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柑子袋《こうじぶくろ》会館が舞台 これの何が差別なのか?

民主党の党是とうぜでもある「人権救済法案」が本国会に提出される可能性は高い。様々な問題点が指摘される同法案だが、過去に提出された人権擁護法案をめぐっても「人権、差別の定義が曖昧あいまい」と言った批判がなされてきたのは周知の通り。ところが曖昧どころか、事実関係すら未確認なまま、「差別事件」の烙印らくいんを押される事態が起きた。それが今回リポートとする滋賀県湖南こなん市「就労相談員差別発言事件」だ。事件で明らかになった行政や部落解放同盟の考える「差別」と「人権」の正体とは何か? その真相を報告する。

柑子袋こうじぶくろ会館が舞台 これの何が差別なのか?

「まるで旧ソ連か北朝鮮の密告制度ではないか?」

初めてこの事件を聞いた時に抱いた印象だ。それほど不可解で“ありえない”事態が多すぎる事件だった。湖南市「就労相談員差別発言事件」の概要については本誌昨年12月号「啓発・学習は弁護士無しの欠席裁判! 差別発言で退職に追い込まれた隣保館員」でも第一報を報じたが再度、詳細を説明しておこう。

それは2009年6月30日、滋賀県湖南市内の柑子袋会館で起きた。就労相談員月例会議の終了後、就労相談員の一人、草野くさの洋一よういち氏(仮名・男性)が会議室から出る途中の立ち話で別の相談員、川島かわしま夏子なつこ氏(仮名・女性)に話しかけたところから始まる。

さかのぼること6月23日に草野氏は、川島氏にこう相談していた。

「内緒にしといて欲しいねんけど、知り合いが近々草津で法律事務所の立ち上げをするので、誰か50代で事務員がいないか」

そして6月30日、草野はこの件について「この間探していた50代の人誰かいる?」と川島に問いかけた。すると彼女は「以前の職場の関係で知り合いがいるので、聞いておく」と返答した。これを受けて草野は小声で「地区の人やないやろや」と発言したという。

というのが事件のあらましだ。後にこの発言をめぐって言った言わないの水掛け論を展開する草野と川島だが、面白いことに両者とも「同和地区外」の住民であることも判明している。そして草野はこの発言によって相談員の辞職することになった。

まず思う。

「どこの何が差別なのか」と、だ。

そもそもこの発言をめぐって誰も傷ついた人がいない。またどういう話の前提や流れで「地区の人やないやろや」と発言したのかも、証言からは全く読み取れない。本誌でもたびたび滋賀県の同和行政については追及してきたが、特に草津市については隣保館職員の給料の二重取りや同和枠の問題を取り上げてきた。ひょっとしたら草野もそうした実態を把握して、トラブルを回避する意味で「地区住民」か否かを聞いたかもしれない。そんな可能性もあるだろう。しかも草野の発言によって実際に地区住民の雇用の機会が失われたならまだしもここに誰も被害者がいない。とにかく発言があったとしても真意は不明だし、何か深刻な問題が発生したわけでもない。

結局、この発言を川島は「差別発言」として別の相談員に打ち明けたことから「就労相談員差別発言事件」として湖南市、そして草野の住む草津市、滋賀県、部落解放同盟による取り組みが始まったのである。



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