閉じる


初雪

初雪
凍えるような冬を言葉で照らして
離れ離れになった二人を
優しく包んで

 

 

 

僕は君の前から 突然いなくなった
でも僕が死んだわけじゃない
生きているから 二人が望む限り
またどこかで出逢えるよ

 

約束して
どんなときも心はそばにいると
思い出の中の日々のように
もう隣にはいられないけれど

 

 

 


初雪
本格的な冬がやってくる
君と語り合ったささやかな思い出
古いコートの中に残ってる


あの学校にもまた 冬がやってくる
出逢いと別れは止まることがない
たとえ歩く道は違っても
この初雪が君の目にも届いてるかな

 

 

 

 

僕がいなくなってから
君が何を思ったかは
いいよ 聞かないでおこう
もう過ぎ去ったこと

 

どうか風邪引かないで
この道がもし
離れていく道であっても
約束して
どんなときも心はそばにいると
いつまでも君のために祈るよ

 

 

 


初雪
うっすら地面は白くなる
この季節になったら
あの日誓ったこと
夢の中みたいに思い出してる


加湿器

白い湯気を上げる加湿器を見ていた
乾ききった心で

 

この乾ききった日常を
加湿器で癒せたらいいのに
湯気を両手に浴びて 考えた

 

 

 

世界がときどき
停止している気がするんだ
誰も彼も白けた顔で 昨日と同じ動作を繰り返す
僕は昨日に立っているんじゃないかって
カレンダーと季節だけが虚しく
時間の経過を教えてくれる

 

 

 

白い湯気を上げる加湿器を見ていた
停止して見ていた

この乾いた日常に
足りないのはきっと「刺激」の湯気
加湿器の上で口あけて待ってた
乾きは 癒されない

 

 

 


刺激をくれ
生きる目標をくれ
目隠しをして歩いているみたいだ
目の前は昨日と同じ暗闇

 

 

 

誰の為でも
何の為でもない
乾ききって腐っていく日常
それでも日が昇るのは何の為

 

 

 

白い湯気を上げる加湿器を見ていた
白い湯気が頬を伝った


ヒーロー

僕は たくさんの命を犠牲にしてきたけど
あなたの命を救った そうでしょう

あなたは たくさんの命を犠牲にしてきた
でも僕を救った そうでしょう

 

誰もが一人じゃ生きていけないから
支えてくれるヒーローを求めるのに
求める人ばかり

 

 

 


あなたは たくさんの命を犠牲にしてきた
でもあのとき 一匹の虫を救った

僕は たくさんの命を犠牲にしてきたけど
あのとき 知らない誰かを支えた


小さなことでいいんだ つまんないことでいいんだ
なけなしの愛をはたいて 何かつまんないことをしよう
その誰かにとって あなたはヒーロー

 

 

 


僕は 多くの人にとって穀潰し
でも 誰かにとって最高のヒーロー

あなたは 多くの人にとって役立たず
でも 誰かにとって最高のヒーロー

 

なけなしの愛をなくさないように
自分と今日を大切にして
生きていればいつか見える その時が

 

 

 

あなたは 多くの人にとって 知らないシャイな人
でも誰かにとって
あなたはヒーロー


飼いネコの憂鬱

捨てないで
君に捨てられたら
僕はのたれ死にするだけ
ほかに何の能力もない

 

君に気に入られるためなら 何でもするよ
だから捨てないで

 

 

 

何で僕だけが
何の能力も持たずに生まれてきた?
卑怯じゃないか
生まれる前から 勝負はもう決まっていた

 

食糧がなくなったら
あとは飢えて死ぬだけ
毎晩
化けて出てやるよ

 

 

 

 

働く気もない
生きる気もない
死ぬ気もない
ただ飯がほしいだけ

 

捨てないで
僕は君の心に寄生してる

 

無駄だよ
何があっても
君は僕を捨てられない


幽体離脱

意識はない
体だけがゆっくりと前進している
意思というものもない
僕の魂は肉体を離れて
上空から僕だったものを眺めている

 

僕の体はどこへ向かって歩いているのか
側溝に落ちかけて また立て直す
これはまるで
幽体離脱みたいだ

 

 

 


虚しさが爆発して
遠くへ吹き飛ばされた
いつの間にか僕は魂になっていた

 

別に僕の体を救う義務はない
ただ逃れたかっただけ
ただ自由になりたかっただけ
重苦しい人の空気から


 

 

 

僕の体がガードレールにぶつかって折れる
壊れてしまえ
体などいらない
もう戻る気もない

 

これは幽体離脱なのか
ただの精神のかたまり
できるだけ遠くへ飛んでいこう
僕は生きて苦しめ続ける
誰かの人生を狂わせるまで…



読者登録

あめのこやみ(おけちよ)さんの更新情報・新作情報をメールで受取りますか?(読者登録について