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オリーブオイル

 初めて彼の手料理をご馳走になった。少し油っぽかったけど料理はとても美味しかった。オリーブオイルが大好きなんだ。彼は悪びれずに云う。お酒も進み自然とお泊りする流れとなる。寝室へ行くとサイドテーブルに謎の小瓶が。「これは何?」「お肌にもいいんだ。エクストラヴァージンオイルだから」

幸せなカレー

「僕と一緒に幸せなカレーを作ってほしい」カレー? きっと聞き間違いだと思った。プロポーズしてくれた彼の気持ちに水を差したくなくて私はただYesとだけ答えた。「ありがとう。じゃ、早速行こう」「ちょっと、教会にでも行くつもり?」彼は不思議そうな顔をする。「スパイス屋だよ」

お母さん

 お母さんになるのが夢だった。だから大学在学中に大手企業勤めの相手を見つけてさっさと結婚した。家庭に入ってすぐに子供が生まれた。ところが赤ん坊は私のおっぱいにはまるで興味を示そうとしない。悔しくて涙がこぼれた。母も妻も呆れ顔で言う。あなた男なんだから無理だわよ。

漂流

「なぜ普通のボートを選ばなかったんだ」「それはこっちの台詞だ」また人間たちが醜い争いをはじめる。「助けを求めたのに笑われたじゃないか」「緊迫感がないから漂流してると思わないんだよ」「こんなアヒルに乗ってるからだ」アヒルじゃない。白鳥なんだけどな。スワンボートは悲しくなった。

落し物

 鼻を落とした。道理で匂いを感じないはずだ。おれは煙草を投げすてる。駅前まで戻り、交番に入る。「鼻の落し物。届いてるか?」「DNA鑑定で確認しますので髪の毛を一本頂戴します」クソ警官め。「では鼻をお返しします。あとこちらも貴方の落し物のようですね」袋一杯の吸殻が机の上に置かれた。

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