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UFO

 燃料が切れそうになったのでやむを得ずUFOを着陸させる。のぞき窓から外を窺うとカメラを構えた地球人がびっしりと周りを取り囲んでいた。これでは出るに出れない。いかにも宇宙人然とした宇宙人の登場が期待されている中にただのねこが現れたら彼らはきっと卒倒するに違いにゃい。 

空っぽ

 血で払うよ。無銭飲食の男はそう言うとコートのポケットから注射器を取り出した。金がなければ臓器でも売ればいいだろう。皮肉の一つも言いたくなった。内臓はもうないんだ。男は止める間もなくコートの前をはだけた。空っぽだった。空っぽの腹の中に萎れた血管だけが虚しく張り巡らされていた。

 実は膣の中で暮らしている。居心地が良いので日頃は引き篭もっているのだが毎月決まって数日は宿主から追い出される日がある。今月は今日がその日だった。私はしぶしぶシャワーを浴びる。内壁から分泌される粘液をきれいさっぱり洗い流してから私は膣を出る。ひと月ぶりの外は眩しい。 

 服を脱がせようとすると本は恥ずかしそうに身をよじり、消え入りそうな声で明かりを消してと言う。僕はかまわず本の服を脱がせた。本は服の下に可愛らしい下着を着けている。上手い具合に題名が隠れていた。手探りで背中の留め金を外すと本の柔らかい題名の感触が手のひらに伝わってきた。

 み・ず。寝起きの彼女は口をぱくぱくとする。完全に声を枯らしてしまったようだ。ミネラルウォーターのペットボトルを渡す。あ・り・が・と。やはり声は出ていない。彼女はピルケースから取り出した水色のカプセルをこくりと飲み込んだ。何の薬だい? 彼女は僕の耳元でささやく。薬じゃないの。声。

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