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2-1



 風が恐いと泣く弟と添い寝するようになったある日。響は寝ている若葉を抱き締めていた。長期休暇のたびに会う弟はいつも数ヶ月前より愛らしく、麗しく育っていた。第二次成長期を迎えた弟は誰よりも美しかった。若芽のような芳しい薫り。シルクのような柔らかい髪。新緑のような吐息。風に震え、雷の音に悲鳴をあげ、涙で濡れる睫毛。そんな弟が、兄である自分の腕の中で安心しきっている。安らかな寝息をたてて、響の胸に顔を埋め、眠っていた。

 ――いつからだろうか。そんな若葉に情欲を抱くようになってしまったのは。

 響は何度も自問自答した。愛らしい弟を自分のものにしたいという独占欲。それが性欲に変わったのはいつからだろうか、と。
 夏休みの夜。外は台風が吹き荒れ、窓を揺らしていた。そんな中、弟・若葉の部屋へと響は向かった。久しぶりに会った弟は以前と変わらず部屋の中で涙を浮かべながら蒲団を被っていた。ベッドの中に滑り込み、弟を抱き締める兄。震えながら兄にしがみつく弟。
 響は胸の高鳴りを押さえながら、若葉を抱き締めた。
 小さかった弟が、いつしか射精を覚えた。
 小さかった愛らしい弟が美しい青年へと変化していく。
 誰にも渡したくない。そんな気持ちがどんどん募っていった。歪んだ愛だとわかっていても、気持ちを止めることが出来なかった。
 若葉が誰かに好意を持たれることが許せなかった。愛しい弟が誰かと付き合うと、すぐにカッとして、相手を奪った。弟との仲を引き裂いた。そして屈辱を与え、ゴミのように捨てた。
 そんな日々が続いたある夜。
 若葉はいつものように安心しきって響の腕に包まれて眠っていた。
 外は台風が吹き荒れ、雨が窓を叩いていた。

2-2

 蒲団に充満する新緑の薫り。そして響が漏らす漢の匂い。寝ている若葉のペニスに、そっと自分のペニスを重ね、響はオナニーをしていた。
 雷が鳴る。雨音が激しくなる。
 そんな夜。
 響は我慢出来なくなり、若葉をそっと腕から下ろし、蒲団の中へと潜った。
 そして弟のペニスを探る。まだ寝ている膨らみをそっと寝間着から出し、口に含んだ。
「ん……」
 若葉が小さく喘ぎ、腰を動かす。響は体をびくっと震わせ、ペニスから口を離した。しかし弟はそのまま優しい寝息をたてながら眠ったままだった。
 響は再び、若葉のペニスを舐めた。くんくんと匂いを嗅いだ。まだ少年の薫りがする。舐めると寝ていたペニスは若者らしく直ぐ様反応し、みるみる硬くなった。
 響はあまり音をたてないように口に含み、味わった。舌をぬるぬると動かし、愛しい弟のペニスに絡ませる。味わう。先っぽから漏れる愛液を舐めた。
 あの時の幸せを響は一生忘れないだろう。興奮した弟が漏らしたラブジュースが舌の上に垂れる。もっと欲しい。もっと、もっと。
 兄弟で悪ふざけをし、飲んだ精液ではなく、自分の手によって弟のペニスを興奮させ舐めた先走り汁。
 響は悦びに体を震わせ、さらに若葉のペニスを弄り、勃起させた。
「……ん……あ……」
 寝ている弟が静かに喘ぐ。だからといって起きる様子はなかった。なにか淫猥な夢を見ているのかもしれない。
 響は静かに若葉のペニスをしゃぶりながら、その声を聞いた。
「……あぁ…………」
 若葉はこんなにも色っぽい声をあげるのだと知り、響は体を震わせた。誰かと寝る時もこのような声を出して、相手を誘惑するのだろうか。そう考えただけで響の胸は嫉妬に燃えた。
 若葉への想いは響の舌使いを一層激しくさせた。男が気持いい場所を彼は舐めた。咥えた。すると弟の体が益々緊張し始めた。
 愛しい若葉が震える。そしてペニスが膨張する。響は硬くなったペニスを喉の奥へと咥えた。
 若葉の興奮は弾け、響の口内へと噴出した。
 響はちゅううっと吸い、綺麗に舐め取ると急いで寝間着を元に戻し、蒲団から顔を出すのだった。そして再び、若葉をそっと抱き締めた。
「……あ……」
 若葉がうっすらと目を開ける。そしてはっとし、ズボンの前を押さえた。
 響は目を閉じたまま、寝たふりをした。
「あ、あれ……? あ、大丈夫? ……かな?」
 若葉は赤面しながら、もぞもぞとズボンの中を触り、ほっとした。
 響は寝たふりをしながら、若葉の様子を伺う。
 若葉は薄いライトの中、じっと響の顔を見ているようだった。そして暫くすると響の頬に自分の頬をすりすりと合わせ、そっとキスをして眠りに落ちてしまった。
 響はそんな弟への愛がまた深まり、ペニスを硬くするのだった。

3-1



 脱衣場で若葉と視線を絡ませ、まるで弟への秘めた愛欲が見透かされているように響は感じた。
 体がカッと熱くなった。腸の中へと注入された特別仕様のローションが響の脳を刺激する。ジョンの精液と混ざり合い、いやらしい兄の情欲を加速させる。
 前屈みになったまま、響はびくっと体を震わせた。若葉から目が離せない。弟の興奮したペニスが隠された思い出をフラッシュバックさせる。
 響の体がぱぁっと鮮やかに輝き、甘い蕩けるような薫りが脱衣場に広がった。小さな恥ずかしがり屋の蕾がぷるぷると震え、中から艶めく愛液が溢れてきた。
 その姿、匂いを嗅いだ雄達は、猛獣のように性欲を昂ぶらせた。

3-2


 そして……。

「あっ……!」
 響のつるつるした桜色の尻に三鳥井が触れた。
 手がすっと流れる。
 指が響の蕾に触れる。
 濡れ、またジョンに解(ほぐ)された柔らかい蕾は、太く長い男の指をあっさりと受け入れてしまった。
 三鳥井がびくんっと体を震わせ、瞳を淫猥(いんわい)に輝かせる。
 経験豊富な指がぬるっと響を犯す。熱く燃えたぎる響の体の奥へと。そして感じやすい場所に触れた。脈動する響の体は、指の感触を何倍、いや何百倍の快感へと変化させた。
「あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」
 響は高く淫靡(いんび)な声をあげ、三鳥井のフィンガーテクによって、同業者の男達、そして尊敬する上司・円青樹と愛する弟・伊藤若葉の目の前で激しく乱れ、射精した。
 三鳥井の太い指が、ぬるぬるり、と抜かれた。
 響の瞳が涙で濡れる。ペニスから白濁の液が放たれ、赤い絨毯を汚した。
 三鳥井の興奮した、はぁ、はぁ、という息が響の耳に木霊する。
 脱力した響の体は三鳥井に抱きかかえられた。
 そして三鳥井の熱い勃起したペニスが、響の濡れた蕾に触れる。
 可憐な蕾が無理矢理引き裂かれようとした。大きなカリがぬいっと情欲に濡れた蕾を広げる。
「ああっ!」
 響が大量の涙を流しながら、色っぽい声をあげた。

3-3

「やめろ!」
 その時、円青樹が三鳥井を制止し、響から引き離した。倒れそうになる響を、飛び起きて駆け寄ったジョンが抱きかかえる。
 野獣のように瞳をぎらぎらと輝かせた三鳥井は興奮したまま響に手を伸ばした。だがその指先はピンクパールにあと少しのところで届かなかった。
 ぱんっという風を切るような音が脱衣場に鳴り響く。
「三鳥井、なにをやっているんだ! 気は確かか!? お前、そんな強引なことをして名波が怪我をしたらどうするんだ! コカ、名波を至急医者にみせてくれ!」
 円が三鳥井を押さえながら頬をひっぱたき、すぐさまジョンへと指示を出した。
「私が名波ちゃんを見るよ。さっ、こっちへおいで」
 はらはらと涙を流す響を、ジョンはマッサージ用ベッドへ向かうよう促した。
「あ……待って……まってくれ、響。俺、そんな事をするつもりはなかったんだ。ちょっとお前のケツに触ろうとしただけなんだ。そうしたら指が……菊門に触れて……その……とても柔らかくて気持ちがよくて誘われるように中にぬるっと入れちまって……そうしたら……脈動していて……熱くて……もっと奥へ、奥へと引き込まれて……指にお前が纏わり付いて……もう響のことで頭が一杯になっちまった……お前を抱きたくなった……俺のモノにしたくなって……すまん、俺……響、悪かった! 本当にすまなかった!」
「もう、二度と私に触るな!」
 響は涙で濡れる瞳に怒りを宿し、三鳥井を見た。
「そんな瞳で睨まれても……俺はお前が愛しくてたまらない」
「うるさい!」
 響は俯きながら怒鳴った。
「名波さん、大丈夫……」
 響に触れようとする若葉の手を、響は軽く弾いた。
「あ……」
「あ……」
 響と若葉が泣きそうな顔をしてお互いを見る。
「ご、ごめん、伊藤君……。今は私に触れないでくれ……」
「………………はい……名波……さん……」
 若葉は悲しそうに唇を噛み、俯いた。


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