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ハンバーガー

 ハンバーガーが男の寝床だった。掛けバンズと敷きバンズ。二枚のバンズの間で男は眠る。今月から其処へレタスとベーコンが追加された。厚みが増して快適になるかと思いきやレタスの水気は冷たいわベーコンの脂はべとつくわで散々だった。男は月を見ながら嘆く。嗚呼、玉子が恋しい。

ほくろ

 ほくろが気になるのならおれが取ってやろうか。宇宙人のポールが言う。できるの? 太陽の黒点を取ってやったこともあるくらいだからな。寝てる間にやっといてやるよ。朝起きると本当に顔のほくろは消えていた。ありがとポール。ついでに全身のほくろを取っといたぜ。胸のおっきなやつ2つもな。

確認

 求婚する前にひとつだけ確認しておきたいことがあった。背骨に沿って指を這わせると彼女は弓なりに躰を反らせる。動いた拍子にカーテンの隙間から差し込む月明かりが彼女の背中を照らし出した。青白く光る肌の上に(遺伝子組み換えではない)の文字がはっきりと浮かび上がっていた。

みずうみ

 なめらかな舳先が湖面をすうっとかき分けてゆく。潤みがちな彼女の瞳はカヌーを楽しむのにちょうどよかった。ときおり魚が飛び跳ねてはあいさつをしてくれる。やがて影が降りてくる。彼女も眠くなったのだろう。まぶたが完全に閉じてしまうその前に私はカヌーを彼女の頬に引き上げた。

ろくろ

 気づけばろくろを回していた。艶やかな黒髪がふわりとなびいて、シャンプーの香りが、シャンプーの香りが、シャンプーの香りが、しない。それどころか腐臭が鼻を突いてくる。彼女にはまるで似つかわしくない匂いだった。髪、洗おうな。生首は無言のまま、ただくるくると回っていた。

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