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先生、あのね。三

  ■先生、あのね。

 先生、私は先生に本当のことを打ち明けます。
 9年程前、私と家入一真君は、恋愛関係にありました。

 学生という立場にありながら、行き過ぎた行為だったと、今では深く反省していますし、ましてや学級委員長となった今、その過去は誰にも打ち明けてはならないものだと、今の今まで、ずっと私の胸の中にしまい続けてきました。

 けれども私は、本当のことを打ち明けることにしました。私と彼が過ごした日々のこと。9年前の彼のこと。なぜなら、先生に少しでも知って頂きたかったからです。

 ……彼が、昔から今の様に酒浸りでなかった、ということを。



 そもそも、私と家入君との出会いは10年前の夏でした。「ご近所さんを探せ!」という、今で言うインターネットの出会い系サイトで、私と家入君は知り合いました。
 ……せ、先生っ、誤解しないでください!!私は決して不純な動機で出会い系サイトに登録していたわけではないんです!もしかしたら家入君は不純な動機で登録していたかもしれませんが、私は違います!
 インターネット、IT、という単語が、やっと世間に広まりだした当時、我が家にいち早くやってきたキャンビー98というパソコンで、私はどうしてもポストペットが飼いたかった…。ピンクの熊、モモちゃんにメールを運ばせたかったんです。ソネットに申し込まなければモモちゃんを飼えないと思っていましたから、もちろんプロバイダはソネットにしました。人差し指で探り探りキーを打って、インターネットに接続、メーラーも準備万端、誰かがモモちゃんにメールを持ってきてくれるのを待ちました。けれども待てど暮らせどメールはこない…。それもそのはず、私のメールアドレスを知っていたのは、世界中で私一人だったからです。相手がいなければメールはこない、そこでEメールを使うには、といった具合に銘打たれたハウツー本を読み込んでみますと、「ご近所さんを探せ!」に登録するよう指南してありましたので、私は素直にそれに従った、それが全てのいきさつです。
 
 ……するとどうでしょう。当時17歳だった私のもとには、日本中のハングリーな中年男性からのメールが、集まる、集まる。あまりに過酷な労働を強いらるモモちゃんに不憫さを感じるほどでした。

 そんな中で、「芸術の話をしましょう」と一言だけ書いたクサいメールを送ってきたのが、当時21歳だった、他ならぬ家入君だったというわけです。数回メールを交わすうちに、話の内容というよりは、彼の言葉選びのセンスに惹かれ、私と家入君はとても仲良しになりました。結婚したのは、その1年半後です。

 私と家入君は、当時、福岡県は薬院の、1ルームマンションに二人で暮らしていました。私はジャズシンガーを夢見て音楽を学びながら、夜はロイヤルホストの厨房でアルバイトを。家入君はプログラマーとしてIT企業に雇われていたサラリーマンでした。(ちなみに、我が校の姉妹校であるペパボ学院の現学級委員長、佐藤健太郎君は、当時のうちから歩いて5分の、偶然にも同じ町内に住んでいたご近所さんでした。)

 先生、とても信じられないこととは思いますが、家入君は当時、お酒を全く飲めない体質だったのです。少しでも飲酒すると、すぐに顔が赤くなり、気持ちが悪くなるというので、お酒よりコーラを好んでいた程です。そんなわけで、今でこそ、ビジネスにおける人との出会いは夜の六本木、銀座、西麻布でお酒は欠かさない家入君ですが、当時、初めて佐藤健太郎君と会った日にも、二人が向かった先は、吉野家でした。

 お酒の代わりに、家入君が当時すっかり没頭していたのは、シーマンです。

 水槽の中の人面魚がふてぶてしく話しかけてくる、一世を風靡した育成ゲーム、シーマン。当初、私が家庭に導入したはずのシーマンを、気付けば家入君がすっかり気に入って、テレビにかぶりつく様にして育てていました。そして、ある朝、私が布団の中で目覚めたとき、家入君はテレビの前に座り、ゲームのコントローラーを握りしめて、肩を丸めて泣いていました。
 
 「シーマンが、死んだ。。。」



 ときには夜中、突如布団から飛び起き、家中の電気をつけて回り、
「リングの貞子が出てくる夢を見た。。。」
と真っ青な顔をして震えていることもありました。

 
 バーチャルな生き物の一生に、あれほど奇麗な涙を流すことができた家入君。
 バーチャルなお化けをあれほど恐れていた家入君。


 先生。あの頃の家入君は確かに、心の美しい、そして肝臓も美しい、汚れのない青年でした。

 
 家入君があのときの優しい気持ちを思い出してくれるその日まで、私は誠心誠意、学級委員長として努めようと思います。



 それでは、今日は、この辺で。


    学級委員長、家入明子。

先生、あのね。四

■先生、あのね。


 先生、今日は家入君が、遅刻してきませんでした。
 朝方、5時頃には、きちんと学校に登校してきたようです。

 今、やっとこの学級日誌でもって私の頑張りが諸先生方に認められ、学級委員長、家入明子はまさにこれから、そう、これからというときに、あえて遅刻をしないで登校してくる、家入君。先生、良識のある大人であれば、今このタイミングで当然のように、大遅刻、大酒、大虎……バックナンバーを顧みればもういっそ大便くらいの後押しがあっても良いのではないでしょうか。家入君が今、健全な児童になったところで一体全体誰得……はっ、なにっ、なんですかっ、いやっ、ぎゃあああああああああああ!!!!
 
 ……先生、たった今、委員長たるべき私の中に邪悪な悪魔が宿りました。しかし直ちに先日、授業で教わった不審者への対応、すなわち”いかのおすし”を実践しましたので私は無事です。”いかない”、”乗らない”、”大声で叫ぶ”、”すぐ逃げる”、そして”しらせる”。学校での学びは、今日も私を救ってくれました(感謝)。


 
 ところで先生、先生もご存知の通り、我が校の校則第32条では、生徒の基本的な身だしなみに関し、このように定められています。

「本校男子生徒が下着を購入する際は、どうしてもやむを得ない場合を除き、優先的、かつ積極的にファストファッションを利用すること。(無印良品までは可)」




 先生、家入君が、"DOLCE&GABBANA"と書かれた見覚えの無いボクサーパンツを履いていました。停学処分が妥当です。



  学級委員長、家入明子。

先生、あのね。五

■先生、あのね。


 先生、こんにちは。

 昨日雨が降ったせいか、今朝は通学路の紫陽花がとても美しく咲いていました。学校では喉の風邪が流行っているようですが、モー君はややお腹をこわしています。夢見ちゃんはこの暑さに多少疲れ気味です。私は葛饅頭を3つ食べました。みんな楽しく、穏やかに過ごしました。




  それでは今日はこのへんで。


   学級委員長、家……ちょっ、ちょっと家入君、やめてください、人の日誌を勝手に覗かないでください、勝手に読むなんて卑怯なこのゲスっ……え、せ、せめてトイレ行った手は洗って出直してっ……え、何ですか?ああ、僕の記録がない?ああ、言われてみればそうですが、言われなければ気付かないところでした。何しろあなたはあまりに遅刻、欠席が多い上に注意しても改善しようとしませんので、ついに興味、関心を失ってしまっていたようです……え?……えええ?……”思い出して、僕に興味を持っていたあの頃を”……?いきなりそう言われましてもそれはちょっと今となっては無理難題で……え?……”簡単に諦めるな、きっとやれる”……?なんでそんなふてぶてしい上から目線で……え?

   ”だって、投票で選ばれた、委員長だろ”……?
 

 
 先生、家入君にまだ興味を持っていたあの頃のことをお話しましょう、学級委員長、家入明子です。

 それはある夏の日のこと。我が校と提携している某幼稚園にて、幼児達を対象とした、ちょっとしたお祭りが開催されました。幼児達は、焼きそば、ポップコーン、綿菓子、ジュース、等と書かれたカードを持って、我々年長者の運営する露天を周り、お金の代わりにそのカードを差し出します。すると、お店の人がスタンプを押してくれるので、それと引き換えに品物を受け取ることができるという、ちょっとしたお買い物ごっこの様な、幼児達がとても楽しみにしているお祭りです。

 その日、家入君は幼児達のために焼きそば係をやることになりました。焼きそば係は、各クラスの問題児を含む男子数名から構成されており、各々役割分担がありますけれども、何しろ家入君は怖くて包丁を握れませんので、この日も当然の様に、積極的にスタンプ係をかって出ました。幼児のカードにスタンプを押し、パック詰めされた焼きそばを手渡す係です。
 ツーブロックにカットされた頭には水色の三角巾、優しさをアピールするエプロンも忘れずにつけました。(衣服が吐瀉物で汚れるのを防ぐためではありません。)
 
 さあ、楽しいお祭りの始まりです。
 
 幼児達が続々と焼きそば屋さんの前に列をなし、家入君にカードを差し出して言います。

 「やきそば、くださーい。」
 「スタンプ、おしてくださーい。」
 
 家入君は応えます。
 
 「はーい。スタンプ押します。カードに押しますか、……それとも君のおでこに押してやろうか……」
 「……。」

 幼児達は入れ替わり、立ち替わり家入君の元へやってきては、ぬるいジョークに難しい顔をして、焼きそばを受け取ると皆一様に、足早にその場を去っていきます。見かねた幼稚園の先生が、そっと家入君の側へ行き、声をかけました。
 「……家入君、そろそろ焼きそばを焼く係と交替しましょう。」
 しかし家入君は自分の仕事に誇りをもっていましたから、確固たる面持ちで答えました。
 「いえ、大丈夫です。僕はスタンプ係やります。」
 「遠慮しないで、せっかくですから、焼いてみませんか。」
 「いいえ、僕はスタンプ係で。」
 
 幼児達と同様に、今度は先生が難しい顔をして、その場を去っていきました。

 そんな中、今度はお父さんに手を引かれた一人の男の子が、家入君の焼きそば屋さんにやってきました。
 男の子は、元気な声で言います。 
 「やきそば、くださーい。」
 さあやるぞ、これが男の仕事だぞ、家入君は決意も新たに、意気揚々と言いました。
 「はーい。スタンプ押します。カードに押しますか、……それとも君のおでこに押してやろうかぁっ……!」

  すると、隣にいた男の子のお父さんが、おもむろに一言。

 「……いや、おでこはちょっと。困るんで。」
 
 その瞬間、家入君は静かに俯いて、そして応えました。

 「……ですよね……すみません。」 

 
 この日、外敵から子を守る親の愛、そして大人社会の厳しさ知った、家入君でした。

 

  それでは今日は、この辺で。


   学級委員長、家入明子。

先生、あのね。六

■ 先生、あのね。


 先生、上級生のミユキ先輩から体育館裏へ呼び出されたのはつい先日のことです。


 
 必ず一人で来る様にとのことでしたので、言われた通り、言われた時間、言われた場所に一人で参りますと、そこには紐の様なものを右手にしっかりと握りしめた、仁王立ちのミユキ先輩の姿がありました。

 「先輩、お待たせ致しました様で申し訳ありません。さて今日はいかがなさいましたでしょう。」

 先輩のお顔に、何かとてつもなく鬼気迫るものを感じましたので、私は恐る恐る尋ねました。すると、先輩が言いました。


 「……アンタ。聞けば学級委員長さんだって言うじゃない。」
 「はい。その通りです。私は学級委員長、家入明子です。」

 すると先輩は、コーラで脱色したと専らの噂の金髪、ワンレンの長い髪の毛を、額のあたりから左手でばさっとかき上げ、眉間に皺を寄せると、きっぱりとした口調で、こう言うのです。


 「……アンタ、馬鹿?」


 「……えっ!!??」
 思わずたじろぐ私、しかしそんな様子を気にも留めず、先輩は続けました。

 「アンタに教えてあげるわ。アタシはね、3年9組の、裏番よ。」
 「えっ!!……裏番とは何でしょう!?」
 「裏の番長だよ、馬鹿な子だね!!……学級委員長だなんだって、最近やたらいい気になってるアンタのために言っといてやるけどね。委員長なんてもんはね、なんてことはない、ただの”はずれくじ”なんだよ!」
 「ええっ……は、は、はずれくじ?!」

 先生、このときの私は、まさに頭のてっぺんに雷が落ちてきた様な衝撃を受け、ただただ呆然と立ち尽くしていました。ミユキ先輩は一体全体、何の恨みがあって私にそんなことを……。はずれくじ、とは一体全体どういう意味なのでしょう……。混乱する頭に、ミユキ先輩の声が畳み掛けます。

 「……そう、はずれくじよ。委員長なんて言われてちょっと先公にチヤホヤされるくらいで、結局はクラスのためにただ働きさせられる雑用係ってことよ!」
 「ただ働き……雑用係……!?ミ、ミユキ先輩、委員長の仕事は決してそんなものではありませんっ!」
 「そんなもんなんだよっ!……その証拠に、アンタ、右手に何も握ってないじゃないのさ。アタシの右手を見てご覧。……この紐が何だか、アンタには分かんないでしょう……?!」
 「そ、それはっ……確かに先輩の紐は最初から気になってはいましたが……くっ、わかりませんっ……一体、何なのですか、それは……。」

 「これはね……。」
 ニヤリ、と不適な笑顔を浮かべて、ミユキ先輩は誇らしげに言いました。
 


 「3年9組学級委員長、川中島マサルの財布の紐よ!!」



 「さ、財布の紐……!?」

 「……アタシはね、3年9組の裏番として、委員長・川中島マサルの言動を陰で操ると同時に、こうして日夜、マサルの財布の紐すらも握ってるってワケ。ところがアンタはどう?……ふふ、委員長なんて名ばかり、お宅のクラスの問題児なんて、まるでノーリードで野原に放たれたお犬様じゃない、アーッハッハッハ!厄介な雑用ばかり押し付けられて、何の力も持たない学級委員長、てんでお笑いだわっ!アッハッハッ!」

 勝ち誇ったかの様に高らかに笑うミユキ先輩……しかし、私はここで負けを認める訳にはいきませんでした。なぜなら、なぜかって、それは私が、学級委員長だからです。私にも、学級委員長としてのプライドがあります。……負けられない戦いがそ(略)!



 「ミユキ先輩、確かに、私の手の平には何も握られていません。それは事実として、潔く認めましょう。……ですが。」


 私は、静かに切り出しました。





 〜第七章に続く〜




先生、あのね。七


〜第六章からの続き〜


 「何よ、今更何だって言うのよ!」

 「……先輩、分かりませんか?私を見て、何も気付かないのですか?」
 はぁ、とわざとらしいため息をついて、やや語気を強めて、私は続けました。

 「確かに、先輩にはお分かりにならないでしょうね。……そんな時代錯誤の金髪ワンレンを、今時、静香さながらに執拗にかきあげ……ましてやミニ全盛期の今、セーラー服のスカートをそんな風にマキシ丈で履いているような先輩にはね……っ!」

 「……っ!ア、アンタ、このアタシに喧嘩うってんの?!そんなに痛い目見たいって言うのならっ……」
 とっさに左手をスカートのポケットの中に突っ込み、何かを探る様子のミユキ先輩。
 
 「ふふっ。どうせそのポケットの中にはカミソリの刃が一枚、いいえ、二枚程入れられているのでしょうが、こちらにはとっくに全てお見通しですよ、ミユキ先輩。……まだ分からないのですか?今日日、そんなファッションは流行らないということ!」

 「くぅっ……!」
 唇を噛み締めるミユキ先輩に、今度は私が攻め込む番です。

 「それでは委員長たる私が、先輩に教えて差し上げましょう。今年の流行りは、”オールインワン”に”ダンガリー”、そして……。」
 「……そ、そしてっ!?」

 「……そしてこれ、ヘッドアクセサリーです!……ねえ、先輩。黒字に程よくゴールドの文字のアクセントが効いた、存在感満点のこの私のヘアバンドを、今こそ良く見てみて下さいな……。」

 「……ド、、DOLCE&GABBANA……小娘のくせに生意気にD&G……はっ、なにっ!?……もしやそれはっ……!」



 ……勝負ありました。

 勝ちを確信した私は、今までとはがらりと口調を変えて、そっと優しく、ミユキ先輩に語りかけました。



 「……そう。何を隠そう、私がごく自然体で頭につけていたこのヘアバンドは、我がクラスの問題児、家入君が校則を犯してまで入手していた謎のパンツの、ゴム部分です。ハサミでドーナツ状に上手くカットしましたので、一見、なんの遜色もないヘアバンドに見えたはずです。……あまりにさり気ないのでお分かりにならなかったかもしれませんが、ミユキ先輩、どうかご理解ください……学級委員長とは、そういうものなのです。」

 半開きにした口元をわなわなと震わせながら、何か汚らわしいものでも見る様なぎょっとした目で、こちらを凝視するミユキ先輩。ミユキ先輩の気持ちを思うと、何だか少し可哀想な気にもなりましたが、そこは気持ちを鬼にして、私は話を続けました。

 「……裏番である先輩の様に、児童の財布の紐を握り、陰で強引に恐怖政治を敷く。確かに、その様な手法を用いれば、あなた自身は何のストレスも抱えることなく、クラスを統治することができるかもしれません。……そして私は、決してそれが悪いとは言いません。何しろリードつきの首輪をつけられ、四つん這いにされ、背後から鞭打たれたり蝋を垂らされたりすることを、むしろ好む児童もいると聞きますから、結局のところお互いの利害関係が一致してさえいれば良いのだと思います。」
 そこまで言ってちらりとミユキ先輩に目線をやりますと、先輩はポッと頬を赤らめ、すぐさま私から目をそらしましたので、そういうことなのだと理解をし、更に話を続けました。


 「……ですが、我がクラスの問題児はと申しますと、さすがにそこまでのことは好みません。また、何より、私は学級委員長です。私が目指すべきゴールは、私が好きな様にクラスを統治することでなく、クラス全員がストレスなく、穏やかな気持ちで、健全な学校生活を過ごせること。そのために私がするべきことは、問題児の財布の紐を固く握ることではなく、むしろ問題児が大切にしているパンツのゴム部分をヘアバンド代わりに頭に飾り、あなたのことをいつもこんなにも思っていますよ、そして、もう二度と隠れて高級パンツを買ってはいけませんよ、と、至って平和的に、友好的に、そしてファッショナブルに訴え続けることに、他ならないのです。……ミユキ先輩なら、分かってくれますよね……?」



 ミユキ先輩は、終始うなだれ、私の話を聞いているのかいないのかといった状態でしたが、私が最後まで話し終わったとき、か細い声でそっと、呟きました。

 「……わかった、負けたよ。」
 


 爽やかな夕方の風が、ミユキ先輩の長い髪をふわりとなびかせ、吹き抜けて行きました。

 「……あーあ。この夏は、アタシも挑戦してみよっかな、その……ヘアバンドってやつにさ……。」





 先生、最後にそう言い残して、静かに去って行ったミユキ先輩の後ろ姿はとても凛々しく、輝いて見えました。

 


 それでは今日は、この辺で。

     学級委員長、家入明子。



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