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「簡単なことじゃないと、思ってる、けど、正直お前はたぶんはたらくとか向いてないし、過保護なのかもしれないけど、養っていけなくもないと思うし、もしお前がいいって言ってくれるなら、新しく引っ越して、もっとでかいベッドにするとか」
「何それ、ここ数日考えてたの」
「はげそうなぐらい」
「はげなくてよかったね」
「ばーか」
 天さんが微笑む。俺はどうしようもない。ああ、俺本当にこの人のこと好きなんだなって、ずっと傍にいたいんだなって思って、そういう陳腐な言葉しか出てこないぐらい好きで、笑えるぐらい好きで、やっぱりへらへら笑うしかなかった。 
「いいんだ、まだ時間はあるから、ダメだからって別れたいってわけじゃないし―」
「いいよ、住む住む。全然住む。俺主夫になるから大丈夫。結婚する」
「は」
 天さんは鳩が豆鉄砲食らったような顔をしている。まるで付き合うことを決めたときみたいだ。俺はへらへら笑う。白鳥のバーカって思いっきりにくったらしく言ってやりたい気にもなるし、反対に、あいつにも幸せがくるといーな、なんてことも考える。 
 いてもたってもいられなくて、天さんに抱きつく。日中うごきまわって暑かったのかシャツの襟ぐりからかすかに汗と、俺が誕生日にあげた香水の香りがした。そのままベッドに倒れこんだ。俺あんなに女の子のやわらかい感じが好きだったのに、今じゃこのごつごつしてる感じっていうか天さんが本当に好きなんだなって、何度も何度も飽きることなく思う。
この人とだったら、そのうちミックスベジタブルも箸でうまく食べられるようになるんじゃないかって思う。たぶん、そうなると思う。
 かすかに吐息に熱をもった天さんが、俺を引き離す。目はなんとなく欲情していて頬も赤い。 
「お前いつもそうやってへらへらするけど、わかってんのか?俺たち男で―」
「え?俺もう、両親には付き合ってんのが男だって言ってるよ?」
「あ?」
「留年するって決まったときに実家行って、ついでに言ってきたよ。言わなかったっけ?よかったわねえ、一緒にいてくれる人がいてって言われた」 
 天さんの顔は違う意味でどんどん赤くなっていく。目が潤んでる。泣きたいぐらいに恥ずかしいのか、嬉しいのかよくわかんないけどとにかく我慢できないので、そのまま無理にキスをした。避けられるかと思ったものの、案外天さんも乗り気で何度となくキスを繰り返した。 

 ぱちっと目が覚めて、予想以上の空気の冷たさに蒲団にもぐる。隣にはもちろん天さんがいて、俺は起こさないように時計を確認する。5時29分。早い。天さんは寝てる。まぶたは相変わらず重く、けれど頭は案外スッキリしている。このままいろんなことを考えていたらそのうち目が覚めるのではないかと思ったけれど、そこはさすがの「眠り猫」、気づいたら、俺は天さんと手をつないでミックスベジタブルで埋め尽くされた花畑みたいなところの上、へらへら笑いながら空を飛んでいた。目指すは、二人でも平気で寝られるキングサイズのベッドだった。

END

奥付



ラブ☆イーチアザー


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著者 : こんにゃく
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