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メデューサ

 髪の毛が蛇の女性が店を訪れた。チーフの関さんが担当に付く。今日はどうなさいます? 短くして頂戴。失恋したから。ざわざわと蛇たちがざわめく。こんなに綺麗な髪なのに? 勿体ないですよ。関さんはさらりと言う。女性の頬がぽっと赤くなる。鏡越しに二人の目が合う。関さんは石化した。

没収

 バレンタインデーで盛り上がるのは結構だが学校での受け渡しは困る。私の主導で持ち物検査を行うことになった。校門前で鞄を開けさせ、全てのチョコレートを没収する。放課後、チョコを返却していると、一人だけ返してくれなくていいという生徒がいた。「どうした。もうふられたのか?」「鈍感」

持ち物検査

 バレンタインデーに男子がチョコをあげたっていいよね? 僕はドキドキしながら登校する。この日に限って校門前で持ち物検査をしている。鞄の中を確認されたのは女子だけだった。何とか意中の子にチョコを渡せたものの下校時に僕は絶望する。今度は男子が持ち物検査されていたのだ。

就活離れ

 今日は三通届いています。本命か? いえ、どれも義理ESですね。部長はがっくりと肩を落とした。近年若者の就活離れが甚だしかった。ゼミの担当教授やOB/OGらとの義理もあって形ばかりの書類こそ送ってくるものの働く気など端からないのだ。なんせBIで生活は保証されているのだから。

彼の家

 渡したいものがあるの。私がそう言うと、遠いよと彼は言う。知ってる。住所は花の広場の隣。彼は電話口で悪戯っぽく言う。バスを乗り継いで辿り着いたのは潰れた遊園地。錆び付いたゲートを抜けるとすぐに観覧車が見えてくる。おーい。空から声がする。観覧車が回り出す。彼の笑顔が近づいてくる。

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