでも問題にもなることがあるが、例えば、メーカーの社員を全国の流通店に派遣して店頭で働いてもらうなどの誠意を示さない場合、自社商品を棚に置いてくれない、という力関係が存在することになる。有名なコンビニエンス・ストアやスーパー・マーケットを例に挙げてみても、程度は違うものの、構図は同様であり、消費財メーカー各社が自社商品を数多く棚に並べてもらおうと、必死に新製品の営業合戦を行っている状況が存在している。

流通業界には限らないが、やはり、消費者と対峙し、消費者という収益源や接点を多く抱える流通業者ほど、立場が強く、メーカー側の商品開発、製造にまで影響を与えている事実がある。消費者の意見を取り入れた自社プライベートブランド商品をメーカー側に製造させる、という形にまで発展を遂げている。

普通では考えられないが、他社が自社の商品の中身や開発にまで口を差し挟む状況というのは、消費者と接触し、消費者から収益を確保する術を持たないために、パワーバランスが崩れてしまっていることを実証している。

 

消費者・ユーザーを把握し、接点を持つことで、消費者の意見を正確に代弁していることを、事実と共に周囲に説明できるのであれば、社外に対しては、従来の力関係に影響を及ぼすことができるようになるであろう。社内的には例え、陽の目を見ない部門であっても、自社商品企画・開発、経営にもコミットできる重要な立場へと自然に変化し、一目置かれる重要な存在とみなされるであろう。

消費者の思考を汲み取ることができるデータを手にさえすれば、商品の開発部門や営業マーケティング部門、経営企画に至るまで、顧客の代弁者であるデータや証拠には反駁できる余地はない。反論できる論拠が限られてくるのは目に見えている。


試し読みできます

バズ・マーケティングの必要性

では、ソーシャル・メディアそのものに関心が低く、ましてや、携わることなど今まで一度も考えたことものなかった、ごく普通の企業が、どうすればソーシャル・メディアの流れに乗ることができ、大手や外資系ではなくても、その重要性をどのようにしてマネジメントや他部門へ説明し、賛同を得ることができるのであろうか、果たしてメリットがあるのであろうか。

自社で展開する商品・サービスや、市場については十分理解しているものの、新しいものへの不安や困難は、どこにでも付きまとう。物理学と同様に、新しい力が作用する場合、反作用する力も必ずどこかに働くものと考えてよい。

 

バズ・マーケティングの必要性について、企業の上層部や関係部門に対し、この「遊び」や「おしゃべり」の延長のようなものを、どのように説明したら良いのか、実務への適用や導入にあたっては、どこから手を付けるべきか、どういう戦略を策定すべきか、社内への説明も重要であるが、社外においても消費者との関係や位置づけ、マーケティングへ活用できるのであろうか。下記のような様々な懸念を抱えているのではないだろうか。

 

SNS媒体は、何を用いれば良いのか?

どうしたら失敗を直ちにフィードバックし、企業のイノベーション活動に関連づけ、素早く生かすことができるか?

スピード感の求められる経済環境の中、リアルタイムに対応できるのか?

消費者・ユーザー中心の視点に立つことで、新しい市場を創出する可能性はあるのだろうか?

一般の消費者と、どうやって直接的な関係を構築すべきか?

どうしたら消費者の間へ浸透させ、効率のよいマーケティングができるか?


試し読みできます

バズ・マーケティングの必要性

バズ、という言葉以外でも、普段は聞き慣れない横文字の「バイラル(Viral)」や、「ワード・オブ・マウス(Word of Mouth・またはWOM)」、「バズ(Buzz)」といった言葉が口コミ・マーケティングの中で用いられ、こうした言葉を耳にする機会も多くなってきている。

口コミとは何か、口コミを用いたマーケティングは一体どうすれば良いのか、バズ・マーケティングに関する様々な疑問が浮かび上がってくる。

主に、ワード・オブ・マウス、バイラル、バズといった複数の言葉が「口コミ」を表す言葉として存在しているため、本書では、口コミ・マーケティング手法について、こうした言葉の基礎的な理解や、考え方を示しながら、口コミマーケティング戦略の全体像を理解することで、マーケティングの方向性が、誤った方向に陥らないよう整理することを心掛けなければならない。

 

本書で定義する戦略は、それぞれに線引き、分離できるようなものではなく、必ずしも固定化された観念ではない。もちろんそれぞれの戦略間や、他のマーケティング施策と重なることも多々生じるであろうし、また、重複した複数の戦術を同時に実施することで、より良い結果を導き出すことも可能となるものだ。

ビジネスの価値や企業の商品の製造・販売・マーケティング施策など全ての活動は、消費者から日々厳しくチェックされ、いつでもどこでも直ぐに批判にさらされる立場にある。

ソーシャル・メディアの台頭によって、より良い商品力・ブランド力はもちろんのこと、消費者に優しい視点や「社交力」のある企業が重視される社会に変化した今、リスクを回避する意味でも企業はこうした消費者コミュニティとの社交性ある双方向のコミュニケーション活動を継続し、推進して行かざるを得ないであろう。

各社各様、商品やサービス・ブランドにより市場での戦術は変化する。ソーシャル・ネットワークの発達した今、何よりも大切なことは、対象とする消費者やユーザーの本音を正確に捕捉し、ゴール達成へ向けた努力を惜しまないことだ。


試し読みできます

解決型顧客フィードバックから向上型への進化