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ゴミ捨て

 一人でゴミ捨てに行った。本当は二人で行く決まりになっていたけど佐々木くんは私一人に掃除当番を押しつけて先に帰ってしまった。先生に告げ口すんなよと言い残して。クラス一チビの私には大きすぎるゴミ箱と格闘しているうちに焼却炉に落ちた。 暖くて嬉しかった。家はいつも寒かったから。

パンツ何色?

「今日のパンツは何色?」第一声がそれである。付き合いが長くなるとかくもデリカシイを欠くようになるものか。私は彼女に小一時間説教をする。「君が私と出会った頃にはね。廊下ですれ違うだけで頬を染めていたものだよ。いい加減にし給え」「ごめんなさい」「よろしい。パンツは白だ」

産卵

 茂みをかき分け川辺へ辿り着くと青い月の光がざわざわと水面に跳ねている。鮭だ。産卵の為に遡上する母鮭の背。私はお腹の子を気遣いながら水に足を差し入れる。上流に向けて泳ぎはじめる。母鮭たちが躰をぶつけてくる。負けてられない。私も元気な赤ちゃんを産まなければならない。

矢印

 ホテルの中に入った矢印は点滅する矢印に導かれるまま廊下を進んでゆく。108。突き当たりの部屋の番号がチカチカと光っている。部屋の中に入るとベッドに下着姿の女の子が座っている。矢印は女の子の中に入ってゆく。「やっと入り口にたどり着いた気がするよ」「残念ね。そこは出口よ」

注射

 注射券を手にして行列に並ぶ。 前の人に「ここが最後尾です」と書かれた看板を渡される。行列の先頭は遙か彼方。とてもじゃないが見えない。向こうから注射を終えた人たちが歩いてくる。痛かった? 痛かった? みな口々に尋ねる。気持ち良かったよ。最高だよ。みな黒目が反復横跳びしている。

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