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ご挨拶

 

ご挨拶


 本冊子は、2011年5月8日創刊のメールマガジン"World Business Trend Tracking"の試読版を兼ねたサマリーです。

 発刊より7ヵ月あまりで、すでに120本以上の海外発のニュースを解説とともに配信していますが、2011年締め括るにあたり、そのなかでもとくに日本人に知られていないであろう記事を12本集めました。

 この冊子をお読みいただき、同メールマガジンの狙い、希少価値、記事のレベルなどを知っていただければと思い、再編してお届けするものです。


 思い返せば――「ドラゴンズが優勝する年は世の中が荒れる」と言われているとおり――2011年は激動の年でした。そしてまた、2012年には日本経済と日本を取り巻く環境に大きな転換が起こると予測しています。

 そんな時期だからこそ、人よりも半歩先を読み、変化に備えることが、時代を乗り切って行くための糧となります。本メールマガジンがそのためのヒントとして、読者の皆さまにお役に立てるよう、ますます精進を重ねて参りたいと思います。


 本冊子が、2011年を振り返り、2012年に好スタートを切るための一助となれば幸甚です。


 読者の皆さまのますますのご健勝をお祈り申しあげます。


 2011年師走

"World Business Trend Tracker" 発行人:吉田克己




 


            "World Business Trend Tracking"

            ホームページ :http://www.facebook.com/TrendTrack

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目 次

【政治・経済】

 

 ■サイバー攻撃を防ぐための新インターネットシステムと監視社会

 

  Ex-C.I.A. Chief Says U.S. Should Create A New Internet To Avoid Cyber Attacks

  BUSINESS INSIDER (2011.07.07)

 

 ■貧困を突き崩せ――その秘けつは、現地の女性を技術者に育てることにある

 

  Many Afghans Shrug at 'This Event Foreigners Call 9/11'

  The Wall Street Journal (2011.09.08)

 

 ■米国の99%の人が感じる所得格差

 

  Income inequality in America - The 99 percent

  The Economist online - Daily Chart (2011.10.26)

 

【産業・技術】

 

 ■中古の音楽ファイル!? ええっ、そんなものが売れるの?

 

  What If You Could Legally Resell Your Digital Music? ReDigi May Have Found The Solution.

  TechCrunch.com(2011.10.14)

 

 ■混沌(カオス)の中からイノベーションが生まれる社会

 

  In an Open-Source Society, Innovating by the Seat of Our Pants

  New York Times (2011.12.05)

 

【仕事・教育】

 

 ■今後注目のエコビジネス分野トップテン

   ~新規事業立ち上げ、キャリア転向するならこの分野だ

 

  The 10 Top Sustainable Business Trends & Investment Opportunities for the Next Decade

  Huffington Post(2011.07.20)

 

 ■レンタルeBook教科書は財布にやさしい?

 

  Do e-Textbooks Help Students Save Money?

  FINALCIAL edge(2011.08.03

 

 ■ビル・ゲイツとGoogleが絶賛~教育界に新風を巻き起こす教育サイト創設者Salman Khan氏

 

  Web site offering free math lessons catches on‘like wildfire’

  Washington Post(2011.08.05)

 

【社会・生活】

 

 ■“MEN”が“育”するのは当たり前──家庭を救う、父親の育休・産休事情

 

  Women pay price for baby leave

  smh.com.au (2011.07.18)

 

 ■アメリカで2世帯住宅ブームの到来か~不況で親子同居が増加 

 

  Putting extended families under 1 roof

  Los Angeles Times(2011.11.05)

 

[番外]

 

 ■由来が言えればまだ救われる──“DQNネーム”はセレブもお好き?

 

  Victoria and David Beckham Name Their Baby Girl 'Harper Seven'

  TIME (2011.07.11)

 

 ■あなたも今日からスイス人? 「いいね!」は世界共通の住民票

 

  Swiss village Obermutten has more Facebook fans than residents

  Gadling (2011.09.30)


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最終更新日 : 2011-12-29 07:49:42

政治・経済-1

■サイバー攻撃を防ぐための新インターネットシステムと監視社会


[Headline/見出し]


Ex-C.I.A. Chief Says U.S. Should Create A New Internet To Avoid Cyber Attacks


[Media/掲載紙]


BUSINESS INSIDER (2011.07.07

(http://www.businessinsider.com/what-should-the-us-do-to-combat-cyber-security-threats-make-a-new-internet-of-course-2011-7#ixzz1RT6Qvxyc)


[the Original/原文]


 Michael Hayden, head of the CIA under former President George W. Bush, says the U.S. should create a totally new Internet infrastructure to thwart cyber attacks that increasingly plagues the current Internet.


 The proposed new system, with the domain name ".secure" instead of ".com," would get rid of the anonymity protected by the privacy guarantees of the Fourth Amendment. ...


[the Gist/要旨]


 ブッシュ政権の前CIA長官マイケル・ハイデンは、最近インターネット上で頻発するサイバーアタックを防ぐためには、米国はまったく新しいインターネットのインフラを作りだすべきと述べている。


 合衆国政府のテクノロジー利用状況をモニターしているメディア(Nextgov.com)によると、これまで使用していたドメイン名「ドット・コム」にかわって「ドット・セキュアー」を使用する方法とのことである。「ドット・セキュアー」にアクセスするためには、資格認証が必要となる。


 これは合衆国憲法修正第4条にある「プライバシーの保証」により保護されていた匿名性を取り除くことになるかもしれない。もちろん、合衆国政府、金融機関は、安全なインフラが背後にあれば、これまでのドメイン名「ドット・コム」を利用することを容認されるとしている。 


 何人かのサイバーテロ対策の専門家は、合衆国憲法修正第4条は、合衆国政府の情報テクノロジーを保護する妨げになるかもしれないとの懸念をもっている。それは、中国に代表されるような、ウィルスや政府にとって危険な対象物のため、すべてのインターネット利用をモニターする国々と同程度の厳しさになることを難しくしている、との見方である。


 他の懸念点は、新しいネットワーク「ドット・セキュアー」は大きすぎて管理できないというもの。重要な情報は一か所に集めることになるため、かえってハッカーが政府のコンピューターに侵入する助けとなるのではないかとの見方である。



[Comment/視点と解説]

 

 米国で展開されているサイバーテロを防ぐために今後どう対応するべきかの議論について、最近の動向をまとめた投稿です。その論点は2つです。


 ひとつはプライバシーを尊重する米国において個人の匿名性の保護と個人認証を必須とする新ドメイン名の導入による匿名性の喪失です。個人の匿名性を保護することにより自由に発言してきた米国民がどう反応するのかがポイントです。


 もうひとつは、ネットワークは分散することでリスクを小さくしていたにもかかわらず、新ネットワークでは認証する個人データを管理するシステムが大きくなると予想されることから、集中管理とせざるを得なくなり、かえってサイバーテロの対象になりやすいとの懸念です。


 米国では、憲法の方針から匿名性を保護しています。匿名により自由に自分の意見を表明できます。日本では匿名性を保護する明示的な意識はないようにみえます。逆に匿名性を利用した犯罪(マネーロンダリング、サイバーアタック)などの問題が生じている匿名性が持つ問題点へ目が向かいがちです。 


 個人情報の保護とネット犯罪の関係は、これまでもテーマとなってきました。各個人が所属している組織内のネットワークにアクセスするには、個人IDとパスワードが必要となることを経験した方も多いでしょう。われわれは、この時個人の匿名性を喪失していることについて、ほとんど違和感がありません。


 米国では、9.11を境に個人情報をあらゆる手段を使って入手する監視社会へ移行しています。私も金融機関に所属していたことがありますのでわかりますが、実感として金融犯罪への監視は厳しくなりました。例えば、国外へ送金した情報などはテロ対策のために把握されることが容認されています。


 もしネット上で意見を表明した人間を特定できることになれば、それは真の意味での監視社会となることは間違いないでしょう。と同時に、それは自由を標榜する米国が、社会主義の中国と同じネット監視体制をとるという皮肉な状況をわれわれは目の当たりにすることになるのです。


――西山昇(https://noborunishiyama.wordpress.com/



[Related Link/関連リンク] *option


Former CIA Director Build a New Internet to Improve Cybersecurity - Aliya Sternstein, NextGov.com - NationalJournal.com

(http://www.nationaljournal.com/nationalsecurity/former-cia-director-build-a-new-internet-to-improve-cybersecurity-20110707)


Five Reasons dot-secure Will Fail - taosecurity

(http://taosecurity.blogspot.com/2010/09/five-reasons-dot-secure-will-fail.html)


政治・経済-2

 ■貧困を突き崩せ――その秘けつは、現地の女性を技術者に育てることにある


[Headline/見出し]


Disrupting poverty: How Barefoot College is empowering women through peer-to-peer learning and technology


[Media/掲載紙]


Wired.co.UK2011.03.07

(http://www.wired.co.uk/magazine/archive/2011/04/features/disrupting-poverty)


[the Original/原文]


... She was embarking on an adventure she hadn't been entirely convinced about when the idea had been put to her several months before by a tall, distinguished-looking Indian man who had shown up in Uis Tsaurob one day. He had travelled 8,000km with a proposal for the local people: would they like to send some women from the village to his college in India to study for six months? But why, they had asked, should they travel so far? What would they learn there?


 The man replied that he would like to teach them to be engineers. The villagers talked among themselves and eventually decided that they would send three women. ...


[the Gist/要旨]


 ベアフット・カレッジ(裸足の大学)は、インドのラジャスタン州にある異色の大学だ。生徒は現地インドやアフリカ諸国の(孫すらいる年齢の)女性ばかり、講師は地元の農村出身者、カリキュラムは太陽光を利用した照明具や調理器の組み立て保守など、貧困地帯の農村に文字通り文明の灯りをもたらすもの。読み書きのできない者が多いため、パーツマニュアルでは何色かの帯を組み合わせて部品を識別するのだという。

 

 学長サンジット・“バンカー”・ロイは、中央官僚を輩出する超エリート校を卒業しながら、たまたま訪れた農村の貧困に衝撃を受けて社会運動に転じ、1972年に村の倉庫を格安で借り受けてこの教育施設を起ち上げた人物だ。

 

 当初は都会出身の専門家を講師に招き、現地の男性たちに技術を教えていたが、なかなかうまくいかなかった。そこで発想を転換し、技術を身につけた現地住民を講師に、女性を生徒にするように改めた。すると、歯車がうまく噛み合い、卒業生が身につけた技術を故郷の村に持ち帰る流れが定着したという。


 貧困地帯の開発モデルは、トップダウンで机上の空論を押しつけるやり方ではなく、地元住民によるボトムアップなものでなければならないと、ロイは力説する。



[Comment/視点と解説]

 

 アフリカを貧困から救えという呼びかけは、♪We are the world の昔から(いや、もちろんそれ以前からも)事あるごとに先進諸国で繰り返され、U2のボノ氏や黒柳徹子さんなど、長年慈善活動に取り組んでいる著名人も少なからず存在します。


 それも空しく、アフリカで貧困が続いていることもまた周知の事実です。


 先進国主導の開発計画が軒並み頓挫する理由を、現地の文化や事情をわきまえないトップダウンの押しつけだから、と学長ロイ氏が批判していることは要旨で挙げたとおりです。投じられた資金は着服され、現地人に自活力は身につかず、いつか白人が問題を解決してくれるという依存心に囚われたままとなります。


 そこでロイ氏が取り組んだのが、地元発のボトムアップによる開発モデルです。インド国内にくわえて、アフリカや世界各地の貧困国から累計15000人に及ぶ女性を生徒に迎えて技術訓練を施して現地に持ち帰ってもらい、その結果50万人もの人々が文明の恩恵に浴せるようになったといいます。なるほど、現地の人が技術を学んでそれを現地に根付かせることが成功の鍵であるようです。


 それはよくわかるのですが、しかし……なぜ女性なのでしょう?


 女性力を生かした成功例といえば、インドのお隣バングラデシュのグラミン銀行がつとに有名です。貧困層の女性に融資をすることで極度の貧困の解消と(無担保にもかかわらずに)高い回収率を同時に実現した仕組みです。


 ロイ氏は当初、都会の専門家を講師に招き、現地の男性を教育しようと試みました。ところが、講師は一定期間滞在するとキャリアアップを目指して都会に戻ってしまい、生徒は生徒で、身につけた技術を武器に、より高給の仕事にありつこうと都会に出ていってしまったといいます。


 そこで女性の出番となったわけです。女性なら家族を放って村から出ることはなく、しかも、孫のいる女性なら(大家族を前提とすれば)一定期間留学で留守にしても炊事洗濯などの家事の担い手が一家からいなくなることもありません。その発想の転換が、ベアフット・カレッジを成功に導きました。


 しかし、孫がいる女性のポテンシャルを生かすというのは、まったく盲点の発想ですね。少子高齢化のすすむ日本でも、まだまだ元気な彼女たちのパワーを生かさない手はないかもしれません。たとえば、無医村や地方の弁護士不足の問題があります。地元に根ざした彼女たちなら、知識や技術を身につけたとしても都会に出ていくことはないでしょう。本職並みの専門業務は無理でも、学校の保健室レベルの診療や、補助的な法務サポートは充分に可能ではないかと思います。また、不動産仲介業の営業としても、地元で長年暮らした経験から大きな戦力になってくれるかもしれません。人手不足を嘆く前に、中高年女性に着目してはどうでしょうか。


――待兼 音二郎(http://www.facebook.com/ottogiro.machikane



[Related Link/関連リンク] *option


インド「ベアフット・カレッジ」の真の目的は?

(http://dankaisedai.iza.ne.jp/blog/entry/2135289/)

※インド在住の日本人による穿った見方のブログ記事。


グラミン銀行とは

(http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%B0%A5%E9%A5%DF%A5%F3%B6%E4%B9%D4)

※はてなキーワードの解説。


グラミン銀行は貧困を救えない

(http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2009/08/post-456.php)

※マイクロファイナンスの限界を論じるニューズウィーク日本版の翻訳記事。


政治・経済-3

 ■米国の99%の人が感じる所得格差


[Headline/見出し]


Income inequality in America - The 99 percent


[Media/掲載紙]


The Economist online - Income inequality in America The 99 percent (2011.10.26)

(http://www.economist.com/blogs/dailychart/2011/10/income-inequality-america?fsrc=nlw|wwb|10-27-2011|business_this_week)


[the Original/原文]


"Occupy Wall Street" gets a boost from a new report on income distribution.

...

 A report from the Congressional Budget Office (CBO) points out that income inequality in America has not risen dramatically over the past 20 years—when the top 1% of earners are excluded. ...


[the Gist/要旨]


(米国の)所得分布の新しい報告書がウォールストリートの占拠(が発生している原因)を支持する。……連邦議会予算局が最近発行した報告書は、米国の所得の不平等さが過去20年にわたり上位1%を除きほとんど変化していないことを指摘している。



[Comment/視点・解説]

 

 マンハッタンにあるウォール街といくつかの都市で続いているデモ(が発生している原因)を支持する所得分布のデータが報告された、とする英エコノミストの記事です。


 記事の下方に掲載された折れ線グラフがその様子を示しています。


 グラフは、1979年を100として実質平均税引き後所得の伸び率を所得順に並べて、100分位トップ1%、81パーセンタイルから99パーセンタイル、21パーセンタイルから80パーセンタイル、ボトムの残り20パーセンタイルの4カテゴリーに分けた線として描かれています。


 グラフでは、トップ1%だけが、この20年間(景気後退期を除き)所得が大幅に上昇し続けており、残り99%の伸び率は相対的に勾配が緩やかです。


 記事によると、もっとも変動が大きなトップ1%は「事業所得」。残り99%は「労働所得」、あるいは、「投資所得」により構成されている、としています。事業所得を得ているのは経営層に所属する人々であり、ウォール街の金融機関のCEOたちがグラフを押し上げることに貢献しているわけです。


 また記事によると、データは次の二つの偏見を支持するとしています。

 

 (1)(米国の)所得配分システムはうまく機能している。失望している労働者層から最富裕層に利益をきちんと移転させている。


 (2)トップの(収入を得ている)人々は、過去数十年にわたって山賊のように労働者層から奪っていたのだから、奪われていた人々は今こそ請求するべき、であると。


 私はマルクスの理論の信奉者ではありませんが、「搾取(さくしゅ)」との単語が今の状況に当てはまると思います。これだけ上位1%が他の99%から奪っていれば、米国で革命が起こっても不思議ではありません。


 通常は、政府が税金を徴収して国全体の所得配分を調整することになるのでしょうが、グラフからはトップ1%から配分された様子はありません。更に政府はこの1%を含めた高所得者層を減税する法案を検討しているのです。


 今回ウォール街を占拠した人々が、所得配分が一部(しかも政府が救済した金融機関の経営者)に集中し過ぎていることは、おかしいとの主張を理解できます。よく暴動が起こらないものだと感じますし、もしかしたら変化の始まりかもしれないのです。


 記事は最後に、景気の影響を受けた業績低迷は、通常であれば99%の人々から1%の人々に向けられていた、これまでの暖かな感情に変化(揺らぎ)を呼び起こしているはず、と結論しています。

 

――西山昇(https://noborunishiyama.wordpress.com/

 

 

[Related Movie/関連動画] *option


以下の動画にあるデモ隊のプラカードの中に1%、99%の数字があるのは、この統計を示しているとみられます。


Wall Street protests spread nationally

(http://www.msnbc.msn.com/id/21134540/vp/44764697#44764697)

※最初の15秒間 Bank of America のCMが流れます。


99 Percent Occupy Wall Street Protest People Speak!

(http://www.youtube.com/watch?v=w33CppgGuzg)



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