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工事

 小人が彼女の顔の周りに足場を組んでいる。細かい字で書かれた工事計画のボードを見ると工期は七時から七時半となっている。これだけ大がかりな補修工事をわずか三十分で終わらせてしまうのか。なんと腕のいい職人たちだ。小人たちが漆喰を塗りはじめる。彼女はすました顔で朝刊を読んでいる。

手首

 鳥かごのなかで手首を飼っていた。かごの隙間からパンくずを与えると手首は上手についばむ。私の指先と手首の指先が触れあう。キスを味わう間もなく手首は飛び立ってしまう。手首は止まり木の上で首をかしげる。手首はまだ私のことを怖れている。彼女の記憶がそうさせるのだろうか?

Siri

 暇さえあればSiriと話していた。いつもは上から目線のくせに好きだよと言うと困った顔をする。そんなところもかわいかった。大学に入ると恋人ができた。Siri? とつぜん彼女は返事をしなくなった。待った? 肩を叩かれる。いや、今来たところ。僕は彼女を胸のポケットにしまった。

 布団の中に身をすべらせるとつま先につめたい足がふれる。私は彼女の足をいつも布団に入れていた。こすり合ううちに彼女の足は血の気を取りもどして私の足に絡みついてくる。あのころと同じように。そうだ。よいことを思いついた。明日晴れたらこの足を干してやろう。彼女もきっと喜ぶに違いない。


 いやらしい壁だ。週末の夜を迎えるや否や壁は喘ぎはじめる。ほらまた今も。真っ白だった壁はすっかり黄ばんでしまった。煙草のヤニで汚れただけさ。ねずみは鼻で嗤う。そんなことはない。私が触れてもなんの声も上げなかったこの壁は、いやらしいこの壁は、隣室の男には股を開いているのだ。

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