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黒い虫

 夜中に目が覚めた。明かりを点けると床の上で何かが蠢いている。黒い虫だった。ざわざわとざわめく足におぞけが走り思わず悲鳴を上げていた。兄が飛んできた。私が床を指さすと兄は虫を指でつまみ上げた。え? 兄は無言で私の顔を見つめる。兄は虫を私の顔に近づける。「お前のまつ毛」

にんげんはつかれる

 人間は疲れる。だからおれはねこになった。にんげんなんててきとうにあしらっときゃいい。そうきいた。ところがどうだ。べたべたとさわりやがって。ねこになってからむしょうにねむくてしかたがない。おい。おれにふれるな。とにかくおれはねむいんだ。やっぱりにんげんはつかれる。

給食

 ずっと給食を食べていた。給食の時間内には食べ終わらなくて昼休みも終わって午後の授業が始まって終わりの会が終わってみんな帰っちゃって西日が差して日が暮れて教室は真っ暗になって朝が来ていつのまにか私は大人になってて今もまだ給食を食べている。先生、残してもいいですか?

柔道

 柔道が必修科目になった。怪我や死亡事故を防ぐ為、投げ技が禁止になった。すると寝技の最中に男女がまぐわうようになった。これはいかんという事で男女別の授業になった。今度は新たな性に目覚める者が続出した。結局寝技も禁止になった。今日も柔道場からは受け身の音だけが高らかに響いている。

教えてあげる

 ちょっとした奇跡なら簡単さ。男が指を鳴らすと空から100ドル札が降ってくる。人々は我先にと札に飛びつく。ね? 男は笑う。でも本当の願いは叶わないんだな。おじさんふられたの? まあね。いいこと教えてあげる。うちのママは最初の告白は必ず断るの。死んだパパの時もそうだったわ。

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