閉じる


<<最初から読む

1 / 3ページ

12月5日のおはなし「待ちに待った」

女1「しかし、あれやね。急に寒なってきたね」
女2「かなわんわ、ほんま。わたし冷え症やし」
女1「そうなんや。冷え症ってどんなんなるん?」
女2「どんなんって。足先とか指先とかごっつ冷めとうなるやつや」
女1「季節は関係あるん?」
女2「当たり前や。寒い季節が一番つらいねん」
女1「つらいんは、あんたか?」
女2「そらそうや」
女1「ほな、あれは冷え症やないんや」
女2「なにが」
女1「あんたの心がごっつい冷たいんは」
女2「やかましわ。心は冷え症と関係あらへん。
   ってゆーか、わたしを冷たい人間みたいに言うな、どさくさに!」
女1「ああ! 許して! むごいことせんとって!」
女2「わたしが何をするっちゅうねん」
女1「いま仕事がなくなったら三番目の妹を売り飛ばさなあかんねん」
女2「妹を売り飛ばすて! 誰がここで一番冷たい人間やねん」
女1「せめて四番目の妹にして」
女2「どんな家族やねん。そういえばあんたんとこの妹、
   まだちっちゃいよな」
女1「そうや。目に入れても痛くあらへん」
女2「説得力ないて。売り飛ばすとか言ってからに」
女1「んなことあるかい。今日もほら、目ェの中、入れてきたんや」
女2「コンタクトか! あんたの妹はコンタクトレンズか!」
女1「ま、そんな妹の話なんかどうでもよろし」
女2「あんたが出してきたんや、妹の話」
女1「わかったわかった。あんたのごり押しには勝たれへん」
女2「ごり押し、て」
女1「けど寒なってきたって言うたらあれやね」
女2「ごっつ戻ったな。振り出しやで。どっちがごり押しやねん」
女1「そろそろ待ちに待ったイベントが」
女2「待ちに待ったイベント?」
女1「そうや、あのあれや」
女2「何?」
女1「だからあれや」
女2「うわ。言葉出てけえへん。あんた、もう年なんちゃうん」
女1「そういうのが冷たいっていうねん、ほら、ハ、ハ」
女2「ハロウィン」
女1「それやそれや」
女2「ハロウィン、そんなに待ちに待ったイベントか?」
女1「あんたはちゃうかもしれんけど、うちには大事やねん」
女2「そんなん初耳や」
女1「そうか? あんたもやったことあるはずやで。
   ほら、店で買うか手づくりのにするか迷ったり」
女2「ああ。あれつくるの大変らしいな」
女1「そうそう。デザインとかも自分で考えて、な」
女2「ああ。可愛いのにしようか、コワイ感じにしようかとか、な」
女1「こ、こ、コワイって! うちは可愛いのにしかせえへんけどな」
女2「はいはい。でもけっこう固いんやろ、あれ?」
女1「大丈夫大丈夫。ちょっとあっためればええねん。
   レンジでチンしてもええし」
女2「そうなん? そんなことするん?」
女1「そんなことも知らんのか。呆れた話やその年で」
女2「悪かったな」
女1「それから何を入れるか悩むんや」
女2「何をって、元々ろうそくを入れるもんやろ?」
女1「うそー! あんたは知らんけど、うちはそんなんせえへんで」
女2「ほな、何を入れんの?」
女1「まあいろいろあるけど、基本は愛やね」
女2「何やそれ。愛。言うに事欠いて何を言いだしますんやこの人は」
女1「あんたみたいな年寄りにはわからへんねん」
女2「やかましわ。どっちか言うたらわたしはどんな格好するか
   考える方が楽しいなあ」
女1「コスプレ?」
女2「コスプレ、言うたらまあコスプレやけど」
女1「えー?! あんた、そんな趣味あったん?」
女2「っていうか、ハロウィンは仮装が基本やけど?」
女1「全然ちゃうで。あんた、何か根本的に間違うとる」
女2「ほな何が基本やねん」
女1「チョコレートに決まっとるやろ」
女2「はあ?」
女1「チョコレート送って告白するんや」
女2「バレンタインや、それは」
女1「……」
女2「……」
女1「はああああ。冷たいなー」
女2「は?」
女1「だからそういうところが冷たいねん」
女2「ちゃうやろ! あんたが間違うとっただけやろ!」
女1「ああ! 堪忍して! 冷とうせんとって」
女2「してへんがな」
女1「そんなハイカラな話にはうち、ついてかれへんのや」
女2「バレンタインのことは自信満々やったやんか」
女1「うち、詳しいことはわからへんねん英語のことは」
女2「英語のこと、て」
女1「許してやって妹だけは」
女2「そこに戻るんかい」
女1「五番目の妹だけは」
女2「何人妹おんねん」
女1「ほんまは、おらんたん」
女2「おらんたん?」
女1「ハロウィンだけにジャック・おらんたん」
女2「めっちゃ詳しいやん」

(「チョコレート」ordered by sachiko-san/text by TAKASHINA, Tsunehiro a.k.a.hiro)

感謝の言葉と、お願い&お誘い

 Sudden Fiction Project(以下SFP)作品を読んでいただきありがとうございます。お楽しみいただけましたでしょうか? もしも気に入っていただけたならぜひ「コメントする」のボタンをクリックして、コメントをお寄せください。ブクログへの登録(無料)が必要になりますが、この機会にぜひ。


 「気に入ったけどコメントを書くのは面倒だ」と言うそこのあなた。それでは、ぜひ「ツイートする(Twitter)」「いいね!(Facebook)」あたりをご利用ください。あるいは、mixi、はてな等の外部連携で「気に入ったよ!」とアピールしていただけると大変ありがたいです。盛り上がります。


5つで、お気に入り度を示すこともできるようですが、面と向かって星をつけるのはひょっとしたら難しいかも知れませんね。すごく気に入ったら星5つつける、くらいの感じでご利用いただければ幸いです。


 現在、連日作品を発表中です。201171日から2012630日までの366日(2012年はうるう年)に対して、毎日「11篇のSFP作品がある」という状態をめざし、全作品を無料で大公開しています。公開中の作品一覧


 SFP作品は、元作品のクレジットをきちんと表記していただければ、転載や朗読などの上演、劇団の稽古場でのテキスト、舞台化や映像化などにも自由にご活用いただけます。詳しくは「Sudden Fiction Project Guide」というガイドブックにまとめておきました。使用時には、コメント欄で結構ですので一声おかけくださいね。


 ちょっと楽屋話をすると、71日にこのプロジェクトを開始して以来、日を追うごとにつくづく思い知らされているのですが、これ、かなり大変なんです(笑)。毎日1篇、作品に手を入れてアップして、告知して、Facebookページなどに整理して……って、始める前に予想していたよりも遥かに手間がかかるんですね。みなさんからのコメント、ツイート(RT)、「いいね!」を励みにがんばっていますので、ぜひご協力お願いいたします。


 読んでくださる方が増えるというのもとても嬉しい元気の素なので、気に入った作品を人に紹介して広めていただけるのも大歓迎です。上記Facebookページも、徐々に充実させてまいりますので、興味のある方はリンク先を訪れて、ページそのものに対して「いいね!」ボタンを押してご参加ください。


 10月からは「11篇新作発表」の荒行(笑)を開始し、55作品ばかり書き上げる予定です。「急募!お題 この秋Sudden Fiction Project開催します」のコメント欄を使って、読者のみなさんからのお題を募集中です。自分の出したお題でおはなしがひとつ生まれるのって、ぼくも体験済みですが、かなり楽しいですよ! はじめての方も、どうぞ気軽に遠慮なくご注文ください(お題は頂戴しても、お代は頂戴しないシステムでやっています。ご安心を)。


 こんな調子で、2012630日まで怒濤で突き進みます。他にはあんまりない、オンラインならではの風変わりな私設イベントです。ぜひご一緒に盛り上がってまいりましょう。


奥付



待ちに待った


http://p.booklog.jp/book/39940


著者 : hirotakashina
著者プロフィール:http://p.booklog.jp/users/hirotakashina/profile


感想はこちらのコメントへ
http://p.booklog.jp/book/39940

ブクログのパブー本棚へ入れる
http://booklog.jp/puboo/book/39940



公開中のSudden Fiction Project作品一覧

http://p.booklog.jp/users/hirotakashina




電子書籍プラットフォーム : ブクログのパブー(http://p.booklog.jp/
運営会社:株式会社paperboy&co.



この本の内容は以上です。


読者登録

hirotakashinaさんの更新情報・新作情報をメールで受取りますか?(読者登録について