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 飛行機を降りて赤い絨毯の上を歩く名波響。
 その艶っぽい姿はビーチにいるセレブ達を魅了した。頬を染めながら見つめる者。ヒソヒソと噂話をする者。にやにやと笑いながらビデオを回す者もいた。
 立って歩いてみると腰や体中が痛く、辛い。響は少しふらつき、顔を顰(しか)めた。
 そこへモデルや財界人、また富豪のご婦人達が歩いてきた。無視するわけにはいかない。かといってこのレッドカーペットから出たら拉致されかねない。響は絨毯の端に立ち、ご婦人達を迎えた。
「響、お久しぶりね」
「ハイ、響」
「どうしたの? また悩ましい姿をして」
「奥様ったら……知っていらっしゃる癖に。ジョンにまた意地悪されたのよねぇ。可哀想だわ」
「桜色の乳首をこんなに興奮させながら歩いているなんて。一体今までジョンに何をされていたのかしら」
 ほほほほほっと婦人達が笑う。
「今夜は私のベッドにいらっしゃいよ」
「あら、抜け駆けはいけないわ。響、私の別荘にいらっしゃい。夫も貴方と寝たがっているのよ」
「貴方のペニス、本当に素敵。味わってみたいわ」
「水着はいいわね。ラインがくっきりと見えてよ」
 婦人達は次々と響にキスをし、体中に触れてくる。しかし決して絨毯の内側には入ってこないのだった。
 響は醜態を晒す前に離れようと思い、すぐにお辞儀をし、若葉達の元へと向かった。
「響、久しぶりだな」
 遠くから声がする。Rの声だ。桁違いのセレブリティー。会いたくなかったが無視することは絶対に出来ない。
 声がした瞬間、響はRへと体の向きを変え、深々とお辞儀をするのだった。
「R先輩、ご無沙汰をしております」
「いいよ、そんなよそよそしくしないでくれ。私と響の仲じゃないか」
 どういう仲なのだ。そう響は思ったが笑顔を絶やさなかった。
「お会い出来て光栄で……むぐっ!」
 響はいきなりRに抱かれ、激しいキスをされた。彼は必死になって赤い絨毯から出ないように踏ん張った。しかし体格差がありすぎる。ひょいと持ち上げられたら簡単にはみ出してしまうだろう。
 だが絨毯の上から響や客人を拉致することをジョンが許さないのをRも知っていた。

 ライン上の攻防。

 口の中へと無理矢理入ってくるRの舌。太く長く、奥の奥まで犯されていく。響は多少抵抗するが、どの程度の抵抗までが許されるのか分らず、悩んだ。冷や汗が出る。少しでも不快な気持ちにしたら、明日にでも伊藤苑は無くなるだろう。ジョンではない男の舌を受け入れながら、響はそんな事を考えていた。
 緊張し、冷や汗が流れていた響の背中にRの手がつつつっと触れる。
 響は情けないことにぴくっと体を震わせ、反応してしまった。

 ――しまった!

 後悔しても遅かった。
 にやりと笑ったRは響の背中を撫でる。それから力強い左手の指でがっしりと体を押さえた。右手の太い指先が硬くなった乳首に触れる。感じやすい響の、さらに特別なジェルによって敏感になったピンク色の乳首を嬲る。
「……R先輩、あの……」
「なに? 響」
 乳首に触れないでください。この一言が出なかった。響は唾と一緒に言葉を飲み込んだ。
 体がますます反応していく。響は興奮する体を止めることが出来なかった。肌がさぁっと桜色へと染まっていく。ビーチからは感嘆の声が上がった。
「綺麗だね。本当に美しいよ、響。
 水着姿の君が一人で歩くなんて初めてのことじゃないか? いつもジョンが君を側に置いて護っているのにさ。彼を怒らせでもしたのかね? 辛いことがあったらいつでも私の元へおいで。大切にしてあげるよ。
 君の肌は興奮すると桜色に染まってとても美しいと聞いていたが、本当なんだね。興奮しやすくて感じやすくて……とても淫乱な子なんだって? 私のテクニックでどこまで乱れてくれるのか、楽しみだよ」
 背中に回ったRの左手が響の尻に触れ、撫で回す。繊細な谷間を上下し、水着越しにアナルをマッサージしてくる。
「あっ! 先輩……! その……」
 体中に走る快感と響は闘っていた。ここで少しでも身を捩ったら、Rが何をするか分らなかった。下手をすればジョンとの全面戦争覚悟で響を連れ去るかもしれない。響は唇をぎゅっと噛み締めながら、体中に湧き上がる快感を我慢した。
「なんだい? 素直になって言ってごらん」
 Rは響の水着をそっと下ろそうとした。ずり落ちた水着が膨らんだペニスに引っかかる。響は真っ赤になりながら水着を押さえた。
 男の逞しい右手が響の肌を優しく嬲りながら、水着の膨らみに触れる。
「君のペニスに水着上から触れる日が来るとはな。夢みたいだよ」
 Rは響の膨らんだペニスを指先でなぞり、形を際立たせた。
「日本人にしては大きいね。感度はどうかな?」
「先輩! そこは……!」
 水着の中にRの大きな右手が滑り込んできた。同時に左手がやはり水着の中へと滑り込んできて、アナルを直に撫で回す。長く太い男の中指が、ジョンの精子とジェルが零れ、濡れているアナルの中へとぬぬっと滑り込んでくる。
「あっ……ん……」
 響はたまらなくなり、艶っぽい声をあげ、体をふるふるっと震わせた。

 ――人前でここまでするだなんて……R先輩、酷い……。ジョン……助けて……。

 響はうっすらと涙を浮かべた。
 助けは来ない。
「素晴らしいね。君の喘ぎ声はなんて美しいのだろう。東洋の神秘ってやつなのかな」
 セレブ達の視線が集まる。綺麗な顔と冷たく笑った表情。どこまでRが手を出すか賭けに興じる者もいた。
「せ、先輩……」
「たまらないね……その瞳」
 Rはごくりと唾を飲み込んだ。
「響はその姿を自分で見たことがあるのかい? 男を誘惑している濡れた瞳。唇。声色。体……そして匂い。
 ふん、ジョンにスペルマを塗られまくったな。シャワーも浴びせさせずにこの姿のまま人前へ出すなんてね。あいつもよくやるよ」
 響はそっとRの体を押した。だがそんな力ではびくともしなかった。
「可愛いねぇ。私に抱かれて嫌がる仕草をしたのは君が初めてだよ。そうか、成程。これが抵抗ってやつか。これはいい。確かにいいな。ジョンもこれでは君に夢中な筈だ。ふふふっ、私達のような男に抱かれて抵抗する者などいないからな」
 Rは響に体を密着させ、耳元で囁いた。
「君を連れて帰りたいよ、響。もう一歩、こちらへおいで。その赤い絨毯の外へ」
 水着の中のペニスが優しく揉まれた。響の体がびくびくっと震える。
 Rは優しく微笑みながら、興奮し濡れた響のペニスを水着から出そうとした。

 ――助けて……ジョン。

 響の頬をダイヤモンドのような涙が輝きを放ちながら流れた。


 ブログ『伊藤君と円先輩』119本目に続く http://drink110.blog29.fc2.com/blog-entry-134.html