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嵐の前の竜巻

 

その日アイリスは、近衛の隊長会議に出席した。


荘厳で重苦しい海老茶の配色の、天井の高い、中央に長くどっしりとした机と、その両脇に椅子がずらりと並ぶ議場に足を踏み入れると、ローフィスが隊長職引き継ぎの為、ディングレーを伴う姿をその先に見つけ、軽く会釈する。

ローフィスは気づいて振り向き、一つ頷くと、項垂れるディングレーも同様、気のない挨拶を返す。

ローフィスが移動願いを左将軍ディアヴォロスに受理されたのは、ほんの数日前。

ローランデが実家の母の具合が悪く、父を母の養護に当たらせたい。との理由で北領地[シェンダー・ラーデン]地方護衛連隊長職を大公である父親から引き継ぐ為、故郷に戻ってからほんの数日の事で、近衛ではローランデと付き合っていたギュンターがとうとう振られた。と、まるで爆弾を落としたようにそこら中で話題が沸騰する中、ムストレス派と敵対するディアヴォロス派筆頭のギュンターがムストレス派と争う原因である火種、ローランデが近衛を去った事で、二派の衝突は緩和されると皆が一様に胸を撫で下ろし、その上ムストレス派の標的の一人、ディアヴォロス派のローフィス迄もが隊長職を辞し、近衛を去る事と成って皆が一斉に、ディアヴォロス派とムストレス派の、一触即発の危機は当分回避された。と、安堵する中での会議だった。

近衛騎士達の安堵とは裏腹に、ディングレーが随分しぼんで見え、ローフィスと別れるのがそんなに辛いのかと、ついアイリスはローフィスに覗う視線を送る。

ローフィスは気づいたように、項垂れるディングレーの腕を引くとアイリスの前へ、引っ張って行く。

ディングレーは面倒くさげに引っ張られてチラと、二つ年下で、隊長としては先輩に当たるアイリスを睨む。

「…言ってやってくれ。アイリス。

別に心配はいらないと。

副隊長は家柄も申し分無いフィンスだし、奴はディングレー同様武術馬鹿だが意外に気の回る男だから、隊員の面倒は奴に任せ、王家の血を引く身分だと、いつも道理ふんぞり返ってりゃいいってな!」

アイリスはたっぷり頷くと、ついローフィスにささやいた。

「…つまり…君の辞職を惜しんでるんじゃなく…」

ディングレーが途端大きな吐息を吐くと、長い黒髪を散らす勢いで顔を横に大きく振る。

「辞職を惜しんでるに決まってる!」

ローフィスはすかさず言った。

「隊長になるのが、嫌でだろう?」

ディングレーは途端、俯く。

アイリスはローフィスの様子を見て、保証した。

「名前が副隊長から隊長に変わるだけだ。

態度はいつも通りでいいし、面倒はフィンスに見て貰えば。

ローフィスが、フィンスに変わっただけだろう?」

だがディングレーが途端に顔を上げる。

「会議に出向いたり、他の隊長と交渉したりしなきゃならんだろう!」

「代理でフィンスにやってもらえ!」

ローフィスの面倒くさげな怒声に、ついアイリスはフィンスに同情して顔を下げた。

「それで済むのか?」

「済まなけりゃ出向いて、いつも道理黙って相手を睨んどけ!」

「睨めばいいのか?」

同意を求めるようにディングレーに見つめられ、アイリスは吐息混じりにささやいた。

「君は王族だから、大抵の相手は君に睨まれたら、君の意向を汲むさ」

ローフィスはアイリスに、解ってるな?と頷き、低い声で告げる。

「君にはフィンスのフォローを頼む」

やっぱり。とアイリスは、仕方なさげに頷く。

ディングレーはそっとローフィスに、顔を寄せるとささやく。

「結局アイリスに後始末して貰う羽目に、なるんじゃないのか?」

ローフィスはたっぷり頷き

「フィンスが慣れる迄は、そうなるな」

ディングレーは眉間を寄せるとローフィスに更に顔を寄せる。

「あんたが、移動願いを撤回すれば奴に世話かけなくて済む」

がローフィスは真っ直ぐ自分より顔一つ分背の高い男を見上げ、言い返す。

「お前のプライドの為に自分の希望を曲げる気は無い。

それでなくとも俺は旅に出るのが好きだし、戦いは必要以上はしたくない。

シェイルが近衛に居るから付き合ってたが、奴も慣れたしムストレス派のちょっかいも止んだ。

ディアヴォロスが居る限りシェイルは安全だし、もう近衛とはとっととおさらばしたいんだ!

お前の世話焼く為に残れと、本気で俺に言う気なのか?」

アイリスはローフィスにそう捲し立てられ、思い切り項垂れるディングレーについ、目をまん丸にしてつぶやく。

「ディングレー。“君と離れたく無いから行かないでくれ"

と素直にローフィスに、本心を言ったらどうだ?」

が、この発言に二人共一斉に顔を上げてアイリスを凝視する。

両者に殆ど睨まれて、アイリスはそっとささやく。

「睨んでる?もしかして」

ディングレーが、腹の底から怒鳴った。

「まるで去る恋人を引き止めるようなセリフを、よりによってローフィス相手に吐けるか?!」

ローフィスも畳みかける。

「…そんな事奴の口から洩れたりしたら俺は、その場で奴から一目散に逃げるぞ!」

ディングレーがローフィスのセリフについ、顔を向けてじっと見つめる。

ローフィスが、怒鳴る。

「何だ!

アイリスの口から聞いても、気色悪くて一瞬吐きそうになったんだぞ!」

ディングレーが瞬間、怒鳴る。

「アイリスが言うから、生っちろく聞こえるんだ!

だが行って欲しくないのは俺の本心だ!」

「俺が居ないと不自由するからだろう?!」

アイリスも吐息混じりにディングレーにささやく。

「ローフィスは凄く有能な男で、おんぶにだっこで全部面倒見て貰って楽だから、居なくなって凄く不自由なのは解るけど」

ディングレーが途端、アイリスを睨む。

ローフィスが立派な体格の、黒髪のその強面の男前をつい、吐息混じりに見つめる。

「奴の言う通りだから、睨んでも無駄だ」

だがディングレーはまだアイリスを睨み、唸った。

「…おんぶに、だっこ?俺は餓鬼か?!」

ローフィスが首をすくめた。

「アイリスの言い回しに今更ケチ付けてもな…。

お前の喧嘩好き同様、この年で改まるもんでも無いだろう?」

アイリスも肩をすくめる。

「だって、一人前の男は世話役が居なく成っても狼狽えたりせず、自分の世話は自分で焼くものだ。

世話焼いて欲しくて残って貰いたいなら、単なる我が儘な餓鬼だろう?」

ディングレーは咄嗟に唸った。

「喧嘩、売ってんのか?!もしかして!」

アイリスは吐息混じりにささやく。

「ディングレー。君と殴り合う気は無い。

事実を言ってるだけだ。

自分の世話を自分で焼けるなら、ローフィスの門出を素直に喜ぶべきだと思う」

アイリスのセリフにぐうの音も出ず、がディングレーはまだそう言ったアイリスを睨んでいた。

だがその時、会議室の扉をギュンターが開け、入って来る。

金の髪が鮮やかに散り、相変わらずの無表情の美貌に、議場の皆が目を引かれる。

途端一斉にひそひそ声が飛び交う。

が、アイリスもローフィスもディングレー迄もが

“熱烈に惚れ込んだ思い人に、振られた奴"

の陰口すら耳に入らぬ様子の思い詰めたギュンターの顔につい、揃って顔を見合わせた。


そして三人共が、いつもギュンターと顔を合わせると決まって喧嘩になるムストレス派の隊長、ザースィンの方へと顔を、向ける。

だが椅子に憮然と腕組んでかける赤毛のザースィンも、ギュンター同様ローランデにはそれは入れ込んでいて、彼が去ってしまった今、仲間のムストレス派の隊長らとギュンターの陰口に乗っかる風でも無く、随分気落ちした様子で俯いていた。

ギュンターが中に入って来ると、避けずにわざとぶつかるムストレス派の隊長、レルムンスがぶつかり様ぼそり。とギュンターの耳元に告げる。

「…愛しい奴の為に命迄かけて最前線に懲りずに送られたってのに、相手はつれないな」

ギュンターが一瞬で目を、ぎっ!と剥く。

「俺に殴られて顔を腫らしたいのか?そんなに?」

レルムンスはついその剣幕に目をまん丸にし、だがにやけた微笑を浮かべて言い返す。

「日頃名高い色男も、カタ無しだ!」

ギュンターは頷くと、ぼそり。と低く抑えた、だが鋭い声音で告げる。

「次は警告無しで殴るぞ?」

レルムンスはついギュンターを見たが、戦場で敵と相対す程の凄まじい気迫で睨み付けられ、思わず黙った。

ギュンターは相手が静まると瞬時に唸る。

「道を、開けろ!」

レルムンスが眉間を寄せると、その金髪の派手な美貌の年下の男に怒鳴り返す。

「勝手に通れ!」

アイリスが咄嗟に飛び込んで、ギュンターの振り上げた拳にしがみつく。

ローフィスがレルムンスに向かって怒鳴る。

「これから始まる会議を、ブチ壊したいのか?」

ディングレーがぼそりと背後で呻いた。

「そうか…。その手があったか………」

ローフィスは会議が大嫌いなディングレーの独り言につい、振り向いて睨む。

が、ギュンターはアイリスの掴む腕を激しく振り払い、レルムンスに向かって拳を放とうとし、二度(にたび)アイリスはギュンターの振り上げた拳を、その腕に両腕を巻き付け防ぐ。

途端、議場はムストレス派とディアヴォロス派の真っ二つに別れて睨み合い、緊迫し殴り合いの様相を、見せた。

ディングレーは正直、胸が躍った。

会議より殴り合いがいいに決まってる。が、ローフィスに思い切り睨まれ、仕方無しに大声で怒鳴る。

「会議前に拳を振る奴は、俺が相手をする!」

途端、議場の全員がそう言ったディングレーを一斉に見つめ、「左の王家」の証の黒髪を背に流す、その長身の立派な体格の、一番身分高い威風ある男前の言葉に静まり返る。

そして、やれやれ。と皆次々に黙して席に、つき始める。

アイリスはまだ、腕を振り払おうとするギュンターの腕を掴み、力比べをしていた。

ディングレーはさっ!とギュンターの前に出ると、つぶやく。

「奴は、放っとけ!」

ギュンターは一瞬ぎり…!と歯噛みすると、席に着く淡い栗毛のレルムンスの、優美な細面を睨み付けた。

が、すっ。と力を抜き、ほっと同様力を抜くアイリスの掴む手を、肩を振って解く。

ローフィスがギュンターの目前へと顔を出し、言って聞かせるように諭す。

「…議場全体を、巻き込みたいのか?」

ギュンターは明るい栗毛と青い瞳の、冷静な年上のその男の言葉で一瞬にして我に戻ると、周囲を見回した。

「俺とレルムンスだけで、済まないってのか?」

ディングレーが低い声で唸った。

「ここは酒場じゃないし、二派でも腕自慢の代表面子がきっちり、揃ってるからな!」

ギュンターは顔を揺らすと、ほっと吐息を吐いてローフィスに謝罪した。

「…そんなつもりは無い。ただ………」

気弱な表情のギュンターに、ローフィスは厳しい視線のまま尋ねる。

「ただ…?」

「気づかなかった」

ローフィスもディングレーも呆然と顔を見合わせ、アイリスはギュンターの横で大きな、吐息を吐いた。




嵐の真っ最中

 議長の、右将軍アルフォロイス派のゼーイルースは、そつなく会議の議事進行に努めた。

長い戦闘で各戦闘毎の報告書提出が、滞っている事。

消耗人員の整理、補充。遺族への扱い。そして消耗品備蓄に関しての長々とした説明に、ディングレーはもう音を上げていた。

が、議長ゼーイルースがローフィスに視線を向け、彼の名を呼ぶ。

「この度隊長を辞職するローフィス」

ディングレーが横を見るとローフィスは立ち上がり、続いて自分の名が呼ばれた。

「代わって隊長に就任するディングレー」

ディングレーは吐息混じりに立ち上がる。

が、皆その大物がとうとう隊長職に就く。と一斉に顔を引き締めた。

ローフィスが隊を率いていたものの、皆の視線は常に副隊長のディングレーを意識していたし、隊の交渉事にいつも姿を見せ、その迫力と身分で、ローフィスを下賎の身分の、隊長に相応しくない男と見下す隊長達をいつも、引かせていた。

ディングレーが立つ姿は威風に満ち、左将軍ディアヴォロスに心酔し、その後ろで忠実に仕える彼はムストレス派に更なる大きな存在として意識せざるを得なく、ムストレス派は揃って憮然。と黙り込む。

彼らからしたら、ローフィスが隊長の方がずっと組しやすい筈だからな。とアイリスはその様子を、ディングレーらの斜め前の席に座して見つめ、くすり。と笑う。

が、当の本人は、座って良い。と頷く議長の言葉に再び腰を、どっしりとした重厚な革張りの椅子に降ろすと、憮然。とローフィスを見つめた。

ローフィスは、取り合う気は無い。と示すように、そっぽ向く。


 が議会はやっぱり荒れ始めた。

ムストレス派隊長が、補充人員が足りない。と議長にゴネ始めたからだ。

それを言うのは、ムストレス派ノルンディル准将所属の隊長、フォルデモルド。

左将軍ディアヴォロスの右腕オーガスタスと並ぶ程の長身と体格。そしてオーガスタス同様の赤毛で常に比較されまくっていたが腕力だけの男で、頭の回転もその度量もどれを取ってもオーガスタスより劣る。と秘かに見下され、オーガスタスに喧嘩が売れない鬱憤を、その親友ローフィスに機会ある毎にぶつけて来る、嫌味な男だった。

議長の、現在の補充人員数が少なく、不足しているので無理だ。との説明に、立ち上がるフォルデモルドは長身揃いの隊長達の中でも一際高い背をひけらかし、肩を揺すってやっぱりローフィスに、最後の機会。とばかり、文句を垂れる。

「ローフィスの所は三人も補充した。

俺のところはたったの一人だ。

欠員はこっちの方が多いのに、なぜだ!」

右将軍アルフォロイスの親任を得ているだけあって、穏やかな顔をした栗毛の品のいい洒落男で海千のゼーイルースは落ち着き払い、口を開く。

「本人達の希望を、まず聞く。

君には人気が、無かったようだ」

フォルデモルドはどん!と議場中央を占める重厚な長い机が、端迄揺れ渡る程激しく叩き怒鳴る。

「人気投票じゃ、無い筈だ!隊の運営は!

ローフィスの隊から最低一人はこっちに、回して貰おう!」

…だが同様ムストレス派の隊長ララッツ等は、上手く背後で手を回し、その少ない補充人員を五人も確保していると言うのに。アイリスは内心思ったが、ムストレス派の隊長がディアヴォロス派から、一人でも多くの騎士を奪おうとするのは毎度の事で、直ぐディングレーはかっ!と怒って立ち上がろうとし、ローフィスがその腕をきつく引き戻し、押し止める。

がたん…。

席を立つアイリスに皆が、注目する。

その長身の優雅な美男はにっこり笑って、議長に顔を向けた。

「発言を、許可して頂きたい」

その笑顔に、ムストレス派の男達は揃って首を横に振りまくる。

ローフィスに文句が出ると大抵代わってアイリスが立ち上がり、ムストレス派の文句を詭弁で全て、押し戻すのはやっぱり、いつもの事だったからだ。

アイリスは叔父を大公に持つ大貴族だったし身分も高く、彼の発言を誰も、安易に受け流す事が出来ないと、本人も知っての登場で、この中で一番年下であるにもかかわらずその体格と戦闘での実績で、議会外で腕にモノ言わせて、黙らせる事すら出来ない、ムストレス派にとっては最悪に厄介な相手だった。

議長はアイリスの知恵で上手く揉め事が収まるのを、知っていたからアイリスにそっと頷く。

アイリスはフォルデモルドのいかつい顔を見つめ、ささやくような、だが断固とした響きをその言葉に含ませ、告げる。

「一度配属が決まった隊から移動すると、全てが混乱を来(きた)す。

シャーネンクの隊はシャーネンクが隊長を辞任し、隊員達の配属先がまだ決まってない。

…補充人員として引き受ける事が出来る筈だ。

違いますか?」

議長はアイリスににっこりと微笑むと、その通りだ。と頷いた。

「一部隊としては人数も足りず、どこに配属しようか困っていた所だ」

そこに居る全員が一斉に顔を、下げる。

シャーネンクの隊員達が皆、ごろつき上がりの最悪に手の負えない乱暴者で無法者達なのを、議場の全員が知って居たし誰もが連中を自分の隊に、引き取るのを拒んでいたから、アイリスの申し出にフォルデモルドがどう言い返すのか、期待せずに視線を振った。

アイリスに、勿論剣の腕前でも喧嘩でも、勝つのは厄介だったがそれ以上に言葉で喧嘩するのを、腕自慢の隊長らは皆思い切り敬遠していた。

弁の立つこの美男のいけすかない微笑を常に湛えた男を言葉で敵に回したが最後、一言も言い返せず腸(はらわた)が煮えくりかえるのをそこに居る全員が、経験から思い知っていた。

アイリスと同様のディアヴォロス派の、ディングレーとギュンターでさえもが。

フォルデモルドがその言葉にどう言い返そうか、煮詰まって顔を真っ赤にする。

奪ってやろうとしたのに、出来ないばかりか礼儀も知らないごろつきを引き受けるだなんて、問題外だった。

がそれを上手くかわす言い訳は、どこを探しても見つからない。

わなわなと拳が震え、その整った美男のいけすかない顔を殴って黙らせたいのを必死で我慢しているフォルデモルドの姿を、アイリスは冷静に見つめ、にっこりと微笑む。

その、チャーミングな女性を魅了する魅惑的な微笑みに、そこにいる猛者達は皆、寒気を感じ、俯いて顔を下げた。

あれはいわば勝利の微笑みだと、その場に居る全員が、戦場で幾度も見知っていたので。

「ではそれで補充人員の件は解決だ。

そうでしょう?」

フォルデモルドがとうとう怒鳴った。

「シャーネンク隊の男達は正規の訓練を受けていない!

人員が足りず特別推薦で入隊した、ごろつき共じゃないか!」

アイリスがきっぱりと言い返す。

「ローフィスの…今はもう、ディングレーの隊だが!」

その言葉が強く、フォルデモルドも一瞬、敵にしていた男が今やもう、ローフィスで無くディングレーにすり替わった事を認識し、一瞬ぎくり…!と頑健な体付きの、王族である黒髪の尊大なディングレーの姿に視線を送る。

アイリスは口早に言葉を続ける。

「…そして私の隊にすら、推薦枠の男達は居る!

君の隊には私の記憶では一人も居ない!

推薦枠の男が配属先が無く遊んでいる以上!

君も引き受けるべきだ!

人の隊の人員を宛にせず!

それとも君は、私にもローフィスにも出来た事を自分は出来ないと、認めるのか?!」

「ふざけるな!

貴様らに、劣る俺ではないわ!」

怒鳴った途端、フォルデモルドははっ!とした。

ムストレス派の隊長達は全員、首を横に振りまくり、アイリスの挑発に乗った愚かな男から視線を背ける。

フォルデモルドは言ってしまった言葉を撤回する方法が思いつかず、必死に援軍を見つけようと顔を椅子にかける同士に向けるが、誰一人として顔を上げる者は居なかった。

議長はにっこりアイリスに感謝の微笑みを浮かべ頷くと、フォルデモルドに顔を向け

「ではシャーネンク隊の人員リストをフォルデモルド、君に早急に届けさせる。

内、必要人員を選び、自分の隊に配属したまえ」

ムストレス派の、男達のささやきが聞こえる。

「はなから勝負は、見えてたな…」

「脳みその無いフォルデモルドと、悪知恵の塊の、アイリスじゃな………」

フォルデモルドはもう顔を真っ赤にし、わなわなと全身を震わせていた。

椅子に掛けるアイリスに、隣のギュンターがそっとささやく。

「会議後、隙を見せたらフォルデモルドに殴りかかられるぞ」

アイリスは肩をすくめた。

「私を殴ったら、処分だ。

一発目さえかわせば、奴にそれを思い出させてやる」

ギュンターはその、余裕の塊のアイリスを見、こんな奴を敵に回すなんて。と思わずフォルデモルドの馬鹿さ加減に首を、すくめた。

「俺だってごめんだ…」

ギュンターのつぶやきに、アイリスはつい隣で頬杖ついて顔を背ける金髪の男を見つめる。

「何が?」

ギュンターはその美貌を思い切りしかめ、アイリスに振り向く。

「お前を敵に、回すのがだ!」

アイリスはギュンターの眉間のくっきりとした皺を見はしたが、ぼやく。

「君はだって、平気じゃないか………」

ギュンターはくるり。と再び顔を背けつぶやく。

「平気じゃない!」

「ローランデを諦めろと脅しても、聞かなかった癖に………!」

ギュンターは一瞬にして振り向くと、アイリスに言い放つ。

「それに関してはどれだけお前が立ち塞がろうが、断固として戦う気構えが、ある!」

アイリスは、言ってる事とやってる事が違うじゃないか。と肩を思い切りすくめた。



嵐の後の一悶着

 会議の後、アイリスはディングレーと共にローフィスに呼び出された。

ローフィスは議場から続々と退出を始める隊長らを横目に、そっとまだ呆けたように椅子に座るギュンターに視線をくべて、二人に告げる。

「この後、アモーレス婦人宅で舞踏会がある。

ギュンターを連れ出してくれないか?」

ディングレーが目を丸くして唸る。

「憂さ晴らしさせようって腹か?」

ローフィスは一つ、頷くと

「いくら煮詰まってる奴でも、ご婦人に拳は振るえないし…」

ローフィスの心づもりが解って、アイリスは頷く。

「舞踏会にギュンターが顔を出せば必ずどこかの女性に掴まって、ついでにそっちの方も発散出来るから一石二鳥って事か?

でもローフィス。

私が出ると、やっぱりどこかの女性に掴まると思う」

ローフィスとディングレーが揃ってそう言ったアイリスに、振り向く。

どこの華やかな場でもギュンター。そしてアイリスが顔を出すとそこに居る女性の視線を一斉に集め、彼女らにあっと言う間に二人が取り囲まれる光景を、ローフィスは一瞬にして思い出す。

忘れていた。とばかりローフィスは俯き、前髪に手をやり、そして振り向くと、言葉を待つアイリスにその真っ直ぐな青の瞳を向ける。

「…お前の事だ。どうせ、やり用があるんだろう?」

アイリスは肩をすくめる。

「まあね。でも君は、来ないのか?」

「辞職の事務手続きでちょっと野暮用があって、遅れる」

言った途端、ディングレーが胸を、撫で下ろす。

「来るんだな?」

ローフィスが咄嗟に怒鳴る。

「保護者付きじゃなきゃ、舞踏会にも気軽に顔も出せない癖をいい加減、何とかしろ!」

アイリスはつい、黒髪の王族を見つめた。

ディングレーがその視線に怒鳴る。

「何だ!」

「………だって………ローフィスが居ないとその………。

舞踏会も一人で、出られないのか?」

ローフィスが、ディングレーに顎をしゃくる。

「奴は王族だ。

玉の輿狙いのハゲタカ女の、上手い断り方もロクに実践出来ない」

アイリスはローフィスに一つ、頷くと言った。

「君が仕込んでも、駄目なのか?」

ディングレーは相変わらずのアイリスの言い回しに憮然。とした表情で耳を傾ける。

「教えたって、いざとなればかっか頭に来てロクにしゃべれやしない。毎度の事だ。

ご婦人相手じゃ殴れないから、怒鳴りそうになって自分を抑えてるだけで精一杯だ。

お陰で、二人でつるんでるとそれでなくとも近衛の男だからとあらぬ嫌疑をかけられ、不愉快なんだ!

でも付き添い無しで奴は舞踏会なんて、出ないし。

この先舞踏会に奴を引っ張り出さなきゃならない事態に成ったら、お前が俺に代わって付き添ってやれ!」

ディングレーは凄く、不満そうにローフィスを見たが、ローフィスは意見を引っ込める気は、無さそうだった。

アイリスはディングレーに睨まれ、困惑してローフィスにささやく。

「でも………。

舞踏会にディングレーと一緒に出たら、私に押し寄せて来る女性の半数は彼に、喰らい付くと思う」

ディングレーも目を剥いてローフィスに怒鳴る。

「アイリスの周囲がいつも女で埋まってるのを、忘れてるだろう?!」

ローフィスはとうとう折れた。

「…解った。この件はフィンスに頼もう」

アイリスはつい、ぼそり。と言った。

「ご婦人達は胸ときめく男前の王族が、以前は隊長と付き合ってたが今度は副隊長に乗り換えた。と扇の影でささやきを交わすんだろうな」

途端、ローフィスもディングレーもが揃って目を剥く。

アイリスはそっと言った。

「…今度は、睨んでるって解ってる」

ディングレーは途端に、激しく怒鳴る。

「当たり前だ!

お前はちゃんと婦人らに、俺達の間には何も無いと誤解を晴らせ!」

アイリスは不満そうに、その自分よりほんの少しだけ背の低い、頑健な肩の黒髪の男前を見つめる。

「でもいつも舞踏会でローフィスとひっついてるんなら…。

誤解を解くのは凄く、難しいんじゃないのか?」

ディングレーが咄嗟に怒鳴る。

「ひっついてない!」

だがローフィスが顔を下げて俯く。

「確かに、ディングレーは今迄一度も舞踏会で女の腕を取った事が無い」

だろ?とアイリスに同意を促すように見つめられ、ディングレーが怒鳴った。

「無いもんは、無いんだ!

誤解する方がおかしい!」

「君、世間の見解が解ってないだろう?

誤解しない方がおかしい。って状況なのにどうして、気づかないんだ?」

ディングレーはまだ、断固として異論を唱えた。

「だって奴と、寝て無いんだぞ!

どうしてそれで誤解する!!!」

ローフィスは項垂れきって顔に手を、当てていた。

「女には、理屈があって無いようなもんだって、解らないのか?」

アイリスがつい、二つ年上の男前の王族を見つめ、つぶやく。

「だって…君、凄くモテるだろう?

で、どうして全然女性と関係を持たないのか、理解出来ない」

ローフィスがぼそり。と言う。

「身分が高すぎて、迂闊に遊べないんだ」

アイリスが異論を唱える。

「私にだって、ハゲタカ女は寄って来るぞ?」

ローフィスは顔を上げると、ディングレーには劣るもののやはり身分の高い大貴族のアイリスを見つめ、つぶやく。

「訂正する。

不器用だから、遊びたくても出来ない」

ディングレーがとうとう、沸騰した。

「悪かったな!!!」

アイリスがつい、興味をそそられて尋ねる。

「戦闘の時は“夜付き人"が居るから解るけど、それ以外はどうしてるんだ?

まさか…………」

ローフィスもディングレーも揃ってアイリスを、見た。

二人が黙って言葉を待っているので、アイリスは仕方無しに声を潜めてつぶやく。

「…自分で、抜いてるのか?」

ローフィスは顔を思い切り背けると、怒りに顔が歪み言葉も出ずに拳を震わせるディングレーに代わって、言った。

「ちゃんと執事に安全な女を、宛がわれてる」

アイリスはたっぷり頷いた。

「…やっぱり保護者が、必要なんだな?」

ローフィスは咄嗟に振り上げようとしたディングレーの拳を握ると、アイリスに慌てて怒鳴った。

「口のきき方を考えろ!

それで無くともムストレス派の連中でさえもお前を殴りたがってるのに!

味方に迄、殴られたいのか?!」

そう言った途端ローフィスの背後をフォルデモルドが、アイリスにたっぷり『仕返しはするぞ!』と背筋の震える笑みを注ぎながら通り過ぎて行った。

ディングレーはそれに気づき、ローフィスの手を拳を振って払い退け唸る。

「奴の気持ちが、凄く解る!」

ローフィスは、頷くとディングレーに言った。

「だがアイリスは味方だ」

ディングレーは悔しそうに唇を、噛んだ。

「…アイリスを殴りたい気持ちは俺にも解る」

いきなりギュンターが、ローフィスの背後から顔を覗かせつぶやく。

ディングレーが途端、忌々しそうにアイリスに視線を送ったまま頷くと

「やっぱりか?」

と言い、ギュンターは同意して、首を大きく縦に振った。

ローフィスが疲れ切って呻く。

「意見が揃って、良かったな。

だが味方内で喧嘩は御法度だ。

もし二人共アイリスを殴ったら、ムストレス派を喜ばせるだけだと肝に銘じとけ!」

アイリスはだが、ぼそりとつぶやく。

「拳を握った瞬間、二人共忘れるに決まってる」

ディングレーとギュンターが途端、ぎっ!と目を剥き、ローフィスがアイリスの肩を揺れる程強く握り、言った。

「口を、開くな。頼むからもう、それ以上」

アイリスは疲れ切るローフィスの為に、仕方無しに頷いた。


暗礁に乗り上げつつ在る、次回の嵐対策

舞踏会へと向かう馬上で、三騎横一列に並ぶ中、右端のアイリスはやっぱり中央で手綱を繰るディングレーに視線を注ぎ、つぶやく。

「…君、執事に宛がわれた女性で本当に、満足してるのか?」

ディングレーはジロリ…!と話題を蒸し返すアイリスに、がなった。

「どうしてそんな事が聞きたい?」

アイリスは俯くと、そっとささやく。

「だって君、凄く…その、旺盛だろう?」

ディングレーは一つ、大きく吐息を吐くとぼやく。

「お前らみたいに取っ替えひっかえ女を渡り歩く神経が、理解出来ない。

その上お前ら、寄って来る美青年達迄相手してるじゃないか。

よくそれで身が持つな?数を口にしてみろ。

星の数ほど居るんだろう?どうせ。

そっちの方が、俺は信じられない」

アイリスはそっとディングレーの向こうのギュンターを見たが、ギュンターも自分の方を覗っていて、ついアイリスがささやく。

「向こうから差し出してくれるものは、毒で無い限りありがたく頂いてるだけだ。

あっちにとっては親切だろう?

君は相手の親切は、受け取らないのか?」

ディングレーは詭弁だな。とアイリスを見、つい左横のギュンターに振り向く。

「お前も同意見なのか?」

ギュンターは項垂れて顔を揺らすと、ぼそり。とつぶやく。

「ローランデが…俺の相手をしきれないから余所で発散しろと言うから、俺も自棄(やけ)に成って他の相手とする」

アイリスがつい、口を挟む。

「それは…相手にとって失礼だろう?」

ギュンターは項垂れたまま大きく吐息を吐くと

「…だから、恋人には成れないぞ。と毎回相手に念を押す。

それでもいい。と言うから、付き合ってるだけだ」

ディングレーとアイリスはつい、しおれきったギュンターの様子に顔を見合わす。

「…切れたんだろう?ローランデとは実質?」

アイリスが言うと、ギュンターはがっくり肩を落とすと、掠れた小声で答える。

「…北領地[シェンダー・ラーデン]に居るんだ。

滅多に会えないし、あっちに恋人を作られたら最後だ」

その、どの場でも一二を争う颯爽とした美貌のモテ男の、げっそりと青冷めた顔をディングレーはつい凝視したし、アイリスは吐息を吐く。

「でも君は山程相手が寄って来る。

きっとまたいい出会いがあるだろうし、ローランデの方もそれを望んでる」

それを聞いたギュンターがもう背中迄丸めて項垂れきっていて、ディングレーはアイリスにぼそり。とささやいた。

「傷口に、塩だぞ」

アイリスは頷くと

「だけどちゃんとその事を認識しといた方が。

派手に痛む傷ほど、治りが早いと言うし。

希望が無いのにいつ迄も諦めないのは、最悪だろう?だって。

彼程の美男だ。彼に惚れ込む相手は君が言った通り、星の数程居る。その中から直ぐ又、好きになる相手に出会えるに決まってる」

ギュンターが咄嗟に反撃した。

「惚れた腫れたに、顔が関係あるか。

相手が星の数程居ようが…ローランデはただ一人で、そのただ一人の相手に去られちゃ、どれ程名乗りを上げる相手が居ようが関係無い!」

「…奴の、言う通りだ」

思わず同意するディングレーに、アイリスは眉間を寄せて首を横に、振る。

そしてディングレーに馬を寄せると思い切り声を、潜めてささやく。

「いい機会なんだ。

ローランデだってもういい加減ギュンターから解き放たれて一人前の男として立派な家庭を築きたいだろうし。

彼がローランデに惚れ込んで一方的に押しまくっていたんだから、ギュンターさえローランデを思い切れば万事全てが上手く行く。

君も協力して、ギュンターが真っ当な相手と恋愛するよう持って行ってくれないと。

それで無くともローランデはギュンターに惚れ込まれるわ、ムストレス派からはギュンターを痛めつける恰好の材料としてちょっかいかけ続けられるわ。で大変な目に合ってる。

当のギュンターは奴らを相手に常に喧嘩のし通しで、果ては准将迄殴り倒して処罰を受け最前線に送られ続け、こっちはいつ彼が命を落とさないか、はらはらのし通しだったろう?

オーガスタスはギュンターを庇い続け、戦闘では常に助っ人に駆け付け、そのオーガスタスのフォローを、私やローフィスがどれだけ大変な思いでして来たか、知ってる…筈じゃないのか?

それとも…君はそれに気づかず、ローフィスに任せっきりでただ、戦闘では思い切り暴れ、じゃない時は王族としてふんぞり返っていただけなのか?

…違うだろう?」

ディングレーは憮然。と唸った。

「だが惚れちまったもんは仕方無いだろう?

あの、どの相手にも素っ気ない奴があんなに熱く成ってんだ。

ぼんくらな俺にさえ『マジで惚れてんだな』って、解る程だぞ?」

「…君はギュンター側か?

ローランデがどれ程困っていても知らんぷりか?」

ディングレーは突っ込まれて、思い切り言い淀む。

「まあそりゃ…。

体格はいいと言えなくとも、俺にすら勝つ程の凄腕の剣士だ。

ギュンターに惚れ込まれて女のように抱かれるのは、気の毒としか言い用は無いが」

言ってディングレーはだが、アイリスに思い切り顔を寄せるとささやく。

「…だがギュンターはあの通り、星の数を虜にするだけの魅力ある男だから、結局ローランデもその魅力に抗えなかったんだろう?

奴らの問題だ。違うか?」

アイリスは一つ頷くと、言った。

「君がローランデの立場なら?」

ディングレーの眉間が、思い切り寄った。

「…俺を女のように抱きたい。と思う男に、出会った事が無いのに、奴の気持ちなんか解る筈無いだろう?!」

アイリスは思わず突っ込んだ。

「でもギュンターが魅力的だと、解ってるんだな?」

「そりゃ、いつもどこでも女に取り囲まれてるからな」

アイリスの視線が思い切り疑惑に満ちる。

「でもギュンターが魅力的だと思ってるんだろう?

…君、もし自分がギュンターに抱かれたら。とかって秘かに想像してないよな?」

一瞬にしてディングレーの形相が凄まじく成り、アイリスはつい、ごくりと喉を鳴らす。

「…アイリス。言葉に気を付けないと命を落とすぞ!」

だがアイリスは尋ねた。

「どうして?」

「それは俺を侮辱した言葉だからだ」

「…想像してないか。と尋ねるのが?」

ディングレーは解らない相手に言い含める。

「もしギュンターが俺を口説いて来たら、その場で剣を抜いて奴を斬り殺すぞ!俺なら!」

アイリスは、解った。と頷いた。想像どころかチラと頭の片隅を掠っただけで、嫌悪の塊に成るらしい。

隣のギュンターが俯いたまま、ぼそり。とつぶやく。

「確かに俺も許容範囲は広いが、ディングレーを口説く程悪趣味じゃないから安心しろ」

ディングレーは思い切り頷き、手綱を繰った。

「それが利口だ。

…それより明日、久しぶりにディアヴォロスに報告する為、隊長らで集まるんだろう?」

アイリスがつい、聞きそうに成った。

ギュンターで無く、ディアヴォロスに口説かれたら乗るか。と。ディングレーに。

でもディングレーが真剣にぴりぴりしていて、止めた。

「ローフィスの辞職の事と…彼が抜けた後の、対策についてだと思う」

ディングレーはおもむろに頷いた。

ギュンターが途端、一つ大きなため息を付き、ディングレーとアイリスはつい、顔を見合わせた。

ディアヴォロス派隊長だけで集まるその場にギュンターはいつも、やはり隊長だったローランデと並んで出席していたし、そんな時彼はローランデを隣に迎え、幸せの絶頂のような微笑を湛えてローランデを見つめていたからだ。

だが今度の集まりに、そのローランデの姿は無い。

「…協力しよう」

生気が抜けたように俯くギュンターの姿を目に、思わずディングレーがぼそり。と言った。

アイリスが顔を、向ける。

「やっぱり君でも、ギュンターが気の毒に見えるのか?」

ディングレーがたっぷり頷くと

「いつも颯爽としてる奴の、あんな姿は見るに耐えない」

アイリスは、ようやく笑った。

「それに関しては全く、同意見だ!」

そして二騎は拍車と共に駆け出し、ギュンターは気乗りしない様子でその後を、追った。



この本の内容は以上です。


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