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 月日は過ぎ、無人島での孤独な生活にもいくらか慣れてきた。それでも私は浜にガラス瓶が漂着するたびに中に救助を求める手紙を入れては沖へと投げ続けた。ある朝、ついに船が島にやってきた。見覚えのある色艶、形。たしかに私が投げたガラス瓶だった。その瓶の中に小さな船が入っていた。

曲線

 今度の神様は曲がったことが大嫌いだった。その神様の一存で世界から曲線が消える。太陽も月もみな四角。電車やバスの車輪も四角だから揺れが酷い。僕の愛する彼女のお尻や胸の優美なカーヴも失われてしまう。色気も何もあったもんじゃない。クラスで一人。コージだけが天パが直ったと喜んでいる。

工場

「B工程の者が一人、腕を切断しました」生産ラインから連絡が入る。「そいつは従業員食堂に回せ」「はい」「ラインは止めてないな?」「勿論です」ゾンビを労働力として利用し始めてからこの国の製造業は再び競争力を取り戻した。なにしろ人件費が安い。餌に屑肉を与えておくだけで良いのだから。

さっきマックで

 さっきマックで女子高生が「彼氏がデキ婚ってなんかいいよなとか言い出したんだけど」「マジ別れた方がいいよ」「そうだよね……。私も結婚が先でしょって何度も言ってるんだけど」「そういう問題じゃないよ。あんたの処女膜すら破る勇気のない男にデキ婚なんてできっこないから」とか言ってた。

 困った。昨日の味噌汁の具が思い出せない。自ずと作業の手が止まっていた。どうした? 班長が飛んでくる。昨日の味噌汁の具が思い出せなくて。もう帰っていいと言われて俺は家へ帰る。昨日の味噌汁の具は何だった? 妻に尋ねる。昨日はカレーライスよ。そうか。そうだったな。で、具は何だった?

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