閉じる


<<最初から読む

11 / 31ページ

1-2

「うわ~、名波さんの肌、ピンク色に輝いて綺麗!」
 牧歌れもんが驚きの声をあげた。皆の視線が頬を染め俯く響に集まる。
 響はびくんっと体を震わせた。
「これが東洋のピンクパールと呼ばれてる所以(ゆえん)なんだ~。近くで見ると凄い! 正直、ボク、この目で見るまでマル秘レポートに書かれた名波さんの噂が信じられませんでしたよ~。10ページにも渡って名波さんの渾名(あだな)が書かれていて、なんだこりゃって思いましたもん」
 れもんが響の肌をじっと見た。
「くだらない調査報告書を作成する暇があったら、もっと仕事をしろと君の部下に伝えておけ」
 響は赤くなりながら、少し呆れた声で言った。
「僕も今回の旅行で初めて見ました。名波さんってきちんとなさっていて、あまり隙を見せない方なのに珍しいです」
 朝比奈三也(あさひな みつなり 愛称あさひ)が不思議そうに響を見る。
「俺は何度か見た事があるけど、そういう時って大抵何かのプレイ中だ。最初はなんで円さんもいるこの旅行中にそんな目にあっているのか分らなかったんだが……きっと名波がサンガ君に手を出したのがバレてコカに折檻されたとかそんな感じだろ」
 三鳥井がにやにや笑いながら、響を嘗(な)めるように見た。
「お、お前は何を言っているんだ」
 響が慌てふためきながら三鳥井を睨んだ。
「あはは、図星か」
「なんです、その話」
 大同夢彦が興味津々な顔をして周りを見渡す。
「名波さんがね~、飛行機の中でサンガ君に悪戯してたらコカさんが来てね~、二人にサンガ君が弄(もてあそ)ばれたんだって!
 ボク、サンガ君から直接聞いちゃった!」
 れもんがきらきら目を輝かせながら言った。
「うわ~、凄い萌えシーンですね。後でサンガ君から詳しく聞こう」
 大同が水着を脱ぎながら言った。
「その話、俺も聞きたい」
 円がにやにや笑いながら響を見た。
「……興味があるのでしたら、今夜お話しますよ。別に大したネタじゃありませんけどね」
 響がちらっと円を見る。目に飛び込んでくる円青樹の漢らしいペニス。ごくりっと喉を鳴らし、響は慌てて目を伏せた。
「ほおっ……。それにしても凄いですねぇ。肌がピンク色に輝いて、まるでベルガモットの華みたいだ。円さんは綺麗所をお持ちで羨ましいですなぁ」
 大同が感嘆の声をあげる。
「何度も一緒に出張へと行ってるが、俺もこんな名波は初めてみたよ。不思議な肌の色だな」
「『性的に興奮すると肌がピンク色に輝く』って報告を受けたんだけど……名波さんって、今、コーフンしてるんだぁ」
 れもんが意地悪そうに笑った。
「れもん君、名波響のコト、よく知ってるっスね」
 サンガが感心した表情でれもんを見る。
「そういうのがボクらエージェントの仕事でしょ? サンガ君」
「え? そうなんスか!? 自分、いまいち仕事の内容、分ってないっス」
「まぁ、れもん君は札幌家の養子になったから情報量が違うよね。ぼくも名波さんの情報なんて、伊藤苑研究員助手ってことぐらいしか知りませんよ」
「え? 大同さんもそうなの!? あ~、でもさ、ボクも名波さんのことを知ったの、つい最近だもんね。札幌家の養子になってからだよ。やっぱり札幌家と牧歌家の情報量は大分違ってた。そもそも牧歌家には一研究員助手の素性を調べるほど予算はなかったしね。さらにわざわざ調べ上げた結果が、たかだか渾名の羅列でしょ? 札幌家も予算使ってなにやってんだよって思ったんだけど、先程、R氏と親しい名波さんを見てその重要性がわったカンジ!」
「名波は別にR先輩やセレブ達を体で籠絡していたわけじゃないぜ。こいつの肌がピンクに輝いている時なんて、俺だってコカの私室でしか見たことがないしな。だから東洋のピンクパールだなんて『噂』でしかないんだよ。れもん君の部下は噂が気になって仕方がなかっただけだろう。今日はこいつ、普段と違ってちょっと様子がおかしいから……余程の事があったんだろうな」
 三鳥井が響のピンクに染まった背中を見る。

1-3

「あ……あの……すいません……俺達が……無断でコカさんのベッドルームを借りてしまったからッスかね」
 サンガがしょぼんっと俯く。
 一同がぎょっとして響を見た。
 リクライニングチェアに座るジョンがにやりっと笑う。
 響はまずそうな表情をして、唾を飲み込んだ。
「あ……コカ、すまん。うちの名波が迷惑をかけた」
 円がジョンに深々と頭を下げた。
「ご、ごめんなさい……コカさん……」
 若葉が声を震わせてジョンに詫びる。
「別に君達が謝る必要はないヨ。元々名波ちゃんにはうちのどんな部屋へも自由に出入りしていいと伝えてあったし、彼には十分謝罪をしてもらった。ねぇ、名波ちゃん」
 ジョンは響に優しく微笑みかけた。
「ああ……。本当にすまなかった」
 響が暗い声で呟いた。
「そりゃあ……コカが怒るはずだ。名波の様子が変なのも理解出来たぜ。いわゆる羞恥プレイってやつか。お陰で俺は色っぽい響ちゃんを近くでずーっと見られてお得な感じだけどな。瞳は潤んで物欲しげだし、乳首はつんっと勃ちっぱなしだし、興奮して肌はすぐ艶やかに染まるし、ペニスは半勃ち状態。あまりの色気に魅了されて、俺も勃起しっぱなしだよ」
「そ、そんないやらしい目で見るなよ、三鳥井」
 響はぴくんっと体を震わせて、ちらっと三鳥井を見た。そしてどうしても彼のペニスに目がいってしまう。太く長く硬く勃起したペニス。あれをそっと触って、舐めて、咥えて……。そこまで想像し、響は真っ赤になって視線を逸らした。
「お前だって今、めちゃくちゃエロい目で俺の一物を見ただろうが。……舐めたくなったのか?」
 三鳥井がにやにやと笑って、自分のペニスを握りぶんぶんと振る。
「それとも入れられたくなったとか?」
「ば、ば、ば、馬鹿なことを言うな! まったく円さんや伊藤君がいる前で、下品な奴だな」
「いや、名波、別に俺のことは気にしないでいいぞ。今日はオフだしな。名波と三鳥井がそんなに仲が良かったなんて知らなかったから、少し驚いたが」
「ちょっと待ってください、円さん、誤解です。私と三鳥井は友人ですが、別に肉体関係を持ったことなどありませんよ」
「これから持つ予定だろ? ここを響ちゃんが鎮めてくれるんだよな」
 三鳥井がにやにやと笑いながらペニスを振る。
「お前も調子に乗るなよ、三鳥井」
「欲しいくせに。さっきからお前が俺のペニスを盗み見ているの、知っているんだぜ?」
「そりゃあお前に限らず、見てるだけだ。こんだけハンサムな男達に囲まれているんだから当たり前だろ。例えば可愛らしいれもん君の一物がとてもレモンに似てるとかな」
「ひっど~! 人がちょ~気にしていることを! 鬼! 悪魔! 名波さんの意地悪!」
 れもんが抗議すると、響があははと笑った。
 そう、冗談を言っていれば気が紛れる。体の興奮も徐々に治まっていくだろう。そう響は思いたかった。

 しかし。

 暖かい蒸気と共に薫ってくる男達の興奮した匂い。髪の毛に、耳に、頬に、うなじに、肩に、背中に、腕に、腰に、尻に、腿に、足首に絡み付いてくる野獣のような視線。
 早く水着を脱げとせかすような圧力。
 男しかいない更衣室や脱衣場ではいつもそうだ。遠慮せず、性欲を隠すことをせず、何人もの男達がいやらしい視線を向けてくる。ペニスを勃起させ性欲をアピールしてくる。視姦という言葉が響の脳裏に浮かぶ。
 響はごくりっと唾を飲み込んだ。
 ばっと脱げばいい。恥ずかしがったら負けだ。
 だがどうしても水着を脱ぐことが出来なかった。
 タオルを巻いたらどうだろう。だが愛らしい弟が堂々と性器を見せて立っている今、兄の自分がタオルで隠すのも変な感じがした。

1-4



 ――これ以上、円室長や若葉を待たせるわけにはいかない。

 響は羞恥心に体を震わせながら、水着に手をかけた。そしてゆっくりと下ろす。手がぷるぷると震える。
 前屈みになった響は一層体をピンク色に染めた。恥ずかしさが体中を駆け巡る。勃起したペニスが硬さを増す。先端から先走る淫水が漏れる。その恥辱を隠すような仕草をしたのだが、逆に桃色に染まった可憐な尻を皆の前に突きだし、愛らしい小さな艶やかな蕾を曝け出してしまっていた。
 ジョンに特別なローションを注入され、何度も種付けされた響のアナル。
 その後の腸内洗浄は許されず、響はきゅっとアナルを自らの意志で閉じるしかなかった。油断をし、性的な興奮を覚えるとすぐに腸内は熱く燃え、アナルから白い愛液が漏れ、水着を濡らし続けていた。水着の内側は汚れ、彼が水着を脱ぐと、小さな蕾からつうっと透明な粘液が零れ、水着との間にきらきらと輝く細い糸を引いた。
「ほう……美しいですね……」
 素直な大同が響の麗しさを賞美した。
 あさひは蛇のように妖しく瞳を輝かしながら響を見る。そしてごくりっと喉を鳴らした。
 サンガは瞳を潤ませ、真っ赤になりながら、もう手が届かない憧れの人を見た。
 優しい笑みを浮かべるジョンはリクライニングチェアに座りながら、マッサージ師達に肩や脚や腕を揉ませていた。
 響は片方の足を上げ、水着を脱ぐ。あと少しだ。緊張がほぐれた瞬間、彼はついうっかり弟の若葉を見てしまった。

 ――あ……。

 若葉は顔を真っ赤に染めながら、兄である響を見つめていた。その若々しいペニスは勃起し脈動し、物欲しそうに天を仰いでいた。
 ――若葉が私を見て興奮している……?

 何度も見たことがある愛らしい弟の興奮したペニス。それは家の風呂場でおどけて精液のかけっこをした時だけではなかった。


2-1



 風が恐いと泣く弟と添い寝するようになったある日。響は寝ている若葉を抱き締めていた。長期休暇のたびに会う弟はいつも数ヶ月前より愛らしく、麗しく育っていた。第二次成長期を迎えた弟は誰よりも美しかった。若芽のような芳しい薫り。シルクのような柔らかい髪。新緑のような吐息。風に震え、雷の音に悲鳴をあげ、涙で濡れる睫毛。そんな弟が、兄である自分の腕の中で安心しきっている。安らかな寝息をたてて、響の胸に顔を埋め、眠っていた。

 ――いつからだろうか。そんな若葉に情欲を抱くようになってしまったのは。

 響は何度も自問自答した。愛らしい弟を自分のものにしたいという独占欲。それが性欲に変わったのはいつからだろうか、と。
 夏休みの夜。外は台風が吹き荒れ、窓を揺らしていた。そんな中、弟・若葉の部屋へと響は向かった。久しぶりに会った弟は以前と変わらず部屋の中で涙を浮かべながら蒲団を被っていた。ベッドの中に滑り込み、弟を抱き締める兄。震えながら兄にしがみつく弟。
 響は胸の高鳴りを押さえながら、若葉を抱き締めた。
 小さかった弟が、いつしか射精を覚えた。
 小さかった愛らしい弟が美しい青年へと変化していく。
 誰にも渡したくない。そんな気持ちがどんどん募っていった。歪んだ愛だとわかっていても、気持ちを止めることが出来なかった。
 若葉が誰かに好意を持たれることが許せなかった。愛しい弟が誰かと付き合うと、すぐにカッとして、相手を奪った。弟との仲を引き裂いた。そして屈辱を与え、ゴミのように捨てた。
 そんな日々が続いたある夜。
 若葉はいつものように安心しきって響の腕に包まれて眠っていた。
 外は台風が吹き荒れ、雨が窓を叩いていた。

2-2

 蒲団に充満する新緑の薫り。そして響が漏らす漢の匂い。寝ている若葉のペニスに、そっと自分のペニスを重ね、響はオナニーをしていた。
 雷が鳴る。雨音が激しくなる。
 そんな夜。
 響は我慢出来なくなり、若葉をそっと腕から下ろし、蒲団の中へと潜った。
 そして弟のペニスを探る。まだ寝ている膨らみをそっと寝間着から出し、口に含んだ。
「ん……」
 若葉が小さく喘ぎ、腰を動かす。響は体をびくっと震わせ、ペニスから口を離した。しかし弟はそのまま優しい寝息をたてながら眠ったままだった。
 響は再び、若葉のペニスを舐めた。くんくんと匂いを嗅いだ。まだ少年の薫りがする。舐めると寝ていたペニスは若者らしく直ぐ様反応し、みるみる硬くなった。
 響はあまり音をたてないように口に含み、味わった。舌をぬるぬると動かし、愛しい弟のペニスに絡ませる。味わう。先っぽから漏れる愛液を舐めた。
 あの時の幸せを響は一生忘れないだろう。興奮した弟が漏らしたラブジュースが舌の上に垂れる。もっと欲しい。もっと、もっと。
 兄弟で悪ふざけをし、飲んだ精液ではなく、自分の手によって弟のペニスを興奮させ舐めた先走り汁。
 響は悦びに体を震わせ、さらに若葉のペニスを弄り、勃起させた。
「……ん……あ……」
 寝ている弟が静かに喘ぐ。だからといって起きる様子はなかった。なにか淫猥な夢を見ているのかもしれない。
 響は静かに若葉のペニスをしゃぶりながら、その声を聞いた。
「……あぁ…………」
 若葉はこんなにも色っぽい声をあげるのだと知り、響は体を震わせた。誰かと寝る時もこのような声を出して、相手を誘惑するのだろうか。そう考えただけで響の胸は嫉妬に燃えた。
 若葉への想いは響の舌使いを一層激しくさせた。男が気持いい場所を彼は舐めた。咥えた。すると弟の体が益々緊張し始めた。
 愛しい若葉が震える。そしてペニスが膨張する。響は硬くなったペニスを喉の奥へと咥えた。
 若葉の興奮は弾け、響の口内へと噴出した。
 響はちゅううっと吸い、綺麗に舐め取ると急いで寝間着を元に戻し、蒲団から顔を出すのだった。そして再び、若葉をそっと抱き締めた。
「……あ……」
 若葉がうっすらと目を開ける。そしてはっとし、ズボンの前を押さえた。
 響は目を閉じたまま、寝たふりをした。
「あ、あれ……? あ、大丈夫? ……かな?」
 若葉は赤面しながら、もぞもぞとズボンの中を触り、ほっとした。
 響は寝たふりをしながら、若葉の様子を伺う。
 若葉は薄いライトの中、じっと響の顔を見ているようだった。そして暫くすると響の頬に自分の頬をすりすりと合わせ、そっとキスをして眠りに落ちてしまった。
 響はそんな弟への愛がまた深まり、ペニスを硬くするのだった。


読者登録

藤間紫苑 FujimaShionさんの更新情報・新作情報をメールで受取りますか?(読者登録について